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セントラル・ロンドン 1/28(木)

■ヴィクトリアからはじまる

◆ノーベリー駅 外観
 3時に目覚める。7時間ほど眠ったので、すっきり。あでりーはもちろん寝ている。ゆっくりと起き出し、日記を書くため食堂に移る。昨日の夜に出会った若い男性がいて、しばらく話す。李さんという在日韓国人の方で、北園ハウスに長く滞在しているらしい。李さんは、地下鉄や国鉄、バスで使える、「オイスターカード」というプリペイドカードが便利だと教えてくれた。最初にカードにチャージをしておけば、乗り降りの際にはかざすだけでよい。1日の上限額が決まっているので、いくら乗ってもそれ以上の料金はかからない。僕は1日乗車券を買うつもりだったが、こちらのほうが便利そうだ。ただ、買うには主要な駅まで行く必要があって、ここからだと「バラム」という駅が一番近いよと教えてもらった。
 他にもいろいろと話し、楽しく過ごす。以前はこういうのは苦手で、旅先でも人を避けていたのだが、今日は際限なくしゃべり、気づけば1時間ほどが過ぎている。李さんはこれから眠りますと言い残し、部屋に戻っていった。
 僕は日記にとりかかり、その後はネットで調べもの。昨日、北園さんから、無線LANのパスワードを教えてもらったので、快適なネット環境となった。オイスターカードについていろいろと調べる。どうやら1日の上限額は3ポンドらしい。

 あでりーが起きてきて、玄米を炊いてくれる。米の状態で日本から持ってきたものを、いったん鍋で下炊きしてから、宿に備え付けてあった中国製の炊飯器にかける。1時間以上かかって玄米は炊きあがった。これを、昨日のカレーの残りと一緒にタッパーに入れる。さらにあでりーはサラダを作り、ほうじ茶を淹れてボトルに詰めてくれた。
 今朝も朝風呂につかり、9時過ぎに気持ちよく出発。オイスターカードのことなどを、宿の北園さんに確認しようとオフィスに行ってみたが、不在だった。

◆ノーベリー駅 構内
 ノーベリーの駅まで歩くと、バラムでしか買えないはずのオイスターカードが、ここで買えることがわかった。今年の1月2日からそうなったらしい。窓口でカードを買う。1枚につき3ポンドのデポジットが必要だが、これは最終日にカードを返すと戻ってくる。
 次に、自動券売機でチャージをおこなう。機械のそばに係員がいて、丁寧すぎるほど丁寧に教えてくれる。1日3ポンドとして、一週間分の21ポンドずつをそれぞれのカードにチャージ。これで快適なロンドン・ライフが始まる(……と思っていたら、1日の上限が3ポンド、というのが実は間違いだったことにだいぶ後で気づく。このせいで、のちにいろいろと不可解な思いをすることになる。)

 日本のSUICAと同様、改札口でカードをかざすと、ゲートが開く。ここからは、国鉄(National Railways)の電車で、ロンドン中心街のヴィクトリアかロンドン・ブリッジに出られる。今日向かうのはヴィクトリアだ。電車は15分に1本程度、来るようだ。
 駅の構内を撮影する。やがてやってきた電車に乗り込む。車内はきれいで、意外にすいている。2列+3列で、テーブル付きの椅子などもあり、普通の電車にしては豪勢で驚く。日本の新幹線なみの造りだ。電車が動き出すと、車窓から素晴らしい風景がどんどん飛び込んでくる。ロンドンだロンドンだ。胸が高鳴る。

 ヴィクトリアに着く。駅構内を見て歩き、外に出て外観をたしかめる。重厚な造りが美しい。バスステーションがすぐ近くにあって、2階建てのロンドンバスがひっきりなしに通り過ぎる。いかにもロンドン、という場所のひとつ。ロンドンに来るたび、ここは必ず訪れる。以前、「スターライト・エクスプレス」というミュージカルが大好きで、5回も観に行ったアポロ・ヴィクトリア・シアターがすぐ目の前にある。あんなに駅から近かったっけ? などと思ったりもする。なんだかいろんな物が新しくできていて、すこし景色が変わったような気がする。
 ひとしきり歩いてから、地下鉄に乗る。あでりーと二人でロンドン市内を歩き、地下鉄に乗っていることが、ものすごく嬉しい。

