2000年1月の映画


海賊版=BOOTLEG FILM
1998年 日本 74分 1999年第52回カンヌ国際映画祭”ある視点”部門公式出品作品
監督・脚本 小林政広
音楽 高田渡「仕事さがし」「山道」
撮影 佐光朗
出演 柄本明(小松立夫)/椎名桔平(会田清司)/舞華(順子)/北村一輝(洋二)
メモ 2000.1.30 シネマアルゴ梅田
あらすじ
北海道の雪の積もった一本道を一台の車が走っている。乗っている男ふたりは葬式に行く途中だった。死んだ女はポリスの会田の元妻、ヤクザの小松の元愛人。「文子さんは俺の事を愛していた」、「いや俺の方だ」と車中言い合うふたり。ふたりの男は親友であり奇妙な三角関係は、女が死んだ後も続いている。
感想
 自分でもよくわからない。「御法度」「ナビィの恋」「I LOVE ペッカー」を置いてこの映画を見に行きたいのが何故かってのが。上映している映画館が家から近いから、絶対空いているからという以上に、やはりクライム・ムービーに惹かれるんだな。単純ですっきりしているし。
 ところが・・ところが・・「おもろうてやがて哀しき」という切ない映画だった。
「男っておかしな生き物だな」と思って見てたんです。前向きというか、おめでたいというか。こんな事書くとまたさぼてん男から「わかったような事を書く」と言われそう。この映画は反社会的な行動の連続なんやけれど、許してしまう。ハズカシながらも「おじさんの純愛」っていうのがいい。

ラストは「情婦マノン」みたい。未見なのでなんとも言えませんが(くやちい)。ファースト・シーンは何かな。「カリートの道」のようにも「殺人者たち」のようにも見えるけれど。もっと古いおフランスのフィルム・ノワールと言われる作品なのか。思いだせん、わからん。残念です。こういう風にこの作品は監督の映画への思いが映像化されていて、いいよ。
おすすめ度★★★★
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ギャングシティ GANG RELATED
1997年 米国 112分
監督 ジム・カウフ(「計画性のない殺人」の監督、「
「ラッシュアワー」「張り込み」「コン・エアー」の脚本)
出演 ジェームズ・ベルーシ/トゥバック・シャクール(「グリッドロック」)/ジェームズ・R・ジョーンズ/デニス・クエイド/レラ・ローコン/デビッド・ペイマー(弁護士 「レッサー・エヴィル」
メモ 2000.1.29 CSスターチャンネンル
あらすじ
ダヴンチ(ジェームズ・ベルーシ)とロドリゲス(トゥバック・シャクール)の刑事コンビは悪い奴らだった。ダヴンチは南の島で暮らす事を夢見て、ロドリゲスはギャンブルの借金のために警察から麻薬を持ち出し、麻薬密売人を引っかけては金を巻き上げていた。どんどんのめり込み悪いという感覚が麻痺してしまったのね。警察に保管されている重罪犯の拳銃で金を巻き上げた後は密売人を撃ち殺しもていた。コノ拳銃が後々「天網恢々疎にして漏らさず」の役割をはたすの。「金も手にはいるし、世の中のダニも成敗できるし一挙両得じゃん。」というふたりだったが、とうとう天罰が。殺した麻薬密売人が潜入捜査官だったのだ。FBIが乗り出してくる。こわい。青くなって捜査を担当するふたりは、犯人をでっち上げようと汗を垂らすが、ひっぱってくる悪がどいつもこいつもアリバイがあるんでやんの。とうとうホームレスのアル中ジョー(デニス・クエイドだよ!)に罪をかぶせる。アルコールで頭がパーになったジョーは罪を認め、刑事コンビがほっとしたのもつかの間、TVでジョーの姿を見て驚く男がふたりいた。ジョーは富豪の一族のひとりで7年前妻と子供を事故で亡くしてから失踪していたのだ(ここで主役が二組になってしまい、ハートフルなエピソードが入って話がバラバラしてくる)。ジョーを救わんと大物弁護士(ジェームズ・R・ジョーンズ)が乗り込んでくる(あいかわらずの存在感なんだけれども、それだけ)。ヤバイ。ホントにやばい。密売人を引っかけるのに使っていたストリッパーの女を隠さなければ。こいつに「ジョーが撃つのを見た」と証言させたのはまずかった。致命的。なんなら永遠に口を閉じさせてやろうか。でも、この女が心やさしくてジョーに同情しているの。女は街を抜け出し隠れるけれど、あっさり弁護士に見つかり有罪答弁と引き替えに証言するんだったな、確か。結末はこれでいいのか悪いのかわかりません。
感想
面白い話だと思うの。ふたりのつじつま合わせがどんどん別の方向に転がっていって、最後にはお定まり通り「お互いさえ信じられない」状況に陥っていくのが。結構ブラックなコメディタッチもあって。でも、もうひとつピリッとしない。もったいない。大物俳優使いすぎなのかなあ。ジェームズ・R・ジョーンズとデニス・クエイドがどう活かされているのかわからん。

