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グリニッジへ 1/30(土)

■ビッグなベン、そしてロンドンアイ

 朝8時過ぎ、早めに北園ハウスを出る。今日向かうのは、世界標準時の町、グリニッジである。行きは遊覧船、帰りは電車を使う予定だ。いずれも1時間弱ほどなので、ロンドンから気軽に行ける観光スポットなのだ。また、遊覧船の出発がビッグベンのふもとなので、先にビッグベン周辺の観光もできる。今回、初のビッグベン。あでりーはもちろん初めてだ。
 宿から出て驚いた。
 雪! いつの間にか降って、少し積もっている。
 今はすっかりあがり、ロンドンにしては珍しくきれいに晴れている。さくさくと雪を踏みしめながら歩けば、気分も浮き立つ。ノーベリーから電車に乗ると、窓外の景色もすっかり雪に覆われている。
◆北園ハウスの前の通り ◆ヴィクトリアへ向かう車窓より
 ヴィクトリアで地下鉄に乗り換え、ウェストミンスター駅で降りる。外に出る間際に鐘が響いた。ビッグベンの鳴る音。9時の合図だ。あでりーと確かに今、ロンドンにいる。たまらなく嬉しくなる。
 外に出る。まずはロンドンアイが目に入る。そして振り仰げば、念願のビッグベンがいきなり巨大な姿を現す。
 「でかっ!!」
 思ったとおりあでりーが叫ぶ。ここでは誰でもそう言うと思う。僕もやっぱり大きいなあと実感する。ロンドン最大の象徴はやはりタワーブリッジとここだ。
 すこし寒いが、たくさん写真とビデオを撮る。橋を歩けば、こちらにビッグベン、反対側にロンドンアイ。どこをとっても絵になる。ビッグベンのある国会議事堂は、橋を歩いて振り向くたびに違う姿となって現れる。近くを歩いていた人に、二人一緒の写真も撮ってもらった。こちらの人は、頼めばみんな気安く撮影を引き受けてくれて気持ちがいい。
 テムズ河を反対側まで渡り、ロンドンアイのふもと近くまで歩く。対岸からのビッグベンもまたよい。水族館の外観などを撮り、また引き返す。
◆つまんだり乗せたり、テンション上がりっぱなしのあでりー


■優雅なクルーズ

 地下鉄出口のそばに、船の乗り口がある。チケット売り場が開くまで撮影などしながら待つ。ようやく開いた。ガイドブックでは6.6ポンドだった料金が、9ポンドにまで上がっていた。オイスターカードを持っていると割引になるとのことでカードを差し出すと、売り場のお兄ちゃんが何やら機械をカードにあててから、「No」と返事をよこした。どうやらダメらしい。仕方なく二人分18ポンドを払う。
◆チケット売り場 ◆船が来た!
 船着き場まで歩き、しばらく待っていると、グリニッジ方面からそれらしき船がやってきた。ゆっくりと旋回し、逆向きにこちらの岸に着けようとしている。やはりこの船らしい。船は上手にぴたりと着けられ、乗っていた客が降りる。その後に乗り込み、さっそく進行方向に向かって左手窓際の席を確保。8人がけくらいのテーブルと椅子があり、なかなか乗り心地がよさそうだ。僕は先にトイレを済ませ、出発するのを待つ。あでりーは手紙を書いている。
◆船の中。すごく清潔できれい
◆テーブルが広くて座り心地も抜群!
 10時になり、船は穏やかに動き始める。すぐに対岸に移動し、ロンドンアイが近づいてくる。ここでいったん船がつけられ、またお客さんが乗り込んでくる。振り返るとビッグベン。
 ふたたび岸を離れ、次の経由地タワーブリッジを目指して動き出す。いくつか橋をくぐると、セントポール大聖堂が見えてきた。主要な観光地が左に集まっているので、この席は最高だ。ロンドンアイから乗ってきたお客さんも、僕らのいる側に座っている。始発のビッグベンで乗ったのも正解だった。窓際の一番いい席が取れた。

