CBC News 2017年1月28日
マイクロプラスチックが
スーパーマーケットの魚介類で見つかる

研究者らはこれが食品の安全に及ぼす影響について何か言うには早過ぎると言う
ブランディ・ウェイクル(CBC News)

情報源:CBC News, January 28, 2017
Microplastics found in supermarket fish, shellfish
Researchers say it's too soon to say what impact this has on food safety
By Brandie Weikle, CBC News
http://www.cbc.ca/news/technology/microplastics-fish-shellfish-1.3954947

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2017年2月3日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_17/
170128_CBC_Microplastics_found_in_supermarket_fish.html

 小さなプラスチック粒子がスーパーマーケットで売られている魚介類に入り込んでいることを新たな研究が見つけた。

 この発見は、海洋汚染を防止することに責任がある国連機関の国際海事機関(International Maritime Organization)のために作成された報告書の一部である。

   これらの微小プラスチック粒子がそれらを含む魚介類を食べる人間にどのような影響を及ぼすのかについてはまだ確立されていないと、その報告書は述べている。

 しかし研究者らは、マイクロプラスチックは多くの異なる発生源から水生生物の生息場所に入り込むことを知っていると、トロント大学生態学及び進化生物学の准教授チェルシー・ロックマンは述べている。

 これらは、我々の衣料品の合成織物に由来する小さな繊維片から、道路上で摩耗して排水溝から水路に流れ込む車のタイヤの小片まであると、彼女は言う。  それらはまた、大きいものからごく小さいものまで様々な海洋動物により摂取されるようにサイズに変動がある。

 ”それは海洋環境や淡水における食物連鎖のどのようなレベルにも入り込んでおり、従って現在、それらがまわりまわって我々の食卓に戻ってくる”とロックマンは言う。

関連情報:
 はらわたを取り出した魚であっても、魚が摂取したプラスチック片は除去できない。

 ”これらの物質は海洋生物に取り込まれ、内臓だけでなく組織内にも広がる”とダルハウジー大学にある国際海洋研究所(IOI)の上席研究員ピーター・ウェルズは言う。

 そして、それはプラスチック自身だけでなく、それに随伴する物質もあり、それが懸念であると、ウェルズは言う。

 マイクロプラスチックは、PCB類、農薬難燃剤、多くの種類のホルモンかく乱物質などの有機汚染物質を吸収し、又は運ぶと彼は言う。

 ウェルズは、最近まで世界の目は、明らかに裸眼で見ることのできる海洋中のもっと大きなプラスチック片に注がれていたと言う。
 ビールのシックスパックのプラスチック・リングが首に引っかかった海鳥の写真は見るものにプラスチック汚染を警告する一例である。

 ”科学者らがプランクトンや水サンプルを観察して初めて、顕微鏡なしでは見ることのできない多くのプラスチックが分解している様子を理解することができる”と、ウェルズは言う。

マイクロビーズだけではない

 我々の湖や海洋中の全てのマイクロプラスチックの中で、フェイシャルスクラブ(洗顔料)やハンドソープからの微小のスクラブ剤が世間では最もよく知られている。

  Federal government set to ban sale of toiletries containing microbeads in 2018

 マイクロビーズはカナダの食卓に現れたので、規制し監視することになるであろう。カナダでは、マイクロビーズを含む化粧品類の禁止は2018年に発効するであろう。

 しかしマイクロビーズは、マイクロプラスチックの主要な発生源ではないと彼女は言う。

 ”最大の発生源は恐らく、我々が海浜でゴミ拾いをする時に目にするもっと大きなプラスチックであり、それらが海に流れ込み、太陽光を受けて分解し、もっと小さなマイクロプラスチック片になる”。

 プラスチック袋、発泡スチロール、持ち帰り食品用の容器、プラスチック製ナイフやフォークについて考えていただきたいとロックマンは言う。

このことは食用の魚にとって何を意味するか?

 登録栄養士でありカナダ栄養士会の報道担当であるケイト・コモーは、消費者はこれらの発見の結果を急いで結論としない様警告した。

   ”それは重要なことではあるが、我々は人々が健康源である魚を食べなくなることを望まない”と、コモーは言う。

 魚は優れた蛋白源であると彼女は言う。”脂肪性の魚もまた我々がカナダでは多くはもっていない食材であるビタミンDの優れた栄養源である。魚はまた鉄分の優れた栄養源であり、オメガ3脂肪は我々の心臓の健康という観点から実に重要である”。

 ロックマンは、ディナーにとってマイクロプラスチックが何なのかをすぐ決める前にもっと多くの研究が必要であると強調している。

 我々が実際にすべきことはリスク評価である。マイクロプラスチックについてそれを実施した人はいない。


訳注:当研究会が紹介したマイクロビーズ又はプラスチック汚染に関連する情報



化学物質問題市民研究会
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