この映画は、撮影の後撃たれて亡くなられたトゥバック・シャクールに捧げられていました。

おすすめ度★★★
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悪魔の人形 The Devil-Doll
1936年 米国 71分
監督 トッド・ブラウニング(「フリークス」
「古城の妖鬼」)
出演 ライオネル・バリモア/モーリン・オサリヴァン(「影なき男」
メモ 2000.1.26 CSシネフィル・イマジカ
あらすじ
仕事仲間に罠にはめられ罪をきせられ17年間服役している元銀行家のポール(ライオネル・バリモア)は、刑務所仲間のマセルとともに脱獄する。マセルはマッド・サイエティストで妻マリータと共に生物を小さくする実験を行っていた。人間を小さくすると資源の節約になると使命感に燃えているのだ。(人間が小さくなれば収穫する作物も小さい物しか育てられないんではなかろか。)実験の途中でマセルは確か心臓発作で死亡。しかし、ちょっととろい女中を小さくでき実験はみごとに成功。ポールは罠にはめた3人に復讐するため小型人間とマリータを連れパリに向かう。(パリで犯罪犯して米国の刑務所に入る・・・?) パリで人形の店を開いたふたり。ポールは人形を売るおばあさんに扮して復讐を始める。一人目は「男型もええなあ」と小型人間にする。二人目はおばあさんに扮したポールが小型人間をよくできた人形だと奥方に売りつけ深夜宝石を盗ませた後毒針で全身麻痺にする。三人目には脅迫状を送りつけ不安のあまり神経をやられた三人目は昔の罪を自白したのであった。
感想
小型人間が屋敷に忍び込み宝石を盗るシーンとか、テーブルの上の小型人間のダンス(↑)とか合成とは思えない見事な出来映えの映像。影に破綻がない。

