一階述語論理の統語論 ― 言語(記号集合)の設定 : トピック一覧   

《一階述語論理の言語》《記号集合》Lを定めるとは… 
《第一階述語論理の言語》の基本記号   
「個体定項/個体定数 individual constant」「定数記号constant symbol」「名前name  
「個体変項/個体変数 individual variable」「変数記号」
「関数記号 function symbol」「演算子 operator
述語記号
論理記号   

 * 論理関連ページ:
   論理記号一覧  
 * 論理目次/総目次/更新履歴 
  
一階述語論理 predicate logic 全般の目次 
←【一階述語論理の統語論syntax
← 1.記号(言語)の設定 
  2.項と論理式  
  3.代入
 【一階述語論理の意味論semantics
  1.記号の指示対象の設定:「構造」
  2.論理式の真偽
 【一階述語論理の証明論proof theory


《第一階述語論理の言語 first order language》を定める


「言語を定める」「記号のセットを定める」って、どういうこと?

・書籍・論文・板書…等、
 何らかの場面で、
 我々が一階述語論理をつかって考えを伝達するとき、
 少なくともその場面を共有している《書き手》《読み手》のあいだで、
 使用される記号のセットについての共通了解があらかじめ定められている必要がある。

・少なくともその場面を共有している《書き手》《読み手》のあいだで、
 使用される記号のセットについての共通了解をあらかじめ定めておくことを、
 《一階述語論理の言語 first order language》を定める[古森小野・松本]
 《一階述語論理の記号集合》を定める[高崎]
 などという。

《言語》《記号のセット》のラベル




【文献】
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)定義2.3.1構造structure(p.79)「定数記号」「言語Lの構造Aの個体cの名前name」
 ・松本『数理論理学』2.1.A.a.定義2(p.28)
 ・高崎金久『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.3記号集合  

 ・戸田山『論理学をつくる』5.3述語論理のための言語をつくる 5.3.1言語MPLの定義 【MPLの語彙】(p.122):関数記号がない仕組みを提示。 



 





・それぞれの《一階述語論理をつかう場面》を共有している《書き手》《読み手》のあいだでは、
 単一の《使用される記号のセット》についての共通了解が必要だが、
 別の《一階述語論理をつかう場面》には、
 また別の《使用される記号のセットが定められていてもかまない。

・ここに、《使用される記号のセットの《場面に応じた多様性》が生じる。

・個々の《一階述語論理をつかう場面》ごとの《使用される記号のセット》を、区別して指し示すために、
 特定の《一階述語論理をつかう場面》で《書き手》《読み手》の共通了解として定められた《使用される記号のセット》に、
  L,L',…などとラベルをつけることがある。

・「《一階述語論理の言語》L」などという表現は、
 《一階述語論理の言語》一般を指しているのではなく、
 この特定の《一階述語論理をつかう場面》で《書き手》《読み手》の共通了解として定められた《使用される記号のセット
 を指したもの。



「言語を定める」「記号のセットを定める」ということのディテール


・特定の《一階述語論理の言語》Lを定めるとは、
 具体的には、
 下記の目的ごとに、Lで使用する記号を、決めておくこと。

 1.個体定項を表すために使用する記号のセット
   詳細→「個体定項/個体定数individual constant」「定数記号」「名前name」  

 2.個体変項を表すために使用する記号のセット
   詳細→「個体変項」「個体変数」「変数記号」 

 3.関数・演算子を表すために使用する記号のセット
   詳細→「関数記号function symbol」「演算子operator」  

 4.述語を表すために使用する記号のセット 
   詳細→「述語記号」   

 5.論理記号のセット。

・上記5項目のうち、
  5.論理記号のセットは、
   だいたい、¬∧∨⇒∀∃で、
   ちがっても、せいぜい、¬が〜になったり、⇒が⊃になったりする程度で、
   どのような場面で使われる《一階述語論理の言語》でも、それほど変わらない
  2.個体変項を表すために使用する記号のセットも、x,y,z などで、 
   どのような場面で使われる《一階述語論理の言語》でも、それほど変わらないし、
   ちがったところで、その特定の《一階述語論理の言語》を特徴付けることもない
 ので、
 特定の《一階述語論理の言語》Lを定めるとは、実質的には、
  1.個体定項を表すために使用する記号のセット
  3.関数・演算子を表すために使用する記号のセット
  4.述語を表すために使用する記号のセット 
 を決めること、と言ってよい。[古森小野p.59][松本p.28]

