2変数関数の具体例−2変数一次関数:トピック一覧  

 定義2変数一次関数/平面の方程式/法線ベクトル 
 ・性質2変数一次関数のグラフ 

 ※2変数関数に関する諸概念の定義:2変数関数の定義/2変数2次関数/2変数関数の極限/連続性/偏微分/全微分/矩形上の積分/点集合上の積分/  
 
総目次

定義:2変数1次関数


定義


・「
2変数関数z=f (x,y)1次関数である」とは、
 定数
a,b,cを用いて、2変数関数z=f (x,y)を、
   
z=f (x,y) = ax+by+c
 と表せることをいう。 

[文献]
・高橋『微分と積分2』§3.13.1 (p.63) ;
・小林『Mathematicaによる微積分11.1(p.98);



t0ならば、
 「定数
r,s,t,uに対し、rx+sy+t z=u が成り立つ」は、
 「
zx,y1次関数として表せる」と同値。
    なぜなら、
rx+sy+t z=u を移項すると、z=(r/t) x(s/t) y+ u/tだから、
       「定数
r,s,t,uに対し、rx+sy+t z=u を満たす点(x,y,z)の集合」は、
        定数−
(r/t), (s/t), u/t を用いて、
        
zx,yの関係を、
        
z=(r/t) x(s/t) y+ u/tと表せることを意味するから。    
t=0ならば、
 「定数
r,s,t,uに対し、rx+sy+t z=u が成り立つ」っても、
 「
zx,y1次関数として表せ」ない。

類概念

1変数一次関数/ n変数一次関数 

   

[トピック一覧:2変数一次関数]
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平面の方程式、法線ベクトル


設定


幾何ベクトルの空間を公理的に設定しておくべきだけども、
省略。
平面上の幾何ベクトルの説明→岡田『
経済学・経営学のための数学2.1(p.56-7)
空間上の幾何ベクトルの説明→佐武付録、斉藤付録

[文献]
・高橋『微分と積分2』§3.13.1 (p.63) ;
・小林『Mathematicaによる微積分11.1(p.98);
・小形『多変数の微分積分p.61:法線ベクトル
・『高等学校代数幾何』
23.空間の座標とベクトルの成分(pp.52-3);5直線平面の方程式(p.63);
・斉藤『線形代数入門1章§2-3(pp.11-3):

[yahoo]


平面


x-y-z空間(R3)内のどの平面も、
 うまく定数
r,s, t,uを調節すると、
 一次方程式
rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
    
{(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } 
 として表せる。

・「
平面Sの方程式rx+sy+t z=uである」とは、
 平面
Sを、 
 一次方程式
rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
 として表せるということ、
  つまり、
S = {(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } であること
 をいう。 

・「
方程式rx+sy+t z=uが表す平面」とは、
 一次方程式
rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
  
{(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } 
 として表せる平面のことを指す。


法線
ベクトル


x-y-z空間(R3)内の平面S= {(x, y, z ) | rx+sy+t z=u }法線ベクトルとは、
  一次方程式
rx+sy+t z=uにおけるx,y,zの係数を並べた
  
3次元数ベクトル(r, s, t) のことを言う。
・平面
Sの法線ベクトルは、
 平面
Sの向き(平面Sに対して垂直方向のベクトル)を意味している。





x-y-z空間(R3)上の点(x0,y0,z0)を通り、(r, s, t)を法線ベクトルとする平面は、
 一次方程式
r(x- x0)+s(y- y0)+t (z- z0)=0を満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
       
{(x, y, z ) | r(x- x0)+s(y- y0)+t (z- z0)=} 
 として表せる。
[『高等学校代数幾何』25 (p.63);]

   

x+y+ z=10が表す平面。
定義に戻って書き下すと、  
  定数
r=1,s=1, t=1,u=10に対して、一次方程式rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合
       
{(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } 
  すなわち、
x+y+ z=10を満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
    

 
 


