n変数関数の極値・臨界点の定義

 ・定義: 広義の極小点/広義の極小値/狭義の極小点/狭義の極小値/広義の極大点/広義の極大値/狭義の極大点/狭義の極大値/
      広義の極値/狭義の極値/臨界点/臨界値/鞍点・峠点
 ・定理:極大極小の1階の必要条件/極大の2階必要条件/極小の2階必要条件/極大の2階十分条件/極小の2階十分条件 

n変数関数の微分関連ページ:偏微分/高次の偏微分/微分演算子/全微分/
極値-n変数関数以外:変数関数の極値定義/変数関数の極値定義
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定義:n変数関数の広義の極小relative minimum /極小点


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,…,an) : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・『岩波数学辞典』333L(p.986)
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・黒田『21世紀の数学1:微分積分学』定義8.12(p.307)
・加藤『微分積分学原論』15.3定義15.4(p.189)

※1変数関数の極値定義/2変数関数の広義極小

定義

n変数実数値関数fA=(a1,a2,…,an)広義極小になる」
A=(a1,a2,…,an)は、n変数実数値関数f広義の極小点である」
とは、
A=(a1,a2,…,an)近傍をうまくとると、
その近傍に属すあらゆるP=(x1,x2,…,xn)に対して、
    f(P)f(A) すなわち f (x1,x2,…,xn)f (a1,a2,…,an)
が成り立つことをいう。

論理記号で表すと、(ε>0) (PUε(A) ) ( f (P)f (A) ) 

関連

n変数関数の広義の極大値/狭義の極小



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定義:n変数関数の広義の極小値


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,…,an) : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・『岩波数学辞典』333L(p.986)
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・黒田『21世紀の数学1:微分積分学』定義8.12(p.307)
・加藤『微分積分学原論』15.3定義15.4(p.189)
※1変数関数の極値定義/2変数関数の広義極小

定義

n変数実数値関数f広義の極小値
とは、
n変数実数値関数fが広義極小点においてとるのことをいう。
つまり、
f広義極小点A=(aa1,a2,…,an)にたいして、 f (A)広義極小値と呼ぶ。 

関連    n変数関数の広義の極小点/狭義の極小値 

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定義:n変数関数の狭義の極小/極小点


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,,an)
 : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・黒田『21世紀の数学1:微分積分学』定義8.12(p.307)
・加藤『微分積分学原論』定義15.4(p.189)「真の極小」
・岡田『経済学・経営学のための数学』3.1(p.117)

※1変数関数の極値定義/2変数関数の狭義極小
n変数関数の極小の必要条件/極小の十分条件 

定義

n変数実数値関数fA=(a1,a2,…,an)で狭義に極小になる」
A=(a1,a2,…,an)は、n変数実数値関数f狭義の極小点である」
とは、
A=(a1,a2,…,an)の除外ε近傍に属すあらゆるP=(x1,x2,…,xn)に対して、
    f(P) > f(A) すなわち f (x1,x2,…,xn) >f (a1,a2,…,an)
が成り立つことをいう。  

論理記号で表すと、(ε>0) (PU*εA ) ( f (P) > f (A) )


※以上の定義は、次のようにも表現できる。
  (ε>0) (PD ) (0<PAε   f (P) > f (A) ) 


  (ε>0)(h1,h2,…,hn)D)(0<(h1,h2,…,hn)ε  f (a1+h1,a2+h2,…,an+hn) f (a1,a2,…,an) )
  (ε>0) (h1,h2,…,hn)U*ε(0,0,…,0)) (  f (a1+h1,a2+h2,…,an+hn)f (a1,a2,…,an) )  

関連

n変数関数の広義の極小値/広義の極小



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定義:n変数関数の狭義の極小値


設定


D Rn上の開集合
f D定義域とするn変数実数値関数。 f: RnD R
A=(a1,a2,…,an) : Dに属す。    A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・黒田『21世紀の数学1:微分積分学』定義8.12(p.307)
・加藤『微分積分学原論』定義15.4(p.189)「真の極小値」
・岡田『経済学・経営学のための数学』3.1(p.117)

※1変数関数の極値定義/2変数関数の狭義極小
n変数関数の極小の必要条件/極小の十分条件 

定義

n変数実数値関数f狭義の極小値」とは、
n変数実数値関数f狭義の極小点においてとるのことをいう。
つまり、
f狭義の極小点A=(a1,a2,…,an)にたいして、
f (A)狭義の極小値と呼ぶ。 

関連

n変数関数の狭義の極小点/広義の極小値  



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定義:n変数関数の広義の極大 relative maximum , local maximum /極大点