・上記5項目の記号のセットを、集合としてあらわすことがある。
 たとえば、
  1.個体定項を表すために使用する記号のセットを、Const   
  2.個体変項を表すために使用する記号のセットを、Var   
  3.関数・演算子を表すために使用する記号のセットを、Func   
  4.述語を表すために使用する記号のセットを、Pred 
 など[高崎;林p.51]。





【文献】
 ・古森小野『現代数理論理学序説
   2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)
     ・《第一階述語論理の言語》Lを決めるとは、(1.個体定項なし)2.個体変数 3.関数記号 4.述語記号 5.論理記号を決めること[古森小野p.59]
     ・2.個体変数 5.論理記号はどの理論にも共通なので、実質的には、使われる3.関数記号,4.述語記号を決めることが、第一階述語論理の言語を決めること。[古森小野p.59]   
   定義2.3.1構造structure(p.79)「定数記号」「言語Lの構造Aの個体cの名前name」
    《第一階述語論理の言語》Lの構造Aの個体のすべての名前(個体定項) を付け加えたものを、L(A)と書いて区別している。[古森小野p.79]
 ・松本『数理論理学』2.1.A.a.定義2 (p.28)
    (1)対象定数(2)自由変数(3)束縛変数(4)関数記号(5)述語記号(6)論理記号によって数学理論で用いられることばが形式的に表される ことになる。
    普通(2)自由変数(3)束縛変数(6)論理記号はいろいろの理論を扱うとき一定しているので、
    (1)対象定数(4)関数記号(5)述語記号の記号の個数や種類を定めたとき、一つの言語languageLが定められたとい う。」
 ・高崎金久『数 理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.3記号集合   



 ・戸田山『論理学をつくる』5.3述語論理のための言語を つくる 5.3.1言語MPLの定義 【MPLの語彙】(p.122):関数記号がない仕組みを提示。 



《一階述語論理の言語》のなかに、《1.個体定項を表すために使用する記号のセット》を含めない流儀もある。
 この流儀では、個体定項を、《一階述語論理の言語》領域に属すものと見ている。
 《一階述語論理の言語》領域は、《一階述語論理の言語》そのものに備わる属性ではなく、 
                 《一階述語論理の言語》を解釈する際の意味論的構造の属性であるから、
 どの意味論的構造に依拠して《一階述語論理の言語》を解釈するかによって、
 《一階述語論理の言語》領域は、色々変わる。
  だから、個体定項《一階述語論理の言語》領域に属すものと見なす立場からすると、
      個体定項は、《一階述語論理の言語》意味論的構造の選択に依存することになる。
 《一階述語論理の言語》は、様々な意味論的解釈構造にたいする中立性を保持して定義されるべきだから、
 意味論的構造の選択に依存した要素は、《一階述語論理の言語》から排除しなくてはならない。
 こういう次第で、この流儀では、
  《一階述語論理の言語》に、《1.個体定項を表すために使用する記号のセット》を含めない。
 
 かわりに、
 《一階述語論理の言語》Lを解釈する際に選択した意味論的構造A領域に属すすべてのものの名前を
 《一階述語論理の言語》Lに付け加えた、  
 L(A)
 という概念をLとは別に定義する[古森小野『現代数理論理学序説』定義2.3.1構造structure(p.79)]

 *一階述語論理の言語》のなかに、《1.個体定項を表すために使用する記号のセット》を含める流儀であっても、
  特定の《一階述語論理の言語》Lの《1.個体定項を表すために使用する記号のセット》が、
    《一階述語論理の言語》Lを解釈する際に選択した意味論的構造A領域に属すすべてのものの名前
  をカバーしている保証はないので、
  L意味論的構造選択の時点で、その領域に属すすべてのものの名前をLに追加する
  ということがおこなわれる。[→鹿島『数理論理学』定義3.2.1拡大項・拡大論理式(p.43)変数記号]


《第一階述語論理の言語first order language》の基本記号primitive symbol

《第一階述語論理の言語 first order language》の基本記号  
 とは、
  個体変数 
  関数記号
  述語記号  
  論理記号 

  その他の記号(,)  
 のこと。[古森小野]

 





【文献】
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)



 






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「個体定項/個体定数 individual constant」「定数記号constant symbol」「名前name」   


【《一階述語論理の言語》への組み込まれ方に着目した説明】

 ・《一階述語論理の言語》において「個体定項/個体定数individual constant」 とは、
     ・単独
     ないし
     ・《関数》との結合
     ・《関数》と他の《個体定項》《個体変数》との結合
  でを構成し、
  述語の変項に代入される記号のこと。
  [高崎『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.1 項の帰納的定義:着想 ]

