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最後の夜 2/2(火)

■テート・ブリテン

 朝からあでりーが弁当を作ってくれる。サラダを夜の分まで作り、イギリスで買った野菜は、これですべて使い切った。
 夜中から雨の音が聞こえていた。久しぶりにしっかり降っているようで、傘をさして出発する。ノーベリー駅でいつも通りOysterカードをかざしたら、僕は通れたのにあでりーは通れなかった。いったん外に出てから残額を確認すると、なんとマイナス3ポンドとなっている。近くにいた係員に聞いてみると、ワンデー・トラベルカード(1日乗車券)を勧められる。Oysterカードについて説明も聞いてみたが、わかったようなわからないような。

 いろいろと検討したすえ、今日はワンデー・トラベルカードを買ってみた。9時28分発の電車に乗る。電車の中でいろいろと考えたが、やはりOysterカードの1日の上限が3ポンドというのが間違っているのだと気づく。この上限額はワンデー・トラベルカードとほぼ同額になっているとのことで、ワンデー・トラベルカードは8ポンド60ペンスだから、3ポンドというのは明らかにおかしかったのだ。

 ヴィクトリアで地下鉄ヴィクトリア線に乗り換え、一つ目の「ピムリコ」という変わった名前の駅で降りる。周囲は住宅街のようで、目立つ建物や観光地は見あたらない。
 霧雨のなかを地図や標識を見ながら歩き、着いた。テート・ブリテンである。ロンドンではナショナルギャラリーの次に大きな美術館だ。周囲と同じく、入り口もひっそりとしていて、そうと言われなければ気づかずに通り過ぎそうな地味さ。ここはターナーのコレクションが有名で、さらにはイギリスの絵画がたくさん置いてある。一通り歩いて観て回ったが、僕もあでりーも、イギリス絵画は確かにきれいだけれども面白みや魅力に欠けるという見解で一致した。
◆テート・ブリテン外観
 お昼近くになった。外はまだ雨が降っているようだし、なかなかに寒いので、屋内で弁当を食べたいと思った。クロークの近くにある館内のカフェの椅子に座り、誰かに注意されないかと冷や冷やしながら食べる。オリーブ入りサラダ、昨日の「Daylesford Organic」の惣菜2種、野菜ベーコン、パン。


■クリームティー

 食後、ヴィクトリア線一本でオックスフォード駅に移動。歩いて、庶民派デパート「ジョン・ルイス」に到着。
 あでりーと一緒に、一度クリームティーを飲んでみたいという思いがあった。クリームティーとはクリームを入れた紅茶のことではなく、いわば簡易版アフタヌーンティーといったところのもので、紅茶にスコーンというセットが一般的だ。ネットで調べると、ここのカフェのクリームティーがなかなかいける、とのことで、来てみたのだ。
 さっそくカフェに向かうと、セルフ式だった。クリームティーという形ではなく、紅茶とスコーンを単品で頼むということらしい。一緒にクロテッドクリームとブラックカラント(黒カシス)ジャムも買う。あでりーは念願かなってとても嬉しそうだ。窓際の席から外を眺めると、円形の小さな広場が見えた。紅茶はティーバッグにしては悪くない。スコーンは思っていた通り、あま〜い味だった。
◆「ジョン・ルイス」外観
◆クリームティーのセット


■シティ

 ゆっくり休憩できたところで、カフェを出て食料品売り場へ移動する。パンとチョコレートなどを買い、デパートを出てオックスフォード駅に戻る。
 セントラルラインに乗って「セント・ポールズ」駅で降りる。セントポール大聖堂を見るためだ。駅を出てしばらくすると、その巨大な姿が見えてきた。大きさに呆然としつつ写真を撮ろうとするも、大きすぎて撮れない。しばらく周囲を歩いて、離れて写真を撮れそうな場所を探す。前に来た時に撮影したポイントを目指して歩いてみた。前と同じ場所かどうかわからないが、なんとか全貌がフレームに収まる写真が撮れた。
 消防士の追悼記念碑と、その近くに大きなインフォメーションセンターがあった。セントポールをぐるりと一周する。このあたりは「シティ」と呼ばれる特別行政地域で、特有のマークなども目に付く。
◆セントポール大聖堂
◆大聖堂を別角度から

 ◆至るところで見られる、「シティ」のマーク
 この後、各種保険で有名なロイズビルを目指す。あでりーは浦沢直樹氏の漫画「MASTERキートン」が大好きで、そこにこのロイズビルが何度か出てくるのだ。
 セントポールからロイズまで歩こうとすると微妙に遠いため、いったん地下鉄の駅に戻り、一区だけだが隣の「バンク」駅まで移動。ここから歩いてロイズビルを目指す。
 大通りをまっすぐに歩いていくと、やがてその姿が見えた。「MASTERキートン」に出てくる、あのメカメカしい建物が姿を現す。前回来た時は日曜でまったく閑散としていた。今回は平日だが、あまり変わらず、とても静かな感じだ。ただ、外壁に剥き出しのエレベーターは動いていた。
◆ロイズビル外観


