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93.岩の浄化

セラーナと合流した私は、ソルスセイムの各地にある"岩"を解放して回った。
"風の岩"と同じく、どこもルーカーが現れて襲ってきたがセラーナもいるので落ち着いて対処できる。
"獣の岩"ではリークリングという小さくて臭い人型生物(※1)が働かされていた。人間以外も操れるようだ。

※1 本当に臭いかどうかは分かりませんが、名前から想像しました


ミラーク聖堂にある岩だけは、ミラークの支配力が強く働いているためか解放できなかった。
それ以外の岩は全て解放できたので、囚われていた人々も元の生活に戻っていった。

これにより表面上は、ソルスセイムの問題を解決したようにも見えたが、ストルンが言っていたように「ミラークの計画を遅らせるだけ」の効果しかないかもしれない。
やはり根本的な解決のためには、黒の書についてもっと詳しく知る必要がある。

94.知識への道筋

ネロスはテル・ミスリンという所に住んでいるとストルンから聞いていた。
テル・ミスリンを訪れると、そこには巨大なキノコがあり、住居に利用されていた。
モロウウィンドでは魔術師がこうした巨大キノコの家に住んでいると聞いたことがあったが、目にするのは初めてだ。

呪文の練習をしているネロスの弟子がいたので、声をかけてから練習を見学する。
練習中の呪文について二つ、三つアドバイスしつつ師匠について訊ねると、彼は誇らしげに教えてくれた。
ネロスは、モロウウィンドでも有力なテルヴァンニという家門のマスターウィザードらしい。師匠としては放任主義であまりきちんと教えてはくれないのだそうだ。

彼は自室にいるとのことで、キノコの家に入ってネロスを訪ねる。
ネロスは私の事を覚えていて会ってくれた。

ネロスに黒の書について聞くと、彼はそれを「ハルメアス・モラがばら撒いた禁断の知識の書で、定命の者を魅了して仕えさせるための餌の一つ」であると言った。
だが知識であることには違いないので、使い方次第では有用なのだと言う。

ミラークとハルメアス・モラの関係については、両者が関係していることも初耳という風だった。
ただ、ミラークが見たであろう黒の書については、その所在を知っているという。

それはドゥーマーの遺跡チャルダックにあるのだが、保護ケースに入っていて開くことができず諦めていたらしい。
遺跡の探険なら経験豊富だと言うと、ならば一緒に行ってみようか、という事になった。

チャルダック遺跡に到着してみると、例によって山賊が住み着いていたので退治する。
遺跡内部への入口は鍵が必要で、それはネロスが回収していた。知識の無い者に遺跡を荒らされないように対策したとの事だが、正しい選択だったわけだ。

内部に入ってすぐのホールの床中央がガラス床になっていて、そこに黒の書が納められている。
どんな方法でも開けることができなかったとネロスが言った。
確かに通常の方法で傷つけることはできそうにない。

近くにボタンがあるが、押しても反応しない。
こういう場合、動力を供給できれば動くというのがパターンである。
遺跡の地下に行くエレベーターがあるというので、地下に動力源になるようなものがないか調べてみる事にした。

ドゥーマーの遺跡を探険するのは何度目か分からないが、これまでで最も複雑な仕掛けになっているようで、進むのに苦労した。
セラーナやネロスと協力して仕掛けを解除しながら進む。
一番下層にはかなり大きな装置があり、よく分からないが動力装置らしいというので色々試していると作動した。

入り口に戻ってみると、動力が供給されているように見えた。
ボタンを押すと今度は反応があり、ガラス床が開いて台座が出てきた。そこに黒の書がある。

ネロスは最初に読む権利を私に譲ろうと言った。何が起こるかは知っているはずなので、まずは様子見という事かも知れない。
しかし躊躇っても仕方ない。もし何かあってもセラーナが何とかしてくれる……そう信じて書を開いた。

95.人類の庭師

またもやあの奇妙な感覚があり、目を開けると私はアポクリファにいた。
何度来ても奇妙な世界としか言いようがない。

その奇妙な世界を進み、黒の書の本体までたどり着いた。
書に手を伸ばすと、突然あの重苦しい気配がした……ハルメアス・モラだ。
顔を上げると、目の前には暗闇から無数に現れては消える目と触手があった。

「現れたな、怪物め」
私が敵意をむき出しにしてもハルメアス・モラは動じず、またしても自分の計画通りに私がここまでやってきたと誇らしげに言った。

デイドラの王子は、ミラークが自分の下僕である事、ミラークは自分が与えた知識とドラゴンボーンの力によって世界を思うがままにしようとしている事などを話した。
そしてミラークはそろそろ手に余りつつあり、代わりの者――つまり私の事だろうが――と挿げ替える時なのだろうと言った。