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,…,an)
 : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・『岩波数学辞典』333L(p.986)
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・加藤『微分積分学原論』15.3定義15.4(p.189)

※1変数関数の極値定義/変数関数の広義極大

定義

n変数実数値関数fA=(a1,a2,…,an)になる」
A=(a1,a2,…,an)は、n変数実数値関数f広義の極である」
とは、
A=(a1,a2,…,an)近傍に属すあらゆるP=(x1,x2,…,xn)に対して、
    f (P) f (A) すなわち f (x1,x2,…,xn) f ( a1,a2,…,an)
が成り立つことをいう。  

論理記号で表すと、(ε>0) (P∈Uε(A) ) ( f (P) f (A) ) 

関連

n変数関数の広義の極大値/狭義の極大




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定義:n変数関数の広義の極大値


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,,an)
 : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・『岩波数学辞典』333L(p.986)
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・加藤『微分積分学原論』15.3定義15.4(p.189)
・岡田『経済学・経営学のための数学』3.1(p.117)
・入谷久我『数理経済学入門』定義7.3(p.172).

※1変数関数の極値定義/変数関数の広義極大

定義

n変数実数値関数f広義極大
とは、
n
変数実数値関数f広義極大点においてとるのことをいう。
つまり、
f
極大点A=(a1,a2,…,an)にたいして、 f (A)極大と呼ぶ。 

関連

n変数関数の極大点/狭義の極大値/最大値 



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定義:n変数関数の狭義の極大/極大点


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,,an)
 : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・加藤『微分積分学原論』定義15.4(p.189)「真の極大」
・岡田『経済学・経営学のための数学』3.1(p.117)

※1変数関数の極値定義/変数関数の狭義極大

定義

n変数実数値関数fA=(a1,a2,…,an)狭義に極大になる」
A=(a1,a2,…,an)は、n変数実数値関数f狭義の極大点である」
とは、
A=(a1,a2,…,an)除外ε近傍に属すあらゆるP=(x1,x2,…,xn)に対して、
    f (P) < f (A) すなわち f (x1,x2,…,xn) <f ( a1,a2,…,an)
が成り立つことをいう。  

論理記号で表すと、(ε>0) (PU*εA ) ( f (P) < f (A) )

関連

n変数関数の狭義の極大値/広義の極大




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定義:n変数関数の狭義の極大値


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,,an)
 : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・松坂『解析入門3』14.3-A(p.163)
・加藤『微分積分学原論』定義15.4(p.189)「真の極大値」
・岡田『経済学・経営学のための数学』3.1(p.117)

※1変数関数の極値定義/変数関数の狭義極大

定義

n変数実数値関数f狭義の極大値」とは、
n
変数実数値関数f狭義の極大点においてとるのことをいう。
つまり、
f
狭義の極大点A=(a1,a2,…,an)にたいして、
f (A)
狭義の極大値と呼ぶ。  

関連

n変数関数の狭義の極大点/広義の極大値



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定義:n変数関数の広義の極値 extremum

 広義の極値とは、広義の極小値極大値の総称。

・『岩波数学辞典』333L(p.986)


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定義:n変数関数の狭義の極値

 狭義の極値とは、狭義の極小値極大値の総称。



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定義:n変数関数の臨界点 critical point 停留点stationary point


設定


DRn上の開集合
fD定義域とするn変数実数値関数。 f: RnD R
A=(a1,a2,…,an) : Dに属す。    A=(a1,a2,…,an)D


[文献-数学]
 ・『岩波数学辞典』333L(p.986)
 ・黒田『21世紀の数学1:微分積分学』定義8.12(p.307)
 ・松坂『解析入門3』14.3-A(p.164)
 ・加藤『微分積分学原論』15.3定義15.4(p.189)
 ・高橋『微分と積分2』定義3.20(p.79)
 ・高木『解析概論』§26(p.68)
 ・杉浦『解析入門1』U§8(p.150)
 ・小形『多変数の微分積分p.75.
 ・布川ほか『線形代数と凸解析』定義9.3(p.206)

[文献-数理経済]
 ・岡田『経済学・経営学のための数学』記述なし
 ・入谷久我『数理経済学入門』 記述なし
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』:記述なし
 ・西村和夫『経済数学早分かり』:記述なし

