2001年8月の映画


PLANET OF THE APES/猿の惑星

2001年 米国 100分
監督 ティム・バートン
出演 マーク・ウォールバーグ(レオ)/ティム・ロス(セード)/ヘレナ・ボナム=カーター(アリ)
メモ 2001.8.29
感想
ティム・ロスが主役か? この映画。キキッーっと喚きながら飛び跳ねるシーンが驚。まずそこがお気に入り。次はレオ達が逃げるシーンで”猿の惑星”の中世のような暮らしがばばーって写る所。ここ凝っていると思う。一番バートン監督らしい。そしてラスト。源頼朝は平清盛よりも冷静冷徹有能な支配者であったというのがいまさらながらわかる(訳分からないと思いますがバレになりますのでご容赦)。あれこれあるけど結局異邦人の話なんだな。
ティム・バートン監督はカルトな監督なのにメジャーに成り過ぎたんかなあと思うけれど、監督自身そういうレッテル貼られたり枠組みに縛られたりを嫌うんちゃうかな。わけわからん人やけど。なにかにつけ深い意図はないような気配はするが。そやけど失敗作と言われようが、撮りたい物を撮るってのがいいやん。案外10年後20年後カルト映画に化けるような気がする。
おすすめ度★★★1/2
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ザ・クリミナル THE CRIMINAL

1999年 英国 100分
監督・脚本 ジュリアン・シンプソン
撮影 ニック・モリス
出演 スティーブン・マッキントッシュ(J)/バーナード・ヒル/イヴァン・アタル/エディ・イザード
メモ 2001.8.27 ビデオ
あらすじ
売れないミュージシャンのJはバーで美しい女と意気投合し、アパートに連れ込むのに成功する。「こんな美人が相手にしてくれるなんて。捨てたもんじゃないよな、俺」と嬉しいJ。しかし当然の事ながらそれはツキが回ってきたのではなく、悪夢のはじまりだったわけ。
突然の乱入者に女は殺され、むろん逃げたJが容疑者となる。真犯人を見つけようと街をかけずり回るが、後手後手になり会いたい相手は殺されていくのだった。
感想
国名小劇で6月に上映されていて、「ロンドン発、全世界のインディペンデント映画界が驚愕した恐るべき才能を持つ27才の新人監督。衝撃のデビュー」という誘い文句につられてひょっと見に行くトコだったんですけれど。行かなくてよかった。
「サイコ」のアンソニー・パーキンスか
「冬の嵐」のロディ・マクドウォールの再来かというスティーブン・マッキントッシュの神経質そうな個性が初めは期待させたんですけれど。この人「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」でパブリックスクール生のセミプロ・麻薬密売人役だったらしい。前半はとってもいいんですよ。が、後半わけわからなくなってくる。そんな結末でいいわけ?
おすすめ度★★1/2
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幻想魔伝−最遊記−Requiem 選ばれざる者への鎮魂歌−


2001年 日本 アニメ
原作 峰倉かずや
監督 伊達勇登(だてはやと)
脚本 隅沢克之
美術 一色美緒
音楽 千住明
メモ 2001.8.23 シネ・リーブル
あらすじ
「五百年前に闘神・なたく太子が討伐した牛魔王(ぎゅうまおう)を蘇生している者がいる。阻止せよ」と三仏神から命ぜられた北方天帝使(ほっぽうてんていし)玄奘三蔵は、孫悟空、沙悟浄、猪八戒3人の供とともに西へ向かう。
その道中で遭遇した一夜の出来事。
感想
<この方は紅孩児(こうがいじ)です>
読みが甘かった・・・
朝イチの9時15分の回に行くつもりなんやけど、アニメの場合はやたら混んでいることもあるしぃという訳で前日、劇場に混み具合の確認TEL。
「土曜日ですから。8時半から開場ですので、早い目にいらしてください。」とのお答え。で、ちびさぼとちびさぼの友達を引き連れて「まあ、楽勝やろう。」と余裕で25分前の8時50分についたら映画館前には長蛇の列。「別々のお席になりますが。」と言われてもらった整理券が116、117、118番。ここの映画館は120席しかないのだ。後ろの親子で席は終わり後は立ち見になりました。あぶないとこ。恐るべし、アニメファン。観客の8割はイモおとなしめの女子中・高生です。