私が敢えて説明しなくてもヤツには全てお見通しらしく、ハルメアス・モラは私に力の言葉を与えてきた。
服従のシャウトの2つめ、それは定命の者を意のままに操るものだ。
ミラークはこのシャウトを3つめまで知っていて、ドラゴンさえ自在に操るのだと言う。それが私とミラークとの差だと。

そして3つめの言葉を教える代わりに取引しようと申し出てきた。
そら来たな、と私は思ったが黙って話を聞く。

ハルメアス・モラすら知らない秘密を、スコール村の呪術師が知っている。
ストルンを差し出せば、代わりに3つめの言葉を与えるとハルメアス・モラは言った。
「何もかも知っていて、運命すら司ると言うのなら私の答えを聞く必要はないはずだ。もう消えろ、ハルメアス・モラ」と、私が言うとヤツは可笑しそうに目を細めて消えた。

タムリエルに戻ると、ネロスが待っていた。
書を開いて何を見聞きしたのか知りたがっている。
私は秘密にする必要も無いと思ったので、そのままに話した。

「ミラークに匹敵する力を得る知識と、スコールの知っている他愛も無い秘密では安い取引と言わざるを得んな」とネロスは言った。
その秘密の価値は、スコールの民ではない我々には理解できないものかもしれないのに。

「読むか?」と黒の書を差し出すとネロスは首を横に振った。
今回の事件に深く関わるつもりはないらしく、全てが片付いてから改めて蔵書に加えたいと言う。
まあ、それはそうだろうなと私は苦笑しつつ、黒の書を荷物に入れて遺跡を後にした。

ネロスと別れてから、私たちはスコールの村へ行き、ストルンに相談した。

ハルメアス・モラは彼らの伝承ではハルマ・モラと言って知識の悪魔として伝えられているという。
スコール村の呪術師は長年、秘密の知識をハルマ・モラから守ってきたのだ。
彼らの秘密とは、風や大地などの自然と語らう術の事で世界を揺るがすような重要なものではないそうだ。だがモラにとっては"自分の知らないことがある"という事実そのものが問題であって、秘密のもつ重要性の問題ではないのだろう。

そんなに長年守り抜いてきたものなら、と私が諦めようとした時、ストルンは「秘密を差し出す時が来たのだ。伝承では、この秘密はいつか明かされてハルマ・モラが勝利すると伝えられている」と言った。
私が驚いていると、ストルンは気を使ってくれたのか「秘密を明かす時を選ぶのも呪術師の役目なのだ」と目を細めた。

黒の書を渡してくれとストルンに言われ、躊躇いがちに渡す。本当にこれでいいのかと自問する。
しかし、スコール村の秘密と、ミラークの企みを阻止する事と、どちらがより重要かは明らかである……

フリアも、モラと取引するなんて教えの全てに反していると反対しているが、ストルンの決意は固いようだ。
フリアの言葉を聞き、やはり止めるべきかと踏み出した私の肩をセラーナが掴んだ。

ストルンの選択は尊いもので、私たちはそれに敬意を払うべきだと彼女は言う。
彼女の父ハルコンは、自らのために全てを犠牲にしようとした。ストルンは、全ての人のために自らを犠牲にしようとしている。その行為の価値が、おそらく私よりも理解できるのだろう。

ストルンが黒の書を開いた。

苦しそうにうめき、そして「騙したのか!?」と叫んだ。その瞬間、暗闇から触手が伸びてストルンを刺し貫いた。フリアが悲鳴をあげる。
ハルメアス・モラは姿を現して秘密を知りえた事に満足し、最後の言葉を私に教えた。デイドラの王子として約束は守ると。しかしモラは、ストルンの命までは保障していなかった……

ハルメアス・モラは満足して、私とミラークの対決を見守ると言い、消えた。
倒れたストルンの元にフリアと、村人たちが駆け寄る。

「フリア……」私は何か言わなければと思い声をかけようとしたが、涙を堪えたフリアの言葉がそれを遮った。
「行って。父さんの犠牲を無駄にしないで。ヤツの下僕を殺して、ヤツの影が世界に現れるのを防ぐのよ。必ず、成し遂げて」

私はその言葉の力強さに胸を打たれ、それがミラークと戦うときの力になるようにと胸に刻み込んだ。
そして決着をつけるべく、黒の書を取り出す。
何かあったら頼む、とセラーナに告げる。彼女は了解しているという風に頷いた。

96.偽りの頂点

私はアポクリファにやってきた。

奇妙な世界を進んでいくと、力ある言葉の石碑を発見した。
そこから"ドラゴンアスペクト"の最後の言葉を学ぶと同時に、ドラゴンが現れた。
アポクリファという奇妙な世界の中で、スカイリムを思い出させる展開に少しの安堵感を得る。

ドラゴン、サーロタールに"服従"のシャウトをぶつけると、『お前のスゥームは達人の域に達している。乗れ、ミラークのところまで連れて行こう』と言った。この強力なシャウトはドラゴンの思考を奪い、むりやり従える事もできそうだったが、私にはドラゴンの誇りを奪い去るような事はできない。

