述語論理 predicate logic の統語論:項・論理式 : トピック一覧  

 
原子論理式 
論理式/D拡大論理式/ 部分論理式 / 論理式の形成木 /


n個の命題変数から帰納的に定義される論理式     

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定義 : 項term   


ビギナー向け

・述語論理において term とは、
  個々の個体変項
  ないし
  個々の個体定項
  ないし
   関数記号・演算記号で定項・変項を結合したかたまり  
 のこと。



 個体定項

  


 個体変項



 関数記号・演算記号個体定項個体変項 を結合したかたまり


厳密に  

「項の帰納的定義・回帰的定義」

 下記[条件1][条件2][条件3]によって、termとされるものだけがtermである。

   [条件1] 個体変項termである。
        
   [条件2] 個体定項termである。

   [条件3] fn項の関数記号t1,…,tntermとすると、
        f(t1,…,tn)はtermである。
・高崎「『項』は最終的に述語に 変項として代入され得るものすべてを指し」[2.1 項の帰納的定義]

【閉項closed terms】

 閉項closed termsとは、自由変数を含まない項のこと[松本]





【文献】  
 ・清水『記号論理学』§2.1-項の定義:(p.42)項"term"
 ・林晋『数理論理学』1.2.1項-定義1.1(pp.5-6):項
 ・高崎金久『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.1 項の帰納的定義
 ・鹿島『数理論理学』2.1(pp.20-22)
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122);7.1.6(p.173):提示しているのが、関数記号のない仕組みなので、項は、定項と変項からなる。シンプル。
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"2.1-Formulas(p.74)
 ・松本『数理論理学』2.1.A.a.定義1(p.27)「1.対象定数は項である。2.自由変数は項である。3.t1,…,tnが項であり、fnがn変数の関数記号であればfn(t1,…,tn)は項である」



 




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定義:原子論理式・原子式 atomic formula・要素式 elementary formula 
        素論理式 prime formula ・基本述語 atomic predicate


原子論理式・原子式 atomic formula  
 要素式 elementary formula  
 素論理式 prime formula  
 基本述語 atomic predicate  
 とは、
 
 論理記号を含まない論理式 [松本]、

 具体的には、   

  1項述語 P (t) 
  2項述語 P (t1,t2)
   :
  n項述語 P (t1,t2,…,tn)
   :
 のこと。





【文献】
 ・清水『記号論理学』§2.1-要素式の定義:(p.42)要素式elementary formula 「Pinを述語記号とし、t1,…,tnを各々項とするとき、Pin t1,…,tnを要素式という。 」
 ・林晋『数理論理学』1.2.2式-定義1.2(pp.7-9):論理記号、限量子、論理演算子「P(t1,…,tn)という形をした式を原子式あるいは原子論理式といい、t1,…,tnをPの引数という」
 ・鹿島『数理論理学』2.1定義2.1.2(pp.22-27)
 ・戸次 『数理論理学』解説5.9(p.82):「基本述語」atomic predicate
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122)
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)「原子論理式 atomic formula」「命題定数(矛盾記号)とpt1…tnの形の論理式のことを原子論理式atomic formulaといいます。」
 ・松本『数理論理学』2.1.A.a.定義2(p.28)素論理式prime formula「定義2の1)でつくられた(論理記号を含まない)論理式P(t1,…,tn)を素論理式prime formulaという。」



 





述語論理における論理式formula, logical formula ・整論理式  well-formed formula (wff) 



「論理式の帰納的定義・回帰的定義」

 下記[条件1][条件2][条件3]によって、論理式とされるものだけが論理式である。

   [条件1] 原子論理式論理式である。

       * この論理式の真理値は? → 真理値決定原理(1) 
        
   [条件2] A,B論理式であるならば、AB,AB,AB,¬A はおのおの論理式である。

       *しつこく言うと、
        ・A論理式であるならば、¬A論理式である。
            * 論理式¬Aの真理値は? → 《¬論理式》の真理値定義 
        ・A,B論理式であるならば、AB論理式である。
            * 論理式ABの真理値は? → 《論理式∧論理式》の真理値定義 
        ・A,B論理式であるならば、AB論理式である。
            * 論理式ABの真理値は? → 《論理式∨論理式》の真理値定義 
        ・A,B論理式であるならば、AB論理式である。
            * 論理式ABの真理値は? → 《論理式⇒論理式》の真理値定義 
   [条件3] A論理式、ξを個体変項とすると、ξ A , ξ A はおのおの論理式である。

【どういうこと?】

   [条件1]における命題記号原子式を、
     n個の命題変数P1,P2,...,Pn
   に限定した、
    n個の命題変数から帰納的に定義される論理式
   の説明を参照。 

【略記号】
  ⇔:  (ABBA)の略記号として、(AB)が用いられる。
      名称「双条件法biconditional」[戸田山pp.42-3;cf.論理的同値logically equivalentp.50] 
                「同値」equivalence[清水p.14≡を使用]
      →その真理値表は?
     
