現場日記14【伐採】
今日は緑地公園の伐採仕事。どぶ川を越えて、団地の道路にかかったクヌギ、シロダモ、カキ、イヌシデを根際から伐採する。横枝を下ろした後、4tクレーンにワイヤーをつけて幹を吊りながらチェンソーを入れる。切れないチェンソーは煙をあげる。切り屑にまみれながら目だけは追い口からそらさない。重心が動くとき木は音を上げる。その音は身体の真中に伝わり、腹の底から声になる。「いくぞ!」とクレーンを操作する者に伝え、一気に追い込む。根から離れた幹はもう丸太だ。丸太が団地の空をゆっくり移動する。そのまま4tの荷台に載せ、荷台に合わせて丸太を切る。
クレーンを使わないときは、樹高の二倍以上のロープを張り、何人かに引っ張ってもらって倒す。さほど太くない木はそのまま斜めに切り込むが、チェンソーの刃が回らないような大木は、初めに三角の「受け口」を作る。この受け口の深さと角度で木の倒れる方向が決まる。そして反対側から切り込んでゆくわけだがこれを「追い口」と言う。追い口を受け口まで切り込む前に木の重心は崩れる。この時を合図に引っ張り手は引く。そうすると追い口と受け口の間の切り残しが、ちょうど蝶つがいの役目をする。この蝶つがいの役目をする木の部分を「つる」と言う。つるをうまく使って木の倒れる方向と速度を調節する。思う場所までじんわり誘導したら最後の追い口を入れ、一気にロープを引く。地響きを上げて巨人は倒れる。、空が明るく入り、何ともいえぬ静けさが来る。狩の成功と無事に感謝し、それから解体作業に入る。
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