イギリス周遊 TOP 1/21(木) 1/22(金) 1/23(土) 1/24(日) 1/25(月) 1/26(火) 1/27(水) 1/28(木)
旅立ちまで/日程 1/29(金) 1/30(土) 1/31(日) 2/ 1(月) 2/ 2(火) 2/ 3(水) 2/ 4(木)
 
 
■ かつての場所 1/25(月)

■東へ

 深夜1時過ぎに起床。昨日はすぐに寝付いたので、5時間の睡眠だがしっかり疲れが取れている。読書室に移動し、2時間ほどをかけて日記を書く。
 部屋に戻ると、5時前くらいにあでりーも起きてきて、毎朝恒例のピロウトーク。5時半に起き出し、先に荷物を車に積む。朝食開始を待ち、昨日と同様にタッパーに詰める。メニューもほぼ同じで、野菜メニューをいくつかと、パン、コーヒーを持ち出す。
 フロントでキーを返却し、車に乗り込む。短い滞在だったが、この街のことは、心に深く刻みつけられた。夜明けのケズウィックを後にする。「ありがとう」という言葉が自然に出てくる。そして、「また今度」とも。

 今日はこれから、僕がかつて訪れた水鳥センターへ向かう。ワシントンという街にあり、ヨーロッパでも有数の大規模な施設である。なにしろ、水鳥だけで1200羽もいるのだ。とにかく鳥の好きな二人である。2004年に一人で訪れたあと、いつかあでりーと二人で再訪したいと願っていた。

 湖水地方はイングランド北部の西岸側に位置し、ワシントンは東岸側である。ケズウィックを出て、ほぼまっすぐに東へ東へと車を走らせる。雪山を左右に見ながらの素晴らしい景色が続く。どんどん雪山が近くなり、それにつれて気温も下がってくる。車の温度計がマイナス1℃をさした時、急に窓ガラスが曇る。慌ててエアコンをフルで入れるが、なかなかきかない。身をかがめて、曇っていない部分から前を見て運転する。途中で何度か車を停めてタオルで拭いているうち、なんとか曇りが取れてきた。次第に気温も上がり始める。

 道中、あでりーといろんな話をする。時間や空間に本来、制限はないこと、制限は自分自身が作っていること、制限を取り払うことで自由になれること、ケズウィックの石とあでりーとがどこかでつながっていることは十分にあり得ること、等々。おたがい、頭の中で様々な思想が渦巻き、話は尽きない。
 車は国道から高速道へと入り、サービスエリアでトイレ休憩をとる。ここから先は簡単、と思っていたら高速を降りるところで迷う。インターチェンジでいったん降りてまた引き返し、また降りて、と繰り返す。なかなか目指す国道が出てこなくて焦るものの、ようやく1231号線に合流。すぐに水鳥センターの案内表示が出てきたので、安心して案内の通りに進む。国道を離れ、細い道路を走っていると、見覚えのある建物を発見。前回はバスで来て、この建物のあるバス停で降りたのだった。

◆求め続けてやっと出てきた標識 ◆右下の茶色が水鳥センターの表示


■水鳥センター

 無事に水鳥センターに到着し、駐車場に車を停める。
 遂に来た。今回の旅行の大きな目的は、かつて僕が訪問して感動した場所を、あでりーと一緒に訪れることだった。その一つがかなえられた。感激もひとしおで、看板の前に立ち、何度も深呼吸をする。ここまでの道中、寒冷地を通過するため、雪や凍結が心配だった。なにしろノーマルタイヤなので、そうなったらどうしようもない。無事にここに来られたことの安堵感もたっぷりあった。心から嬉しい。いろんなものに感謝をする。もちろんあでりーにも。

 前回来た時には、入り口を間違えて別のほうに歩いてしまい、30分ほどを無駄に過ごした。今回はまっすぐに入り口を目指す。入場料を支払って中に入る。すぐに鳥を見に行きたいが、まずは昼食にする。スタッフに確認したところ、ガラス張りのホールにあるテーブルで食事をとってもいいとのことで、この特等席に陣取る。ここだと、食べながら外にいる水鳥たちが観られるのだ。
 昨日のベジレストランで買ってきたサンドイッチ、サラダ、YHAの朝食メニューなどでランチをとる。ベジレストランのものはやはりおいしい。ただ、最後に食べたケーキは甘すぎて、いただけない味だった。なんだか気がはやるせいで、せかせかと食べてしまう。

 いよいよ、水鳥たちを見に行く。建物を抜けて展示区域内に入る。広大な敷地に、たくさんの小さな池が設置してあり、様々な種類の水鳥たちが、なかば放し飼いになっている。以前とは構造が異なっているところ、以前のままの造りのところ、さまざまだが、水鳥の種類は確実に増えていて、日本では見ることのできない鳥たちが無数にいる。この素晴らしい場所に、あでりーと一緒に来たかったのだ。はやる気持ちをおさえながら、一つ一つ、見て回る。僕はビデオ、あでりーは写真を担当し、お互いに休む暇なく撮影を続ける。