   :排他的選言(論理和)exclusive disjunction 戸田山p.39;






【文献】
 ・高崎金久『数 理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.2 論理式の帰納的定義 :論理式・原子論理式(原子式)・閉論理式(文)
 ・林晋『数理論理学』1.2.2式-定義1.2 (pp.7-9):式・原子式・原子論理式
   (1)t1,…,tnが項であり、Pが述語記号であるならば、P(t1,…,tn)は式である。 *注: P(t1,…,tn)は、Pの項数がnのときのみ式であるとする
   (2)A,A1,A2が式であるならば、¬A,A1∨A2,A1∧A2,A1⇒A2は式である。
   (3)Aが式で、xが個体変数であるとき、∀x.(A), ∃x.(A)は式である。
 ・鹿島『数理論理学』2.1定義2.1.2(pp.22-27)
  (1)命題記号は論理式である。
  (2)t1とt2が項であるならば、
    t1=t2, Q(t1),t1<t2, P(ti),R(t1,t2)の五つはいずれも論理式である。
  (3)φとψが論理式でxが変数記号ならば、
     矛盾記号、¬φ、φ∧ψ、φ∨ψ、φ⇒ψ、∀x φ、∃xφ 
    の七つはいずれも論理式である。
  (4)以上の(1)〜(3)に該当する記号列以外は論理式ではない。
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122);7.1.6(p.173)
   (1) 一つの述語記号の後ろに一つの項をおいたものは論理式である。これを原子式と呼ぶ。
   (2) A,Bを論理式とすると、A∧B, A∨B, A⇒B,¬A はおのおの論理式である。
   (3) Aを論理式、ξを個体変項とすると、∀ξA, ∃ξAはおのおの論理式である。
   (4)  (1)(2)(3)によって論理式とされるもののみが論理式である。
     *(3)だと、量化子で束縛した変数が、スコープに含まれないケースも許容することになる。[5.3.2p.124]
       →vacuous occurence[p.125]


 ・清水『記号論理学』§2.1-論理式の定義:(p.43)論理式well formed formula略してwff
  下記[条件1][条件2]によって、論理式とされるものだけが論理式である。
   1)要素式は論理式である
   2)A,Bを論理式とすると、A∧B, A∨B, A⇒B,¬A, ∀xi(Axi),∃xi(Axi)の各々は論理式である。
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"2.1(p.75)
     The set of well formed formulas(wffs, or just formulas) is
       the set of expressions that can be built up  from the atomic formulas
          by applying (zero or more times ) the operation ε¬、ε⇒, and Qi (i=1,2,…).   



 

  [戸田山「帰納的定義」;A,Bはメタ論理的変項meta-logical variable図式文字schematic letter。論理式を代入する場所である点に注意。]  

 * 結合の順序を示すために、( )が使われるが、
  結合の順序についての下記規則を用いて、( )が省略されることもある。 [戸次解説3.17-18(p.26)]
   ・ことなる論理記号間の結合の順序: ¬ > > >
   ・⇒は右結合: たとえば、P⇒Q⇒RはP⇒(Q⇒R)
     [高崎金久『数理論理学入門』III. 命題論理の意味論(その1)-3.2優先順位による括弧の省略は「たとえば p⇒q⇒r を p⇒(q⇒r) の略記法として 用いる記法もあるが,これはここでは採用しない」]




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D拡大論理式   



・《一階述語論理の言語LにおけるD拡大項 とは、
 
  《一階述語論理の言語L個体定項として設定した諸記号に、
  《L議論領域Dに属す要素の名前をすべて個体定項として追加する 

 という処理によって新たに設定した《一階述語論理の言語》におけるのこと。

・《一階述語論理の言語LにおけるD拡大論理式 とは、
 
  《一階述語論理の言語L個体定項として設定した諸記号に、
  《L議論領域Dに属す要素の名前をすべて個体定項として追加する 

 という処理によって、
 新たに設定した《一階述語論理の言語》における論理式のこと。
 





【文献】  
 ・鹿島『数理論理学』2.1(pp.20-22)定数記号;定義3.2.1拡大項、拡大論理式(p.43)
   定数記号を表2.1(p.21)で定めた   
     two, three, six, unity, rt, zero, omega
    に、あらかじめ限定。
    対象領域をDとして、
    対象領域Dの要素の名前をすべて定数記号として認めたうえの項を、
      「D拡大項」
    対象領域Dの要素の名前をすべて定数記号として認めたうえの論理式を、
      「D拡大論理式」
    と呼ぶ。



 