[Mathematicaでの左図の表示方法]

Show[Plot3D[10 - x - y, {x, 0, 5}, {y, 0, 5}], Axes -> True, AxesLabel -> {"x", "y", "z"}, PlotRange -> {{0, 5}, {0, 5}, {0, 10}}, ViewPoint -> {1.568, -2.186, 1.986}, AxesEdge -> {{-1, -1}, {-1, 1}, {-1, -1}}, FaceGrids -> All, PlotLabel -> "x+y+z=10"]

 

[z軸に平行な平面の例]

 

x=2が表す平面。
定義に戻って書き下すと、  
  定数
r=1,s=0, t=0,u=2に対して、一次方程式rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合
       
{(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } 
  すなわち、
x=2を満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 


   

 
 


[Mathematicaでの左図の表示方法]
Show[Graphics3D[Cuboid[{2, -10, -10}, {2, 10, 10}]], Axes -> True, AxesLabel -> {"x", "y", "z"}, PlotRange -> {{0, 5}, {0, 5}, {0, 5}}, ViewPoint -> {0.190, -3.173, 1.039}, AxesEdge -> {{-1, -1}, {-1, -1}, {-1, -1}}, FaceGrids -> All, PlotLabel -> "x=2"]

y =2が表す平面。
定義に戻って書き下すと、  
  定数
r=0,s=1, t=0,u=2に対して、一次方程式rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
       
{(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } 
  すなわち、
y=2を満たす(x, y, z )をすべて集めた集合
   

 
 


[Mathematicaでの左図の表示方法]
Show[Graphics3D[Cuboid[{-5, 2, -5}, {5, 2, 5}]], Axes -> True, AxesLabel -> {"x", "y", "z"}, PlotRange -> {{0, 5}, {0, 5}, {0, 5}}, ViewPoint -> {0.190, -3.173, 1.039}, AxesEdge -> {{-1, -1}, {-1, -1}, {-1, -1}}, FaceGrids -> All, PlotLabel -> "y=2"]

x+y=1が表す平面。
定義に戻って書き下すと、  
  定数
r=1,s=1, t=0,u=1に対して、一次方程式rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
       
{(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } 
  すなわち、
x+y=1を満たす(x, y, z )をすべて集めた集合
   

 
 


[Mathematicaでの左図の表示方法]
Show[Graphics3D[Polygon[{{0, 1, 0}, {1, 0, 0}, {1, 0, 5}, {0, 1, 5}}]], Axes -> True, AxesLabel -> {"x", "y", "z"}, PlotRange -> {{0, 2}, {0, 2}, {0, 2}}, ViewPoint -> {0.190, -3.173, 1.039}, AxesEdge -> {{-1, -1}, {-1, -1}, {-1, -1}}, FaceGrids -> All, PlotLabel -> "x+y=1"]

xy=0が表す平面。
定義に戻って書き下すと、  
  定数
r=1,s=1, t=0,u=0に対して、一次方程式rx+sy+t z=uを満たす(x, y, z )をすべて集めた集合 
       
{(x, y, z ) | rx+sy+t z=u } 
  すなわち、
xy=0を満たす(x, y, z )をすべて集めた集合
   

 
 


[Mathematicaでの左図の表示方法]
Show[Graphics3D[Polygon[{{0, 0, 0}, {5, 5, 0}, {5, 5, 5}, {0, 0, 5}}]], Axes -> True, AxesLabel -> {"x", "y", "z"}, PlotRange -> {{0, 5}, {0, 5}, {0, 5}}, ViewPoint -> {0.190, -3.173, 1.039}, AxesEdge -> {{-1, -1}, Automatic, {-1, -1}}, FaceGrids -> All, PlotLabel -> "x-y=0"]

   

 

 

[トピック一覧:2変数一次関数]
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2変数1次関数のグラフ

     


