R.ラックマン・J.L.ラックマン・E.C.バターフィールド:認知心理学と人間の情報処理II 意識と記憶

作成日:2015-01-03
最終更新日:

はじめに

この第2分冊は下記の章からなる。

意味記憶

意味記憶は、人の一般的な概念の情報のほか、世界に関する知識、言語的能力を保持するものという。 このように抽象的に言われてもよくわからないので、p.399 では以下の文が例として出されている。

More Americans have been killed by firecrackers than were killed in the Revolutionary War.

独立戦争で殺されたよりもたくさんのアメリカ人が、爆竹によって殺されている。

英語を読んでも、日本語を読んでもちんぷんかんぷんなのだが、本には次のような注釈が出ている。花火を打ち上げることが、 7月4日のアメリカの年中行事であること、この日がイギリスからアメリカが独立したことを記念する日であること、 イギリスからの独立は独立戦争の成果であること、爆竹がときにより死をもたらす爆発装置であること、 その他のもろもろの知識がこの文の意味を知るのに助けとなっているということだ。

鳥の種類

カナリアという概念は、その直接の上位に鳥という概念とつながっている。 そして、鳥という概念と直接の上位につながっているものに、スズメやニワトリやダチョウやコウノトリがある。 鳥の直接の下位につながっている概念は、すべて同等なのだろうか。ここで、実験が行われた。 アメリカのメリーランド大学とイリノイ大学の学生にカテゴリー名(ここでは鳥)を与え、できるだけ多くの事例(たとえばスズメなど)を書くように指示した。 両大学を合わせて、最も多かった鳥は、コマドリ (robin) だった。これは驚きだった。 マザーグースで "Who Killed the Cook Robin ?" というぐらい有名なのはわかるがまさか一位にになるとは思わなかった。ついでなので、一位から十位までを示す。

  1. コマドリ
  2. スズメ
  3. カーディナル
  4. アオカケス
  5. ワシ
  6. カラス
  7. ツグミ
  8. カナリア
  9. インコ
  10. タカ

カーディナルなんて知らないぞ。調べてみた。 カーディナルの正式名称はショウジョウコウカンチョウ(猩々紅冠鳥)、学名は Cardinalis cardinalis である。 アメリカ合衆国の疎林、低木地などに生息する。 カーディナルという名前は、カトリック用語の枢機卿(すうききょう:Cardinalis)に由来する。 枢機卿は赤い色の衣をまとっているところが名付けられた。 アメリカでは、野球チームのセントルイス・カージナルスが アメフトチームのアリゾナ・カージナルスがともに、ユニフォームの色として選んでいる。だから3位なのか。

書誌情報

書 名認知心理学と人間の情報処理II 意識と記憶
著 者R.ラックマン・J.L.ラックマン・E.C.バターフィールド
発行日1988 年 11 月 25 日
発行元株式会社サイエンス社
定 価2600 円(本体)
サイズA5判 ページ
ISBN4-7819-0525-0

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MARUYAMA Satosi