閉論理式closed formula (文sentence)と開論理式open formula  


;






【文献】
 ・清水『記号論理学』§2.1-論理式に関連した用語:(p.43)論理式well formed formula略してwff
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.2(p.125)closed formula 閉論理式
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1(p.61)「狭い意味の閉論理式closed formula」



 

  




述語論理における部分論理式 subformula





論理式A(P1,P2,...,Pn)の部分論理式subformula とは、

    A(P1,P2,...,Pn)の形成木の各ステップで認定したP1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」  

 のこと。

・戸田山は、
  論理式A(P1,P2,...,Pn) そのものは、「論理式A(P1,P2,...,Pn)の部分論理式」と呼ばない
 としているが、

 松本は、
  論理式A(P1,P2,...,Pn) そのものも含めて、「論理式A(P1,P2,...,Pn)の部分論理式」と呼ぶ
 と明言している。







【文献】
 ・林晋『数理論理学』1.2.1 (p.1):部分式
 ・古森小野『現代数理論理学序説』定義2.1.3狭い意味の部分論理式(p.61)、定義2.1.6(p.62)「部分論理式subformula」



 
 

述語論理における論理式の形成木 formation tree, ancestral tree

戸田山『論理学をつくる』5.3.2(p.123)


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n個の命題変数から帰納的に定義される論理式


ビギナー向け

 n個の命題変数から帰納的に定義される論理式[戸田山p.55]とは、
 《高々n個の命題を表す文字》と《それらを結合する論理記号》だけで表せる論理式 のこと。   

厳密な定義

n個の命題変数P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式[戸田山p.55]とは、

 「論理式の帰納的定義・回帰的定義」の[条件1]における命題記号原子式を、
   n個の命題変数P1,P2,...,Pn
 に限定したときに、

 「論理式の帰納的定義・回帰的定義」によって定義される論理式のこと。
【具体的には…】
 →1個の命題変数から帰納的に定義される論理式  
 →2個の命題変数から帰納的に定義される論理式

* 論理式真理値は?→ 論理式の真理値の決定原理 




【文献】
 ●戸田山『論理学をつくる』3.5.1真理値分析とは何を やることだったのか3.5.2真理値割り当て(pp.55-8):真理値割り当てから、真理値分析でやっていたことを理解すると。。。
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"1.1(pp.16-19):"a well-formed-formula (or simply formula or wff)";"the formula-building operations (on expressions)",a wff's"ancestral tree","a construction sequence"(p.17) 

 ・野矢『論理学』1 -1-4付論2(p.45):5個の命題変数から帰納的に定義される論理式は、全部で42億9496万7296通りにのぼる。 
 



 


・つまり、
 「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」とは、
 下記[条件1][条件2]によって「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」と認定されたもの。

    [条件1] 命題変数P1,P2,...,Pnの各々は「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」である。

       * この論理式真理値は? → 真理値決定原理(1) 

    [条件2] A,Bが「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」であるならば、
          AB,AB,AB,¬Aは「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」である。

       *しつこく言うと、
        ・Aが「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」であるならば、¬Aは「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」である。
            * ¬A真理値は? → 《¬論理式》の真理値定義 
        ・A,Bが「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」であるならば、ABは「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」である。
            * AB真理値は? → 《論理式∧論理式》の真理値定義 
        ・A,Bが「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」であるならば、AB は「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」である。
            * AB真理値は? → 《論理式∨論理式》の真理値定義 
        ・A,Bが「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」であるならば、AB は「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」である。
            * AB真理値は? → 《論理式⇒論理式》の真理値定義 

厳密な定義を具体的に展開

・「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の上記定義は、
   ・個々の「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」は、下記プロセスの各ステップによって認定されていくこと、
   ・「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」と認定される対象の全範囲は、
     下記プロセスの無限継続の果てに「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」と認定された対象の全軌跡であること
 を意味している。

・下記プロセスは、
    (step1)で[条件1]によって「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」のタネを蒔き、
    (step2)以降で繰り返し[条件2]を適用することで、「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」を増殖させていく
 という過程になっている。

・下記プロセスを(step-n)まで継続すると、
  「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」と認定される範囲は、
   最もシンプルなかたちの《P1,P2,...,Pnすべてを含む論理式》に到達する。
 より複雑なかたちの《P1,P2,...,Pnすべてを含む論理式》であっても、その複雑さに見合うまで下記プロセスを継続すれば、
   そこまで、「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」と認定される範囲は、到達する。
 だから、下記プロセスの無限継続の果てに「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」と認定される範囲は、
    あらゆる《P1,P2,...,Pnすべてを含む論理式》をカバーする。

【認定プロセス】
  
 [条件1]より、 P1,P2,...,Pnの各々を「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定。…(step1) 

