2007年3月の映画  戻る


ブラッド・ダイヤモンド
2006年 米国 143分 ワーナー
監督 エドワード・ズウィック(「レジェンド・オブ・フォール」「昨日の夜は・・・」)
脚本 チャールズ・リーヴィット
撮影 エドゥアルド・セラ
キャスト レオナルド・ディカプリオ(ダニー・アーチャー)/ジャイモン・フンスー(ソロモン)/ジェニファー・コネリー(マディー)/ デヴィッド・ヘアウッド(悪魔・ポイズン大尉)/アーノルド・ヴォスルー(大佐「ハード・ターゲット」「ハムナプトラ」のイムホテップ)/マイケル・シーン(シモンズ・宝石商)/カギソ・クイパーズ(ソロモンの息子・ディア)
メモ 2007.3.31(土)晴れ 肥後橋リサイタルホール試写会
あらすじ
舞台は1990年代のアフリカ・シエラレオネ(共和国)。シエラレオネは象牙海岸(コートジボワール)よりも少し東に位置し、フリータウンという良い港を持った元イギリスの植民地。北海道と同じ面積ぐらいのこの国は、おさだまりのごとく政府軍と非政府軍が激しく戦っていた。ゲリラRUFは投票で字が書けないように住民の腕を切り落とし、武器購入のため頑強な男をさらってきては、ダイヤモンドの盗掘をしていた。そのさらわれて来た男がソロモン。ソロモンは親指の爪より大きなピンク・ダイヤモンドを見つけ地中に埋める。
そのソロモンのダイアに目をつけたのが嗅覚鋭い密輸商人のダニー(レオナルド・ディカプリオ)。ダニーは元白人支配の国・ローデシア(現ジンバブエ)出身で子供の頃両親を(おそらく黒人に)殺され、傭兵部隊に育てられたやさぐれ男だった。
ゲリラに拉致された息子・ディアを取り返す事を交換条件にソロモンはダニーと手を組む。
ダニー(ディカプリオ)は自分の父は救いにこれなかったが、息子救出に必死な父の姿(ここんとこ「ハードコアの夜」のジョージ・C・スコットと同じ)を見て少し変わっていく。
感想
ゴールデン・グローブ賞に「ディパーデット」とダブルノミネートされたものの、とれず、アカデミー主演男優賞は、「ラストキング・オブ・スコットランド」のフォレスト・ウィッテカーにさらわれた作品。
今はちょっと違うかも知れないけれど、さぼてんにとってトム・クルーズと織田裕二は同じ。俺様映画の主役だ。ブラピとキムタクも同じ。カリスマ性は大いにあるが何に出てもブラピでキムタク。それに対しレオナルド・ディカプリオは日本人俳優を思いつかない。目ぢからがあって、演技うまそうなんだな。独人と伊人のハーフ&ハーフなんか。もう少し切ない系が加味されればもっといいと思うし、コメディもうまそう。ラストの「ダニー!! 容赦しないぜー!!」に 「そうかよ。」とつぶやくのが、なかなかうまかった。
 
映画の感想と言えば・・・・重たい映画。 「ナイロビの蜂」よりもど派手でエンタメしているが、強者がよってたかってアフリカを喰い物にしている絶望的な状況は同じ。支配層のアフリカ人も金をかき集めて、ヨーロッパにとんずらしようと図っているらしい。工業用を除けば石油と違ってダイヤモンドは、単なるステータスシンボルに過ぎない。「女は見せびらかすために欲しがらなきゃいいんだよ。男は女の喜心をダイアで買おうとしなきゃいいんだよ。」って宣伝している。いまだかつて欲しがった事は無くダイア◆とは無縁やけど、ダイアだけとちゃうもんな。チョコレートもアフリカの子供達の涙(奴隷の労働)で出来ているって言われてるな。
おとな達のうずまく欲望の結果、小さな男の子が拉致され洗脳され心を壊され殺人マシーンへと変化(へんげ)させられる。ゲームボーイの代わりに機関銃を持たされるんだよ。次世代を担うはずの子達がだよ。今、だけではなく将来までも売ってしまっている。
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デジャヴ dejavu
2006年 127分
監督 トニー・スコット(「トップガン」「トゥルー・ロマンス」「スパイ・ゲーム」)
脚本 テリー・ロッシオ
製作 ジェリー・ブラッカイマー
キャスト デンゼル・ワシントン(ATFアルコール・煙草・火器局のダグ)/ポーラ・パットン(クレア)/バル・キルマー(FBI・プライズワーラ)/ジム・カヴィーゼル(「unknownアンノウン」)/アダム・ゴールドバーグ(デニー「プライベートライアン」)
メモ 2007.3.24(土)雨 ナビオTOHOプレックス
あらすじ
2006年2月28日、ところはニューオリンズ。2005年8月狂乱のハリケーン・カトリーナにより被災した地だ。全米最大のカーニバル”マルディグラ”を祝うために海軍の水兵と家族達がフェリー”スタンプ号”に乗り込み、ミシシッピー川を悠々と渡っていた。休日の楽しみ満載だ。その頃車両デッキでは突如ビーチ・ボーイズのメロディ♪が流れる。どこぞのカーステか?と従業員が探すと、一台の車から音が鳴っている。車内を覗くとその後部座席には何やら”配線がいっぱいの物”が置いてあるやないの。
