2001年9月の映画


ソードフィッシュ SWORDFISH(めかじき・剣魚)
2001年 米国 125分 ワーナー・ブラザーズ
製作 ジョエル・シルバー(
「マトリックス」
監督 ドミニク・セナ(「60セカンズ」
出演 ジョン・トラボルタ(ガブリエル・シアー)/ヒュー・ジャックマン(スタンリー・ジョブソン「X−MEN」)/ハル・ベリー(ジンジャー「エグゼクティブ・デシジョン」「X−MEN」)/ドン・チードル(ロバーツ「トラフィック」)
メモ 2001.9.27 試写会
あらすじ
最後の審判でラッパを吹く大天使ガブリエルと同じ名を持つガブリエル・シアー。彼はある事を企んでいた。目的達成のためにはもちろん手段は選ばない。
感想
結末がよーわからん。逃亡しているのか反撃の機会を狙っているのか。米国はやはりテロに対してこういう対処の仕方を是としているのか。それとも狂信的なテロについて描いているのかはっきりしない。どっちつかずで逃げていると感じる。

「狼たちの午後」「続・激突! カージャック」がガブリエルの口から出てくるのは映画に箔を付けるためかと思ったんですけれど、「人質を物、手駒と考えないと成功しない」って事なんでしょう。あの映画連は大甘っていいたいんだな。それともラストへの目くらまし役なのか。
影像はWTCへ突っ込んだテロを思い出して、体が冷たくなる。あのテロじゃどうして自由の女神が標的ではなかったんだろう。WTCの方がたくさんの人が働いているから? 恐ろしい。

後光のようにカリスマを放っているジョン・トラボルタがいい。あの語り口とけれんある演技は努力のたまものというよりは天性のものでしょう。この映画の弱点はサイバー空間でのハッカーシーンですね。ヒュー・ジャックマンは「ギリガン君がどうたら」と言っている肉体労働中のファーストシーンが一番しっくりくる。ハッカーシーンは違和感ありまくり。何年もブランクがあってすぐ第一線に復活できるわけ? 技術が陳腐化していないの? そんな世界なわけ???
「エグゼプティブ・デシジョン」では、りりしいステュワーデス役だったハル・ベリー。この間「The Rich Man's Wife 潜在殺意」っていう「なんでこうなる?」って邦題の映画を見ました。ついでですが「潜在殺意」は「ユージュアル・サスペクツ」の女性バージョンだと思う。少々眠たかったので不確かですが。その時解説の山城新伍さんがえらくハル・ベリーを誉めてはりましたよ。いま一番注目の女優さんだそうです。元モデルのあのスリムさがたまらん・・のでしょう、きっと。花園ひろみさんと似ていると思うのはさぼてんだけ? 浮気男も根っこの所はやっぱ一途なんかなとちょっと楽しい。
おすすめ度★★★★
戻る

スコア THE SCORE(ヤマ)
2001年 米国 125分 マンダレイ・ピクチャーズ
監督 フランク・オズ
原案 ダニエル・E・テイラー/カリオ・サレム
脚本 カリオ・サレム/レム・ドブス/スコット・マーシャル・スミス
撮影監督 ロブ・ハーン
音楽 ハワード・シュア
出演 ロバート・デニーロ(ニック・ウェルズ)/エドワ−ド・ノートン(ジャック・テラー)/アンジェラ・バセット(ダイアン)/マーロン・ブランド(マックス)
メモ 2001.9.26 シネマ
あらすじ
泥棒ニックは、そろそろ潮時かと引退を考えていた。最後の大仕事でジャズ・クラブの借金をきれいに払い、かたぎになって恋人のダイアンと暮らすというプランを実行する時期だろうかと。計画を練り用意周到、確実な仕事がニックの流儀だ。それに加え「自分の住んでいる街では仕事をしない。」「パートナーを持たない」というルールも持っている。それを守り今まで大過なく過ごしてこれた。ところが、プローカーのニックが持ってきた”最後の仕事”はそのふたつのルールを破り「3000万ドル(ざっと33億円)のお宝をいただく」という大仕事。パートナーというのが世の中舐めきった若造だ。悪い予感がする。迷い悩むニック。

だいたい映画とか小説では「最後の大仕事」で力入ったり、「今までのルール」を破ったりと無理するとツキが落ちてろくな事がないのよねぇ。
感想
予告編を見ましたが「ウォーター・ボーイズ」 「シュレック」 「ブリジット・ジョーンズの日記」の間に挟み込まれ地味でした。
本編はどうだったかというと、デニーロが渋いっ。重厚っ。マーロン・ブランドが重いっ。アンジェラ・バセットがおさまっているっ。室内場面は、ほぼ全編セピア色黒色であり、外はカナダ・モントリオールという馴染みのない街並みがレトロ。

