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私はまず、"メエルーンズのカミソリの柄"を持つというヨルゲンを訊ねてモーサルへ向かった。
ヨルゲンを見つけて話を聞くと、先祖から受け継がれているものではあるが、もはやそれほど重要なものとも思っていない様子だった。
無料で、というわけにはいかないと思ったので、代金を支払って買い取らせてもらった。
サイラスの情報では、他の所有者たちの家系はすでに断絶しており、現在は危険な連中が保持しているとの事だった。
"刃の破片"があるというクラックスタスクキープを次の目的地とした私は、ファルクリースへと旅した。
ファルクリースの街の暖かい宿で一泊しようと、夕暮れに街へ入った途端、またもやドラゴンの襲撃があった。
もうドラゴンの襲撃そのものは慣れていた。しかし街中での襲撃は周囲への被害を気にしながらの戦いとなる。私の脳裏に、ウィンターホールドの街路で横たわるランミルの姿が浮かんだ。
ドラゴンは屋根から屋根へと飛び移りながらブレスで攻撃をしてくる。私は住民達に避難するよう警告しながら、ドラゴンと戦った。
ドラゴンを倒したあと、被害にあった人がいないかと周囲を見て回ったが、幸い誰も倒れていない。
ほっと一息つくと、いつの間にか衛兵や街の住民が集まり、私を見てドラゴンボーンだとささやきあっていた。
襲撃してくるドラゴンは、おそらくアルドゥインの手下なのだろう。やつらは私を狙っている。街中に襲撃してくるほど大胆になってきている。
もうあまり時間は残されていないのかもしれない。
翌日、クラックスタスクキープに行ってみると情報どおり山賊の根城になっており、彼らの辞書に交渉の文字は無かった。
山賊を退治して目的のものを手に入れ、私は次の目的地"柄頭石"があるというデッド・クローン・ロックを目指してマルカルス方面へと向かう。
山中を移動中、前方に人の気配を感じて隠密行動に移り、こっそり忍び寄ると、帝国軍とストームクロークの戦闘跡で死者から略奪している連中がいた。
私は帝国軍にもストームクロークにも属していないし、彼らの行動を咎めるほど清廉潔白でもない。トラブルになっても面倒なので、隠れたままやり過ごした。
山の麓に沿って馬を走らせていると、前方に洞窟と数人の人影を見つけた。
馬を下りて隠れて近寄ると、グレンモリル魔術結社という場所だと分かった。(※1)
聞き覚えのある地名だなと手帳を確認すると、ウィンターホールド大学図書館の司書ウラッグから捜索願いの出ていた『シャリドールの洞察』という本があるとされる場所だ。
さっそく忍び込んで、本を手に入れた。
私は街道を通らず、森を抜けて山中へと入っていった。
山に近付くという事は、マルカルスへと近付いているという事だ。
そしてコルスケッガー鉱山を発見した。
マルカルスの鉱山主が、フォースウォーンに占拠されて困っていると言っていた場所だ。
フォースウォーンの王マダナックは私が始末したが、彼らの活動そのものに大きな影響はなかったように見える。
二度目にマルカルスに来た時(一度目は自分の意識がある状態ではなかったので実質"初めて訪れた時"と言ってもいい)に、鉱山主には親切にしてもらったので、ここで恩を返しても良いだろう。
鉱山の入り口にいるフォースウォーンは私に気付き、声をかけあって襲撃しようと向かってくる。
彼らには彼らの事情がある事を、今は私も知っているが、問答無用で旅人を襲うようなら山賊と変わりはない。
私は馬上で剣を抜き、拍車をかけて襲撃者の集団に切り込んだ。
鉱山からフォースウォーンを一掃し、マルカルスへの旅路に戻る。
周囲には民家などないような山中で、前方から二人の子供がやってくるのを見つけた。
私は何かトラブルがあったに違いないと彼らに話しかけたが、子供たちは無邪気に「遊んでいたの」と答えた。
そして「向こうに遺跡があって、こういうのがたくさんあるんだよ」と"ドゥーマーのコグ"を私に見せた。
確か、ウィンターホールド大学のアーニエルがこれを必要としていたような気がする。
私は子供達からそのコグを買い取った。
子供達はお金を手に入れて喜び、笑いながら走り去ってしまった。