シネフィル・イマジカのストーリー紹介はいつも簡潔にまとめられていて感心する。どなたが書かれているのでしょう。 今回は「内容以上に当時世間に受け入れられなかったブラウニング監督の怨念が感じられそれがこわい」とか書かれていました。脚本に「大いなる幻影」でドイツ軍将校役だったエリッヒ・フォン・シュトロハイムが参加されているそうです。
おすすめ度★★★1/2
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ミュラー探偵事務所
1986年 オーストラリア 95分
監督・脚本 ニキ・リスト
撮影 ハンス・ゼリコフスキー
音楽 アーニー・ゾイベルト
出演 クリスチャン・シュミット/アンドレアス・ビタセク/バルバラ・ルドニク
メモ 2000.1.24 ビデオ
あらすじ
ミュラー探偵事務所は閑古鳥が鳴いている。と、そこにやって来た金髪美女の依頼人。イングリッド・バーグマンと名乗る彼女は3年越しの恋人マイクの行方が3日前からわからなくなっている。捜して欲しいと言うのだ。美人の依頼人が帰っていったしばらく後に新聞を見ると、一面に依頼人の顔写真が載っていた。依頼人は大富豪の娘で殺されたらしい。ミュラーは相棒のラリーと捜査を開始する。
感想
上の映像は、マフィアの子分達が歌いながら踊っているシーンです。実はこの映画、オーストラリア映画でドイツ語バージョン、ハードボイルドミステリでミュージカルというわけのわからん作品でした。(ここには載せられない)からみのシーンで美女が「はぁん、う・ふん」とか言う代わりに「歌っている」という話のタネにはつきない映画です。「謎」があまりミステリアスではないのが不満ではありますが、「死」というものが軽々しく扱われているというブラック・コメディはなかなかの確信犯でした。主人公ミュラーのモノローグ(独白)が所々入るドイツ版ハードボイルドと言うこともあり全体の雰囲気が
「キラーコンドーム」と似ています。
おすすめ度”けったいな映画”★★★1/2
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知らなさすぎた男 THE MAN WHO KNEW TOO LITTLE
1998年 アメリカ
監督 ジョン・アミエル
音楽 クリス・ヤング
  出演 ビル・マーレー(ウォレス・リッチー)/ピーター・ギャラガー(ジミー)/ジョアンヌ・ウォーリー
メモ 2000.1.23 ビデオ
あらすじ
アメリカはアイオワ州のビデオ屋の店員ウォレスは、「誕生日祝いをもらおう」と弟ジミーを訪ねてロンドンまでやってきた。突然の兄の訪問に驚いたジミー。彼は金持ちのお嬢と結婚しロンドンの金融界で売り出し中。今夜はドイツのお客様を自宅で接待する大事な日。モンダイジの兄がいればまとまる話もまとまらないと妻と一計を案じる。今流行の「巻き込まれ型サスペンスの主人公にあなたもなれる!」という遊びに申し込んだから3時間半遊んでこいと兄貴をロンドンの街に送り出す。折しもリッチ・ホテルではロシアと英国の友好を結ぶ晩餐会が開かれていた。
感想
面白かったナー。私こういうたるいコメディ好きだ。腰をふったアメリカのディスコ・ダンスもどきのビル・マーレーのコサック・ダンスに笑った。「僕だけ無い。。。。。アッタアッタ」と幼稚園児のような上のシーンに爆笑。知らない者の強みで、爆弾入りのマトリョーショカ人形をポンポン投げては掴み、キュキュと絵柄を回しては元に戻しその度タイマーが動いたり止まったりを繰り返し東西スパイの親分達の寿命を縮める(笑)。