が、なかなかよいです。金庫破りモノは久しぶり。
ニック(ロバート・デニーロ)は職人気質の古いタイプの泥棒で道具も手作り。
「ブレイキング・イン」のバート・レイノルズとはだいぶ違います。 「男の争い」に近い。
かたや若造のジャック(デドワード・ノートン)はパソコンでしゃかしゃかセキュリティ・システムに侵入する現代派で新旧をうまく対比させてあります。
ノートンは「真実の行方」 「ファイト・クラブ」と変わらない演技ですが、今回初めて”実力派若手NO1”というのに納得しました。デニーロはよい役ながらノートンがちょっと喰っております。
おすすめ度★★★★
戻る

ウォーター・ボーイズ
2001年 日本 91分
監督・脚本 矢口史晴
撮影監督 長田勇市
音楽 松田岳二
出演 妻夫木聡(スズキ)/玉木宏(サトウ)/三浦哲朗(オオタ)/近藤公園(カナザワ)/金子貴俊(サオトメ)/竹中直人(磯村)/杉本哲太(杉田)/平山綾(木内静子)/眞鍋かをり(佐久間恵)
メモ 2001.9.24 HEPナビオ梅田劇場
あらすじ
運動部で全国に名を馳せている唯野男子高校には弱小の水泳部があった。部員は三年生のスズキひとり。やる気があるわけでもなく、やめるわけでもなくずるずる続けていただけの”根性ナシ”。そこにかわいいセンセが赴任してくる。「水泳部の顧問になるので部員募集してまあす。」の一言で部活を引退した3年生が大挙入部するが、眞鍋かをりセンセが教えたかったのは「シンクロナイズドスイミング」である事を知ってみんな逃げ出し残ったのは逃げ遅れた5人。「男子がシンクロしてもおかしくないじゃん」と「コペルニクス的大転回」をして、さあこれから文化祭での発表向けて練習だっとはりきったセンセだったが、妊娠が判明しそのまま産休に入ってしまった。とり残された5人はまたもやすっぱり諦める訳でもなくなりゆきでなんとなく練習を始めるが・・・。
感想
「男子高校生のシンクロナイズドスイミング」って聞いたら、映画中のキャスター山下真司ならずとも「私は見たくないです。」ってひいちゃうかもしれないけれど、よかったよ。ダイナミックなシンクロシーンは必見。ええもん見せてもらいました。「Shall we ダンス?」 
「がんばっていきまっしょい」と同じく(自分が何したわけでもないのに)見終わったらヤッターって感じで気持ちがいい。

この監督さんのユーモアは一風変わっている。定番のギャグながら間合いの取り方がうまいのか、それともはずし方がうまいのか、「いきなり跳び蹴り」、「大騒動の最中に青江三奈の伊勢佐木町ブルースが流れる」といった組み合わせの妙がうまいのか、言葉ではうまく説明できない。「いつも見ていた、見ていた、見ていた・・・・」のシーンでは漫画のように視線を示す点々の矢印・・・・・・→が引かれているような錯覚に陥ってしまう。見終わっても様々なシーンがいつまでも脳裏に残り音楽と共にその余韻でくすくす笑えるんです。それってすごいよ。いちばんのお気に入りは「波にあらわれたクラゲのようにユラユラ団子になってシンクロの練習をしている」シーン。

こんなに明るく一生懸命さがステキでキュートな男の子達をアフガンに送り込むような事態になってはいけない。だいたいチンギス・ハンやら英国軍(名探偵ホームズの相棒ワトソンは、アフガンで負傷して帰還した軍医でしたね)やらソ連軍にも屈服しなかった山岳の民とのゲリラ戦とウォーター・ボーイズの組み合わせは想像できない。これって幸せな事だと思う。
おすすめ度★★★★1/2
戻る