こんなところに子供だけでは危険だ。「マルカルスまで一緒に行こう」と呼びかけながら振り返ると、もう子供達の姿は無かった。周囲を探し回ったがどこにもいない。
あの子供達は何者だったのだろうか。フォースウォーンのうろつく山中を、まるで近所の公園で遊ぶかのように笑いながら駆け回る二人の子供。あれは本当に見た目どおりの存在だったのだろうか。
マルカルス郊外で鉱山主にコルスケッガー鉱山の件を報告すると、とても喜んでくれた。
街中には入る気になれなかったので、そのまま一泊させてもらい、翌日にはデッド・クローン・ロックへ向かった。
"柄頭石"があるというデッド・クローン・ロックはフォースウォーンの拠点になっており、しかも"柄頭石"の持ち主はハグレイヴンという始末。
思ったより苦労したが、目的の物を手に入れることができた。
これで"メニエーンズのカミソリ"のパーツは全て回収できたので、私はドーンスターに戻るため地図を確認した。
途中でフォルガンスールに寄っていくことが出来そうだ。
フォルガンスールというのは遺跡で、そこにはゴールドールの失われたアミュレットの一部が眠っているはずだ。
この話はウィンターホールド大学図書館で見つけた『失われた伝説』という本に書かれていたものだ。
かつて強大な力を持ったアークメイジでゴールドールという人物がいた。その強大な力の源はアミュレットにあった。
ゴールドールの死後、その三人の息子達はアミュレットを三分割してそれぞれ継承したのだが、各地に動乱を起こした。
そのため三人とも討伐され、それぞれ封じられたという。
その封印の地の一つがフォルガンスールである。
私は以前アンダーサールザルを調査した時、このゴールドールの息子の一人と出会っている。彼の持っていたアミュレットの一部も持っている。
それについて図書館で調べた際に『失われた伝説』を見つけたというわけだ。
フォルガンスールを調査した私は、内部でドラウグルと、ドラウグルと化したミクルル・ゴールドールソン(ゴールドールの三人の息子の一人)と対面する事になった。
彼らとの戦いを制し、私はゴールドールのアミュレットの一部を手に入れた。
また、ここでは私と同じくゴールドールについて調べていた冒険者らしき男の遺体を発見した。彼の手記によると、彼は私の先を行っていたようでゴールドール自身の墓の場所、さらに伝説の真相まで辿りついていた。
ここまで調べておきながら志半ばに倒れたのは無念だろう。彼の遺志は私が継がねばなるまい。
スカイリムを半周するような長旅をして、ドーンスターに戻ってきた私はさっそく博物館を訪ねた。
サイラスに"メニエーンズのカミソリ"のパーツを渡すと、彼はそれを修復するためにメニエーンズの祠に行くつもりだと言い出した。
メニエーンズはオブリビオンの動乱を引き起こしたデイドラの王子である。危険すぎるとサイラスを説得しようとしたが彼は聞く耳を持たない。
本来メニエーンズのものである"カミソリ"を取り戻したのだから喜ぶはずだというのだ。
サイラスは私が同行しようがしまいが行くつもりだというので、仕方なく私も同行する事にした。
メニエーンズの祠に、"カミソリ"のパーツを置いて修復を願うサイラス。
だがメニエーンズからの答えを得られず、途方に暮れている。
しかしその時、メニエーンズは確かに私達を見ていた。なぜなら、メニエーンズはサイラスではなく私に語りかけてきていたからだ。
『"メニエーンズのカミソリ"の所有権を得たいなら、サイラスを殺せ』と。
もしこの話を持ちかけていたのがサイラスのほうであったなら、彼は私を殺そうとしたかもしれない。しかし私は彼ほど"メニエーンズのカミソリ"を求めていない。
「メニエーンズはカミソリを修復して与えやる代わりに君を殺せと言っている。君はこの場から立ち去ったほうがいい」と私はサイラスに忠告した。
サイラスは恐れおののいて、すぐに走り去った。
メニエーンズは怒り、手下のデイドラを召喚してきた。
私もそれに対抗してサングインのデイドラを召喚して戦い、撃退した。
"メニエーンズのカミソリ"は修復されなかったが、博物館に置かれるぶんにはこのほうが良いだろう。
私はそれらを回収してドーンスターに戻った。
そういうわけで、"メニエーンズのカミソリ"は今も分解されたまま、ドーンスターの"深淵の暁博物館"に保管されている。