【意味に着目した説明】

 ・「個体定項/個体定数individual constant」 は、
   《特定の個体》を表すために使われる記号・名前である点で、
  「個体変項/個体変数individual variable」から区別される。

 ・「個体定項/個体定数individual constant」 の例として、
    円周率を表す定数「π」[林]
    固有名詞「ソクラテス」[林]。
    自然数「0」「1」「2」…[松本]
  をあげられる。  

 ・「個体定項/個体定数individual constant」は、
   《特定の個体》を表す記号である以上、
   これらの記号を使っている場面で話題になっている《特定の領域
   と深くかかわりあっている。
   ところが、
   この《特定の領域》は、
   予め選択された《一階述語論理の言語》の《意味論的解釈構造の選択の問題圏》に属し、 
   《一階述語論理の言語》の設定選択の問題圏を既に超えてしまっ ている。

  「個体定項/個体定数individual constant」の意味上の定義
     「《特定の個体》を表す記号」
  を実質的に把握しようとすると、
  一階述語論理の意味論に踏み込まざるをえなくなってくる。

  (「πやソクラテスは、その固有の意味を持っているが、
    ここでは個体定数とは、
    そのような特定の個体を表すために使ってよい名前に過ぎず、
     あらかじめ固有の意味を持つわけではない」[林]とは、この云いか?)

  こうした次第で、
  《個体定項を表すために使用する記号のセット》を
  そもそも《一階述語論理の言語》のなかに含めないテキストもある
    [古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一 階述語論理の言語(p.59)]。
  このようなテキストでは、
  一階述語論理の意味論のなかで、
  特定の《一階述語論理の言語》の意味論的解釈構造を選択したあとで、
  その意味論的解釈構造領域に属すすべてのものの名前を個体定項として
  当該《一階述語論理の言語》に付け加えた新たな言語を定義する   
  といった進み行きになる。
    [古森小野『現代数理論理学序説』定義2.3.1 構造structure(p.79)]

【記号選択の要件・指針】

  ・特定の《一階述語論理の言語》に個体定項として設定される記号の個数:
     0個でもかまわない[Enderton]
  ・アルファベット小文字a,b,c,…、
   ないし、アルファベット小文字に添字を付けた記号a1,a2,a3,… 
   を使うことが普通。[林]

【他の名称】

  ・"individual constant"は、
    「個体定項」「個体定数」のほか、
    「個体常項」「対象定数」などとも訳される。

  ・"individual constant"は、
    「constant symbol定数記号」「name名前」などとも呼ばれる。

【別の定義】

 ・「個体定項/個体定数individual constant」 を、0変数関数記号と定義してもよい。
   [古森小野/Enderton]

   "In B.2, the constant symbols are also callsed 0-place function symbols.
    This will often allow a uniform treatment of the symbols in B.2 and B.3."
     [Enderton p.70]





【文献】  
 ・清水『記号論理学』§2.1-述語論理に現れる記号2):(pp.41-42)個体常項individual constant.説明はなし。
 ・林晋『数理論理学』1.2.1項-定義1.1(pp.5-6):個体定数 「個体定数とは」「特定の個体を表すために使ってよい名前」「円周率を表す定数πとか、ソクラテスのような固有名詞だと考えればよい」
 ・高崎金久『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.1 項の帰納的定義 :定数記号 
 ・鹿島『数理論理学』2.1(pp.20-22)定数記号;定義3.2.1拡大項、拡大論理式(p.43)
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122)「個体定項」;7.1.6(p.173)
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"2.1(pp.69-73)"constant symbols"
  ・松本『数理論理学』2.1.A.a.(1)対象定数individual constant。(p.27)
 ・戸次 『数理論理学』5.2.1(p.80):「名前」
 ・古森小野『現代数理論理学序説』定義2.3.1構造structure(p.79)「定数記号」「言語Lの構造Aの個体cの名前name」



 




個体変項(個体変数/変数記号)  individual variable  


【《一階述語論理の言語》への組み込まれ方に着目した説明】

 ・《一階述語論理の言語》において「個体変項/個体変数individual variable」 とは、
     ・単独
     ないし
     ・《関数》との結合
     ・《関数》と他の《個体定項》《個体変数》との結合
  でを構成し、
  述語の変項に代入される記号のこと。
  [高崎『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.1 項の帰納的定義:着想 ]

