焼却代替のための世界連合(GAIA) 2015年10月2日 プレスリリース
オーシャン・コンサーバンシーへの公開状
”流れを止める”報告書に深い懸念、及び
Pete Myers さんのコメント


情報源:Global Alliance for Incinerator Alternatives (GAIA), October, 2015
Open Letter to Ocean Conservancy regarding deep concerns about the "Stemming the Tide" report
http://www.no-burn.org/open-letter-to-ocean-conservancy-regarding-stemming-the-tide-report

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2015年10月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/GAIA/
October_2015_GAIA_Open_Letter_to_Ocean_Conservancy.html


 オーシャン・コンサーバンシー (The Ocean Conservancy:アメリカに本部を置く海洋自然保護団体) により委託された報告書 ”流れを止める(Stemming the Tide)” が2015年9月30日に発表された。この報告書の運営委員会は、世界自然保護基金、米国国務省、コカコーラ、ダウケミカル、及び米国化学工業協会 (ACC) を含む(訳注1)。

 同報告書は、海洋におけるプラスチック廃棄物の問題を検証し、その削減のために陸上べースの戦略を述べている。残念ながら同報告書はとっくの昔に否定された廃棄物管理手法 (訳注:焼却処理のこと) にほとんど完全に目を向けているので、その目標を達成することができない。同報告書は特に、次の内容を勧告している:
  • アジアの海岸地帯において収集を増やし、廃棄物の80%まで焼却すること。
  • プロジェクト融資のリスクを回避し、アメリカ、ヨーロッパ、及びその他の廃棄物企業の利益を確実にするために、国内法を変更し、アジアの都市、国家政府、及び一般大衆に負担をかける莫大なコストで公的助成を増やすこと。
  • 低品質でリサイクルできない単回使用(使い捨て)のプラスチック容器を含んで、避けられない、しかし利益になる大量のプラスチックの使用を予想する産業動向を容認すること。
 2015年10月初め200以上の組織と指導者らが、報告書の結論を懸念してオーシャン・コンサーバンシーへの公開状に加わった(訳注2)。この書簡には、報告書に対する最初の技術的批判が添付されている。


訳注1
 オーシャン・コンサーバンシーの 報告書(pdf 版)43ページによれば、運営委員会は、オーシャン・コンサーバンシー、マッキンゼー・センター、米国化学工業協会 (ACC)、コカコーラ、世界自然保護基金、ダウケミカル、及び REDISA (南アフリカ)のメンバーからなり、米国国務省はテクニカルアドバイザーの一員としてリストされています。

訳注2  当研究会もこの報告書に賛同して署名に加わっています。(Citizens Against Chemicals Pollution (CACP))


Pete Myers さんの Face Book
https://www.facebook.com/jpmyers1/posts/10206922156346953
 Pete Myers さん(Environmental Health Sciences の創設者でありCEO)のフェイスブック でこの問題を取り上げているので、以下に紹介します。


 オーシャン・コンサーバンシーが海洋のプラスチック廃棄物を破壊するために廃棄物焼却炉の使用を大量に増やすことを提案している。

 それは非常に悪い考えである。解決の一環として提案されている焼却炉の使用は許容できない健康へのリスクを及ぼす。これについてGAIAのウェブサイトをごらんください。

 もっと悪いこと:海洋食物連鎖に対する最大の危険は、かき集めて焼却約することのできる大きなプラスチックによるものではない。微小プラスチック粒子は多くの汚染物質を吸着し、水柱(water column)中の濃度に比較して100万倍以上の濃度でそれらを濃縮する。微小プラスチックはより大きな粒子が徐々に分解してもできるが、特にマイクロ・ビーズに由来する(訳注3)。最近、科学者らはこれらのプラスチック・ビッズの800兆以上が毎日、アメリカの水系に放出されていると報告した(Environmental Science and Technology: http://pubs.acs.org/doi/pdfplus/10.1021/acs.est.5b03909)。これらの大半は下水汚泥中に溜まるが、下水汚泥は肥料として使用されるので、多くがしばしば環境に戻る。

 濾過摂食動物は汚染された微粒子を摂取し、食物連鎖の基礎に有毒粒子をもたらす。それらが食物連鎖の上位捕食者にまで至ると生物蓄積により汚染が進む。この問題を解決する唯一の方法は、プラスチックの製造と使用を削減することである。

 オーシャン・コンサーバンシーの報告書がこの方法を取り上げなかった理由は多分、ダウ・ケミカルと米国化学工業協会(ACC)がこのプロジェクトの運営委委員会にいたからであろう (オーシャン・コンサーバンシーの pdf 版 報告書の43頁を参照のこと)(訳注1)。ダウ・ケミカルと米国化学工業協会(ACC)はプラスチック産業の縮小ではなく、成長に巨大な利権を持っている。

Open Letter to Ocean Conservancy regarding deep concerns about the "Stemming the Tide" report


訳注3
Independent 日曜版 2014年5月18日 特集:小さなプラスチック時限爆弾 私たちの化粧品中の汚染物



化学物質問題市民研究会
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