◆ヴィクトリア駅 外観

 セントジェームズパーク駅で降りる。駅構内の店で、テレフォンカードを売っているかを聞く。プリペイド式で安くかけられるカードが売っているはずなのだが、ここまでの旅程ではいくら探しても見つからなかった。ここでも、「あっちの店だよ」と言われて行ってみると、携帯電話の店だった。これも何度も経験済みだ。やっぱり駄目か、と思っていたら、すぐそばの本屋さんで、「あるよ」との答え。出してきてもらったものは、確かにガイドブックで見たのと同じものだった。5ポンド(約750円)のカードを購入。さっそく外に出ると、ほどなく公衆電話が見つかる。
 まずは僕の両親にダイヤルする。今は朝の10時半だから、日本は夜の7時半だ。……つながった! とくに問題もなく話せる。こみあげる達成感。続いてあでりーの実家に。こちらも問題なくかかった。ずっと引っかかっていた問題がようやく一つ解決した。

 充実感を抱きながら、ぶらりと歩く。ふいに、「Falkland」という文字が目に入る。近寄ってみると、ペンギンの写真が見える。中に入ってみる。なんとここは、フォークランド関連のオフィスらしい。係の人に、中を見ていいかと尋ねると、どうぞ、とのこと。
 フォークランドとは、南米最南端の近くにあるイギリス領の島で、ペンギンやアザラシなど、野生動物が豊富に見られる観光地だ。僕も1999年に渡航した、ペンギン好きにとっては聖地と言える場所であり、いずれ必ずあでりーと一緒に訪れるつもりだ。
 中には、各種パンフレットや写真が置いてある。いろいろと見ながら、写真を撮る。ピンバッジが1個1ポンドで売っていたので、5個購入。それにしても、なんという遭遇だろう。これは、次にここに行けということか、とあでりーと話す。



■公園の鳥たち

 フォークランドのオフィスを出て、目的地であるセントジェームズパークに向かう。大通りを渡るとその向こうが公園のはじまりだ。池が見えてくる。草地にリスを発見。そういえば、北園ハウスの近くでもちょろちょろしていた。
 公園の中に入る。池の中や周囲に、おびただしい数の水鳥たちがいる。ここはロンドンでも好きな場所の一つで、やはり来るたびに一度は訪れる。細長い池が公園の大部分を占めていて、冬場にはカモ類が豊富に見られるのだ。
 じっくり見るのは後回しにし、昼食をとることにする。2人ともしっかりおなかがすいている。ベンチに座り、あでりーが作ってくれた弁当を広げる。昨日のカレーは、冷めていても抜群に美味しい。オリーブを入れたサラダ、デザートのパン、チョコ、オーガニックバーも、すべてが美味しい。今日は天気がよくて暖かいから、こうして外で食べるには絶好の日和だ。


 食後、池沿いを歩く。シノリガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、アカハシハジロ、インドガンなど、たくさんの種類の水鳥が次々に顔を出す。初めて見る、ツルのような体型をしたカモがいた。名前はわからない。日本でもよくみかけるバン、オオバン、ユリカモメにくわえ、カナダガン、ハイイロガンなどもたくさんいる。名物のペリカンも並んでいる。日本にはいないモリバトは、一見、普通のドバトのようだが、近くで見ると違いがよくわかる。ドバトより一回り大きくてがっしりしており、首元の白いスポットが特徴的だ。

◆左がモリバト、右がドバト。並べて比べると、とくに首回りなどで違いがよくわかる。
◆園内にたくさんいる、リス ◆公園の人気者、ペリカン
◆ハイイロガン ◆マガン
◆コクチョウ ◆アカハシハジロ
◆インドガン ◆ハワイガン

