ビスフェノールAに関する
FDA 科学委員会小委員会
2008年10月31日
食品接触用途のためのビスフェノールA
評価草稿の科学的ピアレビュー

エグゼクティブサマリー

情報源:October 31, 2008
FDA Science Board Subcommittee on Bisphenol A
Scientific Peer-Review of The Draft Assessment of Bisphenol A
for Use in Food Contact Applications
http://www.fda.gov/OHRMS/DOCKETS/ac/08/briefing/2008-4386b1-05.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年11月11日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/FDA/081031_FDA_sub_BPA.html

エグゼクティブ・サマリー

プロセス

 科学委員会は助言を第一には米国FDA長官、そして科学界において、新たに生じている問題とともに特定の複雑で技術的な問題にかかるその他の適切な担当官に提供する。この暫定的な小委員会は、科学委員会によって召集され、科学諮問委員会から2名、学界及び政府機関から5名の科学者が招聘されて委員を小委員会を構成した。この小委員会の焦点は、食品接触用途のためのビスフェノールAに関しFDAが作成した評価草稿を科学的にピアレビューすることである。小委員会のメンバーは、FDA安全評価草稿中で評価された問題に特に関連する科学領域の専門家として化学物質委員会によって選定された。委員会全体による今後の行動のために、FDA安全評価草稿に関する助言を提供し予備的勧告を行うことが小委員会の目的である。
(FDA安全評価草稿:http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/08/briefing/2008-0038b1_01_02_FDA%20BPA%20Draft%20Assessment.pdf

 公聴会(付属書1/訳注:会議案内)が2008年9月16日にロックビル ヒルトン ホテルで開催され、そこで委員会は、FDA(タランチノ博士、ベイリ博士、トワロスキー博士 Drs. Tarantino, Baily and Twaroski)からビスフェノールA安全評価草稿の作成にあたり採用されたプロセスと科学的方法論の報告を受けた。国家毒性計画(国立健康研究所−国立環境健康化学物質研究所 NIH-NIEHS)副ディレクターであるジョン・ブッチャー博士(Dr. John Bucher)は、国家毒性計画(NTP)自身によるビスフェノールAの安全評価(すなわちNTPブリーフ)の実施に際し、NTPによって用いられたアプローチを発表した。最後の公式口頭発表でフレデリック・ボンサール博士(ミズーリ・コロンビア大学)は、チャペルヒル・ビスフェノールA専門家委員会の結論の概要と、ビスフェノールAへの暴露による毒性と潜在的リスクの評価において同専門委員会がFDAと異なる部分の概要を小委員会に説明した。公聴会の後、小委員会と招聘された委員の間で、安全評価草稿に関連するBPA研究調査とデータ・ギャップの解釈に焦点をあてた討論が行われた(付属書2/訳注:パネリスト7名)。

小委員会の具体的な所見

  • ビスフェノールAは、食品接触用途対象中に存在し、幼児、子ども、成人に対するBPAの摂食暴露をもたらす。食物消費パターン、代謝、発達中の体のシステムの脆弱性、その他の要素のために子どもは大人より暴露と感受性の両方が大きそうなので、評価草稿が子どもへの摂食暴露に焦点を当てたことについて小委員会は同意する。しかし小委員会の意見は、FDAの評価は累積暴露と新生児に特異なリスクを考慮することによって強化されるであろうということである。
  • FDA暴露評価草稿は、赤ちゃん用粉ミルクのサンプルの適切な数が不足していること及びサンプル中の変化を説明するよりむしろ平均値に依存していることを含んで、重要な限界がある。
  • FDA報告書草案は、評価に用いたデータを選定するために適用された基準のための合理的で適切な科学的根拠を明確にしていない。特に小委員会は、多数の非GLP研究が安全評価での使用から排除されたことに同意しない。
  • 小委員会によって勧告される一貫した信頼のできる研究選定基準は、FDAのハザード、用量−反応及び安全に関するBPA評価でCERHRによって”適切”であると判断された研究を使用することである。さらに、評価草稿の作成後に発表された成人と動物へのBPA影響研究は最終評価に含められることが検討されるべきである。
  • 小委員会は、FDA評価は暴露と影響双方の推定における不確実性についての適切な特性化に欠けるということを見出している。
  • CERHRによって適切であると特定された研究を含み有用性のある証拠の重みは、FDA評価草稿で選定された 5 mg/kg bw/dayよりはるかに低い(すなわち、少なくとも1桁またはそれ以上の桁低い)値を使用することの科学的裏づけを提供している。
  • 入手可能な定性的及び定量的情報(不確実要素の適用を含む)の両方を結合すれば、FDAによって”適切”であると定義された安全マージンは、実は不適切であると結論付ける十分に科学的なベースとなる。


訳注1:FDA科学委員会のレポート関連情報
訳注2:FDAのBPA 評価レポート関連情報
訳注3:その他の関連情報




化学物質問題市民研究会
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