全般・読み物

作成日 : 2000-01-09
最終更新日 :

コンピュータ(主にソフトウェア)全般に関する本を紹介する。

戸川隼人:ソフトウェアはこうありたい, 共立出版

「bit」誌連載から楽しみにしていた、肩の凝らない小文集。 私がひざをたたいたのは次のような主題の文章だった。 「コンピュータ技術者はひとくくりにシステムエンジニア( SE )といわれるけれど、 実際にはいろいろな分野がある。スーパープログラマーとして名をなす方もいれば、 プロジェクトリーダーで才能を発揮する人もいる。 それで、SE というのは、つきあいが好きな人こそ向いている。」

淵一博 編:第五世代コンピュータ入門, 朝倉書店

論理型言語を中心に据えた第五世代コンピュータプロジェクトの中間報告。

木下恂:ソフトウェアの法則,中公新書

「マーフィーの法則」を覚えているだろうか。昔よく売れた本であり、今でも思い出したように (特にコンピュータの世界では)使われる。そのマーフィーの法則を著者の木下さんが自身のジョークとして 仕立て上げた一冊である。 この本で感心したのは、必ずしもコンピュータとは関係ない日常の(ときには非日常の)事象を説明した後で、 おもむろに関連したコンピュータの話題にもっていき、最後のオチをソフトウェアの法則として一つ以上 提示していることだ。

著者は至る所で、日米のソフトウェア格差を嘆いている。ものごとを悲観的に考えるのはソフトウェア技術者の 性であるとこの本にも書かれていた。しかし、さほど悲愴な調子には感じられない。 これは、著者のユーモアによるものだろうか。それとも、読者である私の極度の 楽観主義 または/かつ 三無主義によるものだろうか。

藤原博文:コの業界のオキテ!!、技術評論社

コンピュータソフトの業界で藤原博文さんを知らない方はもぐりであろう。 有名なホームページ(http://www.pro.or.jp/~fuji/)をはじめ、 「プログラミング診断室」などの著書でも知られている。

この本は、コンピュータ業界の内幕を一般の人々にわかることばで説明している。 その証拠に、縦書きである。なお、横書きで読みたいひとは、上述のホームページから辿れる個所に 公開されているのでそちらを利用するといいだろう。

私の気にいっている文章がいくつかある。プログラムの出来の悪さを嘆いて、 「町を歩いている女の子をつかまえて、ちょっと教育しただけでも、 もっと良いプログラムができると思われるほどである」とか、 プログラマの評価が服装だけで決まることに怒って 「まあネクタイをすれば良いプログラムができるようなら、 私だって一度に二本でも三本でもネクタイを締めよう。」とかいう個所だ。 プログラマの端くれである私には耳が痛い。

私は藤原さんと二度お目にかかったことがある。 会う前はその著書からいかつい容姿を思い浮べていたが、 実際は物腰の柔らかい方であった。

トム・デマルコ:ピープルウェア、日経 BP 社

あちらとこちらの差を思い知らされたのは、訳者あとがきにも触れられているのだが、 職場の環境の差だった。私が社会人になった最初の部屋は、12人の部屋だった。 次の年に配置転換となり、移った職場は15人程度だった。職場の引っ越しがあり、 いきなり50人が一度に見えるところになった。会社を移ってからは、 また12人の部屋になった。そのあとで、50 人の部屋になった。16人程度の部屋に なったこともあったが、いまはビルの1フロアが見渡せる80人以上の広間にいる。 これではプログラマとしての活動はできない。(実際していないのだけれど)。

「チーム殺し、7つの秘訣」はまだ読んでいないが、おそらく思うことは一致するだろう (2002-04-20)。

高澤嘉光 - 『OS-9/68000』, 共立出版株式会社 1989年, ISBN 978-4-320-02401-4

Poorman's UNIX と称された OS-9 の解説書。モトローラ社のCPU(MPU)68000 で動作しているものが OS-9/68000 と呼ばれている。 著者は OS-9/68000 をこの本の上梓まで3年間使い込み、 しかもシステムコールへの疑問を解決するために逆アセンブルをして OS の中身を調べることまでしている。 著者は本書を<OS-9/68000 の中の「風景」を描いたスケッチ・ブックである>といっているが、 私にはレベルが高すぎてよくわからなかった。 かつて使ったことがある OS-9/68000 で愛着があるのだが、 もう私は使わないので、廃棄する。

面白そうな箇所もあった。第2章「カーネル」の第6節「メモリの管理」で、 メモリを確保するサブルーチン allocate とメモリを元に戻すサブルーチン free が紹介されていた。 2つとも 68000 のアセンブラで書かれている。私は半年間だけ 68000 のアセンブラを読む訓練をしたのだが、 結局わからず、断念した。(2009-02-07)

相沢博泰 - 『入門 パワー Motif プログラマ』, 共立出版株式会社 1992年, ISBN 978-4-320-02630-6 NDC 007,64

株式会社マインドウエア(www.mwn.co.jp) の 代表取締役である相沢氏が作成した「モガ」というソフトウェアを題材としている。 当時の UNIX の GUI は、Motif が主流であった。この Motif を使って、 画面デザインやウィジェットの使い方を説明している。

当時は GUI のプログラミングについてばかりで、藁にもすがる思いでこの本を買い、 勉強した。結局モガを作ることはなかったが、勉強になった。 誤植を見つけたり、気になったところを追加して書き込んだりした本である。 今となっては Motif とも縁遠くなってしまったので、廃棄した(2009-02-08)。

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MARUYAMA Satosi