 歩いていると、ロンドンアイが見えてきた。今やロンドンの代表的観光スポットとなった、大観覧車だ。やがて池が尽きると、目の前に大きな広場が顔を出す。ホースガーズだ。ここは、騎兵隊の本部のある建物で、バッキンガム宮殿と似たような衛兵交代式が見られる。バッキンガムは柵越しだがこちらはさえぎるもののない状態で見られ、バッキンガムよりも観光客がすくないので、ゆっくりじっくり見られる。僕も二度ほどここで見たことがある。今回、衛兵交代式には時間が合わなかったが、この景色だけでも見る価値がある。

◆ホースガーズ前の広場。後方にロンドンアイも見えて、大好きな風景のひとつ


■ナショナル・ギャラリーで歩く、観る

 ここで左に折れ、大きな通りまで歩く。この通りは、セントジェームズパークに沿ってバッキンガム宮殿まで続く、「ザ・マル」という通りである。車の往来の絶えたのを機に道の真ん中に出て、はるか向こうのバッキンガム宮殿を撮影する。それから逆方向にある大きな門をくぐると、そこは有名な観光スポットのトラファルガー広場だ。ここも僕は何度も来ている。以前は大量のハトがいて、それが観光客にも人気だったが、今は駆除されたのか、一羽も姿を見かけない。きれいに晴れ間が広がって、ネルソン提督像の顔がよく見える。

◆ザ・マルの路上から。突き当たりにバッキンガム宮殿が見える
◆ザ・マルの、バッキンガム宮殿と反対方向。この門をくぐると、向こうにトラファルガー広場がある。
◆トラファルガー広場
◆広場のライオン(左下)と、あでりー(右上)。ん? ◆ナショナル・ギャラリー


 午後の目的地は、ここにあるナショナル・ギャラリーだ。僕が最後にロンドンに来たのは2004年で、それまで絵にはほとんど興味はなかった。あでりーと結婚してから展覧会などにちょくちょく行くようになり、とくに西洋絵画に惹かれるようになった。今回、ロンドンでも数カ所の美術館を訪れる予定にしており、その初っぱながここである。美術館としてはロンドンを代表するところで、有名な作品が多数展示されている。この建物は何度も見ているけれど、中に入るのは初めてだ。

 ロンドンは文化意識が相当高いらしく、ここを含め、大きな美術館や博物館は軒並み入場無料である。クローク代1ポンドを払って荷物を預け、身軽になってから、展示室に入る。テーマ別にたくさんの小部屋に別れていて、人も少なくて見やすい。今日、町なかを歩いてみて思ったことだが、以前、11月から12月くらいに何度か来た時よりも、明らかに観光客が少ない。
 入り口でもらったガイドペーパーを見ながら進む。有名どころの作品が万遍なく展示してある。レンブラントの作品が多い。ルーベンスだ、ラファエロだ、と楽しみながら進む。ただ、いつも日本の展覧会だと一枚一枚じっくり鑑賞しながら歩くのだが、ここでそれをやっているとすぐに疲れてしまう。適当に流しながら観ていかねば。
 あでりーは、1200〜1300年代あたりの古い絵画を観て、感激している。今から800年も昔の、絵画が独立していない宗教画の時代の作品と、いま同じ空間にいる喜びをかみしめていたという。

 そしてたどり着いたフェルメール! これが見たかったのだ。色合いや質感、全体の雰囲気など、どれだけ印刷物やテレビで観ても、実物は全く違う。ここでは時間を使ってじっくりと鑑賞する。
 またしばらく流し見しながら歩く。次に立ち止まったのは、印象派のコーナーだ。マネ、モネ、ルノワール、シスラー、ゴッホ。知っている画家が多く、感激もひとしおだった。なんとロートレックが2枚もある。今回、ピサロの絵がすごく良くて、2人して気に入ってしまった。
 ひとつ残念だったのは、ここの名物の一つである、レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」が見られなかったこと。あるはずの場所に絵はなく、そばにいた係員に尋ねてみても、なんだか態度が悪く、ちゃんと答えてくれない。最後に入り口で聞いてみると、現在修復中で、6月か7月くらいまで観られない、とのことだった。


