2001年10月の映画


ロック、ストック&フォー・ストールン・フーヴス

2000年 英国 88分
監督 シェリー・フォークソン
出演 スコット・マスレン/ダニエル・カルタジローン
メモ 2001.10.26 ビデオ
あらすじ
ベイコン、ムーン、ジェイミー、リーの四人はバーを経営するかたわらけちな儲け仕事にはなんでも手をつけていた。今日もうさんくさいオランダ人ふたりが持ち込んだとんでもビデオ300本を買い、ギリシャ人の盗品売買屋のネファリシスと、リーのおじきファイアー・バクに売る。ファイアー・バクのファイアーとはもろ火の事で気にくわないヤツを焼くのが趣味だ。関係者は誰も知らなかったが、そのとんでもビデオは、街一番のボス、マイアミ・バイスからオランダ人が盗んだ物だったのだ。バイスがこだわっているのは、ポルノビデオよりも大枚はたいた元ポルノ王の時計だった。
感想
新聞の新作ビデオ紹介に載っていた作品。最近どうもさぼてんに黙って面白いビデオが出てるような気がしてたら、、、やっぱり。
「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」と映画名が似ているでしょ。ガイ・リッチーが製作、脚本で参加しているそうです。「ロック」と「スナッチ」を混ぜたような話。TV映画らしいですが、軽〜いノリがいい。主役は↑の腕時計です。針が男根玉ふたつがカチカチと秒を刻むの。
お気に入り度★★★★
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狼たちの午後 DOG DAY AFTERNOON
  アカデミーオリジナル脚本賞

1975年 米国 125分
監督 シドニー・ルメット
原作 P・F・クルージ/トマス・ムーア
脚本 フランク・ピアソン
撮影 ビクター・J・ケンバー
出演 アル・パチーノ(ソニー)/ジョン・カザール(サル)/チャールズ・ダーニング(モレッティ)
メモ 2001.10.20 ビデオ
感想
なにゆえ今頃この映画を再見しているかと言うと、それには訳があるんです。そうか、ソニーが人質を殺さなかったのはカトリック教徒だったからか(ひとりで納得してすみません)。

煮詰まっていく密室物人質犯罪出口ナシ映画を、所々悲劇的に笑わせてガス抜きさせている。妻としては「夫が他の女と結婚式を挙げた」のと、「夫が男と結婚式を挙げた」のどちらがよりショックなんだろうか、などといらぬ事を考えさせてくれる。
ひとり芝居かのように熱く演じているアル・パチーノは、もちろん最高ですが、この映画で語りたいのは、ほとんどセリフはないながら強烈な印象を残すサルです。演じるジョン・カザールは「ディア・ハンター」撮影中にメリル・ストリープにみ取られ若くして癌で亡くなられたと以前教えていただきました。「ゴッドファーザー」 「盗聴 カンバゼーション」と本数は少ないながら70年代アメリカ映画を代表する俳優さんのひとりです。

シドニー・ルメット監督の事は語れません。昨夜深夜TVで放送していたルメット監督の「エクウス」(少年が愛馬の目を潰したのは何故か?の深層心理を探る映画とか)を録画し忘れ、ただいま滅入っております。
おすすめ度★★★★
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逃走特急 インターシティ・エクスプレス(独の高速鉄道の名前)
    ドイツ映画賞最優秀作品賞他

1998年 独 87分
監督・脚本 ペーター・リヒテフェルト
出演 ヨアヒム・クロル(ハンネス「愛され作戦」)/オウティ・マエンパー/ペーター・ローマイヤー(ファンク刑事)/カティ・オウティネン/カリ・ヴァーナネン
メモ 2001.10.18 ビデオ
感想
詐偽だと思う。
先日ベッド・ミドラーのコメディ「MONA(モナ)彼女が殺された理由」を見た所、そこに入っていた映画の予告編にそそられたんです。ナレーションは「独発サスペンス・ムービー。鉄道マニアが時刻表を駆使して警察から逃げる! 逃亡者と警察の頭脳プレイ!」 影像はと言えば、時刻表を前に考え込んでいる刑事。ちょっとさえない逃亡者は、駅構内を走って逃げている。ドイツで映画賞をとったとか。「まっ! こんな面白そうな映画がさぼてんに黙ってビデオ化されていたなんて。なんて事なの。」とすぐにレンタルして見たならば。。。。

