Chemical & Engineering News 2018年1月8日
中国はプラスチックごみの輸入を制限 世界中のリサイクル・プログラムを狂わせる動き しかしより良い廃棄物管理に導くかもしれない ジーンフランソア・トレンブレイ、アレックス・タロ 情報源:Chemical & Engineering News, January 8, 2018 China restricts imports of plastic trash Move upsets recycling programs worldwide but may lead to better waste management By Jean-Francois Tremblay, Alex Tullo https://cen.acs.org/articles/96/i2/China-restricts-imports-plastic-trash.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2018年1月20日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/news/180108_C&EN_ China_restricts_imports_of_plastic_trash.html
アメリカの、特に西海岸は長年、リサイクル・プログラムで収集されたプラスチックを中国に輸出してきた。中国の低賃金が労働集約的なプラスチック廃棄物の分別整理にとって中国を理想的な場所としてきた。 米・国勢調査局及び米・国際貿易委員会によれば、中国は 2006年には 776,000 トンの回収プラスチック及び 1,300 万トンの古紙(recycled pape)をアメリカから輸入した。総額は23ドル(約2,540億円)に達する。 昨年の夏、中国は世界貿易機関に24種類の廃棄物の輸入を制限するであろうと公式に通知した。中国は、プラスチックやその他の廃棄物が混じった汚い有害な物質は健康と環境にリスクを及ぼすと説明した。 ”これは大きな出来事である”と、廃棄プラスチック管理の改善を唱道する団体である香港を拠点とするオーシャン・リカバリー・アライアンスの執行ディレクター、ダグラス・ウッドリングは述べている。現在、彼らの廃棄物取扱システムに中国の輸入制限がもたらすであろう巨大な廃棄物在庫に対応するための施設を持った政府は多くない。 リサイクル業者は、過去数か月の間、中国の既存の”ナショナル・スウオード(国をあげての戦い)”(訳注1)と呼ばれる輸入管理政策の新たな規則に対応しようと試みてきた。中国への主要な中継点である香港によるポリエチレン廃棄物の輸入 は2017年10月までに、一年目に比べて3分の2に低減した。 その規則は回収プラスチックの輸入をあからさまには禁止しないが、彼らは食物残渣や金属の様な汚染物質のレベルを0.5%以下に抑えることにより、実施を厳格に制限している(訳注2)。 ”提案された汚染基準は、北アメリカの最新の設備を利用しても達成するの現実的ではなかった”と、北米固形物廃棄処理連盟の国際部長ジェフ・マーレイは先月述べた。 ワシントン州のリサイクル担当官アリ・キングフィッシャーは、彼らのプラスティックが中国に輸出できることを期待して、自治体からのリサイクル可能な廃棄物を処理する回収設備が新たな汚染閾値に合致するよう試みている。しかし、係員を増やしても処理量は下降し、未処理廃棄物はたまる一方である。 ”彼らは従来通りできるだけ多くの廃棄物を収集しているが、設備は品質向上のために改良が必要である”と、彼女は C&EN に述べた。”彼らは処理能力以上の廃棄物を投入できないだけである”。 いくつかの自治体、特に州内の地方では居住者用収集システムの変更、またはプラスチックのリサイクルそのものを中止した。しかし”ほとんどはシステムを堅持しようとしている”と彼女は言う。 オレゴン州では、廃棄物の滞貨により、12の回収業者と処理業者が州の環境品質部(DEQ)にリサイクル可能廃棄物を埋め立て処分することを許すよう求めたと、 DEQ 廃棄物管理担当官ジュリー・ミラーは述べた。”DEQ は、これらの廃棄物を暫定的措置として埋め立てることは不本意であるが、必要な選択であることに同意する”と、彼女は言う。 10月に DEQ はオレゴン州民にリサイクルの流れの中の汚染の量を制限するよう指示する広報を出した。”住民はリサイクルを続けることを奨励されるが、ある品目を本来入れるべきでないリサイクル容器に入れる’安易なリサイクル’は止めるよう促されている”。 短期的な影響にもかかわらず、環境活動家らは新たな規則を持続可能性にとって長期的な勝利とみている。アジアのグリーンピースの活動家らは、彼らは多くの諸国に我々が廃棄物に対して編み出した’見えないものは忘れられる’という考えと戦わせるであろうと言う。 中国への輸出は持続可能な廃棄物管理に反するものであると、ウッドリングは主張する。”取引業者らは邪魔をし、プラスチック廃棄物管理に安易な答えを出した”と彼は言う。 訳注:関連記事
中国 National Sword キャンペーンで中国への雑古紙輸入禁止の動き(Paper Trade Blog 2017年4月20日) 訳注2:中国の汚染物質混入制限 古紙ジャーナル(2017年7月17日)によれば: 廃プラの輸入禁止品 廃プラの輸入禁止品としては、中国で輸入禁止されている危険廃棄物リストのGB基準があり、これには放射性廃棄物、医療廃棄物、化学物質、危険物質等の九十四品目が記載されている。また混入物制限として、アスベスト含有廃棄物・一部が焼却した廃プラ・消火剤で汚染された廃プラ・感光物質を含むフィルム・使用済み原形プラスチック容器・密閉容器は、総重量の〇・〇一%を超えてはならないと制定されている。四十フィートに二十四トンの廃プラを積載した場合、これらの品が二・四キログラムを超えると輸入禁止となる。 またそれ以外では、廃木片・廃金属・廃ガラス・熱硬化性プラスチック・廃棄ゴム・金属塗装されたラップ・プラスチック製品等は、総重量の〇・五%を超えてはいけないとされている。 訳注:当研究会が紹介したプラスチック・リサイクル、プラスチック廃棄物、プラスチック汚染、及びマイクロプラスチック等に関連する情報 ■プラスチック・リサイクル
■プラスチック問題への NGO の取り組み |