イゾルデ

   北海道東苫小牧に建設された世界最大のテバトロン型の粒子加速器。その直径は20km、最大出力20テラ電子ボルトを誇る。責任者は獅子王麗雄博士の教え子、野崎通博士。イゾルデとは筑波高エネルギィ加速器研究機構の粒子加速器トリスタンに対応し、アーサー王物語から命名された(『トリスタンとイゾルデ』ヴァーグナーがオペラ化したことで有名)。
   テバトロンとはアメリカのフェルミ粒子加速器研究所のシンクロトロンをさす固有名詞。円形軌道状の加速リング内を真空状態に保ち、荷電粒子を電場によって加速。限りなく光速に近付けた状態で粒子同士を衝突させ、粒子自身を破壊することにより、瞬間的に発生する別の粒子の観測を行う。このとき、エネルギィが充分に大きければ、それまで無関係と思われていた現象になんらかの関連が見出せることもある。また、発生する粒子は微弱かつ短命であることが多いので、それらを増幅し、短時間内の正確な観測が必要となるため観測施設は必然的に巨大化してしまう。
   電荷を帯びた粒子の軌道を曲げると、粒子のエネルギィが電磁波の放出として失われ、充分な加速ができないため、カーブが緩やかな円形を採用している。