感想
「なるほど」と思う一方、最後はちょっとばかしずっこいんじゃないかと思う(笑)。(ねたばれ) 本流と支流がそこで合流するわけ? ご都合主義だあ(ブラッカイマーだもんな) 支流が本流になるんじゃなかったのか。
思っていた映画と違った。タイトルと予告編にしてやられたな。
「ジェニーの肖像」(1947) 「幽霊と未亡人」(1947) 「ある日どこかで」(1980) と同じく亡くなってしまった人にフォーリンラブする物語。−543人の命より彼女ひとりの命がそんなに大事かっと何度も突っ込んだよ。まっそうかもしれんな。彼女の家でぐずぐずしてるんにもイライラ。「カウントダウンサスペンスとちゃうん?」と、脳内でわめく。結局時間が無くなってあせってその辺に車止めるから、犯人にばれてしもて。おいー。
カーチェイス場面は映画史に残ると思う。誰も真似できないそのアイデアが、良いなあ。
2度目というのは(以下ねたばれ)
ダグ(デンゼル・ワシントン)が送られるのが2度目なんだろうな。ペーパーを送った結果、車が必要になってクレアが狙われる事になったんやから。1度目はペーパーを送る。ダグも送られる。クレアが巻き込まれるというブレが起きる。救急車で突っ込む。そしてテロ防止失敗、やったんやろな。
バル・キルマー・・・・誰かと思った。「バル・キルマーの着ぐるみ」着てるのか? 太っちゃって。あぁバカタレ。
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ホリディ holiday
2006年 135分
監督・脚本 ナンシー・メイヤーズ(「恋愛適齢期」「プライベート・ベンジャミン」)
撮影 ディーン・カンディ
キャスト キャメロン・ディアス(アマンダ)/ジュード・ロウ(グラハム)/ケイト・ウィンスレット(アイリス)/ジャック・ブラック(マイルズ「スクール・オブ・ロック」)/イーライ・ウォラック(脚本家・アーサー「おしゃれ泥棒」「荒野の7人」「ゴッドファーザーPARTV」)/ルーファス・シーウェル(ジャスパー「ダーク・シティ」)/エドワード・バーンズ(アマンダの元カレ・イーサン「プライベート・ライアン」)/ダスティ・ホフマン
メモ 2007.3.15(木)曇り雨 大阪本町御堂会館・試写会
あらすじ
イギリス・ロンドンの新聞社に勤めるアイリス(ケイト・ウィンスレット)は元カレ(ジャスパー)が忘れられない。戻ってきてくれるかもと”みれん”を断ち切ってない。その時女たらしジャスパーと販売促進部の19歳の女が婚約を発表するという爆弾が破裂する。傷心のアイリスは泣きながらもけなげに、休暇をとって自分の人生を立て直そうとする。
その頃、アメリカ・ロサンジェルスには、ジェームズ・フランコ(「スパイダーマン」)主演映画の予告編を作る会社を経営しているお金持ちのアマンダ(キャメロン・ディアス)がいた。アマンダは浮気をした恋人(少し太ったエドワード・バーンズ「彼女は最高」のふたり)を豪邸から追い出す。
くさくさしているアイリスとアマンダはインターネットで知り合い”ホームエクスチェンジ”つまり家を2週間交換するという休暇を合意。
はるばるロサンジェルスにやってきたアイリスはマイルズ(ジャック・ブラック)と知り合う。彼は音楽屋でビデオ店では「炎のランナー」「風とともに去りぬ」「ジョーズ」「卒業」と名作映画を紹介しながら、その映画の名曲を口ずさむといういけてる男、最高の男・・・・のはずが尻軽の小女優にふりまわされている。 ジャック・プラックってとってもイー男なのになんでやねん! 性格のよい男ほど性悪にひっかかるのよ。  悪女って魅力あるんだ・・なんだって。純な乙女心のよさがわからんあほ。ここで出てくるのがバーバラ・スタンウィックなのである。ファム・ファタールの「深夜の告白」なんかな。
一方雪が積もるロンドン近郊にやってきたアマンダ(キャメロン・ディアス)が知りあったのはアイリスの兄のグラハム(ジュード・ロウ)であった。こんなイケメン男がロンドンにいるなんて。。。。しかも独身なんだって。。。。。たった2週間の休暇がうらめしい。
感想
アイリスはビバリーヒルズのご近所に住んでいるじっちゃンと知り合うの。このジジは元脚本家のアーサーで、92歳なんだって。とってもダンディさんで「男と女が洋品店でパジャマの上下をそれぞれ買うねん」という男女の出会いの映画の話をするの。これってゲーリー・クーパーの「青髭八人目の妻」かな。もしかしたらひょっとしたらこの試写会場でこの映画がわかったのはさぼてんだけかも?  うひひひひ。年の功やねぇ その後も、モノクロ映画の画面が一瞬でて「ケーリー・グラントかな?」って思っていたらケイト・ウィンスレットが「アイリーン・ダンって最高!」と言うねん。という事はあの映画は「新婚道中記」かもしれん。