暗い過去を背負っている4人の主人公達。その暗い過去が半端じゃない。近親相姦、ゴーカン、子捨て、愛人、継母、ハーフ、大量殺人といったどろどろした内容がごたまぜの辛い経験。ゲップが出るほどのダーティな話に、前世とか天上界とか妖怪とかファンタジー&ホラーに味付けされティーンエジャー好みになっている。
原作では4人の個性がぶつかりあって(それぞれに大量のファンがついているため)イマイチ掴みきれない玄奘三蔵のカリスマ性が劇場番アニメではさすがにうまく描かれている。テーマをひとつに絞った事で成功していると思う。無理矢理ちびさぼに原作漫画を読まされて、「不良 煙草・女命野郎」の沙悟浄がいいかなと思っていたんですが、この映画で「超鬼畜系生臭坊主」玄奘三蔵の魅力に開眼しました。

「人生なんざ元々死ぬまでの悪あがきだろ」という青臭いナイーブなセリフがポンポン出てくる上、「よだれが出るほど美形、背が高くスレンダー、しかもやたら強い」キャラクターに酔う原作なんです。コスプレも盛んらしいです。聞いているだけで実態は知らないのですが、コスプレしている若い人達は罪がなくかわいい(我が子にはまってもらいたいかは別問題)。ただ、一点残念な事はギャグが型どおりでもう少し工夫すればもっと面白くなるのにという歯がゆさを感じる。

「A.I」 「ドクター・ドリトル2」 「千と千尋の神隠し」 「ジュラシックパーク3」と夏休みに見た映画の中ではちびさぼにはダントツ一番の映画との事。いかに見る側の思い入れで評価があがるかという見本ですね。
おすすめ度★★★1/2
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エレクトリック・ドラゴン80000V ELECTRIC DRAGON 8000V

2000年 日本 55分 モノクロ
監督・脚本 石井聰亙(「逆噴射家族」)
製作 仙頭武則
撮影 笠松則通
出演 浅野忠信(電気と感応し爬虫類と心を通わせる男=竜眼寺盛尊)/永瀬正敏(電気を修理し回電波をキャッチする謎の男=雷電仏蔵)(
メモ 2001.8.23 テアトル梅田
あらすじ
どういう話かってぇと、子供の頃のある事件から”目覚めた電気竜”を体内に抱かえる竜眼寺盛尊は、「トカゲやらカメレオンやら迷子の爬虫類を探す」探偵で生計を立てている。 爬虫類と心が通じるのか路地裏やら植え込みやらで迷子を探す毎日なんやけど、エレキギターを弾いて放電しないと暴力衝動から逃れられない体になっているの。 つまりせっかくの電気を蓄電しないで放電している訳。そいでもってその電気の無駄遣いにいちゃもんつけるヤツがいて、それが雷電仏蔵。こいつは無駄遣いが許せない。漏電を防ぐ仕事をしながら、日々無意味なエネルギーを使うヤツには天誅をくだしている(なんなんだこのすとーりーは)。
感想
目がチカチカ、耳がびんびんする~~(**)~~。 すんごかった。頭が痺れてよれよれ。 年寄りにはこたえる(<ここ、笑らうとこ)。

「ヘビメタって暴力行動だったの?」とか「男の、動物の根元的な衝動を描いているのか?」とか初めは考えていたんですけれど、わけわからへん。恐らく「意味なし」なんだと思う。この映画の持つ熱気と電気ショックに感応してしびれていればいいんだ。
エレキギターを弾いている、違うな、かき鳴らす、違う、かきむしり、たたきまくるうちに段々エキサイトしてきた(というよりなんだかエレクトしてきた)竜眼寺盛尊(りゅうがんじもりそん・浅野忠信)と雷電仏蔵(永瀬正敏)が「俺を怒らせるな!」 VS 「怒ったお前に会いたかったんだよ!」と怒鳴りあうシーンでは思わず(「俺をその気にさせるな!」VS「だって好きなんだもん」に聞こえる・・・)って思ってしまった。 いい男ふたりのかっこよさ(・・・・妖し系なんだろうか?)がたまらん(笑)。
見終わった後は、真夏にキムチ鍋なんぞかっくらって口から火を噴きながら「すっとしましたな」というある種爽快感がある(おやじのノリかしら)。 京の五条大橋の鬼同士の戦い(
「五条霊戦記」)より、大都会のすみっこ雑居ビルの屋上での電気竜と仏様の戦いの方が好み。竜退治の話なんかもしれん。