    * ここで認定されたP1,P2,...,Pnの各々の真理値は、真理値決定原理(1)によって定まる。 

 《(step1)で「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定された P1,P2,...,Pnの各々を、
  かわるがわる[条件2]A,B に代入し、
  代入するたび毎に、 
       AB,AB,AB,¬Aが表す対象  (その列挙は省略)
  を、
  「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定。…(step2)

    *  (step2)での認定と同時に、
       真理値決定原理(2-1)〜(2-4)に従って、
       (step2)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の真理値が、
       (step1)で認定され、真理値も確定した「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」をもとに、
       定まる。 

 (step1)(step2)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の各々を、
  かわるがわる[条件2]A,B に代入し、
  代入するたび毎に、 
       AB,AB,AB,¬Aが表す対象  (その列挙は省略)
  を、「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定。…(step3)

    *  (step3)での認定と同時に、
       真理値決定原理(2-1)〜(2-4)に従って、
      (step3)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の真理値が、
       (step1)(step2)で認定され、真理値も確定した「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」をもとに、
      定まる。 

 (step1)(step2)(step3)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の各々を、
  かわるがわる[条件2]A,B に代入し、
  代入するたび毎に、 
       AB,AB,AB,¬Aが表す対象  (その列挙は省略)
  を、「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定。…(step4)

    *  (step4)での認定と同時に、
       真理値決定原理(2-1)〜(2-4)に従って、
      (step4)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の真理値が、
       (step1)(step2)(step3)で認定され、真理値も確定した「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」をもとに、
      定まる。 
 
 (step1)(step2)(step3)(step4)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の各々を、
  かわるがわる[条件2]A,B に代入し、
  代入するたび毎に、 
       AB,AB,AB,¬Aが表す対象  (その列挙は省略)
  を、「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定。…(step5)

 
 
 
 
【具体的には…】
 →1個の命題変数から帰納的に定義される論理式  
 →2個の命題変数から帰納的に定義される論理式

論理式の形成木 formation tree, ancestral tree


論理式A(P1,P2,...,Pn)の形成木formation tree とは、

  A(P1,P2,...,Pn)がP1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定されるに至ったプロセスを、

  P1,P2,...,Pnの認定ステップから、
  A(P1,P2,...,Pn)そのものの認定ステップまで、
  再現してたどり直し、
  各ステップで認定したP1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」を特定した履歴のこと。
【具体的には…】
 →1個の命題変数を含む論理式の形成木  
 →2個の命題変数を含む論理式の形成木




【文献】
 ●戸田山『論理学をつくる』2.2.2(p.26);3.5.2真理値割り当て(p.57)
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"1.1(pp.16-19):"a well-formed-formula (or simply formula or wff)";"the formula-building operations (on expressions)",a wff's"ancestral tree","a construction sequence"(p.17) 



 


【例】論理式 ((P1P2)⇒(P1P2))⇒P1 の形成木とは、
    ((P1P2)⇒(P1P2))⇒P1論理式に認定されるに至った下記プロセスのこと。 

 [条件1]より、 P1,P2の各々を「P1,P2から帰納的に定義される論理式」に認定。…(step1) 

    * ここでの認定されたP1,P2の各々の真理値は、真理値決定原理(1)によって定まる。 

 (step1)で「P1,P2から帰納的に定義される論理式」に認定された P1,P2を、[条件2]の「AB」の A,B に代入した「P1P2
  (step1)で「P1,P2から帰納的に定義される論理式」に認定された P1,P2を、[条件2]の「AB」の A,B に代入した「P1P2
  を、
  「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定。…(step2)

    *  (step2)での認定と同時に、
       真理値決定原理(2-1)〜(2-4)に従って、
       (step2)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の真理値が、
       (step1)で認定され、真理値も確定した「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」をもとに、
       定まる。 

 (step2)で「P1,P2から帰納的に定義される論理式」に認定された「P1P2」「P1P2」を[条件2]の「AB」の A,B に代入した(P1P2)⇒(P1P2)を「P1,P2から帰納的に定義される論理式」に認定。…(step3)

    *  (step3)での認定と同時に、
       真理値決定原理(2-1)〜(2-4)に従って、
      (step3)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の真理値が、
       (step1)(step2)で認定され、真理値も確定した「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」をもとに、
      定まる。 

 (step1)(step3)で「P1,P2から帰納的に定義される論理式」に認定された「(P1P2)⇒(P1P2)」「P1」を、
  [条件2]の「AB」の A,B に代入した「((P1P2)⇒(P1P2))⇒P1 」を、
  「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定。…(step4)

    *  (step4)での認定と同時に、
       真理値決定原理(2-1)〜(2-4)に従って、
      (step4)で認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の真理値が、
       (step1)(step2)(step3)で認定され、真理値も確定した「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」をもとに、
      定まる。 


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