EHN 2009年7月7日
更なる証拠:BPA がプラスチック・ボトルから滲出し人の体へ
解説:ヒーサー・パティソウル博士

情報源:Environmental Health News, July 7, 2009
More evidence that BPA leaches from plastic bottles and into people
By Heather Patisaul, Ph.D.
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/more-evidence-bpa-leaches-from-plastic-bottles-into-people

オリジナル:
Carwile, JL, HT, Luu, LS, Bassett, DA, Driscoll, C, Yuan, JY, Chang, X, Ye, AM Calafat and KB Michels. 2009. Use of polycarbonate bottles and urinary bisphenol A concentrations. Environmental Health Perspectives doi:10.1289/ehp.0900604.
http://www.ehponline.org/realfiles/docs/2009/0900604/abstract.html

訳:安間 武(>化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年7月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_090707_BPA_leaches.html


 尿中のビスフェノールAのレベルはプラスチック・ボトルから飲料を飲んだ後には著しく高いという発見はBPAがプラスチック容器からその内容物に溶けだすことができるという更なる証拠を提供するものである。

 ハーバード大学の新たな研究は、BPAの尿中レベルはポリカーボネート製プラスチック・ボトルの冷たい飲料を飲んだ後に69%高くなることを見出した。

 加熱するとポリカーボネート製容器からのBPAの移動を促進することが長らく知られていたが、これは冷たい飲料を飲んだ後にBPAの尿中レベルが高くなることを示す最初の研究である。この報告書は、BPAを含む容器に保存された食品や飲料が汚染され得ることを示す増大する研究に新たに加わるものである。

 この研究では77人のハーバード大学の学生がBPAを含むことが知られているポリカーボネート製プラスチック・ボトルから冷たい飲料を1週間飲んだ。週の始めと終わりに集められた尿サンプル中のBPAレベルが比較された。実験が開始される前のBPA暴露を最小にするために、、学生らはステンレス・スチール製のボトルを与えられ、最初の尿サンプルが収集される数日間、プラスチック・ボトルの代わりにこれらを使用するよう要請された。

 この要請はきちんと守られた。BPAの尿レベルはポリカーボネート製ボトル使用後69%高かったことはBPAが加熱されていなくても容易にプラッスチック容器から滲出することを実証した。

 この研究の結果は、アメリカ人の95%以上が血中にBPAを持っており、その多くがBPAで汚染された食品や飲料を摂取したことの結果であるらしいとする米疾病管理センター(CDC)の結論と一致する。

 BPAは広範な様々な家庭用品中に見出され、とりわけポリカーボネート容器と食品やソダー水のような飲料のアルミニウム缶の内面のエポキシ・ライニングに使用されている。ボトルの底に7の数字があるものはポリカーボネートでありBPAを含んでいるかも知れない。BPAはまた、医療器具、コンパクト・ディスク、メガネ、プラスチック水配管、タワー貯水槽の内面ライニングなどにも使用されている。BPAは内分泌かく乱物質であり、エストロゲン及び甲状腺ホルモンを含む体内のホルモン作用を阻害することができる。BPAの高い尿中レベルはまた、心臓疾病や糖尿病を含む人の慢性的疾病と関連している。

 昨年、食品医薬品局は、BPA暴露は人の健康に著しいリスクを及ぼさないとする立場を再確認した。この立場ににもかかわらず、Nalgene を含む多くのポリカーボネート容器製造者とほとんどの哺乳ビン製造者は彼等の製品中にBPAを使用することを自主的にやめることに合意した。食品医薬品局は今年の後半に始まるらしい医療器具中のBPAの安全性を評価する準備をしている。



訳注:FDAのBPA 評価レポート関連情報
訳注:BPA関連情報


化学物質問題市民研究会
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