「またな」・・・にはまいりましたワ(いったいなんやってん)。
おすすめ度★★★1/2
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千と千尋の神隠し

2000年 日本 120分 スタジオジブリ
監督・原作・脚本 宮崎駿(みやざきはやお)
出演 荻野千尋(柊瑠美)/ハク(入野自由)/荻野明夫(内藤剛志)/荻野悠子(沢口靖子)/湯婆婆ゆばーば(夏木マリ)/釜爺(菅原文太)/リン(玉井夕海)/ススワタリ/おしらさま(ダイコンの神さま)/カオナシ/青蛙/坊
  メモ 2001.8.17 南街劇場
あらすじ
10才の荻野千尋は不満たらたら。転校したくないのに郊外の家に引っ越すため友達と別れなくてはならなかったのだ。緑深い山の中で迷子になった一家は、車を降りてトンネルをくぐる。そこは不思議な世界だった。両親と引き離された千尋は働かないと生きていけない世界に取り残され、湯治場「油屋」の下働きとなる。その湯治場は八百万(やおよろず)の神様達が骨休めをするための湯で妖怪達が毎日働いていた。つまり、神国日本の平和を妖怪達が支えていたってわけ。
感想
面白かった。特に、テンポがよく「トンネル」「橋」という異次元との通路をうまく生かして観客を虜にする前半がいい。いつもの「環境問題」っていうのが声高でないのもいい。泣きながらおにぎり食べる千に思わずこっちももらい泣きしそうになったの(嘘)。ハクの事を「きっと幼くして亡くなった千尋のお兄ちゃんなんだ。」なんていうちっぽけな話だと思っていたんですよ、さぼてんは。反省。意外なことにさぼてんが気に入ったのは父役、兄役なんです。なんかあまりにリアルな中間管理職で笑えるんです。
銭婆(ぜにーば)が顔に似合わずいい人過ぎるのが難点かな。

BSファンの7月号には宮崎監督へのインタビュー記事が載っていて「湯屋の設定にはスタジオジブリを下地にしていて、湯婆婆(ゆばーば)は鈴木プロデューサーだ。」と書いてあるのに笑う。アニメーターというのは滅私奉公なんだ。

9連休中、昨日今日と続けて朝8時前に家を出て難波の南街劇場へ通う。あーなんてステキな毎日。癖になりそう。休みが開けて真っ当な勤め人に戻れるか心配。
おすすめ度★★★1/2(ノスタルジックなアニメ映画って寂しくなるのでちょっと苦手なんです) 
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ジュラシックパーク3

2000年 米国 92分 ドリームワークス
監督 ジョー・ジョンストン (「ミクロキッズ」「ロケッティア」「遠い空の向こうに」)
出演 サム・ニール (ドクター・アラン・グラント)/ウィリアム・H・メイシー (ポール・カービー)/ティア・レオーニ (アマンダ・カービー「ディープ・インパクト」で津波に飲み込まれるTV・キャスター)/アレッサンドロ・ニヴォラ (ビリー)/トレヴァー・モーガン (エリック・カービー)/マイケル・ジェッター (ユデスキー)/ローラ・ダーン
メモ 2001.8.16 南街劇場
感想
1.軽かった。。。
2.ご都合主義だった。。。。
  あんな広い谷アリ峰アリ山アリの島で、なんでもかんでもすぐに見つかるなんて。
3.恐くなかった。。。
  「ジュラシックパーク」の「水が揺れる」恐さなんてまったくナシっ。「ジュマンジ」の監督さんらしく右へキャー、左へわぁーのどたばたどたばたした作品だった。

とまあ悪口言ってますが、面白くなかったというとこれが結構楽しめました。対宇宙人、対バケモノ、対もののけ、対怪獣、対恐竜、対おばけのドタバタした冒険活劇好きなんです。大画面で見ないで「ビデオだともっと”ちゃっちぃ”やろうなあ」 「まあお金払っただけの事はあるか。」と観客に納得させる商売ジョーズな映画だと思う(笑)。
「ジュラシックパーク2」では「恐竜映画の主役に爬虫類顔(ジェフ・ゴールドブラムの事)もってきて、どーすんねん。同士討ちやんか。」と思ったんですけれど、サム・ニールも結構爬虫類顔ですね。
おすすめ度★★★
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催眠

