Software Design 編集部(編):Software Design 総集編【2013 ~ 2017】

5 年間の進歩

作成日:2019-01-05
最終更新日:

はじめに

Software Design 誌の2013年から2017年までの5年分の雑誌(バックナンバー)を収めた DVD とともに、 「技術の移り変わりに、エンジニアはどう立ち向かえば良いのか」全6章を収める。 なお、DVD に収録されたバックナンバーについても、追って評するつもりだ。

バックナンバーの入手

昔、職場の年配の方が「技術系の雑誌のバックナンバーを DVD にして売っていることがあるけれど、意味があるのかな」と盛んに言っていた。 意味はある。というのも、その職場も含め、当時雑誌に出ていた技術をそのときに身に付けているということはほとんどないからだ。 その年配者は、意味がない理由として、おそらく自分たちのところでは使わないから、ということだったのかもしれない。 または、当時の雑誌に出ていた技術は数年たてば主流の技術になっていて他の情報源からも入手できたり購入できたりするから、 ということなのかもしれない。その方は機を見るに敏な方で、 まだカーナビの技術が出たころから GPS を応用してシステムを考案するような切れ者だったから、 わざわざ古くなった技術を知る必要はなかったのかもしれない。 (そのくせその年配氏には妙なコンプリート癖があって、当時の日本ソフトバンクから出版されていた C マガジンの創刊号から数号がないんだけれど、 と困った表情をしたことがあって、私はたまたま持っていた数号を譲ったことがある。C マガジン創刊から 10 年以上たったころだと思う)。

さて、私のような鈍い者にとっては、旬を過ぎても必要な情報は山ほどある。この意味で、過去の記事が見られる本書のような存在はありがたい。

オブジェクト指向から関数型へ

本書で収められている全6章のうちの第4章である。これを見て私は驚いた。 私がプログラミング言語を習った時代は、手続き型言語→関数型言語→論理型言語→オブジェクト指向型言語の順に進化?していくといわれていたからだ。 手続き型言語としては、COBOL、FORTRAN、PASCAL、C などがあり、関数型言語には LISP やその変種の Scheme があった。論理型言語は Prolog 一択で、 オブジェクト指向型言語は smalltalk があるけれど開発環境がぜいたくでないと使えない、うんぬんの話があった。 急いで付け加えると、FORTRAN と LISP はほぼ同時代だけれど、LISP は大規模開発には向かないなどと言われ、 事務処理では COBOL が、科学技術計算では FORTRAN が主流だった。その後、システムプログラミングに C が使われだしてきて、その後短い C++ の時代のあと、 オブジェクト指向言語の Java が席巻して今に至っている。そんななか、このタイトルを見て、関数型言語に「逆戻り」しているような違和感を覚えた。 もっとも、この章で紹介されている関数型言語には、LISP も Scheme もない。 紹介されているのは、ABC 順に、 Clean、 Clojure、Erlang、F#、Haskell、Idris、OCaml、SML、Scala である。 わたしでさえ、いくつかは半分弱は名前を聞いたことがある。これらの言語には発展してほしいと思う。

書誌情報

書 名Software Design 総集編【2013 ~ 2017】
著 者Software Design 編集部(編)
発行日2018 年 11 月 9 日 初版 第3刷
発行元技術評論社
定 価2000円(本体)
サイズB5判 80ページ
ISBN978-4-7741-9738-8

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MARUYAMA Satosi