The Telegraph 2016年5月5日
イギリスは、プラスチック・マイクロビーズを
禁止することがあるかもしれないと環境政務次官が述べる

エミリー・ゴスデン

情報源:The Telegraph, 5 MAY 2016
UK could ban plastic microbeads, minister suggests
By Emily Gosden, energy editor
http://www.telegraph.co.uk/news/2016/05/05/
uk-could-ban-plastic-microbeads-minister-suggests/


訳:安間 武/化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年5月10日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/news/The_Telegraph_160505_UK_could_ban_plastic_microbeads.html


microbeads.jpg(8523 byte)
化粧品中で使用されているマイクロビーズは海に行き着き、海洋生物を害する Credit: Alamy
 イギリスは、環境に及ぼす脅威があるので、化粧品中のプラスチック・マイクロビーズを禁止することがあり得ると、環境政務次官が述べた。

 環境活動家らは、皮膚の古い角質を落とす洗顔料やボディスクラブ中で一般的に使用されているプラスチックの微粒子は、海にたどり着き、海洋生物を害するので、それらの禁止を求めている

 イギリスはすでに、欧州委員会に対してそれらの化粧品及び洗剤中での使用を禁止するよう求めているが、環境政務次官ローリー・スチュワートは、”もし我々が欧州連合の中で理事会の基本的な立場(common position)を得られなければ、我々イギリスが一方的に行動する可能性が開かれている”と議員らに述べた。

 彼は、議員らに対して、”マイクロビーズは生物分解せず、有害物質を随伴することができるので、それらが潜在的に深刻な脅威を及ぼすことは非常に明確である”と述べた。

 アメリカとカナダはすでにマイクロビーズを禁止する方向に動いているが(訳注1)、最近までのイギリス政府の反応は、化粧品会社がそれらの使用を廃止するという自主協定を取り付ける作業に注力することであった。

 しかし最近、イギリスの立場は強化されたように見え、先週明らかになったように、イギリスの一方的行動についてのスチュワート政務次官のコメントの後、イギリスは今ではヨーロッパ全土での禁止の要求を支持している。

 環境・食料・農村地域省(Defra)の報道官は、”我々はマイクロビーズに対して行動するときには、どのようなことも除外しない”ことを確認した。

 禁止の潜在的な価値についての疑問に対して、環境担当閣外大臣であるジョージ・ユースティスは先週、次のように述べた。”身体手入れ用品からのマイクロビーズは海洋環境に入り込んでくるマイクロプラスチックの総量の非常に小さなパーセント、推定0.01 パーセントから 4.1 パーセントしか占めていないと信じられている。したがってイギリスの禁止が及ぼすマイクロプラスチックに起因する環境への影響は小さいことが予測される。しかし、他のマイクロプラスチックと同じくマイクロビーズは生物分解せず、従って海洋環境中に蓄積する。また使用に適する有害性がもっと低い代替物質もある。Defra は産業による身体手入れ用品のマイクロビーズを廃止するという自主的行動を支持し、また欧州委員会が化粧品及び洗剤中でのそれらの使用を禁止する提案を策定することを求める他の EU 加盟国を支持する”。

 グリーンピース・イギリスの海洋キャンペーン活動家ルイス・エッジは、スチュワート次官のコメントについて”イギリス政府が公式にマイクロビーズの禁止があり得ると公式に述べたのを初めて聞いた”と述べた。

 ”これは素晴らしいことであり、そのような行動を要求してきた全国の数十万人の意見を反映するものである”と、彼女は述べた。

 しかし、禁止を要求してきた労働党の影の環境大臣であるケリー・マッカーシー議員は、スチュワート大臣の一方的なイギリスの行動に対する言及は単に自主的な計画を実施することを意味するだけであると示唆した。

 EU での禁止を推進している欧州議会議員(英・自由民主党)キャサリン・ビアーダーは、”この無意味なプラスチック廃棄物は我々の海洋環境に、そして潜在的には人間の健康に破壊的な影響を及ぼしている”と述べた。

 ”現状の産業側の約束は、彼らはいまだに毎年数千トンのマイクロプラスチックを化粧品から海洋に流すことを許しているのだから、明らかに不十分である。化粧品中のマイクロビーズを禁止することについて欧州全土での強い政治的な支持がある。イギリス政府はこの重要な問題に関して手本を示すべきである”。

  Defra の報道官は次のように述べた。”すでに、多くの会社が日用化粧品と肌の手入れ用品でのマイクロビーズの使用を止めており、我々は産業側と協力してそれらの使用の完全な廃止を推進している。もし EU 諸国が一緒に働けば、我々はもっとはるかに効果的に環境を保護し強化することができ、そのことが我々が、大切な海洋生物を保護し、ヨーロッパ全土で環境基準を高めるために、首脳会議を利用しながらマイクロビーズに対する EU 全土の強い行動のために推し進めている理由である”。



訳注1:米国、カナダのマイクロビーズ禁止
訳注:マイクロプラスチック/マイクロビーズ関連情報

化学物質問題市民研究会
トップページに戻る