■感激のマーケット

 ひととおり観て、15時過ぎになる。なんだか日本の展覧会の数十回分を観たほどの気分で、さすがに疲れた。絵を観るのには、相当のエネルギーが必要なのだ。まあ、なにせ無料だし、また来られるだろうということで、ショップも覗かずに出る。今日はこれから、ロンドンブリッジのそばにあるオーガニックマーケットで、食材を買うのだ。日本でも普段から食材の質にはこだわっていて、なるべく有機のものを買うようにしている。今回のイギリス旅行にさしあたって、オーガニック食材の店やレストラン、カフェなどをかなり調べてきた。今日行く「ボロー・マーケット」が、ロンドンでは一番大きなオーガニックマーケットらしい。

 「チャリング・クロス」駅から地下鉄に乗るも、うっかり逆方向へ行ってしまう。ピカデリーサーカス駅で引き返し、ロンドンブリッジ駅で降りる。駅周辺の雰囲気がとてもいい。マーケットをめざし歩くと、意外に早く見つかった。アーケードの通りに、たくさんの店が並んでいる。いきなり試食大歓迎の様子なので、いろいろと食べ歩く。これが見事にどれも美味しい。チョコレート、スパイス、オイル、ジュース。肉やパイもたくさん売っている。あでりーはワインを熱心に物色している。一通り見てから、テーブルと椅子があったので、一休み。あでりーはスパイス入りホットワイン、僕はホット洋梨ジュースを買って飲む。どちらも美味しくて温まる。
 その後は、本格的に食材を買う。今日は僕がチキンのフルーツ煮を作るので、りんご3種、玉ねぎ、チキン、生パスタを購入。さらに、アボカド、各種人参(いろんな色があっておもしろい)、ちりめんキャベツ、マフィン。オリーブの計り売りがあったので、数種類を詰めてもらう。あでりーは迷った末にワインを購入。閉店時刻が近づき、買っているうちにどんどん店が閉まっていく。すこし高かったが、やはりチョコレートは買っておきたかったと後悔。それでもまあ今回はこれでよしとする。

◆ボロー・マーケット

 また一休みしてから、引き返す。ロンドンブリッジ駅は本当にいい雰囲気で、まさにロンドンという感じがする。16時48分発のノーベリー行きには紙一重の差で乗れず、次は17時18分発。一番端の16番ホームということで待っていたら、ホームが変更になったらしく、気づいたら既に出た後だった。次は17時45分発だ。まあこんなこともあるさと、いったんホームを出て構内を歩く。オーガニックの全粒粉パンを見つけたので買う。ふたたびホームに戻り、今度はしっかり確認しながら待ち、無事に乗車。朝と同様、車内はとてもきれいで、ゆっくり快適に座れる。30分ほどでノーべリーに到着。

 18時30分に北園ハウスに帰り着く。早速、料理を開始。お腹が減っているせいか、実に手際よく作業が進み、30分ほどでもうできてしまった。予定どおり、チキンのリンゴ煮、生パスタ、サラダ、昨日の残りのスープ。並べるとなかなかに豪勢だ。リンゴ煮をパスタにかけて頂く。うまいっ! 我ながら最高に美味しい。なにより食材が素晴らしいのだ。生パスタも素晴らしい。それから、あでりーの用意してくれたサラダ。こちらも食材がどれも美味しい。デザートには、コーヒーと一緒にマフィンをいただく。こちらも最高。二人とも相当食べて食べ過ぎた。食後は二人して力尽き、9時前に就寝。

◆各種オーガニック野菜 ◆ちりめんキャベツ。固くて食べごたえ充分
◆いろんな種類を詰めてもらったオリーブ ◆オーガニック・チキン
◆生パスタ ◆ロンドンブリッジ駅で買った全粒粉パン
◆上記の素材を調理中……
◆完成したチキンのリンゴ煮。めちゃうまっ!! ◆あでりーの作ってくれたサラダ
◆食後のコーヒー&マフィン。満足満足……

 

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