 セントポールを過ぎ、ロンドン・ブリッジをくぐると、遂にタワーブリッジが見えてきた。何度も見たことはあるが、船の上からは初めてだ。あでりーは初のタワーブリッジお目見えである。席を立ち、船首で写真を撮っている。僕は席でゆっくりと眺める。ロンドン塔も見えてきた。
 ロンドン塔のふもとに船が着くと、たくさんの客が降りていく。確かにこの先に主要な観光地はなく、ビッグベンからここまで乗るだけでも価値はあるだろう。ここから乗ってくる客も少ない。そのぶん、この先はゆっくりできる。
◆セントポール大聖堂 ◆この橋は歩行者のみが渡れる
◆ロンドンブリッジ(橋桁に表示がある) ◆タワーブリッジをくぐる。この角度から見るのは
 初めてで、感激
◆不思議な形をしたビルがいっぱい
 タワーブリッジをくぐる際にビデオと写真を目一杯撮ったあと、お昼ご飯を準備する。テーブルにはもう僕ら二人だけなので、思い切り広げる。昨日ピカデリーの店で買った惣菜、あでりー作のちりめんキャベツ炒め、ポテトサラダ、野菜サラダ、そしてたくさんのパン。この食事のおいしくて幸せだったこと! ゆっくりと変わる風景を楽しみつつ、優雅でとても満足のいく時間を過ごした。クルーズ最高! そしていい景色があればすかさず撮影。持参したコーヒーを飲みながらデザートパンを楽しんでいると、まもなくグリニッジ到着、というアナウンス。急いで食事を切り上げ、降りる準備をする。11時15分、到着。


■グリニッジよ、気に入った!

 グリニッジの観光スポットの一つは、かつてアジアから紅茶を運んだ高速帆船、カティサーク号である。船を降りるとすぐにあるはずが、見あたらない。大きい船だろうに、と思って探していると、「conservation」の表示を発見。どうやら解体・修復を行っているらしい。これを見るのも楽しみの一つだったが、今回は仕方がない。早々に気分を入れ替え、次に向かう。

 インフォメーションを探していると、マーケットにぶつかった。のぞいてみると、なかなかいい雰囲気なので、入ってみる。食べ物の屋台や、おみやげに良さそうな物を売るお店がひしめきあっている。なんと、ボードゲームを売っている店まであった。(ただ、品揃えはそれほどでもなかった。)
 食べ物屋を通りかかると、小さなコロッケなど、試食を進められる。いくつか食べてみる。なかなか美味しい。何よりこの雰囲気がすごく気に入った。世界各国の料理が立ち並び、寿司屋まである。(あまり美味しそうではないが。)オーガニックフードのお店もある。奥のほうには、手作りの革製品やクラフト、編み物などの小さな店が並び、見応えたっぷりだ。
◆ボードゲーム屋の前にて
 マーケットをしばらく歩き回ったすえ、帰りにまた寄ってみることにし、ふたたびインフォメーションを探す。トイレに行きたかったのだ。鉄道の駅があったのでトイレを探して下に降りてみるが、ない。インフォメーションにたどり着き、地図をもらって、トイレの場所も教えてもらった。ようやくトイレで用を済ませたあと、天文台のほうに向かう。

