CBCニュース 2008年4月15日
カナダ保健省 ビスフェノールAを危険物質と分類 発表間近

情報源 CBC News April 15, 2008
Health Canada bisphenol A announcement imminent
http://www.cbc.ca/health/story/2008/04/15/bisphenol.html?ref=rss

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2008年4月18日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_08/08_04/080415_Canada_BPA.html

 カナダ保健省はビスフェノールAを危険物質と分類することを水曜日(16日)にも発表の見込みであり(訳注0:4月18日 Health Canada News Release)、それは議論が高まっているこの物質の規制につながる可能性がある。

 Globe and Mailの報告(訳注1)によれば、この動きはカナダ保健省がビスフェノールA(BPA)は人と環境に危険を及ぼすと判定する世界で最初の規制機関となることを意味している。

 CBCが本日(15日)午後、問い合わせたところ、カナダ保健省の報道官アラステアー・シンクラアーはいつこの発表がおこなわれるのかについては答えなかった。

 多くの硬化プラスチック玩具、ボトル、食品容器などに用いられているBPAは、女性ホルモン様作用があると考えられている。最近の独立系の研究は、この化学物質がげっ歯類の乳がん、肥満、不妊、 インスリン抵抗性と関連することを示している。

 逆にプラスチック産業界は精力的にこの化学物質を弁護し、50年間も広く使用されてきたと述べている。

 カナダ保健省のビスフェノールA評価は、カナダ連邦政府がより入念な研究が必要であると指定した200化学物質に付いての研究の一環として昨年に開始されたものである。

 カナダ環境省と共に、カナダ保健省はビスフェノールA評価ドラフト版を発表した後に、60日間のパブリック・コメントにかけることになっている。

 パブリック・コメント期間中に新たな情報が出なければ、カナダ政府はいかに暴露を管理するかを概説する報告書を1年以内に発表する予定である。

 しかし一部の小売業者は公式発表まで待っていない。
 カナダ最大のスポーツ用品小売業者は火曜日(15日)、ビスフェノールAを含む全ての飲料ボトルを500以上ある店舗から撤去していると述べた。

 Forzani グループのCEO、ボブ・サトールは、カナダ保健省がBPAを危険物質と分類したとの報道があった後、同社は15日早々にボトルを撤去し始めたと述べた。Sport Check、 Athlete's World、Coast Mountain Sports等を含むForzani グループの店舗は、ボトルが持ち込まれれば、払い戻しをすると、彼は述べている。

 昨年11月、バンクーバーにある Mountain Equipment 社は、ポリカーボネート製容器を店舗から撤去したカナダで最初の大手小売業者になった。バンクーバーにあるLululemon Athletica社もまた同月、ビスフェノールAを含むプラスチック飲料ボトルの販売を停止すると発表した。


訳注0
Health Canada News Release
April 18, 2008 For immediate release
Government of Canada Takes Action on Another Chemical of Concern: Bisphenol A


訳注1
Canada first to label bisphenol A as officially dangerous
Would pave way for a federal ban MARTIN MITTELSTAEDT ENVIRONMENT REPORTER April 15, 2008


訳注2
ビスフェノールAに関する米国家毒性計画(NPT)概要報告ドラフト 2008年4月14日
DRAFT NTP BRIEF ON BISPHENOL A [CAS NO. 80-05-7] April 14, 2008
http://cerhr.niehs.nih.gov/chemicals/bisphenol/BPADraftBriefVF_04_14_08.pdf

同概要報告では、”ビスフェノールAはヒトの発達及び生殖に影響を与えるか” と題する節(ページ9)で、下記のように述べている。

ビスフェノールAのこれらの”高用量”影響は科学的な議論の余地はないと考えられ、実験動物に有害な発達影響を及ぼすことについて明確な証拠を与えるものである。
These “high” dose effects of bisphenol A are not considered scientifically controversial and provide clear evidence of adverse effects on development in laboratory animals.

総合的に考えると、ビスフェノールAの”低用量”研究の結果は実験動物に有害な発達影響を及ぼすとことについて限定された証拠を与えるものである。
When considered together, the results of “low” dose studies of bisphenol A provide limited evidence for adverse effects on development in laboratory animals.

ビスフェノールAのヒトへの影響に関するデータは欠如していることを認識しつつ、また下記で詳細に議論されているように実験動物における”低用量”影響の証拠に限界はあるが、ビスフェノールAがヒトの発達に影響を与えるという可能性を無視することはできない。
Recognizing the lack of data on the effects of bisphenol A in humans and despite the limitations in the evidence for “low” dose effects in laboratory animals discussed in more detail below, the possibility that bisphenol A may alter human development cannot be dismissed.

訳注3
その他関連情報:


化学物質問題市民研究会
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