軽トラ
植木屋の最小限の必需品といえば、木鋏、刈込み鋏、鋸、等の刃物類。大中小の脚立。竹箒、熊手、箕(み)、などの掃除道具、そして軽トラがあればいい。
軽トラはロープを使えばほとんどの脚立を積むことが出来るし、荷台の両脇にコンクリートパネル等の板を立てれば、普通の家の剪定ゴミ程度なら積んで帰ることが出来る。
だから原理的には植木屋は、軽トラとハサミと脚立とホウキさえあれば商売が出来るのだ。大工や鳶だったらこうはいかない。大工は本式の鑿(のみ)や鉋(かんな)を揃えると100万は下らない。鳶は鋼管や丸太を保管しておく倉庫がなければ仕事にならない。
盆休みに帰省した折りに中古の軽トラを買った。元ディラーをやっていた父親があちこち回って探してくれた。平成元年車、6万9千`、ホンダ・アクティ、25万円。これで心おきなく日曜日にバイトが出来る。
いま勤めている造園会社は、理不尽なことが多いので、いつでも辞めて独立できるよう、少しずつ準備を整えている。そのひとつがこの軽トラで、やっと出たなけなしの夏のボーナスまるまる注ぎ込んで買った。
軽トラには当たり前だが荷台がある。これにシートを被せれば、中にいろんな道具をしまっておける。2mもののアルミの脚立。これは実家の庭の手入れ用に買って置いたものを、そのまま積んで帰ってきた。それからいつでも竹垣の仕事ができるように、柱立て用の二丁スコップと剣スコップを買った。くり針と墨縄も買った。荷用ロープと箒も買った。後は客が付くのを待つだけだ。それをどうするかだ。目を光らせろ。40歳。
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