2003年2月の映画  戻る


街の野獣 NIGHT AND THE CITY

1950年 米国=英国 96分 モノクロ
監督 ジュールズ・ダッシン
脚本 ジョー・アイシンガー
出演  リチャード・ウィドマーク/ジーン・ティアニー(マリー「天国は待ってくれる」「哀愁の湖」
「ローラ殺人事件」「幽霊と未亡人」)/グーギー・ウィザース(ヘレン「バルカン超特急」「シャイン」)/ヒュー・マーロウ(アダム)/フランシス.L.サリヴァン(クラブ銀ぎつねの主人)/ハーバート・ロム(クリスコ「第七のヴェール」「生きていた男」)/スタニスラウス・ズビスコ(レスラー・グレゴリウス)/マイク・マズルキ(レスラー・ストラングラー)
メモ 2003.2.28 WOWOW録画
あらすじ
頭と口のまわるハリーは一攫千金を狙っている。ちまちま稼ぐなんてまっぴらだ。そうやって毎度失敗し恋人マリーを泣かせていた。ハリーはいつも誰かに追われていていつも金が足りない。大都会に飲み込まれるタイプ。そんなある夜、歩合でバーの客引きをやっていたハリーにチャンスが訪れたかに見えた。伝説のレスラー・グレゴリウスが今のプロレスを「茶番だ」と思っているのを知ったからだ。グレゴリウスはロンドンのプロレス興業を握っているクリスコの父親だった。ギリシアから秘蔵っ子の新人プロレスラーを連れてきていた。父親を味方にすればクリスコも妨害しまい。綱渡りの金策で興業に漕ぎ着けるかに見えた。しかしとんでもない落とし穴があったのだ。
感想
この間「壜の中の手記」の後付解説読んでたらね、ジェラード・カーシュに映画化されている作品がひとつだけあるって書いてあった。これは見過ごせない。その「NIGHT AND THE CITY」を探したらジュールズ・ダッシン監督の「街の野獣」だったわけ(内容とあわない題名だと思う)。12月にWOWOWで放映されたのを録画してまんがな。随喜の涙。ジェラード・カーシュは「とても高いお金で買われた。」 4万ドルだったらしく「1語1万ドル」と言っていたとか書いてありました。「NIGHT AND THE CITY」と4語なのね、題名だけ同じと言いたかったそうな。

作家はクソミソけなすけれどこの映画いいよ。「男の争い」「裸の町」のジュールズ・ダッシンが監督。さぼてんはこの監督さんはヨーロッパの人だと思っていた。「トプカピ」とか「日曜はダメよ」ってヨーロッパが舞台だったし。”赤狩り”でハリウッドを追われロンドンで撮られたそうです。

何がいいってリチャード・ウィドマークがロンドンの夜の街を走り回るのがいい。借金取りに追われているシーンから映画は始まり、最後も逃げる逃げる。ロンドンの裏社会を敵にまわして狩られる恐さが鋭い。
ふたつめは、めずらしくプロレスのファイトシーンがある。それもグレコローマン式という地味なファイト。ローマ時代のオリンピック競技ってああいう感じだったのかもという伝統技。レスラー・ストラングラー役のマイク・マズルキとレスラー・グレゴリウス役のスタニスラウス・ズビスコは本物のレスラー。スタニスラウス・ズビスコは元ヘビー級チャンプで70過ぎても現役レスラーだったようです。 この方が「グレコローマンは偉大な芸術だ。うつくしい宝だ。」って言いはるの。
みっつ目は悪女ヘレン。グーギー・ウィザースって方で「シャイン」では少年のディビットを励ます作家キャサリン。ファムファタールじゃなくて色気と美貌ではなく、知恵と金と野心で男を惑わす。
よっつ目はロンドンの裏社会かな。華やかなクラブだけでなく、花売りやら新聞売り、闇商売、こじきの元締めやらがでてきてピラミッド型にきっちり裏社会が作られている。主人公ハリーはそこでは異分子だった。

「NIGHT AND THE CITY」の2度目の映画化は1992年の「ナイト・アンド・ザ・シティ」。監督がアーウィン・ウィンクラー。「海辺の家」の監督さんです。主演がロバート・デ・ニーロとジェシカ・ラング。見ておりません。「デ・ニーロも作品選べよ」という出来らしい。
おすすめ度★★★★
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不眠症−インソムニア− Insomnia