グラフ


1. 2変数1次関数z=f (x,y) = ax+by+cグラフは、
  
x-y-z空間(R3)内の平面になる。

 
なぜ?
 ・
グラフの定義により、
  
2変数1次関数z=f (x,y) = ax+by+cグラフとは、
   
z= ax+by+cを満たす(x, y, z ) を全て集めた集合 { (x, y, z ) | z=ax+by+c }
  のこと。
 ・
z= ax+by+cは、ax+byz=cと同じだから、
   
z= ax+by+cを満たす(x, y, z ) を全て集めた集合 { (x, y, z ) | z=ax+by+c }
  は、
   
ax+byz=cを満たす(x, y, z ) を全て集めた集合 { (x, y, z ) | ax+byz=c }
  と同じ。
 ・
ax+byz=cを満たす(x, y, z ) を全て集めた集合 { (x, y, z ) | ax+byz=c }とは、
  
一次方程式ax+byz=cが表す平面(a, b,1)を法線ベクトルとする平面
  に他ならない。 
 ・以上から、
z= ax+by+cグラフとは、
  
(a, b,1)を法線ベクトルとする平面であることがわかる。    

2. 2変数1次関数z= a (xx0 )+ b (yy0 ) + z0 のグラフは、
  
x-y-z空間(R3)上の点(x0,y0,z0)を通り、
  
x軸方向への傾きがay軸方向への傾きがb平面、  
  
x-y-z空間(R3)上の点(x0,y0,z0)を通り、(a, b,1)を法線ベクトルとする平面となる。

[文献]
・高橋『微分と積分2』§3.13.1 (p.63) ;
・小林『Mathematicaによる微積分11.1(p.98);
・小形『多変数の微分積分p.61:法線ベクトル
・『高等学校代数幾何』
25直線平面の方程式(p.63);
・斉藤『線形代数入門1章§2-3(pp.11-3):


注意


2変数1次関数z=f (x,y) = ax+by+cグラフは、どれも、x-y-z空間(R3)内の平面になる。
しかし、
x-y-z空間(R3)内のあらゆる平面を、
2変数1次関数z=f (x,y) = ax+by+cグラフとして表せるというわけではない。

z軸に平行な平面、
詳しく言えば、
  
法線ベクトルの第三成分が0となる平面
  すなわち、
平面の方程式rx+sy+t z=uにおけるzの係数t0となる平面
    たとえば、
x=c, y=c, x+y= c, x-y= cなどが表す平面 
は、
2変数1次関数z=f (x,y) = ax+by+cグラフとして表せない。

 

[] 平面{(x, y, z ) | x =2 }{(x, y, z ) | 1x+y+z=2 } 

 
 

[] 平面{(x, y, z ) | y =2 }{(x, y, z ) | x+1y+z=2 } 

 
 

[] 平面{(x, y, z ) | x+y=}{(x, y, z ) | 1x+1y+z= }

 
 

[] 平面{(x, y, z ) | xy=}{(x, y, z ) | 1x1y+z= } 

 
 

なぜ、この種の平面を、2変数1次関数z=f (x,y)として表せないのか。
そもそも、
2変数関数z=f (x,y)とは、「2個の実数(x,y)の集合からRへの写像」として定義されたが、これはすなわち、各(x,y)ごとに、対応する実数z一個ずつ定めたものであった。
ところが、上にあげた平面では、各
(x,y)に対して、実数z一個ずつ対応していない。これらの平面では、各(x,y)に対して、無数個の実数zが対応してしまっている。
たとえば、
平面{(x, y, z ) | xy=}においては、(x,y)(1,1)のとき、zは0でも1でも100でもとり得るのであって、zが一個の値に決まるというようにはなっていない。
だから、各
(x,y)ごとに対応する実数z一個ずつ定める2変数関数z=f (x,y)という形式では、この種の平面を表すことはできないのである。 
   
[杉浦『解析入門』U§112(p.86)参照]

類概念

1変数一次関数のグラフ 

   
   
   
   
   

 

[トピック一覧:2変数一次関数]
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