 駅やインフォメーションなど、店が立ち並ぶ少し賑やかな通りを過ぎ、閑静な雰囲気になってきたあたりに公園の入り口がある。中に入ると、巨大な緑の空間。空はきれいに晴れ、芝生が目に映えて美しい。既に、この街のことがとても好きになっている。
 あでりーは、今朝の電車の中で、公園に行きたいと願っていたという。ロンドンには有名な公園がたくさんあるのだ。それが、このグリニッジで叶えられた。そのことを、とても嬉しそうに話してくれた。
 広い広い公園を歩く。放射状に延びた道路が、中央にある天文台へと向かっている。途中でリスをみかけた。クロウタドリやモリバトもいる。リスはちょこちょこ動きながら、こちらが餌をあげるそぶりをすると寄ってくる。見ると、木の幹にたくさんいる。あでりーは、リスの鼻に触ったら湿ってたーっ、といって喜んでいる。
 しばらく遊んで先に進む。そろそろ子午線があるはず、と思うがなかなか見あたらない。僕は、地面に長い線が引いてあるようなイメージで思っていたのだが、そうでもないらしい。天文台に着いたものの、入場料を払って中に入るつもりはない。子午線をまたげればそれでいいのだ。いったん引き返し、天文台を回り込むように歩いてみるが、見つからない。同じ場所に戻ってきた。ここは高台になっていて、公園の全貌が見渡せ、その先にはロンドンの街が一望できる。素晴らしい眺めだ。なんて気持ちのいい場所なのだろう。
◆公園のリス ◆天文台の外観
◆天文台の横手から、ロンドンを望む
 あでりーが、天文台が無料で入れるかも、と言うので行ってみると、本当にそうだった。とりあえず中に入ってみる。時計に関する様々な展示がされている。建物を通り抜け、屋上に出る。ここは先ほどより更に高台になっていて、眺めもまたいい。人の集まっている一角があり、そこにようやく子午線の表示を見つけた。やった、ここだ! 数メートルに渡って、鉄製のレールのようなものが敷いてある。あでりーと二人、子午線を踏んだりまたいだり。写真とビデオをしっかりと撮る。これでここに来た目的が達せられた。あでりーは心から嬉しそうだ。僕も嬉しかった。ここに来て本当に良かった。しばらく景色を楽しみ、別の道から公園の出口目指して歩く。
◆子午線を踏んだり! ◆子午線をまたいだり!
◆足下には、各地の経度が書いてある ◆東経0度0分0秒の表示
 マーケットに戻り、いくつか買い物。さっき目星をつけておいた、僕の両親に渡す植木鉢置きを買う。このマーケットは、土日が特に大規模になり、ガーデニングの店は土日にしか出ていないらしい。何の気もなく土曜日に出かけたのだが、とてもラッキーだった。
 さらに、自分たち用の金属製のペンギンの置物などを買う。イギリスに来てから、ペンギングッズが意外に多いことにびっくり。
 オーガニックフードの店ではマヨネーズを購入。バイオリンの生演奏などもあって、本当にここは雰囲気が素晴らしい。パンも一つ買った。これで満足。駅に向かう。
 もともと僕はそれほどグリニッジに思い入れはなく、あでりーが行こうと提案した場所だった。子午線を踏むのが夢だったからだ。ただ、自分だけの望みで1日を過ごすことになるため、行こうと言い出すのにためらいがあったらしい。それでも思い切って僕に言ってくれて、結果、僕も含めてとてもいい体験をすることができた。自分の意志を相手に伝えることで、相手にもいい気付きを与えるきっかけにもなる。そんなことを、道中も、帰ってからも、二人で何度も話した。


■地下鉄、動かず

 ロンドンに帰る途中、国鉄から地下鉄に乗り換える駅にオーガニックフードのスーパーがあるので、寄ってみることにした。「キャナリー・ワーフ」という駅だ。小さな駅だろうと思っていたら地下に巨大な地下街が広がっており、目指すスーパーはそのいちばん奥にあった。大きな店で、全てがオーガニックというわけではなく、セインズベリーなどと同じようにオーガニック商品もいくつか置いてある、という感じだった。マッシュルーム、にんにく、パンを購入。

 ここまで歩きづめだったので途中のベンチで少し休み、地下鉄の駅に向かう。これから乗るジュビリー線の入り口に何か張り紙があり、係員が立っている。見ると、今日はまったく動いていないらしい。まあロンドンではなぜか知らないがよく地下鉄が止まることがある、ということを話してはいたので、それほど驚くことはない。

◆二階建てバスの、二階席の先頭に陣取る
 係員にどうしたらいいか聞いてみると、地上に上がってバスに乗ればよい、とのこと。教えられた通りに行ってみると、バス停があった。時刻表にはたくさんの系統が載っていて、とりあえず近くの地下鉄駅を通るものを探す。しばらく待ったすえ、やってきたバスに乗る。Oysterカードをかざし、奥の席に行こうとすると呼び止められた。残額が足りないらしい。1日3ポンドまでしかかからないはずなのに、最初にチャージした21ポンドがなくなっているはずはない。しかし、残額が足りないのは事実なので、とりあえずいったんバスを降りる。

 あでりーに荷物を見ていてもらい、残額確認のために地下鉄駅に戻る。やはり残額わずかで、それぞれの残額も異なっている。グリニッジ往復でOysterカードを使った際、通常よりも余分に取られたのか。よくわからないまま、とりあえず10ポンドずつチャージをして戻る。バスの時刻表を見直してみると、早朝だけしか来ないバスもあった。また、別の地下鉄の駅に向かう路線もあって、しばらくしてそれが来た。降りるのは、「マイル・エンド」という、ロンドンの東のはずれの駅だった。
 今度はoysterカードで問題なく乗車できた。二階建てバスである。終着駅まで乗るので、二階に上り、眺めのいい先頭席に座る。何度もロンドンに来ているが、二階に乗るのは初めてだ。
 ゴーカート場のようなものが見えた。郊外の穏やかな風景が窓外につづき、やがて「マイル・エンド」駅に到着。近くにいた人に地下鉄駅の方向を聞き、そちらへ向かう。駅の周辺は観光地とはまったく異なる雰囲気。ロンドンのこのあたりは僕も初めてなので、新鮮だった。


