尾瀬の花 コース案内052
コース案内総目次 尾瀬の花 尾瀬自然保護ネットワーク

 御池起点 


052:天神田代分岐〜渋沢大滝分岐〜渋沢温泉小屋

このコースの見所・撮影ポイントは、

全工程に林立する天然ブナの森
渋沢への急坂の途中のトガクシショウマ、ギンラン
 などです。

このコースには、
公衆トイレが終点の渋沢温泉小屋近くに一ヶ所
水場は終点の渋沢温泉小屋の水道と、途中の沢水
ベンチは一ヶ所もありません。


天神田代分岐標高は約 1,530m、終点の渋沢温泉小屋の標高は約1,110m、標高差420mを下ることになります。

ベンチのある天神田代分岐

天神田代分岐の位置は、御池から3.3km、尾瀬ヶ原の見晴から6.1km、渋沢温泉小屋までは2.3kmにありますが、その起点付近は水捌けの悪い平坦な悪路となっています。

最初は平坦な悪路が続きます

渋沢温泉小屋に向かって進んで行くと、アチコチにクマが冬眠する場所と思われる空洞が根元にある大木も幾つも見かけられました。

大きな空洞がある大木

コースは、たまに急坂・ぬかるんだ箇所もありますが、燧裏林道より平坦で荒れていませんが、木道・ベンチなどは全くなく、ブナの落ち葉が積もってフカフカした個所の多い登山道が続いています。

落ち葉の積もった登山道

ネズコ(クロベ)とブナが多い森の中を通るコースではありますが、それでも所々は開けていて、山菜採りをされる方なら、羨ましいばかりのネマガリダケの群生個所も随分とあります。

やがて前方にコースを横切っている小さな沢があり、その右横にはブドウの房のような花を咲かせるコマガタケスグリ(駒ケ岳酸塊)、付近にはホウチャクソウ、花も実も三角のエンレイソウ、小さな白い花・真っ赤な実のマイヅルソウ、地味な花を咲かすタチシオデ、葉緑素の全くない腐生植物のギンリョウソウなどの花が目に付きます。

小さな沢が登山道を横切っています

先に進むとコースは今までより急になり、前方に木に取り付けた標識が目に付きましたが、

坂道の途中に標識

どうも渋沢温泉小屋のご主人が取り付けた手作りの標識のようで、例によって方角の役には立つのですが、距離とか時間とかには全く触れていません(^_^;)

この辺りから黒い実がなると名前の由来が納得できるツクバネソウ、マムシグサの仲間のヒロハテンナンショウが多く見られるようになってきて、その脇に朽ちた標識があり、渋沢温泉御池と辛うじて読めます。

朽ちた標識

やがて前方に変わった形の木が見えてきて、命名好きな私は^^;、妖怪の木と名付けました(^^♪

口から長い舌を出して(^^)

妖怪の木の先の登山道も緩やかなアップダウン、きついアップダウンが交互に続く、落ち葉に覆われた道となっており、土日でもまず誰一人にも追い抜かれず・追い越さず・擦れ違わず、静寂そのものといいたいコースですが、しかし、生い茂った大木で全く見えませんが右手の遥か下に、御池小沢平尾瀬口国道:352号線が走っており、そこを喘ぎながら登る車のエンジン音が風に乗って聞こえて来るので、寂しいながらも結構ウルサイコースです(^_^;)

快適な登山道です

徐々にブナを中心とした深い森になってきて、登山道脇には真っ白な花・真っ赤な実のユキザサも目に付くようになってきて、やがて前方に、天神田代分岐から初めて、水の流れている小さな沢が見えてきます。