サイラスは修復されなかったことを今でも時々悔やんでいるようだが、そのたびに「私に殺されたほうが良かったか?」と言うと、彼はぶるっと身震いして、ばつが悪そうに微笑むのだった。
ドーンスターからウィンターホールド大学に戻った私は、さっそくウラッグに『シャリドールの洞察』を渡した。彼は無愛想に礼を言い、あとで研究成果を報告すると約束した。
次に私はアーニエルを探した。
欲しがっていた"ドゥーマーのコグ"を渡すためだ。
とにかく重くて邪魔になっていたので、早く手放したかったのである。
アーニエルを見つけて"ドゥーマーのコグ"を渡すと、彼は実験を次の段階に進められると喜んだ。
アークメイジとしては何をしているのか気になるので、聞いてみると「じつはまだ足りないものがあって」という話になった。
今度はエンシルに"汚れた魂石"を注文したのだが渡してくれなくて困っているという。
なんとなく嫌な予感がしつつもエンシルに会うと、注文の品と引き換えに欲しい杖があるのだがアーニエルはそれを手に入れようとしないんだと事情を話す。
「ここは譲ってもらえないか」と頼んでみたが駄目だった。
エンシルとはカーリアの件以来、だいぶ親しくなったものの、それとこれとは別問題だときっぱり言われてしまった。
アークメイジとしては、大学での研究が順調に進むようにしなければならないのだ、と自分を納得させつつ……杖を手に入れてエンシルと取引する。
アーニエルに注文の品を渡し、「これで研究が進められるな」と言うと、アーニエルは私の顔色を伺いつつ「いや、その、まだあんたの手伝いが必要なんだが……」などと言ってきた。
ここまでくれば最後まで付き合ってやるかと私は覚悟を決め、そして協力するからには研究の内容について話すよう諭した。
アーニエルはかねてより、ドゥーマー(ドワーフ)たちがどこに消えたのかという謎を解明したいと思っていたらしい。
私達より遥かに進んでいたドワーフたちは、なんの痕跡も残さず全員が一瞬でタムリエルから消えた。
アーニエルはその仕組みの解明と、そして彼らの後を追うことができたらと願っているようだ。
なんだか危険な研究にも思えたが、確かに興味深くはある。
ドワーフの遺跡にある装置を使って、アーニエルが作った道具と魔法を使い実験するというのが次の段階だそうだ。
ドワーフの遺跡は危険なので、確かに私が行った方がいいだろう。
ドワーフの遺跡を巡って実験して回るというのが思ったより大変で、大学でのんびりしているアーニエルのことを思うとやりきれない気持ちにもなったが、とにかく実験は完了できた。
大学に戻ってアーニエルに実験済みの"魂石"を渡すと、彼は実験の最終段階の準備をすると言って自室へと行ってしまった。
呼び止めても「また今度」とそっけない返事しかしない。さすがに少々頭にきたものの、今は待つ事しかできないようだ。
アーニエルの実験の準備が整うまでの間に、私はゴールドールの伝説を追って"ゲイルムンドの間"と呼ばれる地を探して旅した。
ゲイルムンドはゴールドールの三人の息子を討伐するために送り出された人物で、その証拠となるような文言と共に"ゲイルムンドの間"で横たわっていた。
その奥では、これまで同様シグディス・ゴールドールソンと戦いになった。これに勝利した私は最後のアミュレットを手に入れた。
分割された全てのアミュレットを揃えた私は、ゴールドール本人が眠るというリーチウォーターロックへと向かった。
冒険者の手記にあった伝説の真相では、ゴールドールのアミュレットは三人の息子へと与えられたのではなく、奪われたのだと記されていたからだ。
ゴールドールはかつてアークメイジの立場にあったという事だから、当代のアークメイジとして敬意を払い、彼にアミュレットを返却するつもりだ。
リーチウォーターロックの中を探検し、奥に進むとゴールドールの墓を見つけることができた。
しかしそこで、彼の三人の息子たちが霊となって再び襲い掛かってきた。それぞれ特殊な戦法で戦う彼らに苦戦しながら、こちらもサングインの力を借りたり、ドーンブレイカーの力に助けられたりしながら、なんとか打ち倒す。
だが、それで彼らを消し去ることはできず、また三人の霊が現れた。これでは勝ち目がないか……と思った瞬間、ゴールドールの墓から強烈な力が放出されて三人の霊を吹き飛ばしてしまった。