 ハワイガンがとても人なつこくて、そばをついて回る。コクチョウの赤ちゃんが、親の足下に寄り添って泳いでいる。前回僕がたいそう気に入った、ホンケワタガモが出てきた。こいつにまずは会いたかった。あいかわらずのヘルメットをかぶったような顔がかっこいい。つづいてカナダガン、ホオジロガモ、シノリガモ、アメリカオシドリ……、もう次から次へと出てきて、じっくり種類を確認するのが追いつかない。柵の向こうの池に浮かんでいるものもいれば、僕らのいる歩道にまで出ている鳥もいて、じっくり観察しているとすぐ後ろを別の鳥がすたすた通り過ぎていったりする。妙に攻撃的なやつがいたり、2羽で交互に合いの手を入れるように鳴きあっているペアがいたり、目の前で繰り広げられる光景に、心がついていけないほど。やっぱりここはすごい場所だ。あでりーは既に放心したように写真を撮り続けている。

◆ホンケワタガモ。僕らの通称“ヘルメットの奴”
◆日本で観られるのと同じ、オシドリの夫婦
◆コクチョウのヒナ
◆アカツクシガモ


 続くお目当ては、オウギアイサだ。前後に長い特徴的な風貌が忘れられず、あでりーも僕の撮った写真やビデオを見て、これを見たいと前から言っていた。千葉市動物公園にいるとネットで調べ、行ってみたらもういなくなっていて、残念な思いをしたこともあった。
 記憶していた場所には、オウギアイサはいなかった。もしかしていなくなったのか、と危惧していたら、別の池で発見。やった! 3〜4羽はいる。その特徴的な顔がやっぱりかわいい。あでりーもすごく喜んでいる。しばらくはこの場所にとどまり、思う存分、充実した時間を過ごす。


◆念願だった、オウギアイサ、左がオス、右がメス


 その先にも、まだまだ見たことのない鳥たちが顔を出す。興奮して進んでいるうち、一周して元の建物に戻ってきた。気づくと疲れていたので、しばし休憩。
 2周目。あでりーは鳥たちのスケッチにかかる。カメラはデイパックに収め、先に外に出た。僕はもう少し休んでから出る。スケッチをするあでりーをビデオに収める。到着した当初はなんだかここに来た実感が沸かなかったが、だんだんじわじわと心にしみてきた。
 一周目に歩いた区域の外側にも遊歩道が作られており、そちらには主に野鳥がやってきているはずだったが、実際に行ってみるとほとんどいなかった。別の入り口から戻り、ふたたびあでりーと合流。スケッチを見せてもらう。絵からは、この場所に来られた喜びが存分に伝わってくる。いい時間を過ごせているのがよくわかる。あでりーはずっと、「私は今、やりたいことをやっている」と唱えながら絵を描いていたという。
 3周目は、僕がカメラ、あでりーがビデオを担当する。お互いを撮影しあったり、ビデオを置いて二人で映ったり、さんざん遊んで満足したところで、そろそろ引き上げることにする。精一杯楽しんだので、名残惜しさはあっても、悔いはない。すべてのものに感謝をする。
 
◆シノリガモ
◆人なつこいハワイガン


■サンダーランドの街並

 水鳥センターを出て、隣町のサンダーランドへと向かう。ここもかつて僕が訪れた街で、大好きなミュージカル「スターライト・エクスプレス」を観るために通った劇場がある。数日の滞在だったにもかかわらず、宿や風景がとても気に入り、あでりーと一緒に来たいと思っていた。
 サンダーランドにはほどなく到着する。中心部にある大きな橋のそばに車を停め、歩き出す。両替のためインフォメーションに向かおうと思ったら、大きな郵便局を発見。ここでようやく250ポンドを現金化し、一安心。さらに、手紙も投函する。
 インフォメーションに着き、ベジタブルレストランがないか確認したが、わからないとの返事。その後は、懐かしいサンダーランドの街を歩く。すでに夕方になり、あたりは暮れ始めている。ケズウィックをはじめ、湖水地方の小さな街々を巡ってきたせいか、ここがすごく都会に見える。銀行や店が立ち並び、以前に来た2004年よりも発展している気がする。
 「gentoo」という名の不動産屋を見つけ、二人で盛り上がる。マスコットキャラとしてジェンツーペンギンの絵がでかでかと掲げられていたからだ。人目を気にしながら、写真を撮る。

 駅前のショッピングセンターに入る。プリペイド式のテレフォンカードをずっと探しているが、ここでも見つからない。市場に入り、バナナを購入。さらに、スーパーでオーガニックの白人参とマッシュルーム、包装にペンギン柄のあるチョコレートなどを買う。
 市場を抜け、僕がミュージカルを観たエンパイアシアターまで歩く。ライトアップされて、とても雰囲気のある建物だ。今日は公演はないのか、もう閉まっていて人影はない。それにしても、あでりーとここに来ているとは! 嬉しくて嬉しくて、心がはやる。