【意味に着目した説明】

 ・「個体変項/個体変数individual variable」 は、
   《任意の個体》を表すために使われる記号・名前である点で、
  「個体定項/個体定数individual constant」から区別される。

 ・「個体変項/個体変数individual variable」が表す《任意の個体》の意味は、
   いかなる範囲の《任意の個体》であるかが確定して、
   初めて明確なものになる。

   この《任意》が指し示す範囲は、
   これらの記号を使っている場面で話題になっている《特定の領域
   と深くかかわりあっている。
   ところが、
   この《特定の領域》は、
   予め選択された《一階述語論理の言語》の《意味論的解釈構造の選択の問題圏》に属し、 
   《一階述語論理の言語》の設定選択の問題圏を既に超えてしまっ ている。

  「個体変項/個体変数individual variable」の意味上の定義
     「《任意の個体》を表す記号」
  を明確に把握しようとすると、
  一階述語論理の意味論に踏み込まざるをえない。

【記号選択の要件・指針】

  ・特定の《一階述語論理の言語》に個体定項として設定される記号の個数:
     可算個[古森]
     可算無限個[林][鹿島p.20最下行]

  ・アルファベット小文字x,y,z,…、
   ないし、アルファベット小文字に添字を付けた記号x1,x2,x3,… 
   を使うことが普通。[林]

【他の名称】

  ・"individual variable"は、
    「個体変項」「個体変数」のほか、
    「対象変数」などとも訳される。

  ・"individual variable"は、
    単に、「 variable 変項/変数」「変数記号」などとも呼ばれる。




【文献】
 ・清水『記号論理学』§2.1-述語論理に現れる記号2):(pp.41-42):個体変項individual variable. 説明はなし。
 ・林晋『数理論理学』1.2.1項-定義1.1(pp.5-6):個体変数「特定の領域の」「任意の個体を表す」
 ・高崎金久『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.1 項の帰納的定義 :変数記号
 ・鹿島『数理論理学』2.1(pp.20-22)変数記号
 ・戸次 『数理論理学』5.2.1(p.80):「変項」variable(「数学では未知の量をx,y,zのような変数で表す。一階述語論理でも変数を用いるが、数とは限らないので、一般的に変項variableと呼ぶ。」)
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122)「個体変項」;7.1.6(p.173) 
  ・松本『数理論理学』2.1.A.a.。(p.27)(2)自由変数free variable(3)束縛変数bound variable.(2)(3)は(1)対象定数にたいして対象変数といわれる。
    「自由変数および束縛変数は、対象定数を一般的に表すときに用いる[松本p.27注]」
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"2.1(pp.69-73)"variables"
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)「個体変数inividual variable」



 

個体記号  individual symbol   



個体記号とは、

  個体変項個体定項の総称。





【文献】
 ・清水『記号論理学』§2.1-述語論理に現れる記号2):(pp.41-42)個体記号individual symbol.



 






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関数記号function symbol・演算記号 ・演算子operator  


【一般的に】

 ・《一階述語論理の言語》において、
   「関数記号function symbol」 「演算記号operator」とは、
     《個体定項》《個体変数》を結合してを構成、
     の一部として述語の変項に代入される記号のこと。

    [高崎『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.1 項の帰納的定義:着想 ]


  ・個々の「関数記号function symbol」 「演算記号operator」には、あらかじめ、
  幾つの《個体定項》《個体変数》を結合するか
  が定められてなければならない。[林p.6]

  個々の「関数記号/演算記号」に定められた
    「幾つの《個体定項》《個体変数》を結合するか」
  を表す非負整数(つまり0,1,2,3,…という個数)のことを、
  その関数記号の
     「引数の個数[鹿島p.22]」
     「変数場所argument placeの個数」[松本p.27]
     「項数 arity [林p6]」(と紛らわしいので良くないのでは? )
  などと呼ぶ。

 ・「関数記号/演算記号」が結合する
   《個体定項》《個体変数》のことを、
    その「関数記号/演算記号」の引数と呼ぶ。

【関数の記法のいろいろ】

 ・関数記号を先頭に書いて、引数を後ろに並べる前置prefix記法[高崎;林p.7脚注]。
  並べた引数の列を()で括る流儀と括らない流儀がある。

   ・並べた引数の列を()で括るタイプの前置prefix記法
      f (t1,t2,…,tn)
      + (t1,t2)
    など

   ・並べた引数の列を()で括らないタイプの前置prefix記法
      f t1,t2,…,tn
     ( f t1,t2,…,tn )  [古森小野]
     など