左から右へ流れる小さな沢

小さな沢の先を登って進んで行くと前方に大きな木が見えてきて、その手前に水の流れていない沢(枯れ沢)が見えます。

沢の先は緩やかな登り

の脇には平地にも生えているフキ(蕗)、青いガクアジサイといった感じのエゾアジサイなどが目立ちます。コースは緩やかに下り続け、

緩やかな下り坂

大木に手作りの標識が取り付けてあるのが前方に見えてきましたが、距離も時間も書いてないのは、ここでも同じです

それまで比較的緩やかだった登山道も急激な下りとなってきて、前方が明るくなり空が見え始めて木々の先にはうっすらと只見川左岸=新潟県の山が見えいよいよ渋沢右岸の猛烈な崖を下る箇所に差し掛かりますが、下り始めて直ぐ右手にホウ(朴)の巨木があります。

道は急激に下っており、しかも階段などの人工物は一切なく、尾瀬でも
最も急な坂とも言える難所で、階段を取り払った感じの三平峠の十二曲り、或いはウサギ田代〜三条の滝分岐の急坂に匹敵する難所ですが、2つの難所との違いは、土日でも秋の紅葉シーズンを除いて人と出会わない寂しいコースで、転落しても誰も助けを呼べず、単独行はベテラン・健脚者でないと危険なことです。

やがて前方に2つの標識が見えてきて、そこで初めて
渋沢温泉小屋まで25分と書いてあります。

渋沢温泉小屋のご主人手作りの標識

登山道は急激に下っているだけでなく、猛烈に狭くなってきて、大きな木の間も通るようになり、

前方の大木の間が登山道

相当注意しながら進む必要がありますが、嬉しいことにここに、尾瀬でも珍しいトガクシショウマ(戸隠升麻)が何株か生えていて、6月初旬にここを通れば、気品のある美しい花に出会え、花好きには堪らないのですが、その上、ギンラン(銀蘭)にも出会えます。

尾瀬の花図鑑は何冊も出版されていますが、
ギンランの掲載されている花図鑑はなく、私自身も尾瀬では他にギンランを見た経験がないのですが、ここには何本も生えています。

登山道は沢の中央を下りながら進むようになり、さしもの急坂もやや緩やかにはなって来ると前方に、向こう向きに標識が2つある渋沢大滝分岐が見えてきます。

左上が渋沢大滝分岐

ここまで来れば渋沢温泉小屋まで遠くはありません。

分岐を振り返って撮影、左:天神田代

依然として下りが続いている登山道の沢には、いつの間にか水がなくなっていましたが、急に伏流水となって湧き出している箇所があり、ここで飲む湧き水は大変に美味しい水です。

伏流水の湧出口

やがて前方に、天神田代分岐から歩いて来て初めて出会うが見えてきて、付近には白い花と矢車のような葉が目立つヤグルマソウ(矢車草)が多く生えています。

登山道は大きな川に成長している渋沢に沿って急激に下っており、やっと出合った木道:階段状になった木道を降りていきます。

急な階段状の登山道

下に降り切って渋沢の岸辺:右岸に到着しますが、付近にはキツリフネタニウツギなどが見かけられます。

やがて渋沢右岸から左岸に渡る橋、橋といっても丸太を針金で縛ってあるだけの橋で、尾瀬ヶ原・尾瀬沼沿岸の橋のように、周りの景色を見ながら渡ると落っこちる可能性があり、足元を慎重に見ながら渡ります。

渋沢と丸太橋

渡った左岸には渋沢温泉小屋の露天風呂:せせらぎの湯がありますが温度が低く、登山道脇にありますので、何回通っても入浴している人を見た経験はありません(^^♪

せせらぎの湯

やがて前方に渋沢温泉小屋の建物が見えてきます。

右手に渋沢温泉小屋

左側に、右に渋沢温泉小屋を見ながら進んだ先に、終点:渋沢温泉小屋分岐があり、

左:ウサギ田代へ2.4km、右:小沢平へ3.0km

左に行けば下の渋沢温泉小屋分岐近くのウサギ田代、右に行けばバス停と山小屋:尾瀬口山荘のある小沢平(こぞうだいら)に至ります。


 コース案内INDEXへ