※ 1変数関数の臨界点2変数関数の臨界点 

定義

A=(a1,a2,…,an)は、n変数実数値関数f臨界点・停留点である」
とは、
A=(a1,a2,…,an)において、f勾配ベクトル零ベクトルとなること
つまり、
  grad f (a1,a2,…,an)=(0,,…0) 
が満たされることをいう。

n数実数値関数fA=(a1,a2,…,an)で()微分可能ならば
A=(a1,a2,…,an)は、n変数実数値関数f臨界点・停留点である」
とは、
A=(a1,a2,…,an)においてf微分係数零ベクトルとなることを指す。
なぜなら、
定理によって、
n変数実数値関数fがA=(a1,a2,…,an)で()微分可能ならば
A=(a1,a2,…,an)におけるf微分係数は、
A=(a1,a2,…,an)におけるf勾配ベクトルに等しくなるから。  

臨界点・停留点の語義について、テキストのあいだで相違がみられる。
(1) fがすべての変数について偏微分可能かつ grad f (a1,a2,…,an)=(0,,…0)を満たす点を臨界点・停留点と定義したテキスト。
 ・黒田『21世紀の数学1:微分積分学』定義8.12(p.307)は、
   fがすべての変数について偏微分可能かつ grad f (a1,a2,…,an)=(0,,…0)が満たされる点を、臨界点または停留点と定義。
   (つまり、臨界点または停留点は、そこでの()微分可能を要求しない。)  
   そのうえで、臨界点または停留点には、「極値点になる臨界点」と「鞍点になる臨界点」があると指摘。
 ・松坂『解析入門3』14.3-A(p.164)は、
   fがすべての変数について偏微分可能かつ grad f (a1,a2,…,an)=(0,,…0)が満たされる点を、臨界点と定義。
   (つまり、臨界点は、そこでの(全)微分可能を要求しない。)  
   そのうえで、臨界点には、「極値点になる臨界点」と「鞍点になる臨界点」があると指摘。
 ・小形『多変数の微分積分p.75、布川ほか『線形代数と凸解析』定義9.3(p.206)は、
  grad f (a1,a2,…,an)=(0,,…0)が満たされる点を、停留点と定義。
  つまり、停留点には、「極値点になる停留点」と「鞍点になる停留点」があることになる。
 ・加藤『微分積分学原論』15.3定義15.4(p.189)は、grad f (a1,a2,…,an)=(0,,…0)が満たされる点を、危点と定義。
  危点は、critical pointの新訳?
(2) f(全)微分可能かつ微分係数(0,,…0)を満たす点を、臨界点と定義したテキスト。
  ・杉浦『解析入門1』U§8(p.150)、
  ・高橋『微分と積分2』定義3.20(p.79)は、
  このテキストに従えば、臨界点には、「極値点になる臨界点」と「鞍点になる臨界点」があることになる。 
(3)
 高木『解析概論』§26(pp.68-71)は、grad f(a1,a2,…,an)=(0,,…0)を満たすが、極値点にならない点を、停留点と呼んでいる。
(4)
 『岩波数学辞典』333L(p.986)は、
  f(全)微分可能かつ微分係数(0,,…0)を満たす点を臨界点と定義し、「臨界点における関数の値」を停留値と定義している。


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定義:n変数関数の臨界値 critical value停留値stationary value


設定


DRn上の開集合
fD定義域とするn変数実数値関数。 f: RnD R
A=(a1,a2,…,an) : Dに属す。    A=(a1,a2,…,an)D


[文献]
 ・高橋『微分と積分2』定義3.20(p.79)
 ・高木『解析概論』§26(p.68)
 ・加藤『微分積分学原論』15.3定義15.4(p.189)「危値」
 ・布川ほか『線形代数と凸解析』定義9.3(p.206)

※ 1変数関数の臨界値2変数関数の臨界値 

定義

n変数実数値関数f臨界値・停留値」とは、
n変数実数値関数f臨界点・停留点においてとるのことをいう。
つまり、
f臨界点・停留点A=(a1,a2,…,an)にたいして、
f (A)臨界値・停留値と呼ぶ。 

関連





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定義:n変数関数の峠点 鞍点saddle point


設定


D
Rn上の開集合
f
D定義域とするn変数実数値関数。 f : RnD R
A=(a
1,a2,,an)
 : Dに属す。      A=(a1,a2,…,an) D


[文献]
・杉浦『解析入門1』U§8(p.150)

2変数関数の峠点・鞍点 

定義

af鞍点・峠点である」は、
aに対して、零ベクトル以外の二つのベクトル(e11,e12,…,e1n),(e21,e22,…,e2n)が存在して、
  g(t)= f(a1+te11,a2+te12,…,an+te1n )t=0極小
  h(t)= f(a1+te21,a2+te22,…,an+te2n ) t=0極大 
 を満たすことをいう






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