ペイ・ラ・カイン

 ソール11遊星主の一人。マモル少年の実父にして緑の星の指導者であったカインを基に造りだされた恒星系再生復元プログラムの一員である。その外観はもとより、記憶や能力に至るまでオリジナルのカインと同一であるが、唯一思考に関しては遊星種の忠実なる一員たるよう改造調整が加えられているものと思われる。またオリジナルのカインは自身の力で超能力を行使したが、ペイ・ラ・カインは内部に搭載されたラウドGストーンを原動力として機能している。しかし、Gパワーによる基本的性質は共通しているため、ペイ・ラ・カインもGストーン搭載型マシンとの同調―即ち、フュージョンが可能であり、加えてヘル・アンド・ヘヴン・ウィータ、そして浄解も行うことが出来るものと思われる。三重連太陽系の再生復元に当たっては、再生復元完了の後、三重連太陽系に居住する知的生命体の指導、監督を行うことが想定されていた。パルス・アベルが三重連太陽系再生復元の推進役であるとするなら、ペイ・ラ・カインは再生復元した三重連太陽系を継続的に維持する役割が課せられているといえよう。
 それらと同等以上に重要な任務が、ペイ・ラ・カインには与えられていた。機界昇華の終結を超次元的な何らかの手法によって察知したソール11遊星主は、任務の遂行にあたり、最大の障害と想定されるもの、つまり自身のセーフティアンチプログラムであるジェネシックガオガイガーの起動の掣肘を試みた。遊星種に対して絶対的な優位を誇るジェネシックガオガイガーの起動を許すことは、それ自体三重連太陽系再生復元の失敗を意味している。ペイ・ラ・カインには、オリジナルのカイン同様の能力を持つというその特性に従って、ジェネシックガオガイガーを無力化することが求められていたのである。それは「父」の顔によるラティオ―マモル少年の懐柔であり、カインの後継者―獅子王凱への精神的な打撃であり、そしてギャレオンとのフュージョンであった。Gストーンは勇気ある者の心に反応し、その心がくじけない限りにおいて無限のエネルギィを発振するという特性を持つ。それは同時に持つ者の心を砕くことで、容易に無力化が可能であることも指し示していた。
 だが、優しく包容力はあっても「心」がないペイ・ラ・カインを、マモル少年は「父」だと思うことが出来なかった。獅子王凱はたとえ身体を砕かれケミカルボルトで洗脳されようとも、奇跡の浄解を受けて立ち上がってきた。そしてギャレオンは、彼が主たることを拒否した。勇気とは心の一つの状態である。それを砕くことはたやすいかもしれない。しかし、同時に勇気とはもがきあがく不屈の生命力そのものである。生きたいと願う心が力になる。Gストーンとはそもそもそういうものなのだ。だからそれを否定し、打ち砕こうとする者をギャレオンが受け入れることはありえない。
 全ての策が敗れたとき、ペイ・ラ・カインは実力行使によってGGGの排除を試みた。それを迎え撃ったマモル少年は怒りや憎悪ではなく、むしろ悲しみをもって彼を討った。それは「心」持つ者の傲慢かもしれない。それでももし、ペイ・ラ・カインが「父」と同じ心をもっていたなら、共存への道はひょっとしたら開けていたかもしれないのだ。
 ピサ・ソールゴルディオンクラッシャーによって消滅したことで、物質再生波動が途絶え、構造を維持できなくなり消滅した。ある程度自律的な意志を有してはいたようだが、パルパレーパやパルス・アベルほど人格を感じさせる事はなかった。これはオリジナルのアベルが有していたオリジナル・カインへの複雑な感情が、遊星種の指導者であるパルス・アベルに受け継がれ、それが彼女にペイ・ラ・カインへの精神的な改造調整を行わせたためであると推測される。
 ジェネシックギャレオンへの抑止策を優先するため、フュージョンする専属マシンを保有しない。
 声優は音響監督の千葉耕市さん。FINAL第6話以降は大木民夫さん。