三分の一程見た所でやっとわかる。この映画はミステリではなく、ロード・ムービー、いやレール・ムービーだと言う事に。影像に嘘はないんですよ。でも、刑事との追いつ追われつの頭脳ゲームってのは嘘。容疑者は「第1回時刻表国際競技大会」の出場のためにフィンランドのイナリっていうど田舎に向かっているのがわかっているんやから。イナリで待てばいい訳。なんやねん、スティーブン・セガールの映画のパチモンみたいなこの題名は。しかもアクションの棚にあるのだ。元々は 『ハンネス、列車の旅』 という平和な邦題だったらしい(怒)。詐偽だと思う。

しかし、アキ・カウリスマキ監督のファンは必見ですよ。この作品。カウリスマキ監督へのオマージュというだけあって、
「浮き雲」のカティ・オウティネンとカリ・ヴァーナネンもでられている。「人生、寄り道も大切やん。机の上で時刻表を眺めてるだけやったらもったいないやん。旅に出えへん? 」というテーマで、じんわり面白い。ばりばりエリートの刑事が時刻表の面白さにだんだん取り憑かれていく様がおかしい。この方、「キラーコンドーム」で見たペーター・ローマイヤーって方です。色っぽい秘書も「ラン・ローラ・ラン」ではローラの父親の愛人だった人ですね。

映画の一言。
  「最速の道が最上の道とは限らない。」

おすすめ度★★★1/2
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ザ・ミッション 鎗火(ガンファイア)
       第19回香港電影金像奨最優秀監督賞他
1999年 香港 81分
監督 ジョニー・トー
製作 ミルキーウェイ・イメージ
出演 フランシス・ン(ロイ)/アンソニー・ウォン(グァイ)/ロイ・チョン(マイク)/ジャッキー・ロイ(シン)/ラム・シュー(フェイ)/サイモン・ヤム(フランク)/エディ・コー(ブン)
メモ 2001.10.14 テアトル梅田
あらすじ
香港黒社会のボス、ブンが刺客に狙われた。お家の一大事だ。組織は足を洗った予備役の男達も含めて5人を選ぶ。一度でも足を踏み入れた人間は組織との絆が切れる事はない。5人のミッションはブンを守り、殺し屋を雇った人物を見つけだす事。
感想
評判いいのがわかる。81分間退屈する事がない。ガンファイトの映画ですが、西部劇というより5人はのよう。五感を総動員して相手の気配を待つ、待つ、待つ。そして、勝負時にはひるまず撃って撃って一歩も引かない。なんて、かっこいいんだ。 物量で圧倒する米国映画とはだいぶ違う。
5人それぞれ個性が強い。中でも元狙撃手の金髪のマイクが、「あたりは柔らかそう」ながらずばぬけてかっこいい。 狙って撃っている内にだんだん照準ってあってくるものなんでしょうか。
「殺し屋を雇ったのは誰か?」という監督さんの「観客への挑戦」には破れましたが、苦手分野で
「ドリフト」に続いて当たりの映画だったのが嬉しい。
おすすめ度★★★★
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ドラキュリア DRACULA2000

2000年 米国 98分
監督 パトリック・ルシエ
脚本 ジョエル・ソアソン
撮影 ピーター・パウ
美術 キャロル・スパイヤー
音楽 マルコ・デルトラーミ
衣装 デニース・クローネンバーグ
出演 ジェラード・バトラー(ドラキュラ)/クリストファー・プラマー(ヘルシング)/ジョニー・リー・ミラー/ジャスティーン・ワデル メモ 2001.10.13 パラダイス・シネマ
感想
誰が主役かよくわかんない映画だった。別に主役がバシッって決まっていなくてもいいんですが。はじめはヴァンパイアキラーのドクター・ヴァン・ヘルシングの子孫の話かと思っていたらどうも違ったみたい。次にヴァンパイアキラーを受け継いだ、
「ロンドン・ドッグス」のジョニー役だったジョニー・リー・ミラー扮する甥サイモンが主役かと思ったら、軽すぎて違うみたいで。米国に逃げているヘルシングの娘マリーが主役でもないみたい。結局ドラキュラが主役だったみたいなんですけれど、それにしてはあまりに描き方に深みがない。死にきれない哀愁がない。居直ったすごみがない。貴族の気品がない。ドラキュラ役のジェラード・バトラーって役者さんは端正なマスクがステキな方なんですけれど、ちょっとごっつくて美女3人にかしづかれているジゴロに見えてしまう。。マリーに焦がれ執着している様子は 「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」のノスフェラトゥの方が数段上。