私の目の前で、三つのアミュレットは再び一つとなり、私の手の中に納まった。
ゴールドールが、自身のアミュレットを未来のアークメイジに託した……そう思うことにして、私はそれをありがたく頂いた。
大学に戻った私は、アーニエルの元を訊ねた。実験の準備は終わったのだが、必要な道具をエンシルに手配したものの届かないのでエンシルと話して欲しいと頼まれる。
なぜ私経由で会話する必要があるのか、と言いかけたが、より面倒な言い分を聞くはめになるような気がしたので黙ってエンシルを探す。
今回はエンシル側でトラブルがあったようだ。頼まれていた"キーニングの短剣"をモロウウィンドから運ばせていた配達屋が行方不明になってしまったそうだ。
足取りが途絶えた場所はミストウォッチ砦という場所だという。
待っていても仕方ないと思ったので、私は探しに行く事にした。
ミストウォッチ砦は山賊のアジトになっていた。おそらく配達人はこの山賊に捕まってしまったのだろう。
忍び込もうと近寄っていくと、明らかに素人の動きをした男が砦の様子を見ている。
私は少し思案した後、その男に声をかけてみた。
男の名前はクリスターと言い、妻のフオラを捜していると言う。フオラがいなくなった時期と、ここの山賊の活動開始時期が近いことから、やつらにさらわれたのではないかと疑っている。
どうみても農夫という感じなので、これ以上近寄って騒動になっても面倒だ。私も砦を調べる必要があるからフオラについても探してみようと提案した。
ミストウォッチ砦の中を探索していると、地下牢のような場所で配達人の遺体を見つけた。
"キーニング"は持ったままだったので回収しておく。
フオラに関しては見つからなかったので、山賊の頭領に直接問いただしてみるかと、頭領の部屋に忍び込んだ。
驚いたことに、この山賊の頭領こそフオラ本人であった。
彼女はクリスターとの農園暮らしに嫌気が差して出奔したという事のようだ。実際、話しぶりからも農夫の妻という感じではない。彼女は自分が死んだと伝えて欲しいと言って、その証拠に結婚指輪を投げてよこした。
ミストウォッチ砦から脱出してクリスターを待たせてある場所に行き、フオラは死んだと伝えた。
あの女を力ずくで連れ戻すことも可能だったし、裏切りの代償を求めるなら手を貸してやる事も可能ではあったが、これがクリスターにとって最も良い結末に思えたからだ。
クリスターはがっくりと肩を落として、立ち去った。
私もすぐに大学へ馬を走らせる。
アーニエルに"キーニング"を渡すと、さっそく今までの実験で作った魂石と装置をセッティングした。そして"キーニング"を抜き、突然の掛け声とともに魂石を斬りつけた。
キーニングの水晶の刃が魂石に触れた瞬間、爆発のような音とともにアーニエルは消えた。
私は予想外の出来事に呆然としてしまった。
何が起こったのかわからず、アーニエルが透明になっただけかもしれないと思い「アーニエル、いるのか?」と声を出しながら部屋の中を手探りした。
アーニエルの気配はなく、ただ、短剣だけが残されていた。
私はアーニエルの部屋に残された資料に目を通し、彼の話していた内容を思い出しながら、一つの魔法を作り上げていった。(※2)
この魔法によってアーニエルと連絡が取れるか、あるいは彼自身を呼び戻せるはずだ。
しかし、完成した魔法を唱えても、現れたのはアーニエルの影のような存在だった。
呼びかけてみたが返事はなく、ただ唸るだけで知性が感じられない。
私の魔法は不完全なのかもしれないと思い、大学の先生たちを集めて事情を説明した。
しかし、私がした以上のことは出来ないという結論であった。あの影のようなアーニエルは本人が転じた姿なのか、本体の影にすぎないのか、彼はどこにいったのか……謎だけが残された。
残された私たちに出来るのは、アーニエルがドワーフたちと共にあることを祈る事だけである。
召集した先生方を解散させ、私も大学の中庭に出たところでドラゴンの襲撃に遭った。
高い崖の頂上に作られているウィンターホールド大学はドラゴンにとって襲撃しやすい立地であるらしく、何度も襲撃が繰り返されていた。
幸いなことに先生方も並みの魔法使いではないので、一般市民のいる街中よりはマシなのだが……正直、またか、という気分になっていた。