 ・引数が2個の関数記号については、
   2個の引数で関数記号を挟む 中置infix記法も用いられる。
   [林p.7脚注;高崎;戸次p.81]

   たとえば、
     t1t2 

 ・引数の後ろに関数記号を置くpost fix 記法[林p.7脚注] もある。

   たとえば、
    et  

【少し具体的に】

 ・《一階述語論理の言語》において、
  「1変数関数記号 1-place function symbol[Enderton]」
  「1項演算記号 1-place operator」[戸次p.78]とは、
   1個の《個体定項》ないし《個体変数》と結合してを構成、
   の一部として述語の変項に代入される記号のこと。
   前置記法で f (t) 、post fix記法で et などと表す。 

    

 ・《一階述語論理の言語》において、
  「2変数関数記号 2-place function symbol[Enderton]」
  「2項演算記号 2-place operator」[戸次p.78]とは、
   2個の《個体定項》ないし《個体変数》と結合してを構成、
   の一部として述語の変項に代入される記号のこと。
    前置記法で f (t1,t2) 、中置記法で t1t2 などと表す。

  :

 ・《一階述語論理の言語》において、
  「n変数関数記号 n-place function symbol[Enderton] n-ary function symbol[古森小野 p.60][松本p.27]」
  「n項演算記号 n-place operator」[戸次p.78]とは、
   n個の《個体定項》ないし《個体変数》と結合してを構成、
   の一部として述語の変項に代入される記号のこと。
      f (t1,t2,…,tn) などと表す。
 
 ・0変数関数記号 0-place function symbol
   個体定項を表す。[古森小野/Enderton]

   "In B.2, the constant symbols are also callsed 0-place function symbols.
    This will often allow a uniform treatment of the symbols in B.2 and B.3."
     [Enderton p.70]

【記号選択の要件・指針】

  ・特定の《一階述語論理の言語》に関数記号として設定される記号の個数:
    0個から可算無限個までOK。

    関数記号0個(関数記号なし)の《一階述語論理の言語》をつくってもよい。   

     0個(つまり関数記号なし)でもよい。[松本p.27]
     一般に可算無限個[松本p.27]
     有限個[鹿島p.20最下行]




【文献】
 ・清水『記号論理学』§2.1-述語論理に現れる記号3):(pp.41-42)関数記号function symbol
 ・林晋『数理論理学』1.2.1項-定義1.1(pp.5-6):
 ・高崎金久『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-2.1 項の帰納的定義 :関数記号・演算記号 
 ・鹿島『数理論理学』2.1(pp.20-22):関数記号。p.22で説明。「引数」「n引数の関数」
 ・戸次 『数理論理学』5.1.3(p.78):「n項演算子」n-place operator;5.2.1(p.80):「二項演算子については、中置法を…」(p.81)
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"2.1(pp.69-73)"function symbols"n-place function symbol" "For each positive integern, some set(possibl empty) of symbols, called n-place function symbols."
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)「関数記号function symbol」「n変数の関数記号n-ary function symbol」
  ・松本『数理論理学』2.1.A.a.(4)関数記号function symbol。(p.27)
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122)関数記号のないシンプルな仕組みを提示。



 






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述語記号  predicate symbol  


【意味に着目した説明】

 ・「述語記号predicate symbol」とは、
     対象となる個体の性質[林]
     対象となる個体間の関係[松本]   
   を表す記号。

【《一階述語論理の言語》への組み込まれ方に着目した説明】

 ・《一階述語論理の言語》において、
   「述語記号predicate symbol」とは、
     を結合して原子論理式を構成する記号のこと。

 ・個々の「述語記号predicate symbol」には、あらかじめ、
  幾つのを結合するか
  が定められてなければならない。[林]

  個々の「述語記号」に定められた
    「幾つのを結合するか」
  を表す非負整数(つまり0,1,2,3,…という個数)のことを、
  その述語記号の
     「項数 arity [林p.6;7]」
     「引数の個数[鹿島p.23]」
     「変数場所argument placeの個数」[松本]
  などと呼ぶ。

 ・「述語記号」が結合するのことを、
    その「述語記号」の引数と呼ぶ。

 ・個々の「述語記号」は、
   《その記号にあらかじめ定められた項数》と同じ個数の引数を伴って用いられたときのみ、
    原子論理式となるのであって、
   《その記号にあらかじめ定められた項数》と異なる個数の引数を伴って用いられたときは、
    原子論理式と認められない[林]。