■黄昏のタワーブリッジ

 地下鉄に乗り、ハマースミス&シティ線で「ムーアゲイト」駅まで行き、ノーザン線に乗り換えてロンドンブリッジまで。ここから歩いてタワーブリッジを目指すのだ。ロンドン塔のある「タワーヒル」駅のほうが近いのだが、こちらから見えるタワーブリッジの景色が好きなので、あえてこのルートを選んだ。
 あでりーがトイレに行きたいというのでロンドンブリッジ周辺で探すも、見つからない。しばらく歩き、ちょっとした商店街のあたりで聞いてみたところ、少し歩いた先にある「マークス&スペンサー」にあるという。歩き始めると、僕が以前に入ったことのある「クリスマス・ショップ」という店があった。年中クリスマス商品を売っている店で、1991年に来た時からそこにある。ここもとても懐かしい場所だから、あでりーと一緒に来られたのが嬉しい。ペンギンの飾り付けがあったので購入。先へ進む。

 マークス&スペンサーがあったので入って聞いてみるが、トイレはないとのこと。記憶ではもう少し先にボックス式のトイレがあったと思い、店の外に出てみると向かい側にあった。さっき教えてくれた人はこのことを言っていたのだ。小銭を入れ、なんとか使うことができて一安心。
 この先の小道を進み、景色が広がったところで、遂にタワーブリッジが見える。その少し前から、あでりーには目をつぶって歩いてもらうことにする。タワーブリッジがしっかり見えるところで、一気に見てもらいたかったのだ。
 手をつないで歩く。何度か立ち止まり、目を開けて確認してはまた進む。まずは僕一人でタワーブリッジに再会。うん、やっぱりすごい。この景色は最高だ。全貌が見えたところで、あでりーにも目を開けてもらう。
「きれいっ!!」
 やった! あでりーとここに来た! あでりーもすごく感動している。今回のイギリス旅行を考える際、あでりーとこの場所でこの景色を見るというのが、ひとつの象徴だった。この場所にあでりーと一緒に立つ、そのためにここまで頑張ってきた。それが今、達成された。心から嬉しかった。

 ちょうど夕暮れどきで、あたりは少しずつ暗くなっていく。風景が変わっていき、空や川や橋の色が変わっていくのを、存分に楽しむ。テムズ河沿いの別の方向も美しい。振り返った岸側には近代的なビルが並び、こちらもかっこいい。写真もビデオも、いくら撮っても終わらなかった。しばらくしてベンチで休み、そのあと帰ろうかとしたところでまたひとしきり撮影をおこなう。本当に夢のようにきれいだった。あでりーも気に入ってくれたのがまた嬉しかった。
◆徐々に暮れていくタワーブリッジ
◆タワーブリッジの近くにある、格好いいビル ◆お約束シリーズ 「タワーブリッジを指で支える」
 ほぼ暗くなりきったところで、帰ることにした。今度はまた昼間に来ることにする。ロンドンブリッジまで歩き、国鉄に乗る。ノーベリーに着き、前から行こうと思っていたベジタブルレストランへ。ここは完全菜食メニューのようだ。野菜カレー、パパダン(パリパリのせんべいのようなもの)、揚げ物盛り合わせなどを買う。
 北園ハウスに戻って食事。サラダは色とりどりの人参やマッシュルームが並ぶロンドン風。温めた玄米パック、昨日のアボカドクリームと共に、ボローマーケットで買ったオリーブも遂に開ける。並べてみると本日も豪勢なディナー。そしてすべてが美味しい! しっかり食べたあとなのに僕は、グリニッジで買ったパンをちぎりちぎり、大量に食べてしまう。なにせおいしいので困ってしまう。

 今日は最初から最後まで、本当に素晴らしい一日だった。後から見てみたら、この日だけで、撮った写真が450枚を越えていた。
◆本日の夕食
◆ベジタブルレストランで買ったカレー ◆同、揚げ物セット
◆同、付け合わせ ◆同、パパダン
◆あでりー作の野菜サラダ ◆グリニッジのマーケットで買ったパン


■おまけ 〜本日出会ったペンギンたち〜

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