Cosmos Magazine 2018年5月23日
生分解性プラスチック袋は
主要な汚染物質かもしれない

”環境に良い”とする証拠は見つからない
アンドリュー・マスターソン(Cosmos 誌ニュース編集者)

情報源:Cosmos Magazine 23 May 2018
Biodegradable plastic bags may be major pollutants
Review finds evidence to justify “greener” shopping bags is absent. Andrew Masterson reports.
By Andrew Masterson, news editor of Cosmos
https://cosmosmagazine.com/geoscience/
biodegradable-plastic-bags-may-be-major-pollutants


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2018年5月24日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_18/
180523_COSMOS_Biodegradable_plastic_bags_may_be_major_pollutants.html

 世界中で使い捨てのプラスチック袋の使用禁止の声が叫ばれているが、もしその代替製品が”生分解性”であると宣伝されているより重いプラスチック袋は、それが環境的に有用な代替物質であることを示唆する証拠はほとんどない。

 実際に生分解性プラスチック袋の使用後の運命についての調査では、そこで発見される結果は非常に多岐にわたり、また手順が非常に多様なので、それらの情報は政策や規制にはほとんど役立たない。それが、スコットランドのエジンバラ大学のジェス・ハリソンにより率いられたチームにより実施された、すでに発表されている当該研究のレビューの中心的な成果である。

 ハリソンと彼のチームは、生分解性プラスチック袋の製造と全ライフサイクルを調査している入手可能な論文を調べた結果、利用可能な発見には一貫性がなく、しばしば定義が不十分であることが分かった。

 研究者らは、分解に関する研究に、もしくは海洋に到達する袋についての研究に特に着目した。現在、世界中で生産される1兆個のプラスチック袋は、海洋中に存在する推定5兆個、合計2万5,000トンのプラスチック片の主要な部分をなし、海洋プラスチック汚染の主要な寄与要因であることが認められている。

 その問題の大きさと緊急性にもかかわらず、ハリソンと同僚らは多くの研究が特定のプラスチックが外洋でどのように振る舞うかを予測するために実験室テストだけを使用していたことを見つけた。生分解性を定義する標準に関しても、あるいは一貫したテスト手法に関しても、標準機関に合意はなかった。

 また、海洋中で時が経てプラスチックの分解から生じる毒素を特定する又は定義する注目に値する研究は存在しなかった。

 ”我々は、実験手順中にあるいくつかの欠陥と科学文献中に情報が少ないことのために、このような環境における現状の標準とテスト手法は、膜状の買い物袋の生分解性を現実的に予言するためには不十分であると主張する”と、科学者らは英国王立協会のオープンアクセス誌に発表された研究の中で述べた。

 ”さらに、水環境のための既存の生分解性の標準とテスト手法は、買い物袋、プラスチック添加物、ポリマー分解生成物、又はプラスチック断片から生じる微小(顕微鏡的)なプラスチック粒子の毒性テストや潜在的な有害生態影響の説明を含んでいない”。

 ひとつの環境汚染をなくそうとすると、もっと悪い汚染を作り出す結果となるという悪夢のシナリオを回避するために、研究中にあるこれらのギャップを速やかに塞ぐことが優先事項であると彼らは主張する。


訳注:当研究会が紹介したプラスチック・リサイクル、プラスチック廃棄物、プラスチック汚染、及びマイクロプラスチック等に関連する情報

■プラスチック・リサイクル
■プラスチック関連規制
■プラスチック汚染
■プラスチック生活
■プラスチック問題への NGO の取り組み

化学物質問題市民研究会
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