前回、オダハヴィーングに乗せてもらったときは主導権がドラゴンにあったので、私は荷物よろしく乗っているだけだった。
今回のサーロタールは主導権を私にくれた。ドラゴンを操るのは初めての経験で上手くはなかったと思うが、サーロタールがフォローしてくれる。

ドラゴンを操るのに慣れてきた頃、ミラークがいるという巨大な塔にたどり着いた。
その頂上に運んでもらう。

そこにはミラークが待っていた。私がサーロタールを従えているのを見て、ハルメアス・モラが手を貸している事に気がついたようだ。
だがそんな事はどうでもいいとミラークは言った。私の魂を吸収して、その力でタムリエルに帰還するのが計画の仕上げだと言い、襲い掛かってきた。

この場には敵しかいないし、被害を気にする必要もない。久々に周囲を気にせず全力で戦える。
"ドラゴンアスペクト"のシャウトで自身の力を限界まで引き出し、広範囲に被害を与えるシャウトや呪文も容赦なく使う。
全力を出した私の力はミラークを凌駕している。彼はその点について見誤っていたようだった。

ミラークはピンチになるたびに従えたドラゴンを殺して魂を吸収し回復する。
その卑劣な手段は私を激怒させ、さらに苛烈な攻撃を繰り出させた。

吸収できる魂がなくなると、ミラークは逃げ出した。
シャウトを用いた高速移動となると、さすがに捕える手段は無い。
逃げられてしまう、と思った瞬間、闇から触手が伸びてミラークを刺し貫いた。見上げると、ハルメアス・モラがいる。

『この世界で我に隠し事などできぬ。お前の考えはお見通しだ。アポクリファを出て我が支配から脱しようなどと……』
ミラークの身体は見る見る燃え尽きていく。
ドラゴンボーンの死を見るのは、当然私にとって初めてのことだった。
それはドラゴンが死ぬ時と全く同じものだ。ミラークの魂を吸収することさえできた。これで万が一にもやつが蘇ることは無い。

『ドラゴンボーンを失うのは大きな損失だが……まあ、いい、新しいドラゴンボーンが我に仕えてくれるだろう』
ハルメアス・モラは私の答えを聞かずに姿を消した。

ここでは隠し事が出来ない、というハルメアス・モラの言葉が真実なら、ヤツももう分かっているはずだ。
私ははっきりとハルメアス・モラを敵として認識していた。
ミラークはやつの手のひらで踊っていたにすぎないのだから。

ハルメアス・モラと対決する運命は、あのオグマインフィニウムを私に読ませた時から決まっていたのだろう。
ヤツは自分の失敗に気付いているのだろうか。

しかし、今はその時ではない。
私はタムリエルに帰還すべく、黒の書を開いた。

私がアポクリファから帰還すると、セラーナとフリアが心配そうに見ていた。
「"岩"が解放されて自然が一体になったのを感じるわ……終わったのね」とフリアが言い、私は頷いた。
「だが、まだハルメアス・モラが残っている」
私は決意を込めてそう言った。

フリアは父ストルンの跡を継いでスコール村の呪術師になると言う。
村を離れてスカイリムに帰る私とセラーナに、彼女は警告してくれた。
「ハルマ・モラとはこれ以上取引すべきでないわ。それがやつを倒すためだとしてもね」

この言葉の意味を、私は今でもよく考える。
そして私たちはスコール村を、ソルスセイム島を後にした。

97.エピローグ

これは私がスカイリムに来てから、今まで経験してきた冒険を綴ったものだ。(細かな出来事については省略してある)
そういえばなぜ私がスカイリムにやってきたのか、まだ記していなかったが、まあ、そんな事はどうでもいい事だろう。それよりも次なる冒険についてだ。

今、私は自宅であるレイクビュー邸のテラスにいる。
眼下に広がる湖は青空を映していて、晩夏の風は爽やかだ。
目の前にはセラーナがいる。
私に背を向けて、テラスの手すりに肘を預けて景色を眺めている。

私の手の中にはリフテンのマーラ聖堂からもらってきたアミュレットがある。
スカイリムの人々にとって、このアミュレットは結婚の申し入れをするという意思表明になるのだと教えてもらった。
セラーナもたぶんその事は知っているはずだ。

私はマーラのアミュレットを首にかけた。
まるでこれからアルドゥインと戦うみたいに緊張している。あるいはハルコンと、いやミラークでもいい……
そうか、と私は思い出した。勝利を確信できないまま始めた戦いは今までにもあったじゃないか。

私は新しい冒険への一歩を踏み出す決意をして、顔を上げる。

「セラーナ、話があるんだが……」

<完>






※2 ちなみに、PC版でMODを導入しない限りセラーナに求婚しても断られてしまいます。恩人というか尊敬できる人物としてしか見たことがなくて、結婚相手として考えたことがなかった……とか何とか



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