ないないづくしで文句はあるんですが、この映画面白い所もあるんです。さぼてん読んでいないので不確かなんですがブラム・ストーカーの「ドラキュラ」を、現代に移してある意味忠実になぞっている所。でもって「魔人ドラキュラ」のパロディ映画みたいにも見えるんです。
「ドラキュラ2000」っていうお題だけの事はある。ドラキュラの棺桶を運ぶ帆船は現代では飛行機に変わっている。ドラキュラを運んできた人間がビョーキ扱いされる所は同じ。ドラキュラは鏡に写らないだけでなくカメラで捕らえた映像にも写らない。ドラキュラを活動させる事になった一因が昔は「妻に楽をさせてやりたい」という思いやりだったのが、現代ではもちろん「金」のため。ブラム・ストーカーが夢に見た3人の美女も再現されている。あの三人は加納三姉妹かと思いました。けばいんだ、これが。ドラキュラの心臓を射抜く銀の矢なんて、そんなもん今時あるんかいと思う所をヴァン・ヘルシングの子孫を骨董商って事にして納得させるの。「ドラキュラ」のモデルと言われるワラキア公国(ルーマニア)のヴラド・ツエペッシュ公の絵を、さりげなくくっきり写してあるのも楽しい。15世紀にオスマン・トルコの軍勢から国を守った串刺公として有名だそうです。そうやってアチコチちまちま工夫されている所を愉しむ映画だと思う。ああそういや、甥サイモンに対する「ただの骨董商やのになんで喧嘩ができるの?」という疑問も「昔ぐれてワルしてまして」って説明されていたな。

吸血鬼は、どこから来たのかいったい何者なのかというのに、新しい解釈がされていました。血まみれヴラド公の生まれ変わりでもなければ、風土病でもなく、密かに血族を増やそうという人間外生物の陰謀でもありませんでした。

と、書いていて思うんですけれど、さぼてん吸血鬼映画好きですね。もともと映画化作品も多いし。
このHPに載せてるのだけでも、「吸血鬼ノスフェラトゥ」 「魔人ドラキュラ」  「古城の妖鬼」 「吸血鬼ボボラカ」   「吸血鬼」 「ノスフェラトゥ」  「ボーデロ・オブ・ブラッド/血まみれの売春宿」 「ヴァンパイア/最期の聖戦」 「BLOOD THE LAST VAMPIRE」 「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」
結構多いな。血がさわぐ・・・・・のか?
一番好きなのはポランスキー監督の「吸血鬼」です。
おすすめ度★★★
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クィーン・コング QUEEN KONG
1976年 伊・英 85分 アルバトロス・フィルム配給
監督 フランク・アグラマ
撮影 イアン・ウィルソン
音楽 ペッパー
出演 ロビン・アスクイズ/ルーラ・レンスカ/ヴァレリー・レオン/ロジャー・ハモンド
メモ 2001.10.6 パラダイス・シネマ
あらすじ
えっと、マゾっけがあってあらゆる男優に逃げられた女性映画監督ルースは。「強くて優しくて従順な」主演男優を捜しているんです。ロンドンで見つけた「これこそ理想の男」レイを薬で眠らせてオール女性のロケ隊とともにアフリカに向かうんですね。着いた所はアフリカ・ウガンダ。ジャングルにはアマゾネスの国があって、そこにはみんなが神と崇めているクィーン・コングがいる訳。そこで、レイに一目惚れした体長20メートルのクィーン・コングはレイを拉致するんですけれど、反対に監督ルースに捕まってしまう。鎖で繋がれ見せ物となったクィーン・コングは嫉妬と哀しみから鎖をぶち破り、愛しいレイを探して彷徨いロンドン大空襲を再現してしまう。
さあ、最後はどうなるでしょう?
感想
わざわざ映画館まで見に行ったのが、はずかしい。
ハリウッドのプロデューサーがリメイク版「キング・コング」を作るために、他のコング作品の邪魔をして「日の目を見させない」と封印した作品だそうです。が、封印したのは他にも理由があったような気がする。「ドッキリボーイ窓ふき大作戦」という英国のコメディ・シリーズ物のひとつらしい。
なにしろ、、、、、たるい。 
「マーダー・ロック」と相通じる物がある。「吹き替えなあ」と思っていたのですが、広川太一郎氏と小原乃梨子氏の吹き替えで幾分救われているですよ!。