1999年 日本 109分 東宝
監督・脚本 落合正幸(「パラサイト・イヴ」)
原作 松岡圭祐
脚本 服田靖
出演 稲垣吾郎/菅野美穂/宇津井健
メモ 2001.8.15 WOWOW
あらすじ
奇怪な死が相次いで起こる。一見自殺とも思えるが死者達は”緑の猿”という言葉を残していた。
感想
つまんなかった。。。。稲垣吾郎の師がすべてを操っていたんだというさぼてんの読みもおおはずれだったし。
乖離性同一性障害(多重人格)っていう精神障害を、単なるホラーや娯楽作品で安易に扱っていいん? と言う所から(映画見てから言うのもなんなんですけれど)相容れない。全体にスキャンダラスで薄っぺら。原作者は心理カウンセラーだそうですが、何を意図して書いたんだろう。自分の精神の安定のためか?
あんまり好きな題材ではなく、でもって貴志祐介氏の「ISOLA」の評価も低いんです、さぼてんは。
おすすめ度★★
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生きていた男 Chase a Crooked Shadow

1957年 英国/米国 88分 モノクロ
監督 マイケル・アンダーソン
脚本 チャールズ・シンクレア/ディビス・オズボーン
音楽 マティアス・シーバー
撮影 アーウィン・ヒリアー
出演 リチャード・トッド(ウォード「舞台恐怖症」)/アン・バクスター(キム「イヴの総て」)/ハーバート・ロム(
「第七のヴェール」「暗闇でドッキリ」)
メモ 2001.8.12 WOWOW録画
あらすじ
大変な一年だったわ。アマチュア・レーサーだった兄が事故死して、父が自殺。思い出したくない。しばらく療養して叔父のいるバルセロナの別荘についたら、なんだかすがすがしくなってきた。これから新しい人生が開けるかも。・・・・と思ったのもつかの間、兄と名乗る男が別荘にずかずか入り込んでくるのよ。 兄とは似てもにつかないのに。でもいつの間にか部屋の写真もこの男のにすり替わっている。あなたいったい何者なの? 私の頭がおかしいと言うの? 
感想
WOWOWで放映されたのを、保存用にとVHSの標準モードで録画したのですが、イマイチ画像がよくない。なぜだー。
今回知ったんですけれど、舞台はバルセロナの風光明媚な海岸だったんですね。異国情緒大。
子供の頃見たっきりで長らく再見したかった作品。退屈していた覚えがあるのですが、今回見てみるとなかなか良くできている。「一歩横は絶壁の海岸道路を車でぶっとばすシーン」が記憶に残っていた通りだった。

関東の方ではTVで放映されているそうですが、関西ではさぼてんの記憶ではほとんどないように思う。ビデオがないのでTVでどんどん放映して欲しい。ミステリファンは見逃さないようがんばりましょ。
しっかし「今」見たらすぐに察しがつくとは言え、”どんでんがえし物”として有名なこの作品の結末を書いている「BSファン」はどういう了見なのだ? 制作者のダグラス・フェアバンクス・ジュニアも映画の最後に「格言に曰く『秘密が守れば、友達ふえる』。  ですから、この映画の結末は決して人に言わないように。」と言われているではないか。 映画見てるのか? 
おすすめ度あまりに有名なのでやはり押さえておきましょ★★★★
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ノスフェラトゥ

1979年 ドイツ/フランス 103分
監督・脚本 ヴェルナー・ヘルツォーク
音楽 ポポル・プー/フローリアン・フリッケ
撮影 ヨルク・シュミット・ライトヴァイン
出演 クラウス・キンスキー(ドラキュラ伯爵)/ブルーノ・ガンツ(ヨナタン)/イザベル・アジャーニ(ルーシー)/ローランド・トポール(レインフィールド)/バルター・ラーデンガスト(ドクター・ヘルシング)/ジャック・ドゥフィロ(船長)
メモ 2001.8.7 BS2録画
感想
ドラキュラ伯爵のメーキャップをしてもクラウス・キンスキーは、クラウス・キンスキーでした。
映像もお話も
「吸血鬼ノスフェラトゥ」そっくりにつくってあるんですけれど、あのように不気味ではなく映像はカラーになりご詠歌のような音楽も入り、ブルーノ・ガンツ、イザベル・アジャーニと名優をとりそろえ、映画は流れるような厭世観が漂い「いわゆる芸術」の域に達しておりました。吸血鬼ファンは旧新共におさえておきましょ。
イザベル・アジャーニの美しさは今もかわらん。あの人ひょっとすると・・・ひょっとするかも。
おすすめ度★★★1/2
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