命題論理の意味論 − 論理式の真理値の決定原理  : トピック一覧  

論理式の真理値の決定原理:
  → 原子式の真理値定義 
  → 《¬論理式》の真理値定義/《論理式∧論理式》の真理値定義/《論理式∨論理式》の真理値定義
  → 《論理式⇒論理式》の真理値定義 

 論理関連ページ : 命題論理の論理式 /命題論理の意味論[真理値/真理域・真理値集合/付値/真理関数/真理値表/真理値分析]
           論理記号一覧    
 * 論理目次/総目次/更新履歴 

※述語論理の場合は、林晋,鹿島亮を参照。


論理式の真理値の決定原理 

 n個の命題変数P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式真理値は、以下の原理で定める。

 (1) P1,P2,...,Pnの真理値定義

    これから真理値を定めたい「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」が、
    命題変数P1,P2,...,Pnそのものである場合、
    その命題変数真理値をそのまま流用して、「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の真理値とする。 
 
    つまり、
      「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」としてのP1真理値命題変数としてのP1真理値
      「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」としてのP2真理値命題変数としてのP2真理値
                                :             : 
      「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」としてのPn真理値命題変数としてのPn真理値 
    と定める。
 
    ※この規定により、
      P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」認定プロセスstep1
       「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」に認定されたP1,P2,...,Pn 
      の各々すべてについて、真理値が定まったことになる。  


 (2-1) ¬A(P1,P2,...,Pn)真理値定義

      これから真理値を定めたい「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」が、
        否定子¬に、 
        真理値確定済みの「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式A(P1,P2,...,Pn) 
        を結合した
           ¬A(P1,P2,...,Pn) 
      である場合、

      ¬A(P1,P2,...,Pn)真理値を、A(P1,P2,...,Pn)真理値にもとづいて、次のとおり定める。  
        ・A(P1,P2,...,Pn)真理値が偽のとき、¬A(P1,P2,...,Pn)真理値を真に定める。 
        ・A(P1,P2,...,Pn)真理値が真のとき、¬A(P1,P2,...,Pn)真理値を真に定める。
 
      つまり、
        M(A(P1,P2,...,Pn))=偽のとき、 M(¬A(P1,P2,...,Pn))=
        M(A(P1,P2,...,Pn))=真のとき、 M(¬A(P1,P2,...,Pn))=


真理値確定済の論理式 真理値を定めたい論理式
A(P1,P2,...,Pn) ¬A(P1,P2,...,Pn)
 
      【例】論理式「¬P」の真理値




→ 論理式の真理値の決定原理 
  
 (2-2) A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値定義

      これから真理値を定めたい「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」が
         真理値確定済みの「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式A(P1,P2,...,Pn),B(P1,P2,...,Pn)
         をで結合した
         A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)    
      である場合、
      
       A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を、
          《A(P1,P2,...,Pn)真理値》《B(P1,P2,...,Pn)真理値》の組み合わせ
      にもとづいて、
      次のとおり定める。     

       ・A(P1,P2,...,Pn),B(P1,P2,...,Pn)真理値がともに真のとき、
                 A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を真に定める。 
       ・それ以外のときは、A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を偽に定める。


 
真理値確定済の論理式 真理値を定めたい論理式
A(P1,P2,...,Pn) B(P1,P2,...,Pn) A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)
    

      【例】論理式「PQ」の真理値

 (2-3) A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値定義

      これから真理値を定めたい「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」が
         真理値確定済みの「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式A(P1,P2,...,Pn),B(P1,P2,...,Pn)
         をで結合した
         A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)    
      である場合、
      
       A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を、
          《A(P1,P2,...,Pn)真理値》《B(P1,P2,...,Pn)真理値》の組み合わせ
      にもとづいて、
      次のとおり定める。     

       ・A(P1,P2,...,Pn),B(P1,P2,...,Pn)真理値がともに偽のとき、
                 A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を偽に定める。 
       ・それ以外のときは、A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を真に定める。


 
真理値確定済の論理式 真理値を定めたい論理式
A(P1,P2,...,Pn) B(P1,P2,...,Pn) A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)
    
      【例】論理式「PQ」の真理値 




→ 論理式の真理値の決定原理 
  

 (2-4) A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値定義

      これから真理値を定めたい「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」が
         真理値確定済みの「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式A(P1,P2,...,Pn),B(P1,P2,...,Pn)
         をで結合した
         A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)    
      である場合、
      
       A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を、
          《A(P1,P2,...,Pn)真理値》《B(P1,P2,...,Pn)真理値》の組み合わせ
      にもとづいて、
      次のとおり定める。     

       ・A(P1,P2,...,Pn)真理値が真で、B(P1,P2,...,Pn)真理値が偽のとき、
                 A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を偽に定める。 
       ・それ以外のときは、A(P1,P2,...,Pn)B(P1,P2,...,Pn)真理値を真に定める。


 
真理値確定済の論理式
真理値を定めたい論理式
A(P1,P2,...,Pn) B(P1,P2,...,Pn) A(P1,P2,...,Pn)⇒B(P1,P2,...,Pn)
    

      【例】 論理式「PQ」の真理値 

    ※規定(2-1)〜(2-4)により、
      P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」認定プロセスを、
      step1からstep2,step2からstep3,…と、
      stepを一歩進めるたび、
       新たに認定された「P1,P2,...,Pnから帰納的に定義される論理式」の各々すべてについて、真理値が定まったことになる。  

【文献】
    
 ・戸田山『論理学をつくる』3.2(p.41);3.5(p.54) ;
 ●戸田山『論理学をつくる』3.5.1真理値分析とは何をやることだったのか3.5.2真理値割り当て(pp.55-8):真理値割り当てから、真理値分析でやっていたことを理解すると。。。
 ・Enderton "A Mathematical Introduction to Logic"1.2(pp.20-23)
 ・高崎金久『数理論理学入門III. 命題論理の意味論(その1)3.5 真理値割り当てによる論理式の意味解釈






 → 論理式の真理値の決定原理
 → 総目次