そこらの公園でロケしたんちゃうかという疑いを持ち、映画全編スカスカしてチープさが支配しておりますが、それでもクィーン・キングが現れてからはなかなかいい。くにゃくにゃしたティラノザウルスや、プテラノドンとの八百長プロレスがなんか笑える。ロンドンで愛しい彼氏を探して暴れるクィーン・コングが「R・レーガン」の映画を上映している映画館を壊したり、ヒッピー、ウーマンリブ、ラッパズボンという1970年代の風俗が見れて面白い。摩天楼のないロンドンで「N.Y.に負けじ」とクィーン・コングはビッグ・ベンによじ登るんです。
おすすめ度話のネタにはなると思う。という意味で長い人生の資産になる・・かも。
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続・激突! カージャック THE SUGERLAND EXPRESS

1973年 米国 110分
監督・原作 スティーブン・スピルバーグ
脚本 ハル・バーウッド/マシュー・ロビンス
撮影 ビルモス・ジグモンド
音楽 ジョン・ウィリアムズ
出演 ウィリアム・アザートン(クロビス)/ゴールデン・ホーン(ルー・ジーン)/ベン・ジョンソン(テキサスハイウェイパトロール・キャプテン・タナー)/マイケル・サックス
メモ 2001.10.1 ビデオ
感想
なにゆえ今頃この映画を再見しているかと言うと、それには訳があるんです。
1969年、テキサスで実際に起こった事件を映画化。前作「激突!」はTVムービーだったので、スピルバーグ監督の劇場映画デビュー作になるそうです。撮影は、以前ショーン・ペン監督作品「クロッシング・ガード」の時に教えてもらったヴィルモス・ジグモンド。「ディア・ハンター」「愛のメモリー」「ザ・リバー」「天国の門」の撮影監督です。破滅を予感している表情が秀逸なクロビス役はウィリアム・アザートン。よかったです。「ダイ・ハード」ではブルース・ウィリスの妻ボニー・ベデリアから一発くらうTVレポーター。「ダイ・ハード2」では同じくベデリアのスタンガンで腰砕けになる人。 そしてハイウェイ・パトロールのキャプテン・タナーがベン・ジョンソン。ワタクシちっとも知らなかったのですがこのカウボーイハットが似合うお方はサム・ペキンパー監督作品でお馴染みの俳優さんだそうです。「ゲッタウェイ」「ワイルドバンチ」などなど。

ストーリーはというと、25才のルー・ジーンは万引きの罪で服役後出所する。ところが赤ん坊が福祉局からシュガーランドに里子に出されていると知らされる。息子を奪い返すため、後4ヶ月で出所の夫クロビスを無理矢理脱獄させ、偶然捕まえたパトロール隊員を人質にパトカーで一路シュガーランドをめざすという話。そのふたりを追うパトーカーがどんどん増えていき、大名行列のように道路を走る。そこここの町ではふたりを一目見ようと見物人が待ちかまえ、「子供を必ず取り戻すのよ」と激励され差し入れをもらったりしたり。ふたりと人質ひとりは一躍時の人だ。

不思議な映画だった。広いテキサスの長い一本道をあがったりさがったりたくさんのパトカーが走る映像が印象的。大都会とは違う米国が見れたような気がする。退屈な日常を刺激的に変えてくれるふたりの犯罪者を熱烈に歓迎する町の人々。日本では考えられない。「悪いやつらを捕まえてやろうぜ。」と銃撃戦をおっぱじめる民間人。日本では考えられない。昔米国を「おおいなる田舎者」と揶揄する事が言われていましたが、良い意味でも悪い意味でもそういう所はあると思う。
「ソード・フィッシュ」でジョン・トラボルタがああ言うのもわかる。でも、この結末だからいいの。
おすすめ度★★★★
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