半群semi-group

[トピック一覧:半群] 
 ・
半群加法半群可換半群加法に関して可換半群
 ・乗法に関して:
左単位元・右単位元・単位元単位元の唯一性単位元つき半群・単位的半群・モノイド
 ・乗法に関して:
逆元逆元の唯一性 
 ・加法に関して:
左単位元・右単位元・単位元単位元の唯一性単位元つき半群・単位的半群・モノイド
 ・加法に関して:
逆元逆元の唯一性 
関連ページ―代数系における諸概念:代数系同型  
関連ページ−ほかの代数系:順序環・順序体・順序同型写像

代数系目次総目次参照文献

定義:半群semi-group 
  
[本部『新しい代数2.1(p.23); 斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);
    岩波数学辞典』項目121構造A構造2)算法(p.326);項目104P;]
(設定)
X: 集合
xyX上の乗法 
X: 集合X 乗法xyを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , xy )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(本題)
半群とは、
 集合
X 乗法xyを定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 
乗法xyが、結合法則 ( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) ) 
 を満たす
代数系 Xのことをいう。
具体例:
 ・いわゆる「掛け算」を
乗法として自然数の集合(0を除く)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  
 ・いわゆる「掛け算」を
乗法として整数の集合にさだめてつくった代数系     [本部『新しい代数2.1C(p.26);]
 ・∩を乗法として、ベキ集合に定めてできた代数系    
[本部『新しい代数2.1C4(p.27);]

[トピック一覧:半群]

代数系目次総目次 

定義:加法半群
    
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);]
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
X: 集合X 加法x+yを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , + )というペアで表したほうが、たぶん正確。でも慣例に従う。  
(本題)
・加法半群とは、
 集合
X 加法x+yを定義してつくった様々な代数系Xのなかでも特に、
 
加法 x+yが、結合法則 ( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) ) 
 を満たす
代数系Xのことをいう。
具体例:
 ・いわゆる「足し算」を
加法として自然数の集合(0を含)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  
 ・いわゆる「足し算」を
加法として整数の集合にさだめてつくった代数系     [本部『新しい代数2.1C(p.26);]
 ・∪を
加法として、ベキ集合に定めてできた代数系    [本部『新しい代数2.1C4(p.27);]

[トピック一覧:半群]

代数系目次総目次 

定義:可換半群 
  
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);岩波数学辞典』項目121C代数系(p.327);]
(設定)
X: 集合
xyX上の乗法
X: 集合X 乗法xyを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , xy )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(本題)
可換半群とは、半群のなかでもとくに、
  
乗法xyが、 ( x,yX ) ( xy = yx ) 
 を満たす
半群のことをいう。
・詳しく言えば、
 
可換半群とは、
 集合
X 乗法xyを定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
2条件を満たす代数系 Xのことをいう。
  条件
1 乗法xyが、「結合法則associative law( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) )」を満たす
  条件
2 乗法xyが、「可換法則commutative law ( x,yX ) ( xy = yx ) 」を満たす
具体例:
 ・いわゆる「掛け算」を
乗法として自然数の集合(0を除く)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  
 ・いわゆる「掛け算」を
乗法として整数の集合(0を除く)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

 

定義:加法に関して可換半群 
  
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36)]
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
X: 集合X 加法x+yを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , + )というペアで表したほうが、たぶん正確。でも慣例に従う。  
(本題)
加法に関して可換半群とは、加法半群のなかでもとくに、
  
加法x+yが、 ( x,yX ) ( x+y = y+x ) 
 を満たす
加法半群のことをいう。
・詳しく言えば、
 
加法に関して可換半群とは、
 集合
X 加法x+yを定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
2条件を満たす代数系 Xのことをいう。
  条件
1加法x+yが、「結合法則associative law( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )」を満たす
  条件
2加法x+yが、「可換法則commutative law( x,yX ) ( x+y = y+x ) 」を満たす
具体例:
 ・いわゆる「足し算」を
加法として自然数の集合(0を含)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定義:乗法の左単位元・右単位元・単位元unit element, neutral element,identity element
      
[本部『新しい代数2.1C(p.26);斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);
        岩波数学辞典』項目121C代数系(p.327);]
(設定)
X: 集合
xyX上の乗法
X: 集合X 乗法xyを定めてつくった代数系で、特に、半群であるとする。
  ※
代数系を、X ではなく(X , xy )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(本題)
半群X乗法左単位元とは、
     
( xX ) ( ex = x ) 
 を満たす
eXのことをいう。
半群X乗法右単位元とは、
     
( xX ) ( xe = x ) 
 を満たす
eXのことをいう。
半群X乗法単位元とは、
     
( xX ) ( ex = xかつ xe = x ) 
 を満たす
eXのことをいう。
(記法)
乗法の単位元は、ふつう、「 e 」または「 1 」と表す。

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

 