1997年 92分 ノルウェー
監督  エーリク・シェルビャルグ
出演 ステラン・スカルスゲールド/ビョルン・フローベリ
メモ 2003.2.21 レンタルVHS
あらすじ
スウェーデン警察のヨナス・エングストロムは、オスロ警察の相棒ヴィックと共にノルウェー北部の町へ飛ぶ。少女の死体が見つかったのだ。髪をシャンプーされ爪も手入れされ徹底的に証拠隠滅された遺体だった。
夏のこの地は白夜で太陽が沈まない。家族もなく孤独なエングストロムは元々神経質なタチだったが真夜中も明るいホテルの部屋でまんじりともしない夜を過ごす。眠れない。だんだんと現実との境目があやふやになってくる。
犯人を誘い出したボートハウスのある海岸で犯人を撃つ。ところが濃霧の中で見たのは死にいく相棒のヴィック。ヴィックは今言った事も忘れがちだった。海岸に出たら左へ行けと言ってあったのに。ショックと不眠症から呆然としていたエングストロムが真実を語る前に、犯人がヴィックを撃った事になってしまっていた。もう後戻りできない。不眠症は治らない、心安らかに眠れる日はくるんだろうか。その内に犯人から電話がかかってくる。犯人の作家ヨン・ホルトはエングストロムが撃つのを見ていたのだ。だからこいつを捕まえる訳にもいかない。しかし解決しないと何時までもこの町から離れられない。
感想
「メメント」のクリストファー・ノーラン監督、アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズの「インソムニア」のオリジナル版。「インソムニア」はこのオリジナル版にかなり忠実。が、さぼてんはこちらの方が冷たく静かで好みだ。
リメイクを作る意味って・・・。ハリウッド映画が作られた結果オリジナルを日本でも見ることが出来るわけだ。そして見たいヤツがいる(私だ)。
カミュの「異邦人」にちょっと似ているな。「それは、太陽のせいだ。」 太陽とともに「男を誘惑しては逃げていく少女」が大人の男を狂わす。撃ったヴィックの幻影を見て深く悩みさいなまれながらもエングストロムは怜悧な頭で策を練る。この緻密な脚本と演出がこの映画を一級のミステリにしている。

主人公役のステラン・スカルスゲールドって方は、「キス★キス★バン★バン」のロートル殺し屋のみならず、「RONIN」のクールな殺し屋、「グッド*ウィル*ハンティング」の天才を見いだす教授、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のドクター、「ディープ・ブルー」のジムとか結構見てた。知的で孤独でクール。これから注目。
おすすめ度★★★★1/2
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ゴースト・オブ・マーズ GHOSTS OF MARS(火星のゆうれい)

2001年 米国 98分
監督・脚本・音楽 ジョン・カーペンター
演奏 アンスラックス スティーヴ・ヴァイ バケットヘッド
脚本レリー・サルキス
出演 ナターシャ・ヘンストリッジ(「スピーシーズ種の起源」)/アイス・キューブ/ジェイソン・ステイサム/パム・グリアー/クレア・デュバル/ジョアンナ・キャシディ(ドクター「パッケージ」「ブレードランナー」)
メモ 2003.2.16 レンタルVHS
感想
西暦2176年の火星。人口67万人植民地化も順調に進んでいるはずだった。しかし辺境の地から何かがやってきていた。それは・・・それは・・・・眠りを起こされた火星の先住民だった。長い間眠っていた火星先住民(ネイティブマーズリアン)は地球化によりめざめ今侵略者達に立ち向かう。殲滅だあああ。
あらすじ
なんなん! これは。アパッチ、シャイアン、スー、モヒカン、ナヴァホ、チェロキー、ヒューロン、コマンチのたたりなん!。それともツタンカーメン王の呪いなん! 近代的な武器に対し、呪術と原始的な武器で立ち向かう先住民達。鉱山というより砦なわけだ、ここは。真っ赤な大地に飛び散る血しぶき、響く重低音。ああの世界。
たてこもるのは「要塞警察」、地球人の体を侵略するのは「遊星からの物体X」と昔の映画の焼き直しでいっこも成長していないする気もない俺による俺のための映画を撮っているジョン・カーペンターって。。。。幸せだな。

パム・グリアーがもう少し若くてアクションができたらな。この人が主役の方がいいと思う。惜しい。
「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」のジェイソン・ステイサムは声がいいな。「パラサイト」のクレア・デュバルはそばかすいっぱい。演技力はともかくパンクホラーにあう。
おすすめ度カーペンターファンにのみオススメします。
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ブラインド・デート BLIND DATE

