実数における加法の性質 : トピック一覧 

・定義:反数/ 
・定理:結合則/可換則/0との和の性質/反数との和の性質/差の性質 
実数定義関連ページ:実数体・実数の定義/デデキントの連続性公理/実数体上の順序概念 
実数の性質関連ページ:加法/乗法/加法・乗法の関係/不等式/不等式と加法・乗法の関係  
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定義:反数

【設定】


 R
: 実数体 
  + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。
 −xxRに対する加法の逆元。
     実数体の定義‐条件A-1-4より、任意のxRに対して存在する。

【定義】


 実数xの反数とは、
   実数xに対する加法の逆元−x
 のこと。




[文献]


 ・赤『実数論講義』定義2.1.5(p.38)




実数体の定義‐条件A-1-4より、任意のxRに 対して−xは 存在する。



 

定義:実数体における「差」  

【設定】


 R
: 実数体 
  + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。
 −xxRに対する加法の逆元。
     実数体の定義‐条件A-1-4より、任意のxRに対して存在する。

【定義】


  二つの実数b,a
   b−a(ただしb,aR
 とは、
 「実数b」と、「aの反数:−a」との加法 
   b+(−a) 
 のことをいう。
 つまり、bab+(−a)




[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2.1四則演算(p.24)
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数(p.2)


 ・赤『実数論講義』定義2.1.5(p.38)



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実数の加法の結合則 

【設定】


 R
: 実数体 
  + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。

【定義】


 どんなふうに、実数x,y,zを選んでも、 ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) が成り立つ。

 つまり、 ( x,y,zR ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )

【なぜ?】


 実数体の定義−条件A-1-1より、
  ( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )を満たす代数系Xを、実数体Rとよび 
 実数体R実数と呼ぶのだから、
  ( x,y,zR ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )は必ず成り立つ。
 成り立たなければ、それらは実数ではない。
 





[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』2.1.1節(pp.53-65)


 ・赤『実数論講義』第2章



実数の加法の可換則

【設定】


 R
: 実数体 
  + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。

【本題】


 どんなふうに、実数x,yを選んでも、 x+y = y+x が成り立つ。

 つまり、 ( x,yR ) ( x+y = y+x )
 

【なぜ?】


 実数体の定義-条件A-1-2より、
  ( x,yX ) ( x+y = y+x )を満たす代数系Xを、実数体Rとよび 
 実数体R実数と呼ぶのだから、
  ( x,yR ) ( x+y = y+x )は必ず成り立つ。
 成り立たなければ、それらは実数ではない。
 




[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』2.1.1節(pp.53-65)


 ・赤『実数論講義』第2章



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0との和の性質

【設定】


 R
: 実数体 
  + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。

【本題】


 どんなふうに、実数xを選んでも、 x+0 =0 , 0+x=0 が成り立つ。
 
 つまり、 ( xR ) ( x+0 =0+x=0 )
 

【なぜ?】


 実数体の定義A-1-3より、
 「単位元0:( xX ) ( 0+x=x かつ 0+x=x )を満たす0X」が存在する代数系Xを、
 実数体Rとよび 
 実数体R実数と呼ぶのだから、
 ( xR ) ( x+0=0+x=0 )は必ず成り立つ。
 成り立たなければ、それらは実数ではない。 
 





[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』2.1.1節(pp.53-65)


 ・赤『実数論講義』第2章



反数との和の性質

【設定】


 R
: 実数体 
  + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。

【本題】


 どんなふうに、実数を選んでも、 その反数との和は0。

 つまり、 ( xR ) ( (x)+x =0かつx+(x)= 0 )
 

【なぜ?】


 実数x反数x、すなわち、実数x加法に関する逆元xの定義より、
 −xは 「(−x)+x=0 かつ x+(−x)=0」 を満たす。
 




[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』2.1.1節(pp.53-65)


 ・赤『実数論講義』第2章



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差の性質

【設定】


 R
: 実数体 
  + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。

【本題】


 どんなふうに、実数を選んでも、 それ自身とのは0。

 つまり、 ( xR ) ( xx= 0 )

【なぜ?】


 の定義より、 xx=x+(x)。反数の性質より、x+(−x)= 0.
 




[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』2.1.1節(pp.53-65)


 ・赤『実数論講義』第2章



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reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目156A.実数の公理系 (pp. 417-418), 168.順序 (pp.440-441). 項目183数:E.実数 (p. 475).
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第2章自然数から実数体の定義まで§5定義2.5.13 (p.58)

【解析学テキストのなかで】

小平邦彦『解析入門I』(軽装版)岩波書店、2003年、§1.5-a上限下限(pp.36-7.)。
高木貞二『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、§3.数の集合・上限・下限(pp.1-5.)
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、§1実数(pp.1-9).
笠原皓司『微分積分学』サイエンス社、1974年、1.1実数(pp.1-7)
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、pp.3-5.
黒田成俊『21世紀の数学1:微分積分学』共立出版株式会社、2002年、2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)。
赤攝也『実数論講義』SEG出版、1996年。
Walter Rudin,Principles of Mathematical Analysis,Mcgraw-Hill,1953-1976.
=ウォ−ルタ−・ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、第1章

【数理経済学テキストのなかで】

神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.56-64


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