定理:乗法の単位元の唯一性
    
[本部『新しい代数2.1節定理2.1(p.27);斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39);]
半群X左単位元右単位元が存在するならば、両者は一致し、単位元となる。
半群X単位元があるならば、それはただ一つである。
(証明)
 本部『
新しい代数2.1節定理2.1(p.27);斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39); 

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定義:単位元つき半群・単位的半群unitary semigroup、モノイドmonoid 
      
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);岩波数学辞典』項目121C代数系(p.327);]
単位元つき半群・単位的半群とは、さまざまな半群のなかで特に、単位元をもつ半群のことをいう。
半群単位元の語義に遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
xyX上の乗法
X: 集合X 乗法xyを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , xy )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(本題)
 
単位元つき半群・単位的半群とは、
 集合
X 乗法を定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
2条件を満たす代数系 Xのことをいう。
   条件
1: 乗法が、「結合法則:( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) )」を満たす、
   条件
2: 乗法に「単位元: ( xX ) ( ex = xかつ xe = x )を満たすeX」が存在する

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定義:乗法の逆元inverse element 
      
[本部『新しい代数2.1C(p.27);斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);
        岩波数学辞典』項目104A(p.281)]
(設定)
X: 単位元つき半群 
e: 単位元つき半群X単位元  
(本題)
単位元つき半群Xxの逆元とは、
   
x' x =x x' =e 
を満たす
x'のこと。 
(記法)
x Xの逆元を、x-1で表す。 

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定理:乗法の逆元の唯一性
    
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39);]
単位元つき半群Xのあるx逆元 x-1があるならば、それはただ一つである。
(証明)
 斉藤『
数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39)その略解(p.249); 

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定義:加法の左単位元・右単位元・単位元unit element, neutral element,identity element
   
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36); 岩波数学辞典』項目104A (p.281);]
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
X:
 集合X 加法x+yを定めてつくった代数系で、特に、加法半群であるとする。
  ※
代数系を、X ではなく(X , + )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(本題)
加法半群X加法左単位元とは、
     
( xX ) ( e+x = x ) 
 を満たす
eXのことをいう。
加法半群X加法右単位元とは、
     
( xX ) ( x+e = x ) 
 を満たす
eXのことをいう。
加法半群X加法単位元とは、
     
( xX ) ( e+x = xかつ x+e = x ) 
 を満たす
eXのことをいう。
(記号)
加法半群X加法単位元eを、「0」で表す。

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定理:加法の単位元の唯一性
    
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39);]
加法半群X単位元0があるならば、それはただ一つである。
(証明)
 本部『
新しい代数2.1節定理2.1(p.27);斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39); 

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定義:加法に関する単位元つき半群・単位的半群unitary semigroup 
      
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);岩波数学辞典』項目121C代数系(p.327);]
加法に関する単位元つき半群・単位的半群とは、さまざまな加法半群のなかで特に、単位元0をもつ加法半群のことをいう。
加法半群単位元の語義に遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
X: 集合X 加法x+yを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , + )というペアで表したほうが、たぶん正確。でも慣例に従う。  
(本題)
 
加法に関する単位元つき半群・単位的半群とは、
 集合
X 加法を定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
2条件を満たす代数系 Xのことをいう。
   条件
1: 加法が、「結合法則:( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) ) 」を満たす、
   条件
2: 加法に「単位元: ( xX ) ( e+x = xかつ x+e = x )を満たすeX 」が存在する

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

定義:加法の逆元inverse element 
  
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36); 岩波数学辞典』項目104A(p.281)]
(設定)
X: 加法に関する単位元つき半群 
0: 加法に関する単位元つき半群X単位元  
(本題)
加法に関する単位元つき半群Xxの逆元とは、
   
x' +x =x +x' =0 
を満たす
x'のこと。 
(記法)
x Xの逆元を、xで表す。 

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

 

定理:加法の逆元の唯一性
    
[斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39);]
加法に関する単位元つき半群Xのあるx逆元 xがあるならば、それはただ一つである。
(証明)
 斉藤『
数学の基礎:集合・数・位相2章§1問題1(p.39)その略解(p.249); 

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次 

Reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(3) 岩波書店、1985年、項目121構造A構造2)算法;C代数系(p.327);項目56 (pp. 153-6), 項目104(p.281);項目229. (p.643).
本部均『新しい数学へのアプローチ5:新しい代数』共立出版、1969年、22.1節半群A.二項演算。
斉藤正彦『
数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第2章自然数から実数体の定義まで§1代数系(pp.35-36)
酒井文雄『共立講座21世紀の数学8環と体の理論』共立出版、1997年、1.2節いろいろな代数系(p.3)
志賀浩二『
群論への30』朝倉書店、1989年、第3講群の定義、pp.16-18

[トピック一覧:半群]
代数系目次総目次