1987年 米国 95分
監督 ブレイク・エドワーズ(「ピンク・パンサー」「ティファニーで朝食を」「スウィッチ」「地上最大の脱出作戦」)
出演 ブルース・ウィリス(ウォルター)/キム・ベイシンガー(ナディア)/ジョン・ラロケット
メモ 2003.2.11 ビデオ
感想
何故中古ビデオを買ったかというと、一年前だったか会社でお茶を飲みながら偶然「ブルース・ウィリスに髪があった頃」の話になって。「えっ、そんな頃があったんですかあ」とか言われて「(そらあったやろ・・・)『こちらブルームーン探偵社』見てへんかった? ふさふさって訳やないけどお肌もすべすべやしハーモニカもうまいねんよ。初主演作の『ブラインド・デート』のお声なんかめちゃ優しくてセクシーやしキスも甘そう」などと今のブルース・ウィリスからは想像できないまったく説得力のない話をちょっとして以来もう一度見たかったのだ。
まだ笑えるかなと心配やったけれどまたしてもバカ笑い。この人コメディセンスもあるのにな。アクションの方が好きだったのかビッグになれるからか。翌年の「ダイ・ハード」のジョン・マクレーン役で大ブレイク。
あらすじ
ウォルターは真面目な会社員。今度の仕事は昇進のチャンスだ。資料も徹夜してバッチリそろえた。足らないのは彼女だけ。ミスター・ヤカモトの接待パーティは女性同伴なのだ。忙しくてデートもままならなかったウォルターには適当な相手がいない。いままで兄貴の世話してくれた女と来たらヤク中かレズかネコの死体収集家だ。あの正月彼女の冷蔵庫を開けたら・・・。しかし背に腹は変えられない。街に戻ったばかりの兄嫁のいとこを紹介してもらう。びびりながら会った所がどえらい美人。びっくりしたあ。ただしお酒を飲ませてはあかんらしい。そやねんけど兄貴が「酒を飲ますと正体がなくなるらしい。」「酒を飲むとひどく乱れちまう。」などと意味深にいったもんだから甘く考えてた。ああ、あの美形があんな酒乱とは。

仕事を無くし車もボロボロにされおまけに彼女・ナディアの元恋人にストーカーされついにウォルターはキレた。俺もいっそとち狂ったこいつらの側になった方が楽にちがいないと。ここが面白いねん。それと一晩警察にやっかいになったウォルターがナディアの所に乗り込むシーン。ウォルターの不幸の原因諸悪の根元ナディアと来たら絹のおふとんのベットであろうことかぬくぬくすやすや寝ているのであった。なんてひどいヤツなんだ(笑)。
おすすめ度★★★★
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タイムリミットは午後3時 THREE O'CLOCK HIGH

1987年 米国 89分
監督 フィル・ジョアノー(「愛という名の疑惑」「ヘブンズ・プリズナー」)
出演 ケーシー・シャモシュコー(ジュリー)/アン・ライアン/リチャード・タイソン(
「キングピン/ストライクへの道」
メモ 2003.2.2 CS録画
感想
番組案内のタイトル読んで「ふっ、好みのサスペンスに違いない。」とほくそ笑んだんやけれど、これが学園コメディ。たあいない話と言えばそうなんやけれど面白かったん。撮影が「ゲット・ショーティ」「MIB」のバリー・ソネンフェルド。音楽がドイツのシンセサイザーグループ・タンジェリン・ドリーム(知っているかように書いておりますが、まったくご存じありません・・・)となにげに豪華。お約束どおりとも言えるし結構意外なラストとも言える。
あらすじ
ウィーバー高校のジュリー・ミッチェルは優等生。骨身を惜しまず売店の店長もしていて先生の覚えもめでたい。それもこれも大学進学のためだ。ジュリーは善良だが見えないところでは結構行き当たりばったりの性格。これが映画冒頭にちゃんと描かれていてヤワな優等生が悪夢に落ちていく様が納得できる。

ある朝、学校は転校生の噂で持ちきり。弩級の問題児らしく「友達の首を折ったのフットボールのコーチに刃物を向けたのナックルで相手の鼻がもげたの」とピーチクパーチク。校内新聞部のジュリーは友達と先生の結託で例の問題生バディ・レベルにインタビューをするはめになった。気がすすまない。案の定体にタッチしたため「駐車場で3時に決闘だっ」と言い渡されてしまう。体に触られるのが許せないのだ。何故?どして? 「センコウにちくったらただじゃおかねえ」と脅され、学校中に決闘の噂は広まる。UCLAの映画学科に進みたいからドキュメントとして撮影させてほしいという二人組やら「3分はもってくれよ。賭けたんだからな」というやからやら、みんな人の不幸を楽しみの種にしている〜(涙)。「時間よ止まれ」と念じても無情にチクタクチクタク時は進むのだった。ジュリーのじたばたあがくひとり芝居の幕が開く。。。
おすすめ度★★★1/2
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