2002年9月の映画  戻る


マイアミ・ガイズ−俺たちはギャングだ− The Crew


2000年 米国 97分
監督 マイケル・ディナー
脚本 バリー・ファナロ
出演 リチャード・ドレイファス(ボビー・俺)/バート・レイノルズ(ジョーイ・バット)/ダン・ヘダヤ(マイク・ブリック)/シーモア・カッセル(トニー・マウス「イン・ザ・スープ 夢の降る街」のジョー)/キャリー・アン・モス(オリビア・ニール「マトリックス」)/ジェニファー・ティリー(フェリス)/レイニー・カザン(ローエンステイン夫人/ペッパー
「ビッグ・ヒット」)/ジェレミー・ビーヴン
メモ 2002.9.23 レンタルビデオ
あらすじ
すぐに手のでる短気なバット・ジョーイ(バート・レイノルズ)、ちょっととろいブリック・マイク(ダン・ヘダヤ)、無口なトニー・マウス(シーモア・カッセル)、そして俺ボビー(リチャード・ドレイファス)の4人は幼なじみなんだ。子供の頃からギャングに憧れドリームカムズトゥルー(夢がかない)シマのニュージャージーではブイブイいわしこんな日々が永遠に続くと思っていた。それなのに30年たち俺達は今マイアミに埋もれている。俺ボビーはバスの運転手、今も無口で女にもてるマウスは時間いくらで熟熟女のダンスのお相手、バットはバーガー・キングで客や店長とトラブり、ブリックは趣味を活かして遺体に死化粧というしょぼいカタギになっている。まさかこんな日がくるなんて思いもしなかった。しかも引退老人の街だったフロリダは近頃金持ちの若者が押し寄せ家賃が高騰している。このままでは若いやつらにアパートを占拠され追い出されてしまいそう。一計を案じた俺達は大胆な行動にでた。それがまんまと当たって家賃は半分になり、俺達は昔を思い出したんだ。あの頃はかっこよかったよなあ。それでばっちり決めて教会のビンゴゲームに乗り込んだらブリックがビンゴ! イケテイル熟女を乗せてオプン・カーでハイウェーをすっとばす俺達。ああ、若い頃と同じだあーーー。ただトイレ休憩は多くなったが。
感想
役柄と同じくリチャード・ドレイファスはひとり色々心配して仕切ってみんなをまとめて演技してなんとか映画の形を整え、残りのバート・レイノルズ、ダン・ヘダヤ、シーモア・カッセルのお三人と言えばそのまんま地の持ち味を生かした役柄をすきかって自由に披露してはりました。

バット・ジョーイ(バート・レイノルズ)は後先考えられない頭ピーマンの直情型で「ボコッ」とノックアウトされちゃ「ピカッ!」と名案がうまれるアイデアマン。 ブリック・マイク(ダン・ヘダヤ)は事の半分もわかっちゃいないあったかい頭で、ハートもあたたかい。昔の敵味方分け隔てなくクリスマスカードを交換しあっている。ボコボコにやっつけたミッキーとも今じゃ文通仲間。 トニー・マウス(シーモア・カッセル)は子供の頃から無口だと思っていた所が、女とセックスした後は金棒引きババアよりもしゃべりまくるってのが今回初めて明かされる。それはダチ3人共長い付き合いながら知らなかった事であった。<ここよくできていた。そら知らんわな。

昔エリート今ロートル「スペース カウボーイ」の二番煎じ(「地上はまかせろ」)で映画は売り出していたけれど、これ前半は「スペース・カウボーイ」に勝っている。コメディ大好き。
おすすめ度★★★1/2
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恐怖の火星探検 It! The Terror From Beyond Space