ぜんぜん関係ないんやけれど、「アッタアッタ」の話。ちびさぼが小学1年生になった初めてのテスト。「○のかたちとおなじものはどれでしょう?」という問題で、選ぶ所には「野球のボール、海苔の円筒形の缶、サッカーボール、四角い箱、等々」が描かれていたんですけれど、ちびさぼてんはボール状のモノだけではなく「海苔の缶」も選んでいる。ボール状ではなく円柱なのに。はてな? 何故「茶筒」ではなく「海苔の缶」かとわかったかというと、「のり」とこの円筒形の缶に大書してあったわけ。「○かたち」という事で「」・・・「のりの」・・「(同じ形が)アッタアッタ」と選んだと判明いたしました(笑)。
おすすめ度★★★1/2
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キス オア キル KISS OR KILL
1997年 オーストラリア 97分
監督・脚本・制作 ビル・ベネット(「サンドラ・ブロックの恋する泥棒」)
撮影 マルコム・マックローチ
美術 アンドリュー・プラマー
出演 フランシス・オコナー(ニッキ 
「ラブ&カタストロフィ」)/マット・ディ(アル 「ミュリエルの結婚」 「ラブ&カタストロフィ」)/バリー・ラングリッシュ(ドイル)/バリー・オットー(ジョーンズ)/クリス・ヘイウッド(ハマー刑事)/アンドリュー・S・ギルバート(クリーン刑事)/マックス・カレン(モーテルの主人スタン)/ジェニファー・クラッフ(ジョーンズの妻ベル 監督夫人)/ジョン・クラーク(アポリジニのボッサム・ハリー)
メモ 2000.1.22 シネ・ヌーヴォ
あらすじ
昔からのなりわい”美人局”を稼業としているニッキ&アルのコンビはいつもの手はず通り、ニッキが誘惑しホテルに連れ込んだビジネスマンに睡眠薬を飲ませお金をいただくはずだったのに、客が息をしてない。死んでいるみたい。 しかもビジネスマンの荷物から出てきたビデオを写してみれば、地元の名士の大スキャンダルが映っていた。ビジネスとは恐喝だったのだという事に気づくふたり。やばい。逃げなきゃ。
感想
「破滅的な若いカップルの逃避行」の映画が様々な監督の手により連綿と作られていく、しかも飽きずに見る観客がいる(アタシの事)というのは何故なんだろう。「青春、ロマンス、サスペンス」と絵になるからだろうな。
 さほど緊張感があるわけでもなし、目をみはるようなアクションシーンがあるわけでもなく、切ない思いも少な目。のんびりした人達がのんびり追っかけるという話。でもこの映画買う。私は好きだ(ただパンフはサイテー)。オーストラリア産ということからか、一風変わっていました。同じオーストラリア映画の「ラブ・セレナーデ」、「マッシュルーム」と似ていてウェットではない、全体に乾いていてシンプル。変人(よく言えば個性的な人達)があちこちに登場。あっちに行くにも、こっちに行くにも、人を捜すのにもなにしろ100キロ単位に移動するお国柄のせいでしょうか。懐が広い。

1997年度オーストラリア・アカデミー賞主要5部門受賞作品。
やはり「ラブ&カタストロフィ」のフレッドと「ミュリエルの結婚」のミュリエルのボーイ・フレンド役の人は同じ役者さん(マット・ディ)だった。やったぜ!この眼力(笑)
おすすめ度★★★1/2
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悪を呼ぶ少年 THE OTHER
1972年 米国 101分
監督 ロバート・マリガン(「思い出の夏」)
原作 トーマス・トライオン
出演 ユタ・ヘイゲン/ダイアナ・マルドア
メモ 2000.1.21 CSスターチャンネル
あらすじ
1930年頃の米国、ニューヨークかニュージャージーか何しろコニー・アイランドの近くの農場に双子の少年ホランドとナイルズが住んでいる。その大きな農家にはロシア移民の祖母と母、そしてジョージ伯父やら従兄弟やらと一緒に住んでいた。一卵性双生児の例にもれず二人はテレパシーで通じ合う間柄。ホランドはいたずら好きで行動派、ナイルズはホランドにいつも引っぱられていた。
感想
小学校の低学年の時にTVで見たと思いこんでいたのですが、1972年制作という事から違うようです。と言うことはアタシは、えーかげん大きくなってから隣の家の屋根瓦に止まっている雀をじっと見つめて練習していたってわけ?・・・自分が信じらんない。。。