 ふたたびショッピングセンターに戻り、おもちゃ屋をひやかしたあと、5L入りの水を1ポンド(150円)で買う。あでりーの提案で、サンダーランドに来た記念に、街の名前の書いてあるスポットで写真を撮ろうということになる。ショッピングセンターの入り口や、駅前などで撮影をおこない、車に戻る。
 車に近づくと、窓ガラスに異変を発見。何かが貼られている! もしや、と思ったらやはり! やられた。駐車違反のシールだ。封筒の中に説明書きが入っていて、罰金は70ポンド(15,000円)。あ痛ー! もちろんこちらが悪いのだけど、しくじった。
 ところが、さらに説明を読んでみると、14日以内に支払えば半額でいいらしい。これで救われた。7,500円ならダメージは少ない。明日、支払いに来よう。

◆“gentoo”不動産。マスコットはジェンツーペンギン ◆エンパイアシアターの前


■懐かしの宿に

 車を出し、宿に向かう。前にも泊まったところだから、車で行くのは初めてだが何とかなると思っていた。プリントアウトしてきた地図を頼りに進む。海岸線に出てすぐのはずが、なかなか見あたらない。遂に道の果てるところまで来て、さすがに行き過ぎだと判断し、引き返す。周りの風景の記憶を引き戻しながら走る。後ろから車が来ている中で確認しながら探すのは本当に体にこたえる。やがて右手に見覚えのある公園が出てきて、その先に大きなホテルが出てきた。そして、目指す宿はその隣にあった。安心して車を停めるが、今日はまだまだすんなりとはいかないのだった。

 荷物を降ろそうとしていると、宿の主人が出てきた。見覚えのある顔で、僕としては笑顔で再会のあいさつを交わそうと思っていたのに、向こうはなんだか怪訝な顔である。予約がある、と告げても、不審そうに首をひねる。一緒に中に入り、もう一度予約をしてある旨を伝えるが、「No」という返事。今日はもう予約の客はないらしい。
 宿には、直接メールで予約をしてあった。ノートPCにそのコピーを持ってきていたので、PCを開き、正確な送信日時を知らせた。主人は自分の携帯でそれを確認すると、ようやく納得してくれた。その後は、何度も何度も丁寧に謝ってくれて、こちらが逆に恐縮してしまうほどだった。
 ここでしばらく待っていてくれ、と、地階のバーカウンターに通され、ポット入りのコーヒーをごちそうになる。コーヒーはなかなか美味しく、しっかり飲んでから、さらには手持ちのボトルにも詰める。30〜40分ほどで主人が帰ってきた。部屋が準備できたらしい。彼は僕らの重たいスーツケースを2個両手で持って3階まで運んでくれる。その間も、自分のミスだ、ということを連発し、すまなそうに謝ってくれる主人に、とても好感を持った。彼に続いて階段を登りながら、僕はこれが二度目の滞在で、前回とても気に入ってまたここに来たことなどを話す。主人は嬉しそうな顔をして、さらに饒舌に話してくれる。ただ残念ながら、こちらの地方のなまりのせいか、彼の話す言葉は半分も聞き取れない。

 通されたのは3階で、屋根裏部屋である。それでも充分に広く、ダブルベッドとシングルベッドが一つずつある。出窓のところがベンチになっていて、とても雰囲気のある部屋だ。あでりーも、すごく気に入ってくれている。(なんだか前回泊まった部屋と似ているなあと思っていて、帰国後に調べたらやっぱりその通りだった!)
 遅くなっていたので、手持ちのもので夕食にする。ベジレストランのバーガーはやはり美味しい。ただ、チョコレートのケーキは甘過ぎて駄目だった。とにかくしっかりたっぷり食べて満足する。
 食後は、風呂に入る。ここにはなんとバスタブがあるのだ。しかし、湯の温度が低くて水圧も低い。中に入って湯をためはじめるも、一向にたまっていかない。いったん上がって待つことにする。しばらくすると湯の温度がかなり下がってきてしまい、湯沸かしポットで沸かした湯を何度も補給し、ようやく入れる程になる。今日はつかるだけでよしとした。これで疲れが取れたのか、目が冴えてしまい、11時くらいまでしっかり日記を書く。


■おまけ 〜サンダーランド市街で出会ったペンギンたち〜

 
 


イギリス周遊 TOP 1/21(木) 1/22(金) 1/23(土) 1/24(日) 1/25(月) 1/26(火) 1/27(水) 1/28(木)
旅立ちまで/日程 1/29(金) 1/30(土) 1/31(日) 2/ 1(月) 2/ 2(火) 2/ 3(水) 2/ 4(木)


旅行記TOPに戻る ホームへ戻る