1958年 米国 70分 白黒
監督 ジーン・L・カーン
脚本 ジェローム・ビクスビー
音楽 ポール・ソーテル/バート・シェフター
出演 マーシャル・トンプソン(エド・カラザース)/シャーリー・パターソン(アン)/キム・スポルティング(バン・フーゼン)/レイ・(クラッシュ)・コリガン(It)
メモ 2002.9.23 WOWOW録画
あらすじ+感想
  三本指の火星人         アップ
1973年1月火星探査船チャレンジ141は火星着陸後10人のクルーとともに音信不通となった。半年後チャレンジ142がやっと救出に駆けつけると生き残っていたのは船長のエド・カラザースただひとり。エド・カラザースは人類で初めて宇宙へ行った米国の英雄だった(1958年制作の映画なもんでユーリ・ガガーリンちゃうんです)。エド・カラザース大佐が言うには「火星着陸で船は大破した。船外で探索していたら砂嵐に襲われ、引き返す途中に探査車からひとりまたひとりと部下が消えていった。船に辿り着いたのは自分だけ」。しかし誰も耳を貸そうとしない。「未知の怪物? 食べ物を独占しようとお前がみんなを殺したんちゃうんかい。」と地球に帰れば軍法会議が待っている。

エド・カラザースを入れて10人は火星を出発する。しかし、閉め忘れていた非常用エアロックから火星人が船内に入り込んでいたのだ。クルーのひとりカインホルツが行方不明になる。エアダクトから見つかった彼の体を調べると血液や分泌液など体中の水分がゼロの急激な脱水症状で昇天していた。火星には水や酸素がほとんどないので人間を襲って補給しているんだろうとか・・・(今までどうしていたんや・・・・)。手榴弾、毒ガス、感電と色々ためすが歯が立たない。しまいには原子炉室にいる火星人に対し原子炉を開けて放射能をあびせても殺せない。そこでエド・カラザースが各階の空気が異常な速さで減っているのにきづく。「火星人は呼吸量が多い(・・・火星でどうしていたんや・・・)」から宇宙船を真空にしよう。みんなは宇宙服を着て、エアロックを開く。真空の宇宙に空気が吸い出され、火星人は酸欠でガクッ。4人やられて6人生き残ります。おしまい。

「エイリアン」が似ているといわれる、
和気あいあいの食事風景  エアダクトでの追跡

「エイリアン」の原作とされる映画の一つ。「あなたの知らない怪獣○秘大百科(映画秘宝)」にウエイン町山という方が「エイリアンのルーツはこれだ」と書かれています。いっぱいあるんです。小説では「宇宙船ビーグル号の冒険(A・E・ヴァン・ヴォグト)」、「宇宙の戦士(ロバート・A・ハインライン)<機動戦士ガンダムの元ネタ 映画化作品は
「スターシップ・トゥルーパーズ」、 映画では本作「恐怖の火星探検」 「X星から来た吸血獣(1958年)」 「バンパイアの惑星(1965年)<さぼてんノートで近日公開、乞うご期待!」 「血の女王(1966年)<デニス・ホッパーが出演」 「アンドロメダ・・・(1971年)」 「ダーク・スター(1974年)<「エイリアン」の脚本家ダン・オバノンの自主映画」。 吸血鬼物が多いですね。「エイリアン」でもノストロモ号はドラキュラ城を、救命艇ナルキッソスはドラキュラの棺をモチーフにデザインされているとか。ほんまでしょか?

昔の映画ですから全体にちんたらしています。密室物なのでハワード・ホークス版「遊星からの物体X」に少し似ています。でも「物体X」の様にエイリアンがかわいそうという事はありません。こっそり地球に来た方が食べ物いっぱいあったのに、後先考えずただただ乱暴な輩なんです。「It」の着グルミ俳優さんはB級西部劇スターでもあったレイ・(クラッシュ)・コリガンという方だそうです。
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ヘンリー八世の私生活 The Private Life of Henry VIII