現代では「見たことのあるような話」ではありますが、それでもよく出来ていると思う。ほとんど記憶している通りだった。つまり、昔の事はよく覚えているって事なのね。それくらいインパクトのある映画だった・・という事にしておこう(汗)。
お母さん役のダイアナ・マルドアって俳優さん、どっかでみたよなあと思っていたら「警部マクロード」でマクロード警部の恋人のクリスとかいう小説家か新聞記者かの役の人だった。
おすすめ度★★★1/2
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洗濯機は俺にまかせろ
1998年 日本 107分
監督 篠原哲雄
原作 宮崎和夫
脚本 松岡周作
出演 筒井道隆(木崎)/富田靖子(セツコ)/田鍋謙一郎(吉田)/小林薫/橋本功(社長・片桐)/百瀬綾乃/根岸季衣/菅井きん
メモ 2000.1.18 ビデオ
あらすじ
漫画家を目指し大阪から東京にでてきた木崎(筒井道隆)は、今は片桐電気店の支店長だ。片桐電気店は中古電気店で木崎は洗濯機の修理を得意にしている。そう機械いじりが好きとか器用そうとかではない手つきながら、ひとつひとつ部品を解体して修理するのは好きだ。修理してゴーッと回る洗濯機を見ていると心がなごむ。彼には気になる女性がふたりいる。ひとりは向かいのパン屋でバイトしている木暮さん。ぽっちゃりしていて、目がぱっちりしていてかわいい。もうひとりは片桐社長の娘のセツコさん(富田靖子)。離婚して実家に帰ってきた出戻り。ふらふらしていて何を考えているかわからない。でも、木崎は東京に出てきた頃セツコがDJをしていた深夜ラジオ番組のファンだったのだ。
感想
茫洋としたバカ正直な木崎のかもしだす空気が○。富田靖子の役が「ありがち」とも思えるが、そこは小林薫がシッカとささえておりました。巨人ファンの片桐社長ひとりが元気で、後の人は疲れていたりくすんでいたりで自分の人生この先どうなるかわからず(私もわかりませんが)うろうろしているような話で、最後もちんまりまとまり過ぎているかな。が一方、「降りそうで降らない雲の間から晴れ間が見えるような」映画とも感じる。

料理人を目指して木崎と一緒に東京に出てきた吉田は、職業を転々としている。その吉田と木崎がかわす大阪弁がえーねん。裏ビデオの配達をして警察に捕まった吉田を受け取りに行った木崎に「素人童○」と言い放たれる吉田さんがカワイソウ。かあいそうでおかしい(ニタ)。

しかし、捨ててあった電気器具をひらってきて売るのはいけないのかな? りっぱなリサイクルと思うけど。 東京ではあかんのやろか? 菅井きんさんの家にあった手絞りの洗濯機は家にも昔あった。「あのローラーのゴムの部分は固なってひび割れてくると思うねんけど。20年も使える?」とか思ってたんですけど、さぼてん男は「特殊なもんちゃうから、ゴムさえあれば修理できるんとちゃう?」と言う。そうか修理して大事に使ってはったんやね。
おすすめ度★★★1/2
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鉄男 TETSUO
1989年 日本 67分
制作・監督・脚本・撮影・美術・音楽 塚本晋也
撮影 藤村京
音楽 石川忠
出演 田口トモロヲ/藤村京/塚本晋也/石橋蓮司
メモ 2000.1.18 ビデオ
感想
まさしく<カルト・エンターティメント・ムービー>。噂には聞いていましたが全編(・・)状態。固まって見ておりました。
ストーリーはないのかと思っていましたが、どうやらあるようです。
「双生児 GEMINI」の塚本晋也監督による制作・監督・脚本・撮影・美術・音楽・出演のひとり七役の作品。「双生児 GEMINI」のパンフ中に書いてあったもっくんの言葉「塚本さんは本当は全部自分でやってみたいんだと思います。現場でも”よくわかんないですけれど、こんな感じ”と自分で芝居して見せるんです。それを見る度、もうガーンって感じ。うますぎる、オモシロイ、私である必要はないんじゃないか(笑)と。」というのがよくわかる。この映画をみてミョーに田口トモロヲを尊敬してしまった。
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古城の妖鬼
1935年 米国 61分
監督 トッド・ブラウニング
メモ 2000.1.12 CSシネフィル・イマジカ
あらすじ
吸血鬼伝説が伝えられる村で、館の主(あるじ)が殺される。体中の血はなくなっており、首には定番のふたつの穴。主の美しいひとり娘(これも定番)が取り残される。そして娘は古城の吸血鬼(ベラ・ルゴシ)とその娘(口がでかい)に狙われはじめる。吸血鬼専門家(と思う)の博士(ライオネル・バリモア)が館に招かれ、亡き主の親友、警察官と共に娘の守りを固める。館から出てはいけない、窓もあけてはいけない、ベランダに出てもいけないと何度も注意するのに、この娘は夜中に窓をあけっぱなしにしたり、ベランダに出たりするのよねぇ。白雪姫と同じなのよねぇ。学習効果がないの。でもって、娘には恋人がいて、この恋人も狙われるの。娘を守ろうと白昼古城に乗り込み3賢人(博士、刑事、主の親友のおじさん)がドラキュラのベッドを捜してウロウロしている内に夜がやって来て、さあ大変!
感想
ベラ・ルゴシ主演の「魔人ドラキュラ」の同じ監督、同じ俳優による続編と聞いて、「古いドラキュラ映画か・・・」となめて寝そべりながらみていたら・・・・およっ、オヨヨ。へぇえ〜。映画としてはたいした事ないと思うんですけれど、これはHPに書かなきゃと思いましたね、アタシ。
続けて同じ監督さんの「悪魔の人形」を見る。妖しい映画だった。トッド・ブラウニング監督というのは「フリークス」の監督さんなんですね。シネフィル・イマジカでは今月トッド・ブラウニング監督特集って、ふたつしかないやん(笑)。26日に再放送の「悪魔の人形」をもう一度見てから感想書きます。実は録画しているつもりでチャンネル間違ってBS2のライブなんか入ってしまっていたわけ(笑)。小姑のように口うるさい博士役のライオネル・バリモアという方はドリュー・バリモアのひいじいちゃんらしいです。
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十三人の刺客

