５時くらいに目覚め、しばらくまどろむ。綺麗な鳥の鳴き声が聞こえてくる。外は曇っているようで、やや寒い。ホテルのベッドはとても寝心地が良かった。６時過ぎに起き出し、シャワーを浴びる。７時過ぎにあでりーも起きてきてシャワーを浴びていた。
　荷物をスーツケースに詰め、室内の撮影をおこなう。その後、スーツケースをロビーに預け、外に出る。今日は午後のフライトだから、午前中に最後のドイツ散策に出掛けるのだ。ホテルの周辺は、静かでとても気持ちがいい。すこし寒いけれど。

　トラムからＳバーンに乗り換え、中央駅に出てから再びトラムでレーマー広場に向かう。降り立ったのは、以前にはここから乗ったトラム停留所だった。二週間ぶりに見る景色。やはりきれいだ。朝早いけれど、けっこうたくさんの人が来ている。あでりーがフランクフルトソーセージ（細めで二本セットになっている）の店を見つけたので、買ってみることに。通常、我々は朝食はとらないが、ドイツ最後の日なので特別だ。食べると、パリッとしてうまい！　パンも付いていたが、これは持ち帰ることにする。
　しばらく広場で撮影をしてから、マイン川方面へ移動する。歩行者専用のきれいな橋があったので渡る。橋の上から見える教会やその他の建造物がとても美しい。渡りきったところでマーケットが開いているのを見つけ、面白そうなので行ってみることにする。
　売っているのは日用品が中心らしい。あでりーが、ボードゲームも売っているよと教えてくれた。確かに、数は少ないもののいくつか箱が目に入る。他にもアンティークからキッチン用品、洋服など、いろいろなものが売られている。大きなフライパンでソーセージを焼いていたりして、見ているだけでも面白い。「ハゲタカのえじき」という有名なボードゲームが２ユーロで売っていたので買う。日本で買うと1500円ほどするので、かなりお得な買い物だった。
　食べ物も売っているが、お昼には中央駅で見つけた魚サンドを買うと決めているので、ここは我慢。それでもアイスの誘惑には勝てず、あでりーがマンゴー味のアイスを購入する。これまたすごく美味しい。これであでりーは、訪れた全ての都市でアイスを食べる計画を完結させた。 　マーケットは川沿いに長く続いており、歩いているとシュテーデル美術館のあたりに出た。美術館には、今日から始まるモネ展目当ての人がたくさん並んでいる。そろそろかと思い、引き返す。
　ふたたび川を渡り、来た時と同じところからトラムに乗り、中央駅に戻る。目星をつけておいた魚サンドを２種類、買う。海老サンドも美味しそうだったが、少し高かったので断念した。

　宿に戻ると、11時45分になっていた。ちょうどいい時刻だ。空港へ送ってもらう車に乗り込む。30分ほどで着く。
　まずは最後のみやげものを買うため、到着時に利用したBIOスーパーへ向かう。スーツケースもまだ持ったままなので、一人が店の外で荷物の番をし、交代で欲しいものを購入する。パン、チーズ、オリーブ、マヨネーズ（本当はマスタードが欲しかったが売っていなかった）、ソーセージ、などなど。最後だと思うとついついたくさん買ってしまう。

　買い物を終え、チェックインカウンターに向かう。通路側の並び２席を確保し、スーツケースも預けてすっきり。あでりーが空港内にビールを飲める店を見つけたので、入る。ドイツで飲む最後のビールを注文し、中央駅で買った魚サンドを食べる。想像どおり、２種類ともに美味しい。魚はもちろんだが、パンの固さが絶妙なのだ。おいしいねえ、と食べていたら店員さんがやってきて、食べ物の持込は駄目です、と言われてしまった。ビールだけを飲み終え、店の外に出る。ベンチに座り、魚サンドの残りを食べるも、まだ入りそうなので、昨日の残りのリップヒェン（豚のアバラ肉の塩漬け）、オリーブ、チキンなども食べてしまった。 　頃合いを見て搭乗ゲートに向かう。手荷物検査が意外に厳しく、時間がかかる。バッグに入れた全ての電子機器を外に出さねばならず、ノートPCやらビデオカメラやらがあったので手間取ってしまった。あでりーは持参したナッツ入りヨーグルトが没収になるというショックな事態が！　あとで食べるのを楽しみにしていたようだが、確かに液体状のものは持ち込めないのが決まりだった。

　無事に検査を終え、構内の店でコーヒーとカフェマキアートを買う。BIOショップで買ったパンと共におやつで頂こうとしたら、パンは惣菜パンだった。それでも全部食べてしまう。
　搭乗手続きが始まってから、水を買っていないことに気づき、あでりーが慌ててダッシュで店に行く。帰ってきてから聞いてみると、なんと500mlが3.5ユーロだったらしい。ドイツの町中で買う10倍以上の値段だ。

　機内に乗り込み、一息つく。これでドイツに別れを告げると思うと、寂しくなる。二人して、本当にいい国だった、いい旅行だったと話す。
　やがて飛行機は動き出すが、滑走路まで15分ほどもかかった。到着時に隣の男性が教えてくれたとおり、ここは滑走路からゲートまでの距離が相当長いのだ。離陸後、おしぼりと共に飲み物サービスが来る。なんとシャンパンがあったので、あでりーが頼み、満足そうに飲んでいた。食事はチキンしかないということだったが、ベジタリアンメニューを頼んでみると、わざわざ持ってきてくれた。行きと同じく、なかなかに美味しい。あでりーはここでも白ワインを頼み、やはり美味しそうに飲んでいた。食後のコーヒーがなかなか来ず、消灯になってしまったので、ＣＡさんに頼んで持ってきてもらう。
　それからはゲームをしたり映画を見たり、それぞれで好きなように過ごす。僕がパソコンに入れて持ってきた映画「きっとうまくいく」を一緒に途中まで観ていたところで、着陸の合図。カタール時刻23:30に、ドーハ空港に到着する。