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■ ロンドンまでの遠い道のり 1/26(火)

■心地よい朝

 3時前に起きる。深く眠れたようで、体がすっきりしている。しばらくしてあでりーも起きてきて、またしばらく話す。それからあでりーは再び眠り、僕はもう寝付けないので服を着てトイレに行き、そのままバスタブの縁で日記の残りを書く。

 駐車違反の罰金は、サンダーランド市内にあるオフィスで支払うか、ネットまたは郵便で支払うこともできると通知書に書いてあった。オフィスに行くのが手っ取り早いかと思っていたが、今日は朝の散歩にもでかけたいし、その後もロンドンまで帰ることを考えるとあまり時間がない。やはり、ネットか郵便で支払おう。そして今朝は散歩をゆっくり楽しむのだ。

 部屋に戻ると、あでりーも起きてきた。ゆっくりと準備を進める。あでりーはお気に入りの出窓に座り、体操をしている。
 7時過ぎに階下のレストランに行く。朝食は好きなものをオーダーすれば作ってくれる。昼食用にテイクアウトしたいと申し出ると、最初は難色を示されたが、持参したタッパーを見せるとすぐに得心してもらえたようで、野菜メニューをお願いする。
 しばらく待っていると、ご主人の奥様らしき女性スタッフが、豆のトマト煮とマッシュルーム炒めを持ってきてくれた。僕らの渡したタッパーに丁寧に詰めてくれている。さらに、コーヒーとオレンジジュースをポットにたっぷり入れてもらい、置いてあったバナナももらっていく。すべて笑顔で対応してくれる宿の方には、本当に頭が下がる。

 食事を部屋に持ち帰ってから、歩く準備をして外に出る。僕が以前来た時と同じく、そばにある公園から道路をくぐり、海に出るルートをたどる。夜明けの明るさと空気が気持ちいい。
 すぐにクロウタドリが出てくる。ムクドリくらいの大きさで、体は真っ黒、クチバシが黄色い鳥だ。イギリスではよく見かける。さらに、ヨーロッパコマドリ、ツグミ、シジュウカラあたりも姿を現す。海沿いだから、さすがにカモメはたくさんいる。見えないところからも、絶え間なくさえずる声が聞こえてくる。逆光のなか、シルエットになって飛んでいく鳥たち。この公園をあでりーと一緒に歩いているのが信じられない。


 道路に沿って、段差を下っていく。メリーゴーランドのような建物が見えてくる。以前に来たのは5年ほど前だが、このあたりの風景はよく覚えている。モリバトという、ドバトよりもでっぷりしているハトがいる。
 隣で双眼鏡を覗いていたあでりーが、「あれ?」と声を出す。鳥たちの後ろに壺が置いてある、と思ったら壺が動いたらしい。
 「キジ!」
 メスなので地味な色合いをしており、突っ立っているので、最初は壺に見えたのだ。前回、キジは見なかったから、ここでは初の遭遇だ。キジのそばにはクロウタドリ、ヨーロッパコマドリ、モリバトなどが群れて、一緒に餌をついばんでいる。

◆公園から大通りをくぐって海へ抜けるところ。写真の手前が海側

 そこから少し歩くと、道は大通りをくぐって海へと続いている。今朝の海は潮が適度に引いているため、遠くまで歩ける。すこし左に行ってみてから引き返し、特徴的な灯台のある方向へと向かう。数種類のカモメが飛び交っている。散歩中の犬が、リードもつけずに海岸線を走り回っている。
 そろそろ引き返そうか、とも思ったが、なんとなく石垣の近くまで歩いてみたくなり、近寄る。前回はそのあたりでミヤコドリを見たから、今回もいないかなあ、見たいなあと思っていた。
 近寄るにつれ、なにかが動いている気がして、双眼鏡を覗く。いた! まさにそのミヤコドリだ。あでりーも双眼鏡でしっかりと確認したようだ。
 さらに探すと、すぐ近くにシギを発見。さらにはあでりーが、もう一種類のシギも見つける。シギは種類を見分けるのが難しいため特定はできないが、前回僕がここで見た鳥を、すべて今回、あでりーと一緒に見ることができた。
 短い時間だったが、達成感は大きかった。灯台をバックに撮影をし、宿に引き返す。