1933年 英 91分
監督 アレクサンダー・コルダ
脚本 ラホス・ビロ/アーサー・ウィンペリス
出演 チャールズ・ロートン(ヘンリー八世/第六回アカデミー賞男優賞)/ロバート・ドーナット(トーマス・カルペッパー
「幽霊西へ行く」 「三十九夜」 「チップス先生さようなら」)/ビニー・バーンズ/マール・オベロン(アン・ブリン(「この三人」「淑女超特急」「謎の下宿人」)/エルザ・ランチェスター(アン・クレープ「フランケンシュタインの花嫁」
メモ 2002.9.16 レンタルビデオ
あらすじ
ヘンリー八世はあの「エリザベス」のパパ。アンという名の女性と2回、キャサリンという名前の女性と3回、ジェーンという名の女の人と1回、計6回結婚した16世紀のイングランド国王。その内5人の妻との別れとはひとりは死別、ふたりは処刑、ふたりは離婚という醜聞(スキャンダル)を繰り広げヨーロッパ中にワイドショーを提供したお人。

お話は二人目の妻アン・ブリンの断首から始まる。このお方はエリザベスの母。アン・ブリンと結婚する時には歴史的なすったもんだがあったんですワ。最初の妻は兄アーサーの寡婦おさがりキャサリン・オヴ・アラゴン。スペイン(イスパニア)の王女で父ヘンリー七世の命でしかたなく結婚させられる。そやけど、後のブラッディ・メアリーしか産めなかったし、アン・ブリンが控えていたもんであっさり離縁。。。。したかった所がローマ教皇が離婚に首を縦に振らない。でもってヘンリー八世はローマ教皇と決別し英国国教会を設立してしまう(映画「わが命つきるとも」のトマス・モア)。侍女のアン・ブリンと結婚したかったから(どうもできちゃった婚だったらしい)それだけの理由で。しかし略奪婚の後はまた略奪されるのが世のならいって訳で、アン・ブリンも女の子しか産めないし飽きられ若い侍女のジェーン・シーモアに王のお手がついたもんで「不義密通」を理由に34才で断頭台の露と消える。このアン・ブリン役がマール・オベロン。気性が激しそうな黒髪の凛とした女性として描かれている。

こう書いているとわがまま男がしたい放題みたいで実際そうなんですけれど、庶民の生活とか厨房の様子とかがユーモラス。処刑を見て「王妃として立派な死に方だった」とか「衣装が神々しかったわ」とか泣きながらも庶民はこのイベントをお楽しみのご様子。チャールズ・ロートンが巨体で酒飲みその上女好きだが憎めないヘンリー八世がはまり役って事もあいまって面白い。お話は続き、若くて頭が軽い3番目の妻ジェーン・シーモアは王に最初で最後の王子(後のエドワード六世 15才で夭折)を授け天国に行ってしまう。このお人が一緒のお墓に入ってはるらしいです。

ひとりは離婚、ひとりは処刑、ひとりは死別、ワシなんか結婚運ないねん、もうこりごりやねんと思っているヘンリー八世だがクロムウエルを初めとした側近が許さない。「再婚しろ、子をつくれ。後4人ぐらい」とヘンリー八世に「わしは王か?種牛か?」と言わせるうるささ。そこで4番目の妻として選ばれたのはドイツのクレープ公爵家のアン・オブ・クレープ。ところがこのアンは、冗談じゃないわ、あの噂のヘンリー八世なんかと結婚したら自分も哀れな末期が待っているかもしれへんし王の側近のペイネルとも懇ろになってるしでまったく気が進まない。だいたいドイツとフランスの戦争を止めるための政略結婚やし。ヘンリー八世に気に入られないよう気に入られないようぶさいくな顔まで練習してあれこれ画策するアン。ヘンリー八世もエセ酔っぱらいの不細工なアンがまったくお気に召さない。「結婚していただかないと、ヨーロッパ中を敵にまわしますぞ」とクロムウェルに脅され、初夜に挑む時には「これもイギリスのためだ」と悲愴な決意。ベットでかまととぶるアンに「・・・・・母君から聞いていないか?」 「実はだな・・・スグリの木の下では子供はみつからんのだ。」と性教育まで始める。このアン役の女優さん「あーっ「フランケンシュタインの花嫁」やん」と思ったら、エルザ・ランチェスターって方でチャールズ・ロートンの奥さんだったらしいです。びっくりしました。夫婦共演作だったらしい。気分が乗らないし、じゃあ何して夜を過ごそうか、カードでもとよっぴいてのカード博打が始まる。が、アンにぼろ負けしイングランドが取られるかもと心配したのかヘンリー八世は「お互い政略結婚やしー」とアンの譲歩案を受ける。という訳で領地とお金で4人目の妻とは円満離婚成立。このアンとのエピソードが一番コミカル。