ロンドン・ドッグス LOVE,HONOUR&OBEY
1999年 英国 98分
監督・脚本・製作 ドミニク・アンシアーノ/レイ・バーディス
撮影 ジョン・ウォード
美術 ニック・バーネル
出演 ジョニー・リー・ミラー/ジュード・ロウ/レイ・ウィンストン/リス・エヴァンス/セイディ・フロスト/キャシー・バーク
メモ 2001.9.22 パラダイス・シネマ
あらすじ
郵便配達夫のジョニーはフツーの日常にあきあきしていた。10年後20年後の自分の姿を想像すると薄ら寒くなってくる。男に生まれたからにはかっこよく強く生きる方がいいんでない? 
一念発起して幼なじみジュードにファミリーに入れてくれと頼む。ジュードのおじきレイはノース・ロンドン一の親分なのだ。
ファミリーに入ってみれば、親分をはじめ構成員達はカラオケが大好きで毎晩歌い狂っている。親分は女優に惚れて女の事で頭がいっぱい。子分達もなんだかビシッとしない。映画やったらこんなぬるま湯とちゃうやんけ。 あんたら極道に命かけてんのか? 俺がその心得違いを正してやろか? とジョニーがたくらみ”平和主義者”のヤクザ達はサウス・ロンドンのヤクザとの抗争にひきずりこまれたのであった。
感想
何やってんのかわかんない商売であれだけの人数養ってられんねんなあ。どーなってんねん。と思っていましたがドンパチシーンで納得。それなりのシステムが出来上がっているのね。
この人達は修羅場もくぐり抜け、今の均衡状態を守るのが一番お互いのためになるってのを学んでいる訳。そこんとこがジョージはまったく見えていないドシロウトだったという展開がうまい。
よくわからないながら英国人って一風変わったユーモアセンスの持ち主ですね。ほのぼのとしてとぼけていながらたっぶり毒を含んだユーモア。性格歪んでる?(笑)。親分のレイが恋人の女優に「キスシーンで舌いれただろ?」と嫉妬でカッカするんやけれど、この女優役がセイディ・フロストっていう方でジュード・ロウの奥さんだそうです。楽屋落ち寸前のお遊びなん。
ジュード・ロウの歌声も聞けのりのりのカラオケシーンが楽しいながら、最近の映画の中ではもっとも後味が苦い。英国らしい。

女達の方が存在感のあるギャング映画。独り立ちしない”ムスコの悩み”を抱えているギャングの奥さんが映画
「エリザベス」でエリザベスを苛めた姉ブラディ・メアリー役の女優さんでした。
おすすめ度★★★1/2
戻る

シャドウ・オブ・ヴァンパイア SHADOW OF VAMPIRE
2000年 米国 93分
製作 ニコラス・ケイジ/ジェフ・レヴァイン
監督 E・エリアス・マーハイジ
脚本 スティーヴン・カッツ
撮影 ルー・ボーグ
出演 ジョン・マルコヴィッチ(ムルナウ)/ウィレム・デフォー(シュレック・ノスフェラトゥ)/ウド・キアー(制作者「JM」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」)/キャサリン・マコーマック
メモ 2001.9.15 梅田ガーデンシネマ
あらすじ
映画のためだったら悪魔に魂も売っちゃうし吸血鬼にじゃんじゃん他人の血なんかもあげちゃうという”映画至上主義者”のムルナウ監督がヴァンパイア=ノスフェラトゥ役にと探し出してきたお人は、夜しか撮影させない。いつも吸血鬼のメーキャップのままというヘンなヤツだった。役になりきっている役者バカだからと監督は言うがスタッフがひとりまたひとりと消えていくのは、何故?
感想
「吸血鬼ノスフェラトゥ」のラストシーンの撮影現場で、監督とのお約束どおりやっとこさニーナを味わえると「はあはあ」大興奮しているノスフェラトゥ。しかし「まだ、まだまだ」とおあずけをくらい悶え苦しむ姿がえらく名演技で劇場内笑い声が起こる程面白い。このシーンは抜群に面白いんやけど、見終わって欲求不満が残る。思い切って全編「おお真面目であるがゆえにおかしい」といった皮肉な喜劇にした方がよかったと思う。 通好みの映画なんかな。

ウィレム・デフォーとジョン・マルコヴッチのどちらがノスフェラトゥ役でもいいんでないの? という配役なのもおかしい。コインを投げて決めたのであろうか。

「雰囲気ありアイデア花丸」の映画なんですけれど、ムルナウ監督の「吸血鬼ノスフェラトゥ」が、80年をへてさらに異彩を放ついかに怪作傑作であるかが再認識できる作品であった。
おすすめ度★★★1/2
戻る

デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!? DEUCE BIGALOW : MALE GIGOLO 
 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001 ファンタスティック・ビデオ・フェスティバル部門 審査員特別賞
1999年 米国 93分
製作 アダム・サンドラー
監督 マイク・ミッチェル
脚本 ロブ・シュナイダー
出演 ロブ・シュナイダー(デュース・ビガロウ「ジャッジ・ドレッド」)/ウィリアム・フォーサイス/オデッド・フェール
メモ 2001.9.8 ビデオ
あらすじ
ワシ、デュース・ビガロウ。水槽掃除のプロなんやけど、またもや仕事をクビになってしもてん。お魚さん大好きで「水着は水に悪影響をあたえる」というごく科学的な理由からすっぽんぽんで水槽掃除をしていたんやけど経営者は気に入らへんかったみたい。そやから家のお魚さん達にしている「海辺に住む」っていう約束にはまだまだ遠いワ。お魚ショップで見つけた池のお掃除バイトに行ったら、美人といちゃいちゃしてる男がおってん。なんやなんやと思たら職業はジゴロやねんてぇ。おなごはんと気持ちえーことしておぜぜがもらえるやなんて、世の中にはこんな垂涎物の仕事があるん。羨ましいヤン。ジゴロはんに出張の仕事が入って、お魚さんの世話を頼まれたんやけど、てんごしてたらアクシデントでたっかい水槽壊してしもた。えらいこっちゃ。そこへ、ジゴロ商売の電話がかかってきてん。ワシかて捨てたもんやないねんから、おいしいバイトしたかてかまへんのとちゃう? おなごはんかて喜ぶんやさかい。
というココロ優しくちょっとスケベな男のハートウォーミングな過激コメディであります。
感想
 
「ハムナプトラ2」で砂漠の民アーデス・ベイ役オデッド・フェールのオールヌードが見れるのですよ! 後ろ姿でしたけれど。「ホーム・アローン2」でホテルのドアマン役だったロブ・シュナイダーのオールヌードもしょっぱなから拝めるんですよ! 幸いな事にこれまた後ろ姿でしたけれど。
下ネタ障害者ネタ劣等感がなんの後ろめたさもなく登場して、見ている方も屈託なく笑えるという高等技術が使われている。おばかコメディながらハートフルなんです。お顔がかわいいのはそりゃいいよねとも思うけれど。でもそれもひとつの才能であるわけだしと納得させられる。

まあはっきり言って、おっきいやら太いやら色がどーたらは女からみたら男の幻想に過ぎないん。思いやりがあったらえーねん。自信もちなはれといった内容で真実をついている。
おすすめ度★★★★
戻る

アイドル・ハンズ 僕の右手は殺人鬼!? Idle hands

1999年 米国 93分
監督 ロッドマン・フレンダー
脚本 テリー・ヒューズ/ロン・ミルバウアー
音楽 グレアム・リーベル
撮影 クリストラー・バッフェ
出演 デボン・サワ(アントン)/セス・グリーン(ミック「オースティン・パワーズ」)/エルデン・ヘンソン
メモ 2001.9.2 WOWOW録画
あらすじ
ばか高校生のアントンは頭からっぽ。マリファナを吸ったり遊びほうけている毎日。朝、起きてみると両親がいない。どっかいったんかなーとマリファナ求めて友達の家に遊びにでかける。あほの友達はやはりあほであり、うだうだしゃべっていると向かいのイカス彼女がバイクでとおる。彼女は大事な自作の詩集を落としていってしまい、友達にけしかけられたアントンは彼女の家まで届けるが、シャイで何もできない。家にフラフラ帰ってきてサンドイッチを作り始めるが、包丁にはべっとり血糊がついていた・・・・。そういや、ダディとマミーはどこにいったのだ?
感想
学園ホラー・コメディ物。
額にビンが突き刺さる! 首が飛ぶ! 手首切断! といった文字を見ただけで痛そうなスプラッターでもあり、画面はレッドで話はブラック。見ていてゾクゾクするんですけれど、困った事にかわいい映画なんです。そこがまた気持ちいいやら悪いやら。
自分の意志とは関係のない動きをするっていう(いわゆるひとつの満員電車の中の痴漢のような)右手が、熱演! ドタバタコメディのはずし方も旨いです。 ゴーストハンターの「悪霊退治」の方法には笑わせてもらいました。

後日談−
途中から一緒に見ていたちびさぼと見終わって「わぉ! 激しかった。 面白かったなぁ」とニコニコ言いあう。翌日学校で映画通の友に話をしたら「あれって、R15指定ちゃうかったん?(そやからうちは見てヘンけど)」と言われたとか(たら〜汗)。「羊たちの沈黙」も18禁だったらしいですね。
後日談−その2
2日後「XファイルVOL1」を見ていたらどっかで見たよなーというティーンエイジャーが出てる。この映画でアントンにビンをおでこに突き刺された友であった。セス・グリーンっていう俳優さんらしい。
おすすめ度★★★★
戻る