■ラウンジ
北京ではトランジットだけなので何も手続きはないと思っていたら、ゲートが二つくらいあって、手荷物検査もしっかりされた。持っていた水も没収されてしまった。一通りの手続きが終わるまで1時間近くかかった。
エアチャイナでは、乗り継ぎが4時間以上になる場合、ビジネスラウンジが無料で使える。資料の地図を手に探すと、ほどなく見つかった。とても丁寧な応対でラウンジに通してくれた。
場合によってはホテルの部屋が使えるらしいので聞いてみると、しばらく待ってくれ、との答え。とりあえず無料のコーヒーを入れて飲む。お菓子やジュースも無料だが、僕らに食べられそうなものはなかった。急に眠くなり、しばらく眠る。あとは本を読んだり、あでりーは日記を書いたり、ゆっくりと快適に過ごす。ホテルの部屋の件は何も答えがなかったが、まあよしとする。
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◆ラウンジにて |
■名古屋に到着、荷物が!?
時間になり、ゲートに向かう。北京から名古屋までの便はガラガラだった。ゆったりとシートを使い、これまた快適に過ごす。機内食はやはりウムムな味だった。名古屋までの間も、それほど眠ることなく過ごす。なんだか二人とも妙に元気だ。
途中、眼下にきれいな夜景が見えた。二人して熱心に見ていると、CAの方が、韓国ですよと教えてくれた。乗客の割にクルーが多いので、サービス満点である。
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◆韓国の夜景 |
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空港に着き、入国を済ませてバゲージクレームに到着。歩きながら、帰りのロストバゲージならいいね、行きは嫌だけど、なんてことを話す。荷物が出るのを待っていると、「○○○様。お近くの係員にご連絡ください」と書かれたプレートが回ってきた。なんと、さっき話していたロストバゲージなのであった! 二人して笑ってしまう。
特に困ることもないので、係員に言われるがまま書類に記入をし、あさっての朝に届けてもらうことにする。これだと今日家まで重い荷物を運ぶ手間がなくなるので、かえって好都合だった。自宅そばの地下鉄の駅から家まで、最初は車を使おうかと話していたが、スーツケース一つなので交代で引いて帰ることができた。本当にいいオチがついた。夜の10時半、我が家にたどり着く。
■後日談−旅で得たもの
帰り道が元気だったので、帰国後は時差ボケもなく普通に生活できるかな、と思っていたら、翌日は二人して爆睡。夕方近くまで眠る。その翌日、ロストバゲージのスーツケースは無事に届けられた。
旅を終えてからも、余韻は尽きなかった。二人での初めての海外旅行は、思っていたより何倍も何倍も、意義深いものとなった。
得られたものは、たくさんある。中国でもイギリスでも感じたのは、ほとんどの人が僕らにとても優しく接してくれたことだ。とかく中国人などは悪く言われることが多いものだが、北京での滞在で嫌な思いをすることはまったくなかった。これはすなわち、他人は自分を映す鏡だということではないか、と二人で話した。こちらが正しい態度で接すれば、向こうも応えてくれる。誰かを悪く言う人は、そもそも、その人自身の態度が良くないからじゃないか、というのは前から思っていたことだ。
自分を映すという点に関連して、学んだことはもう一つある。ちょっとしたことで慌てたり落ち込んだり、まあ旅の間はいろんなことがあった。こうした反応はすべて、自分を信頼できていないことに起因する。ハプニングの時にどれだけ落ち着いて行動できるか。それが、自分で自分の立ち位置を知るバロメーターになる。
旅行記の中で何度か書いたとおり、僕はこの旅に出る前も、出たあとも、常に不安がつきまとって離れなかった。理由は、「旅立ちまで」に書いた通りだ。僕はこの不安を、サイモントン療法で克服した。
ここですこし、サイモントン療法について触れたい。この療法は、ガンをイメージ療法的アプローチによって治療することで有名だ。さらに、ガン以外にも様々な応用が効く。僕自身はこの療法を受けたことはないけれど、本を読んだり、セミナーを聞いたり、セミナーの録音テープを聴いたりする機会が何度かあり、その有効性に非常に興味を持った。
サイモントン療法にはいくつかの指針やワーク(実践的な治療法)があるが、僕がおこなっていたのはビリーフワークと呼ばれるものだ。このあたり、簡単に説明することは誤解を招きやすいので注意したいのだが、あえて言えば、自分自身の不健全な思考を健全な思考に置き換える、というワークである。ノートの左側に、自分が抱えている不安などの内容を書き、その右側に、それを健全な思考のもとに書き換えたものを書く。方法さえわかれば、一人でできる。
僕は、旅行前一ヶ月くらい、毎日これを実行した。一日に二回おこなうこともあった。旅行中も、不安が湧き出ればやった。効果は抜群だった。不安が全くなくなった訳ではない。ただ、不安と共に過ごすやり方を知ったのだ。
サイモントン療法については、公式サイトがあるので、興味のある方は是非ご覧いただきたい。妻のあでりーも、サイモントン療法に深く傾倒している。この旅を通じて、サイモントン療法的に考えたり行動したりすることの重要性を、お互いに強く実感した。ビリーフワークの有用性、それから、全てはうまくいっている、と信じることの大切さを知り、それは二人の間の絆や信頼感を高めてもくれた。これは大きな宝物であり、これからの生活に大いに助けになることだと思う。
この記事を書いている今は、帰国後半年ほどが過ぎてしまったが、今でもこの旅行のことを振り返るたび、自分の心のさまをありありと思い浮かべることができる。本当に忘れられない旅行になった。
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