◆特徴的な灯台。海岸線にはカモメがちらほら。
◆海側から陸側を見上げたところ。

 宿の周りと部屋の中でたっぷりと撮影をした。9時20分くらいに宿を出る。気さくな主人とあいさつを交わす。彼は最後まで、昨日のことを謝っていた。とても気持ちのいい滞在だった。またこのあたりに来ることがあれば、泊まりたい場所である。あでりーも同じようなことを言ってくれた。

◆宿の外観。最上階の真ん中が僕らの部屋。 ◆玄関を入ったところ。
◆部屋の中。出窓が特徴的。 ◆部屋の中の、入り口側。思ったよりもかなり広い。


■南へ

 そして我々一行は、一路、ロンドンへ。今日の午後6時までに車を返さなければいけないのだ。目的地までは、450kmほどの道のりとなる。
 まずは高速道路の62番インターに向かう。30分ほどで、無事に高速に乗る。途中のサービスエリアに入ると、そこはファストフード系ではなく、民芸品なんかも置いてあってなかなか雰囲気がいい。ペンギンキーホルダーを見つけ、おみやげ用にたくさん買う。美味しそうなパンもゲットした。
 次に出てきた大きなサービスエリアの駐車場で、昼食をとる。宿の食事はけっこうおいしくて、満足する。一休みして、ふたたび車を走らせる。迷うことなく順調に進んでいたが、食後しばらくして、疲れを感じはじめた。通りかかったサービスエリアでしばらく仮眠をとる。
 いったん回復したものの、道のりはまだまだ長い。さすがに連日の長距離ドライブ、さらには目的地を探しながら走ることの疲れがたまってきている。


◆最初に入ったサービスエリア。なかなかいいところだった。
◆仮眠をとったサービスエリア。こちらはファストフード系中心で、面白みには欠ける。
◆サービスエリアの駐車場で見つけた、ホシムクドリ


 ようやく、案内看板に「ロンドン」の文字が出た。残り118マイル。約190kmだ。まだ2時間近くかかることになる。午後6時までに宿に入り、レンタカーを返すことができるのか。焦りが募りはじめる。

 高速25号線に入り、ヒースロー空港近くまで来たところで、なんと大渋滞。しばらく様子を見ながら進むも、どうやら事故渋滞のようだ。二人で検討したすえ、高速を降りて国道で向かうことにする。この時点で16時前。あでりーが地図を見ながらルートを考えてくれて、その通りに走る。ところが、途中まで走ったところで、どうにも地図と実際の道とが合わなくなる。どこを走っているのか、かいもく見当がつかない。高速の入り口が見えた。4号線だ。これに乗り、2番出口まで走る。トイレに行きたくなっていて、それも焦りを誘う。高速出口からのルートを考え、その通りに進んでいるはずが、また迷う。なんだかうまくいかない。
 いったん車を停め、近くにいた人に聞いてみるが、ハマースミスのあたりかな、くらいのことしかわからない。あたりはもう暗くなっている。トイレを我慢できなくなり、路上で済ませる。

 そこからどうにか方向を定め、進んでみるが、遂に午後6時を過ぎた。レンタカーはもうあきらめて明日返すことにする。とりあえず宿のほうに電話をするため、街角で車を停める。電話ボックスが2つあったが、なぜか両方とも使えない。近くに店があり、何の店かはわからないが電話が見えたので、借りてかけてみる。かなり焦っているので、失礼なことも強引に頼んでしまう。宿のご主人は電話に出ず、自宅のほうにかけると、まだ帰っていないとの返事。
 別の店に入り、現在地を確認したうえで、すこし引き返す。ロンドン水鳥センターのすぐそばにいるらしい。
 そこから地図の通りに走る。また迷う。ちゃんとやっているはずなのに、ぜんぜんうまくいかない。ガソリンもだんだん少なくなっている。二人して焦りのスパイラルに陥っている。わからないながらも走っていると、「プットニー」という表示が見え、地下鉄の駅のそばを過ぎる。なんとそこは前回僕が泊まっていたあたりで、その地下鉄の駅から毎日、ロンドン市内に向かったものだった。少々の感激。しかし先へ進まなくては。