しかし今回のドラゴンは今までのドラゴンではなかった。エルダードラゴンである。
少し戦ってすぐに、これは今までのドラゴンとは全然違うと気が付いた。はるかに強力な相手なのである。
このまま大学で戦っていては死者が出るかもしれない……そう考えた私は、すぐさま"幽体"のシャウトを叫びつつ、大学の庭から断崖絶壁の外へ飛び出した。
地面に落ちるより前に"幽体"の効果が切れるかもしれない、と不安になるほど長い落下のあと、私は氷河に着地した。
私は弓を撃ってドラゴンの注意を引きつけ、大学から離れた。ドラゴンは私を追ってくる。
広い氷河でならドラゴンも地上に降りてくるかもしれないと思ったのだが、着氷するのが不安なのか、エルダードラゴンは下りて来ない。
飛び回るドラゴンと弓の撃ち合いでは勝ち目がない。周囲を見回すと、高台になっている場所が見えた。
誰もいなければいいが、と思いながらそこを目指して走る。
その高台にはストーンヘンジのような遺跡があり、スカイテンプル遺跡と呼ばれている場所だと思い出した。
周囲に人影はない。私はこの遺跡でエルダードラゴンを迎え撃つことにした。
シャウト、魔法、剣技を駆使して戦うこと数十分、私はなんとかエルダードラゴンを倒すことができた。
アルドゥインの復活は近い。エルダードラゴンの出現は、それを私に知らせているのではないか。
私は大学に戻り、パーサーナックスの元に向かうため旅の準備をした。
ドラゴンボーンの使命を果たすために。もうここへは戻って来れないかもしれないなと思いながら。
世界のノドでは、雪の中、パーサーナックスが静かに佇んでいた。
エルダースクロールを手に入れたと告げると、パーサーナックスは"時の傷跡"と呼んでいる場所を示した。かつてノルドの英雄がエルダースクロールを使った場所だ。
私は時の傷跡に立ち、エルダースクロールを開いた。スクロールの文字と図案が光を放ち、目が眩む。
感覚の混乱が収まり、再び目を開けると、目の前には古のノルドの英雄たちがいた。ハコン、ゴルムレイス、フェルディルである。
彼らはアルドゥインを待ち受けていた。
やがて現れる黒いドラゴン、アルドゥイン。英雄達はそこでシャウトを放った。それこそ"ドラゴンレンド"であった。その力の言葉は私の胸にも刻まれた。
そしてこの時、ドラゴンレンドが単にドラゴンを飛べなくするだけではなく、"定命"の概念を与えるものだと知った。不死のアルドゥインに対抗するために必須なのは、むしろそこなのだと。
私の目的は果たせたが、エルダースクロールはまだ私を解放しない。
三人の英雄は、ドラゴンレンドにより地に落ちたアルドゥインと戦うが、ゴルムレイスがやられてしまう。
残った二人は最後の手段としていたエルダースクロールを使った。その力により、アルドゥインは時の彼方へと消え去った。
再び激しい眩暈に襲われた後、私は現代へと戻ってきていた。
単なる幻視を超えた体験だったが……ドラゴンレンドは確かに習得できていた。
『アルドゥイン!』
パーサーナックスの声に空を見上げると、巨大な黒いドラゴンがオーロラを背にしてそこにいた。
『見つけたぞ、パーサーナックス。この裏切り者めが』
パーサーナックスはアルドゥインと戦うために飛び上がった。空中で激突する両者。古のドラゴン同士の戦いに私は息をのんだ。
しかしただ見ているわけにはいかない。そのためのドラゴンレンドなのだから。
私は全身に力をみなぎらせ、黒いドラゴンに向かってドラゴンレンドをシャウトした。
ドラゴンレンドがアルドゥインの翼を封じて地面に引き落とす。
『これはあの時の……お前か!』
地に伏したアルドゥインと目が合った。その巨大な瞳に憎悪の炎が燃え上がる。
私は力が戻ってくるたびにドラゴンレンドをシャウトしながら、二刀を抜いて斬りかかった。
地上にいてさえも、アルドゥインは並みのドラゴンではない。しかしエルダードラゴンとの戦いの経験が私を勝利に導いた。
強力なブレスを避けて回り込みながら剣で切りつける。アルドゥインの生命力はエルダードラゴンの比ではないが、それでも徐々に削っていく。
ついにアルドゥインは恐怖と怒りの咆哮を上げ、ドラゴンレンドを打ち破ると、残った力を振り絞って飛び去った。
逃げるアルドゥインに再びドラゴンレンドをシャウトしたが、その時にはもう遠くまで逃げられてしまっていた。