5番目の妻はまたもやお手のついた侍女キャサリン・ハワード。嘘か誠か老いてきたヘンリー八世が「ああ、やっと暖かい家庭がわしにもできた。」と喜んでいた妻だったもんの、キャサリンは側近トーマス・カルペッパーとの中がバレてしまい泣く泣く断頭台に送る。

6番目に「もうキャサリンはこりごり」と言ってたんやけど世話好きのキャサリン・パーを娶り「食べ過ぎよ。夜中にぽんぽん痛くなっても知りませんよ。」と子供のように口うるさく言われながら「The best wife is worst(wife).」(最良の妻は悪妻じゃ)とちゃめ言って映画はジ・エンド。あー面白かった。
おすすめ度★★★★★
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DRIVE


2001年 日本 102分 カラー IMJエンタテインメント ツインズジャパン
監督・脚本 SUBU(
「ポストマン・ブルース」 「アンラッキー・モンキー」  「MONDAY」
スタッフ いっぱい
出演 堤真一(朝倉健一/朝倉健四郎)/筧利夫(ミッキー)/大杉蓮(西五郎)/安藤政信(児玉誠)/寺島進(荒井定運)/柴崎コウ(坂井スミレ)/根岸季衣(叔母の朝倉日出子)/松雪泰子(パンクロッカー・ミカ)/津田寛治(同・アキラ)/麿赤兒(小張次郎左衛門)/田口トモロヲ(岸田十蔵)/松尾スズキ/ジョビジョバ
メモ 2002.9.15 テアトル梅田
あらすじ
製薬会社の営業マン朝倉健一はひつこい頭痛に悩まされている。恐らく緊張型頭痛だろうと医者に診断されるが実は違ったのだ。
感想
内容を知らずに見た方が絶対オモシロイ。過剰な期待も禁物。女性の使い方がヘタな監督さんですから柴崎コウへの期待も薄い目に。以下の感想は読まれない事をお薦めします。


緊張と緩和、そして尋常ではないユーモアセンスがええの。波長が合うんやと思う。 今回のメインテーマは”縁(えん)”。それはこの世の人のみならず異界の人々をもたぐり寄せるねん。。。ほれあんたの後ろにかて・・・。

この映画のサイコーのセリフは、エキセントリックな叔母日出子(根岸季衣)が放つ
   「この子がサイコバスなら、あたしはキャリーよおおおお!」
   まったく訳わからへん。少なくともキャリーママ(パイパー・ローリー)のほうよーー。

額に血管浮き上がらせてカミナリのように絶唱する定運(寺島進)も見物。そやけど、真っ暗な草っぱらでミッキー(筧)が「か、か、介錯を」と鬼気迫られる恐怖の時間は名シーンやと思う。

キャッチコピーは
  「名前も知らないカノジョ、
       飛ばせないサラリーマン、
           まとまりのない銀行強盗、
               成仏できないご先祖様・・・            止まらない妄想。
お気に入り度★★★★★
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巨大アメーバの惑星 The Angry Red Planet


1959年 米国 84分 カラー
監督・脚本 イブ・メルキオー
脚本 シドニー・ピンク
撮影 スタンリー・コルテス
音楽 ポール・ダンラップ
出演 ジェラルド・モーア/レス・トレメイン/ノーラ・ヘイドン
メモ 2002.9.14 WOWOW録画
あらすじ+感想
「巨大アメーバの惑星」って邦題、もし火星の人が聞いたら気ぃわるするんちゃうかなあ。地球人が争いを繰り返すバカであほでまぬけな野蛮人やらから巨大アメーバをけしかけて「もうくんな!」と警告したのに、言うに事かいて美しい「赤い惑星」を「巨大アメーバの惑星」やなんて。きっと怒ってはるやろなと思うとおかしい