【記号選択の要件・指針】

  ・特定の《一階述語論理の言語》に述語記号として設定される記号の個数:
     1個〜[松本]

  ・アルファベット大文字 P,Q,R,…、
   ないし、アルファベット大文字に添字を付けた記号P1,P2,P3,… 
   などを使うことが普通。

【記法のいろいろ】

 ・述語記号を先頭に書いて、引数を後ろに並べる前置prefix記法
      P (t1,t2,…,tn)
    など

 ・引数が2個の述語記号については、
   2個の引数で述語記号を挟む 中置infix記法も用いられる。

   たとえば、
    述語記号について、
     前置記法で「(t1,t2)」と書くところを、
     中置記法では「t1 t2」 と書く。 [林]

【少し具体的に】

 ・《一階述語論理の言語》において、
  「1変数述語記号」「1項述語記号」とは、
   1個のを結合して原子論理式を構成する記号のこと。
   前置記法で P (t) などと表す。 

 ・《一階述語論理の言語》において、
  「2変数述語記号」「2項述語記号」とは、
   2個のを結合して原子論理式を構成する記号のこと。
    前置記法で P (t1,t2) 、中置記法で t1 P t2 などと表す。

  :

 ・《一階述語論理の言語》において、
  「n変数述語記号」「n項述語記号」とは、
   n個のを結合して原子論理式を構成する記号のこと。
      P (t1,t2,…,tn) などと表す。
 
 ・《一階述語論理の言語》における「0変数述語記号」「0項述語記号」とは、
   命題論理における命題記号のこと。[林・松本・高崎1.2述語とは何か]

   「0変数述語記号」「0項述語記号」のなかで、
     矛盾記号のみが命題論理における命題定数にあたり[林]、
     それ以外は、命題論理における命題変数にあたる。
    





【文献】
 ・清水『記号論理学』§2.1-述語論理に現れる記号1):(p.41):述語記号predicate symbol. 。
 ・林晋『数理論理学』1.2.2式-定義1.2(pp.7-9):述語記号、述語変数、述語定数、原子式・原子論理式、述語の引数、述語の項数、
             命題定数、命題変数
 ・高崎金久『数理論理学入門V. 述語論理の意味論 1.2述語とはなにか。2.2 論理式の帰納的定義:n項述語記号

 ・鹿島『数理論理学』2.1(pp.20-21):述語記号
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122)「述語記号」;7.1.6(p.173)
 ・戸次 『数理論理学』5.1.2名前と述語(p.78):5.2.1(p.80);解説5.4(p.81)
 ・松本『数理論理学』2.1.A.a.(5)述語記号predicate symbol 。(p.27)

 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"2.1(pp.69-73)"Predicate symbols"
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)「述語記号predicate symbol」「n変数の述語記号"n-ary predicate symbol"」



 


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述語論理における論理記号logical symbol・論理結合子 logical connective ・結合子 contradiction


   
  
・《一階述語論理の言語》において、
  論理記号logical symbol[野矢p.33;松本p.3;中谷p.3]
  論理定項[戸田山]
 とは、
 ある論理式と結合して別の論理式を構成したり、
 複数の論理式を結合して別の論理式を構成する記号のこと。

 これによって、
 原子論理式の結合を積み上げていき、複雑な論理式をつくることができる。  





【文献】
 ・林晋『数理論理学』1.2.2式(pp.8-9):式・原子式・原子論理式
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122);7.1.6(p.173)
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)「論理記号logical symbol」  
  ・松本『数理論理学』2.1.A.a.。(p.27)(6)¬∧∨⊃∀∃
 ・清水『記号論理学』§2.1論理式(p.42)。



 





結合子   connectives

結合子 とは、  
 5つの論理記号
  ¬, ,
 のこと。  
 





【文献】
 ・戸田山『論理学をつくる』5.3.1(p.122)
 ・清水『記号論理学』§2.1論理式(p.42)。



 




限量子/限量記号 quantifier   

限量子 とは、  
 二つの論理記号
   ,
 のこと。  
  

 





【文献】
 ・高崎金久『数理論理学入門V. 述語論理の意味論-1.4量化子の使い方  
 ・林晋『数理論理学』1.2.2式-定義1.2(pp.7-9):限量子、論理演算子
 ・戸田山『論理学をつくる』5.2.3(p.116);5.2.4;5.3.1(p.122);7.1.6(p.173)
 ・清水『記号論理学』§2.1論理式(p.42)。
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"2.1(pp.69-73)"quantifier symbols"