1963年 日本 125分
監督 工藤栄一
脚本 池上金男
撮影 鈴木重平
出演 片岡知恵蔵(島田新左衛門)/内田良平(鬼頭半兵衛)/菅貫太郎(松平斉韶)/嵐寛寿郎(倉永)/西村晃(平山)/里見浩太郎(島田新六郎)/丹波哲郎(老中・土井)/月形龍之介(牧野)/水島道太郎(浪人・佐原)/山城新伍(小弥太)/沢村精四郎(小倉)/丘さとみ/三島ゆり子/藤純子
メモ 2000.1.10 ビデオ
あらすじ
江戸老中・土井家の門前で明石藩の江戸家老・間宮が切腹をとげる。主君・松平斉韶(なりあき)の狼藉を訴え、主君の隠居をという命を賭けた嘆願であった。松平斉韶は現将軍の弟君で明石藩松平家の養子となったが生来の粗暴、癇癖、陰虐、好色(散々ですな)のため藩内では百姓一揆が絶えず、参勤交代の折りにも鬼畜の振る舞いの暴虐ぶり。今までは一藩が我慢すればなんとか収まっていたのだが、将軍は弟に老中職につかすという取り決めをしていた。そうなれば天下の御正道は乱れると老中・土井は、斉韶の抹殺を決意する。腹心の配下・目付の島田新左衛門に手勢を連れて、松平斉韶公を亡き者にするよう密命をくだす。十三人の刺客は策を練り美濃の国落合宿で国へ帰る松平の一党を待つ。
感想
「ゴースト・ドッグ」を見終わって、「よし、見よう」と思い立った作品。
少人数で多くの敵を相手に闘う時の鉄則、「敵の勢力を分断する。」「奇襲」「狭い場所に誘い込み、ひとりづつ片づける」をみごとに映像化した作品。みごたえあった。
「待つ」事の大事さを感じる。現代の速さを競うコンピュータ社会ではもはや死語に近いかもしれない。昔の映画のこういう「策を練って待つ」という深みが好きだ。