お話はまずアメリカが火星探査ロケットMR−1を飛ばす事からはじまる。クルーは4人。米軍飛行士のトム・オバニオン大佐、生物学者のアイリス・ライアン博士、ロケットの設計者セオドア・ゲッテル教授、電子工学の専門家サム・ジェイコブス空曹長の女ひとりに男が三人。もめるやろなと思う所やけど、そうゆうややこしい事はなくてこの4人は仲良く狭い船内で退屈な日々を過ごす。この映画で描きたいのは人ではなくモンスターだという事がここでわかる。

順調な飛行のはずが47日目、火星着陸目前にMR−1は消息を絶つ。墜落したんやろと思われていた所が61日後、地球上空140万キロのかなたで漂流しているのが発見された。交信しても返事がないもんで地上からの誘導でネバダ基地に着陸させる。乗員全員絶望視されていたのに、飛行士のトムと学者のアイリスは生きていた。まあお約束どおりお互い憎からず思っていた男女(結構トウはたっている)が生き残ったん。ところがトムは右手に緑色の腫瘍ができていて命が危ない。あれはいったいなんだとアイリスに問うんやけど、ショックで記憶喪失に陥っている。原因わからへんかったら治療のしようもない。しゃーないしアイリスのたっての希望で自白剤(だぜ、ありゃ)を注入。アイリスは地球を飛び立った日からの記憶を再生し始める。アイリスの話は・・

  クモネズミ           三つ目の火星人        巨大アメーバ

火星の真っ赤な地表には植物は生えているが動く物はいない。しかしその静けさにゲッテル教授は不穏な物を感じた。。。。
それからはでっかい食虫植物にアイリスが喰われかけたり、珍しい植物を標本採集しようとナイフで切り落としたら、巨大なクモネズミの足のトゲトゲやったもんやから、いかに平和的でおとなしいクモネズミでも(いやよく知りませんが)怒りクルーを追いかけたらサムがクレオっていう銃で目を撃つんですー。イタイイタイと逃げるクモネズミ。かわいそうヤンかあ。あんまりやで。
クルーの方もこんなはかなんと離陸しようとしたらそれが出来ない。何かに釘付けされている。クモネズミを苛めたお仕置きがまだだったってわけ。そやねんけど火星人はあらわれへん。敵がでてけーへんねんやったらこっちから乗り込もうとみごとに罠にはまりに湖にボートを浮かべたら、湖に巨大都市があるのを見つけるねんね。ところがそこには守護神がいたわけ。やっとご登場の巨大アメーバーが水しぶきをあげてクルーを追いかける。ほうほうのていでロケットまでたどりつくんやけど、アイリスがこけてしもて時間くっている内に、サムがアメーバに喰われちゃう。これもまたかわいそうやねんよ。

ロケットはアメーバに被われて、酸で溶かされるのも時間の問題! 何かアメーバに弱点はないのかっ!って所でアイリスが学生の頃アメーバ苛めをした時の事を思い出す。そうやん、電気で死ぬんやん。ロケットの外側だけ電気を流してアメーバをやっつけるもんの、心労からかはたまた元々ペースメーカをしていたのかゲッテル博士までも心臓がとまっちゃう。そこへ三つ目の火星人がやってきてなんかしゃべりはるんやけど、アイリスは聞いちゃいない。なんでかいうたらその異形がショックで気を失ったから。三つ目は嫌いやねんて。

アイリスが目覚めたらトムはアメーバが右手に取り憑いて高熱を出して寝込んでいる。そこで女はしぶといねんね。頑張って地球までメッセージを持って帰ってきた。めでたしめでたし。

・・・・・・サムはどうなったかって? サムはねぇ死なない程度の弱〜い電気を右手に流して嫌がらせして、アメーバさんには隣のもっとおいしそうなエサに平和的に引っ越ししてもらうんですワ。J.P.ホーガンの「時間泥棒」のミニュチュア版(あっ、ネタバラシを。でもたぶんここまで読んでいる人はいないと思うので好き勝手させてもらいます。書き捨てご免っ!)。