 いかにもロンドンという、素晴らしい夜景のスポットをいくつも通り過ぎる。目には映るけれど、心には届かない。通勤ラッシュで各所が渋滞している。動かない車の中で、心がすり減っていく。
 どうしようもなくなり、ふたたび車を停める。そのたびPCを抱えて、人に尋ねる。もう、何度これを繰り返したかわからない。とにかく有効な地図は、PC上にしかないのだ。

 近くを歩いていた黒人のお姉さんは、すごく親切に丁寧に教えてくれた。PCが何故か再起動を始めた時も、寒いなかをじっと待っていてくれた。なんとか現在地と、これからのルートが判明する。近くまでは来ている。あとは、国道23号線に出ればOKだ。一方通行が多く、かなり複雑な交差点を奇跡的にやりすごす。このままなんとか着いてくれ。レンタカーは明日、追加料金を払えばよい。それでも、なんとか宿には着きたい。その願いが通じてか、ようやく23号線に出る。やった! あとはこの道沿いに行けば大丈夫。

 しばらく走ると、宿のそばにあるノーベリーという駅が見えた。ここで車を停め、駅の公衆電話から宿に電話をかける。今度はつながってくれ!
 つながった! ご主人の北園さんが出てくれた。もう7時半になっていたが、なんとまだ宿のそばにあるオフィスにいてくれたらしい。すぐにオフィスに向かう。番地の表示を一軒一軒確認し、僕らの泊まる宿を遂に発見。その向かいにあるオフィスに行き、北園さんと会う。ひたすら謝る。北園さんは嫌な顔ひとつせず、出迎えをして下さった。

 宿を案内してもらい、一通りの説明を受ける。ここは、「北園ハウス」という名のウィークリーマンションである。一週間以上の滞在が必要という条件の替わりに、一泊がホテルなどに比べて格段に安い。そのうえ部屋も快適で、立派な共同キッチンもあるから料理も作れる。共同だがバスタブもある。これから約一週間、ここで過ごすことを考えるとわくわくしてくる。

 荷物を部屋に置き、なんとか人心地つく。もうへろへろだったが、夕食をとらなくては。近くにある大型スーパー「セインズベリー」に行く。いつもは野菜中心に、きっちり素材から料理をする二人だが、今日はもうそんな余力はない。電子レンジものでも、肉魚系でも関係なく、すぐに食べられそうなものをカゴに放り込む。
 宿に戻り、電子レンジで温めたものを食べる。2種類のパスタ(サーモン、チキン)、野菜春巻、サラダ(これだけはオーガニック)、スープ。



 あでりーと二人、苦労をねぎらう。二人して、よく頑張った。本当によくやった。
 あとから冷静に考えてみると、ここまで迷ったのにはいくつか理由がある。僕らは、地図上の道路の番号を頼りに進んでいて、標識にもその番号があるから楽に行けるだろう、と思っていた。PCのGoogle地図上の道路には、緑色の国道とオレンジ色の県道(というか国道より小さな道路)の2種類がある。ここで、国道=Aで始まる番号、県道=Bで始まる番号、と思っていたらそうではなく、国道、県道それぞれに、A系の番号とB系の番号の両方があったのだ。だから、番号だけで判断すると、別の道路に行ってしまうことがある。
 さらに、例えば交差点に「→A10」という表示があったとすると、右に曲がるとそこでもうA10号線に入ったものと判断していたが、実は表示の意味は、「右に曲がるとその先にA10号線がある」という意味だったりする。
 こうした原因で、うまくいかないことが多かったのだが、その時はもうパニックになっていて頭が回らないのだった。それでも、僕もあでりーも、心の奥底では、きっとうまくいく、という確信はあった。だから、以前なら自暴自棄になっているようなところを、なんとか最後まで対処することができた。だから、この日の出来事は、二人にとって大きな収穫になったと思う。

 食欲がわかないかと思っていたら、しっかり食べることができた。その後は洗い物も明日にし、すぐに布団に入る。



■おまけ 〜ロンドンへの道中で出会ったペンギンたち〜 
 

 
 
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