■マーケット

 ロイズをあとにし、次はペチコートレーン・マーケットまで歩く。途中、タワーブリッジの背後によく見える、ペンのキャップのような形の建物のそばを通った。
 何度も人に尋ねながらようやくマーケットにたどりつくも、今日はもう閉じてしまっていた。別のマーケットがあってそっちのほうが面白いよと教えてくれた人がいて、ガイドブックで確かめてみる。オールド・スピタルフィールズ・マーケットというもので、よく見ると、僕が地図上で目指していたのはこっちだった。

 たどりついてみると、屋内の広いスペースで、なかなか雰囲気もいい。こちらももう大半の店が閉じていたが、明日もう一度ここに来てみようということであでりーと意見が一致した。明日も予報は雨なので、屋内で楽しめるここは都合がいい。周囲には食事をテイクアウトできるお店もあり、昼前にここに来て食べ歩きもできそうだ。すっかりここが気に入った。
 マーケットを出て地下鉄の駅を目指していると、ふと目にとまった店があった。見てみると、オーガニックフード専門の店だった。さっそく入ってみると、他では見られないような品がたくさん並んでいた。期限間近で半額になっている商品などもあったので、今日の晩ご飯用に、惣菜、缶のスープ、ベジタブルソーセージなどを購入する。今日マーケットを目指したのは夜の惣菜を買いたいという思いもあったのだが、ここで達成できた。おみやげに買って帰りたいものもあるけれど、それはまた明日にする。


■最後のビッグベン

 そばにあったきれいな教会を見ながら地下鉄の駅に進む。なんだか裏通りのような場所を抜け、「オルドゲート・イースト」駅に着く。ここから「ウエストミンスター」駅まで一本。ビッグベンの夜景を見に行くのだ。

 タワーブリッジの夜景を見に来た時と同様、ちょうど暮れていく時間帯に着いた。ロンドン最後の夜に選んだのは、やはりここだった。タワーブリッジ同様ビッグベンも、昼と夜それぞれの顔を見たかった。思いが果たせて嬉しかった。
 橋の上にいると、たくさんの人が通り過ぎていく。通りがかった若者に二人の写真を撮ってもらうようお願いすると、アングルや設定を変えて何枚も試してくれた。ビッグベンと人間がともにきれいに写るようにするのは難しい。街灯のそばで明かりを受けながら撮影するとうまくいくことがわかった。
 雑踏の橋の上でロンドンアイやビッグベンを眺めながら、ロンドン最後の夜をじゅうぶんに味わう。そして二人で思った。またここに帰ってこよう、と。


■最後の晩餐!

 国鉄でノーベリーまで戻ったあと、ロンドン到着2日目に行ったカレー屋さんに向かった。今日食べるのではなく、明日、機内で食べるぶんを買うのだ。もう一度ぜひここのカレーが食べたかった。あでりーはカシューナッツカレーがいたくお気に入りの様子。今回もこのカレーと、パパダン、サモサを購入。
 北園ハウスに戻る途中、先日の夜中に話をした李さんと出会う。明日僕らは早いので、これでお別れとなる。固い握手をし、お互いに感謝の気持ちを伝え合う。

 宿に戻り、本日の夕食の用意をする。なにしろ最後の晩餐だ。豪勢にいかなくては、と思っていると北園さんがやってきた。精算金額を告げられるも、日数が違っていたので、こちらで計算しなおす。190数ポンドだったが、感謝の意味を込めて200ポンド支払う。
 夕食の内容は、マーケットそばのオーガニックショップで買った野菜スープ、ベジタブルソーセージ、豆サラダ、キヌアサラダ。それからあでりー作の野菜サラダに、各種パン。デザートにはチョコレートケーキ。素晴らしくおいしく、豪勢な食事となった。
◆惣菜2種。どちらも半額の1ポンド25ペンス(約190円)!
◆ベジタブルソーセージとスープ ◆パン、そしてチョコレート
◆旅の成果を二人で確認し合う
 食後は、お互いに荷物の整理をする。9時過ぎに一段落したので、順番に風呂に入る。
 早めに床に入り、しばらくこの旅の話をした。とにかく僕としては、この旅に出るまで不安が大きかった。本当に行けるのかどうかという不安は出発直前までつきまとい、その後は、滞在中に調子が悪くならないかという不安が最後までゼロにはならなかった。ただ、自分でそれをよくコントロールすることができた。
 僕の好きな詩画作家、星野富弘さんの詩に、「痛ければ 痛みの中を 淋しければ 淋しさの中を歩こう」というものがある。僕は、不安があるなら不安の中を歩こうと思った。不安がゼロにならないなら、そのままイギリスまで持っていって、一緒に旅をすればよいと思った。そう決断することにもやはり不安はあったのだけれど、今はこれで良かったのだと心から言える。とてもよく頑張った、と自分自身に言える。あでりーにもいろんなところで力をもらった。そんなことを、ベッドの中であでりーとしばらく話した。
 
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