という風に密かに古い、化石の、古風なシネフィルのハートを揺さぶる映画やったん。もりもり「映画をみたい」という元気が出たん! まだ見ぬスクリューボール・コメディが見たい! みなくちゃみなくちゃ。
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シルバー・ギャング お達者コメディ GOING IN STYLE
1980年ヴェネチア国際映画祭 イタリア批評家賞(男優)
1979年 英国 101分
監督・脚本  マーティン・ブレスト(「ビバリーヒルズ・コップ」 「ミッドナイト・ラン」 「ジョー・ブラックをよろしく」 「 セント・オブ・ウーマン/夢の香り」 )
キャスト ジョージ・バーンズ(ジョー)/アート・カーニー(アル)/リー・ストラスバーグ(ウィリー)/チャールズ・ハラハン(ピート「遊星からの物体X」のくるくる頭の人)/パメラ・ペイトン=ライト(キャシー)
メモ 2007.3.4(日)晴れ シネフィル・イマジカ
あらすじ
ジョー、アル、ウィリーのジイジ3人組は、毎日公園にやってきてはベンチに腰掛け新聞を読んだりハトにエサをやったりで一日を過ごす。退屈だ。ため息もれそう。今日はチビに宇宙人を見るような目で見つめられた。一晩じっくり考え翌朝ジョーはふたりに提案する。「今日も公園で一日なにもせず、バカなガキを見ていたらおれは気が狂う。どうだ おれと一緒に強盗をやらないか?
ばれて捕まっても3年くらいのムショ暮らしだし、その間に年金も貯まる。どうせ失うもんなんかなーんもないんやから。いてもいなくてもいい存在なんやから。
強盗もおもろそうかもと、リーダでチエ者のジョーに身をまかす後のふたり。アルは甥のピートの家から銃を黙って借りてくる。鼻めがねで変装していざ銀行へ”覚束ない足取りでよぼよぼと”突入。めがねのつるが折れたウィリーは道につるを捨ててふたりに続く。(し、指紋がぁ・・・)
まんまと札束をせしめ、待たせておいたもぐりのタクシーで最寄の地下鉄駅で降りる。鞄を紙袋に変え家に帰ってきた。勘定すると金は3万5555ドルあった! 老いぼれ3人組には侮れない潜在能力があったのである・・・。強盗に向いているかも。くせになったりしてー。
 
 
−−ねたばれあり−−
金をピートの家に隠し公園でくつろぐ3人。ところがここにきて異変が起きる。
ウィリーの様子がおかしい・・・・緊張と興奮でウィリーの心臓は限界を超えた。ハートアタックでご昇天。
ウィリーの葬式でジョーとアルは甥っ子ピートに「ウィリーの遺産の1万5000ドルはお前にやる。ガソリンスタンドの頭金にしろ」と持ちかける。老人の贅沢は週に20ドルで十分だと言うのだ。
ウィリーが死んで落ち込むアルを元気づけようと残りの金を持ってラスベガスに繰り出す。飛行機に乗るのは初めてだ。散財するつもりがサイコロ賭博で勝って勝って勝って6万ドル以上の大金を手にするふたり。「勝ちすぎてマフィアかFBIに目を付けられるー」と一泊もせずニューヨークにとんぼ帰り。家に帰って「疲れたな」と眠り込んだアルは起きてこなかった・・・・。ふたり目のゲームオーバー。ラジヲでは「マンハッタンの銀行強盗は70代の老人3人組。警察は有力な情報を掴み・・・」と言っている。
最後の時が近づいていると感じたジョーは、ピートに事情を打ち明け「金はお前にやる」 「貸し金庫に金を隠せ」と全ての現金をゆだねる。
そしてアルの葬式の朝、ジョーは警察に捕まった。ガンとして金の在りかを吐かないジョー。警察もFBIもこの頑固ジジにお手上げ。刑務所に面会に来たピートにジョーは告げる。「どうせ世間も監獄と同じさ。心配するな。」 「それに、こんな所 脱獄してみせるさ(ニヤ)」
感想
「ミッドナイト・ラン」のマーティン・ブレスト監督、29歳の時の作品。じっちゃんたちが洒脱、とっても粋。つぼにはまった(笑) 「スペース カウボーイ」「マイアミ・ガイズ−俺たちはギャングだ」系の作品。
ジョーがまったく後悔しないところがとてもいい。一度の人生を二度も三度も生きるん。それと行動がすばやい所がいいな。考えたら即決行動。アレコレ迷わない。サバサバしてこわいものは何もないのだ。見習わなくちゃ。ジョーというじっちゃんはとっても賢く気骨がある。脳みそに不安のあるさぼてんはかくありたいものだ。アルじいは優しい。ふたりにくっついているウィリーだが、鼻めがねを買う時に「子供達が喜ぶな」とさりげなく偽装する。3人三様でキャラがはっきりしていて楽しい。