力を尽くした私はその場にがっくりと膝をついた。
傷ついたパーサーナックスが近くにやってくる。
「逃げられてしまった……」と私が言うと、パーサーナックスは『しかしこの一時の勝利には意味がある』と答えた。
パーサーナックスによれば、アルドゥインに従うドラゴンはその強さに従う者も多いと言う。
しかし私がアルドゥインを退ける力があると分かれば、アルドゥインの元を離れて私に協力するドラゴンもいるだろうという事だ。
交渉するにはまずドラゴンを捕えねばならないが、その方法についてもパーサーナックスが知恵を貸してくれた。
アルドゥインを退けた私はホワイトランに来ていた。久しぶりに自宅。しかし長い間無人なのは明らかで、少し胸が痛んだ。埃を払うような時間もないのですぐドラゴンズリーチへと向かう。
ホワイトランの城砦ドラゴンズリーチにはドラゴンを捕えるための仕掛けがある、という情報をパーサーナックスに教えてもらったので、その使用許可をもらうためだ。
首長バルクルーフに謁見して事情を話す。
彼はアルドゥインの危険について理解してくれたが、しかし内乱状態のスカイリムにおいてホワイトランを挙げて協力することは、敵に攻め入る隙を与える事になってしまうので無理だと断られた。
首長として、民の安全を第一にしなければならないというバルクルーフの主張は理解できる。
ならば内乱状態をどうにかするしかないが、力ずくでどうにかできるような事ではない。
私はしばし思案したのち、スカイリムで一定の尊敬を得ていてかつ中立の立場の存在、つまりグレイビアードたちの協力を得ることにした。
ハイ・フロスガーを訪れてグレイビアードたちと話してみるが、彼らは地上の争いに不干渉を貫いてきたので、最初は断られた。
しかし事はアルドゥインという特例的な問題であるし、ドラゴンズリーチを用いるというのはパーサーナックスの案でもあるので……と説得を続け、しぶしぶ了承を得た。
そしてグレイビアードの召集を受けて、ストームクロークのリーダーでもあるウルフリック、帝国軍の司令官テュリウスを筆頭に両陣営の重要人物が一同に介する事となった。
サルモール大使とブレイズの二人もいる。
一時停戦について話し合いを始める前に、私は「なぜサルモールの人間がこの場にいるのか?」と疑問を呈した。
これについては幾人かの同調もあって、サルモール大使はぶつぶつ文句(というより脅しだったが)を言いながら退出した。
私はアルドゥインの話を全員にして、これに関しては一定の理解が得られた。
続いて、アルドゥインの件が片付くまでという条件で停戦が話し合われ、以下の条件で停戦が決まった。
・マルカルスはストームクロークへ移譲される。
・リフテンは帝国軍へ移譲される。
・ウルフリックは帝国軍へ賠償金を払う。
合意に至り、各自退散していく中でブレイズの二人が私の元にやってきた。厳しい表情である。
エズバーンはブレイズの資料から、アルドゥインが育てたというドラゴンの名前を見つけ出していた。ドラゴンの名前をシャウトすれば必ず相手に聞こえるから、呼び寄せることも出来るだろうという事だ。
私が感謝しても、彼の表情は変わらない。そして、パーサーナックスが生きていた事をなぜ知らせなかったのかと私を問い詰めた。
パーサーナックスは元々アルドゥイン配下のドラゴンで、過去にブレイズを殺した罪は許されないという。
「パーサーナックスを殺してその首をもってこい。そうしなければ、ブレイズはもう君に協力しない」と、エズバーンは冷たく言い放って立ち去った。反論は聞かない、という頑固な態度だった。
パーサーナックスがアルドゥインの配下だったのではないか、というのは私も予想していたことだ。
しかし私はこれまでの付き合いから、パーサーナックスを尊敬できる友人と考えている。ゆえに彼らの要求に従うことはできない。
もはや友となる事はないのか……と、私は悲しい気持ちでブレイズたちの背中を見送った。
全員退出しても、アーンゲールだけは残っていた。私とエズバーンのやり取りも見ていたようだ。
アーンゲールは元々ブレイズを嫌っていたが、今はどう思っているのだろうか。
私に同情しているのか、それとも「ほれ見たことか」と思っているのか。その表情からは計り知れなかった。