十三人の刺客のひとり倉永(嵐寛寿郎)が最初に刺客達に言う言葉「人は侍といえば剣というが、今の世に真剣で戦った侍なぞはおらんのだ。我にもなければ相手にもない。人が命と命をぶつけあって戦う時、どんな事が起こるか誰にも想像はつかんのだ。」が最後の30分の死闘につながる。おびえひるんだ方が負けるんだ。

おすすめ度★★★★1/2
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氷壁の女 FIVE DAYS ONE SUMMER
1982年 米国 108分
監督 フレッド・ジンネマン
原作 ケイ・ボイル
脚本 マイケル・オースティン
撮影 ジョゼッペ・ロトゥインノ
音楽 エルマー・バーンスタイン
出演 ショーン・コネリー(ダグラス)/ベッツィ・ブラントリー(ケイト)/ランベール・ウィルソン(ヨハン)
メモ 2000.1.09 ビデオ
あらすじ
アルプス登山にやって来た男女。ふたりは親子ほども年が違うが夫婦だと言う。
感想
ショーン・コネリー様がまだ枯れきっていない頃の作品(^^)。「真昼の決闘」「地上より永遠に」「ジャッカルの日」のフレッド・ジンネマン監督最後の映画です。
ミステリファンは、前知識なく見た方がいいと思う。
二人の関係は? 愛の行方は? 三角関係の結末は? というミステリと「アルプスの氷壁を登る」というサスペンスが融合した完成された映画。

詩的な原題に比べこの下世話な邦題はなんやねんと言いたい。言う。
おすすめ度★★★1/2
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ゴースト・ドッグ GHOST DOG,THE WAY OF THE SAMURAI

1999年 米国 日本=仏=独 116分
監督・脚本 ジム・ジャームッシュ
撮影 ロビー・ミュラー
音楽 RZA
美術 テッド・バーナー
衣装 ジョン・ダン
出演 フォレスト・ウィテカー(ゴースト・ドッグ)/ジョン・トーメイ(ルーイ)/クリフ・ゴーマン(ソニー)/ヘンリー・シルバ(ボス)/イザーク・バンコレ(アイスクリーム屋のレイモン)/トリシア・ヴェッセイ(ボスの娘・ルイーズ)/カミール・ウィンブシュ(パーリーン)
メモ 2000.1.7 OS劇場C.A.P
あらすじ
ファミリーのボスの娘をかどわかした”ハンサム”・フランクは、大男の黒人に射殺される。大男の名は”ゴースト・ドッグ”。命の恩人ルーイを主と敬う現代ニューヨークの侍。彼が何度も読み返している書は「武士道というは、死ぬことと見つけたり」の「葉隠」だ。
感想
映画を見終わって・・・・・・・・はてさて。

あこがれのヒーローになりきり夢の中で生きている小さな男の子にみえなくもない主人公と、おいぼれやくざ連の行動の滑稽さにニヤリ、ニタリ。しかし滑稽な中に自分の生き方を貫こうとする真摯さが感じられるというハイテクニックの映像とストーリーでした。時代に取り残されたロートル・ヤクザ連中と間違った時代に生まれてしまったゴースト・ドッグが世の中の片隅で闘う。その生き様と哀愁をも描いている、と思う。自信はもちろん、ない。

影の存在であり、連絡は伝書鳩で行うというゴースト・ドッグは私のイメージでは「侍」の中でも「刺客」のように思える。「ストイックな生き方」に惹かれたんですね。「自分はこう生きる」という信念をもった姿勢は「自分探しの旅」なんていう少しサブイ話が多い中、なんか気持ちよかった。
おすすめ度★★★1/2
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逢いたくてヴェニス 2 MANNER,2 FRAUEN−4 PROBLEME