BSファンによると、奇才メルキオーが9日間で撮った初監督作品だそうです。ソビエト映画の
「火を噴く惑星 PLANETA BURG (ソビエト1962)」を思い出しぃで気に入りました、この作品。
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SFソードキル SWORDKILL/GHOST WARRIOR(武士)

1986年度パリ国際ファンタスティック映画祭批評家賞

1984年 米国 86分 エンパイア・ピクチャーズ
製作 チャールズ・バンド
監督 ラリー・キャロル
脚本 ティム・カーネン
撮影 マック・アールバーグ
音楽 リチャード・バンド
出演 藤岡弘(タガ・ヨシミツ)/ジャネット・ジュリアン(クリス)/チャールズ・ランプキン
メモ 2002.9.10 レンタルビデオ
あらすじ+感想
時は1552年戦国時代の日本、雪深い山中でひとりの武士がとらわれの身の美しい女人(にょにん)を奪い返そうとしている。が、敵に情けをかけたばかりに矢に射られ、無念のまま氷のはった湖に落ちた。それから長い長い年月がたつ。。。。
時は現代に移り雪山の洞穴を探検していた男女が凍りついた武士を発見する。どういうコネからかカチンカチンの武士はアメリカニューヨークに運ばれた。そして研究所でダメ元の蘇生実験が行われる。極秘の人体実験のはずが何故かネタをあさっていた探していたブロンドの美人記者クリスが立ち会う。驚いたことにこの頑強なおのこは甦る。400年の時を経て。

映画自体はペラペラなん。タガヨシミツが目覚めた時に日本語をしゃべれる人間は誰もおらん。映画を観ている人の99%は「通訳ぐらい用意しとけよー。何がしたかってんー」とつっこむはず。記者のクリスが絵合わせでヨシミツの知能を測ろうとするんやけど、ヨシミツはカードを裏返しのまま全てを合わせてしまう。「武士は超能力者か、仙人か」ってな持ち上げすぎやんかあというつっこみが入る。街でオールドマンを襲っていたクズチンピラを切り捨て警察から追われているヨシミツを匿っている骨董屋のおじちゃんがヨシミツとクリスを残してとことこ出かけるねん。この非常時に何しにいくんかなあと思っていたら、袋いっぱい食料品を買い込んで帰って来るん。遠来のお客をもてなそうという優しい心なんー。そやねんけど、「そんな事悠長にしてる場合かあああー」というつっこみがここでも入る。

しかしそのペラペラさが日本古来の武士の姿を引き立てているのだ。さぼてんはそう思う。「そのお方はもはや私達ではありません」と思いながらもこの美化された姿に日本人のさぼてんは嬉しいゾ。「武士道というは、死ぬことと見つけたり」(葉隠)の美学。アメリカのどなたさんがどういう意図で作られた映画なんかな。 太平洋戦争中、戦艦や空母に切り込んでくる特攻を見たアメリカさんは「オー!クレイジースプリット!」と思いカルチャーショックを受け、自分たちとは違う精神世界がこの世には存在する事を知ったんだな。今は忘れてはるみたいやけど。

タガヨシミツは見知らぬ地で目覚め、実はとっても戸惑っている。ヘリコプターが飛んでいるのを見たひにゃメン玉全開。が、そこは武士。そういう心の動揺は他人には見せない。寡黙に悠然と構えている。そこがかっこいいのだ。そやねんけど、ひとりになると好奇心いっぱいでちゃめなん。テレビで人がパッと消えたらびっくりして思わずひっくり返して裏を見たり、不思議な動物・車に石をちょっと投げて反応をみたり、車のタイヤをつんつんしたり。そこがかわいいのだ。そして「義を見てせざるは勇なきなり」なお人なのだ。男はこうでなくちゃ。

この話のラストは哀しい。「もはやこの世に拙者の居場所はない」と見切り、ちどり(クリス)を敵方と死から救い恩知らずの卑怯者を一刀両断にし思い残すことなく「生きかえりはせん。武士のさだめじゃ」と湖へ落ちてゆく(涙)。
お気に入り度ロマンチックな異色SF★★★★★
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