1998年 独 93分
監督 ビビアン・ネーフェ
脚本 ビビアン・ネーフェ/ワルター・ケルガー/バーバラ・ヤーゴ/パメラ・カッツ
撮影 ペーター・トゥットリング
音楽 ディーター・シュライプ
美術 ピット・ヤンセン
出演 アグライア・シスコヴィッチ(エバ)/ハイノ・フェルヒ(ニック)/ヒルデ・ファン・ミーゲン(シャルロット)/ゲデオン・ブルクハート(ルイス)
メモ 2000.1.5 シネ・ヌーヴォ九条
あらすじ
私は、エバ。ウェイトレスで一家を養っているの。家には(売れない)画家の夫ルイスと6才のフロリアン、3才のシャルロットがいる。5年間は私が働いて家計をささえ、交代して夫が働くはずだったのに7年たった今もハンサムな夫は家で絵を描いている。今日は最悪だったわ。バリバリのビジネスマンの客に水をこぼし「役立たずの社会の寄生虫」よばわりされて、とさかに来て料理を客にぶちまけて首になっちゃった。むしゃくしゃして家に帰ればルイスが画商の招待でロンドンに行くっていうじゃない。結婚して7年家族で旅をしたこともないのに。
朝起きてみれば、ルイスはもう旅だった後。愛する家族の写真を忘れたみたい。後を追って子供と空港までお見送りに行く、「行ってらっしゃい、パパ」と書いた大きなカードを持って。空港でルイスを探してみれば・・・・・・女が一緒。 なんなの? なんなのよぉ〜。行き先はヴェニスじゃないの。
がっくりして家に帰って新聞を見たら、相手の女の顔写真が載っていた。「有名な銀行家シャルロッテ、夫は弁護士ニック」。エリートってわけね。みてらっしゃい。夫をとりもどすわ。
と強く決意したエバは、水鉄砲で弁護士ニックをビルの地下の駐車場から誘拐する(なんという偶然!料理ぶちまけたヤナヤツーのビジネスマン。)。子供ふたり+おまる+誘拐した大の男のニックを引き連れ愛車でヴェニスまでかっ飛ばす。
感想
かわいい映画だったな。最後までこの騒動がどう収まるのかわかんない所がいい。
ニック役のハイノ・フェルヒという役者さんが
「ラン・ローラ・ラン」では、マニの革ジャン着た強面親分役だったなんて、わかんないよ。結構ごついながらも昔のブルース・ウィリスみたいな雰囲気があってコメディもうまい。エバ役のアグライア・シスコヴィッチという役者さんもたくましいというか、パワーがあるというか不敵なつらがまえ。監督さんが女性だからなのかステロ・タイプの女性ではない。個性的。
ドイツの重いコメディ映画好きかも。「愛され作戦」でしょ。「キラー・コンドーム」でしょ。。。。(後が出ない)
おすすめ度★★★★
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赤い影 DON’T LOOK NOW
1973年 英国=伊 米国 110分
監督 ニコラス・ローグ
原作 ダフネ・デュ・モーリア
脚本 アラン・スコット/クリス・ブライアント
撮影 アンソニー・B・リッチモンド
音楽 ピーノウ・ドナッジョ
出演 ドナルド・サザーランド/ジュリー・クリスティ/ヒラリー・メーソン
メモ 2000.1.2 ビデオ
あらすじ
ヴェニスで古い建物の修復をしているジョンと妻のローラは、英国からの観光客の姉妹とレストランで知り合う。盲目の妹はもう一つの目を持っており、レストランでは「亡くなった娘さんがお二人と一緒に座っていましたよ。」とローラにつげる。「幸せそうでした。」と。
感想
水の都ヴニス」が得体の知れない不気味な街に見えてくるという恐い映画。中盤は思わせぶりな展開が続きますが、必見の異色作。同じイタリアが舞台だからか「サスペリア2」の恐さにも似ていると思う。あてになりませんが(苦笑)。
子供が出てくる映画という事で躊躇していましたが、このたび「ある理由」から見ることにしました。2000年一発目の映画が「赤い影」ですから、今年も推して知るべしですね(笑)。
おすすめ度★★★★
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