2003年1月の映画  戻る


バクテリア・ウォーズ Osmosis Jones

2002年 米国 95分
監督 ピーター・ファレリー/ボビー・ファレリー(
「メリーに首ったけ「キングピン/ストライクへの道」
脚本 マ-ク・ヘイマンス
出演 クリス・ロック(オスモシス・ジョーンズ「ドクター・ドリトル2」)/ローレンス・フィッシュバーン(スラックス「マトリックス」/ディビット・ハイド・ピアース(ドリックス)/市長(「ウィリアム・シャトナー)/ビル・マーレー(フランク)/クリス・エリオット(ボブ)/センセ(モーリー・シャノン)
メモ 2003.1.31 レンタル・ビデオ
あらすじ
俺様はスラックス(ローレンス・フィッシュバーン)。ばっちいゆで卵についてフランクの所にやって来た。俺様は最強の死神だ。エボラなんてヤツはただのフケにすぎん! 今まで数々の栄光につつまれてきた俺様だが、フランクは48時間できっちり片を付ける。最速の記録を打ち立て医学書に俺様の名前を刻むのだっっっっ。

一方フランクシティは、「脂肪細胞の住宅難」に「三重あご建設」でその場限りの対応をし、髪の細胞が頭皮から脱退中であり、赤血球児童の85%が酸素を運べないという「高脂肪、高コレステロール、血液どろどろ」体質にどっぷり浸かっている。野菜嫌いでフライドチキン、ジャンクフード好き、油分塩分過剰摂取のフランクのせいで黄色信号が点っているにもかかわらず選挙が近い痰市長(ウィリアム・シャトナー)はやっかい事はごめんだと目をつぶり耳を塞いでいる。まあはっきり言ってフランクは免疫力が低下している。
感想
会社帰りにレンタルして晩ご飯を食べながら見ていたんですが、「手は洗ったけど、うがいはしたっけ?」とインフルエンザウィルスが猛威を振るっている昨今突如気になってくる・・・・そういう映画。恐くて面白いっ上に教育的といった濃い内容が刑事物・ドキュメンタリタッチで進みでオコサマにもためになりますよお。体内は78兆の細胞が一致団結して外敵から身を守っているんですと。運命共同体ってやつですね。さぼてんにもタフな白血球がありますように。野菜は大好物なんだよな。キャベツは毎日たくさん食べているしキノコも大好きだし。アルカリ・イオン水も飲んでいる。ただ基本的に腹十二分目ってのがプロブレムやもしれぬ。

ウディ・アレンの「誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」の「ミクロの精子圏」やら筒井康隆『最後の伝令』なんか思い出す。
おすすめ度★★★★1/2
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キス★キス★バン★バン KISS KISS (BANG BANG)

2000年 英国 101分 GAGA配給
監督・脚本 スチュワート・サッグ(「Fast Food」)
撮影 トニー・ピアース=ロバーツ
出演 ステラン・スカルスガルド(フィリックス「奇跡の海」 
「ディープ・ブルー」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」)/クリス・ペン(ババ)/ポール・ベタニー(ジミー「ロック・ユー!のチョーサー」「ビューティフル・マインド」)/ピーター・ヴォーン(ダディ・ズー)/ジャクリーン・マッケンジー(シェリー「エンジェル・ベイビー」「ディープ・ブルー」)/アラン・コーデュナー(ビッグ・ボブ)/マルティン・マカッチョン(ミア)/シェンナ・ギロリー(カット)
メモ 2003.1.24 心斎橋シネマ・ドゥ
あらすじ
殺し屋稼業25年のフィリックスはくたびれていた。ひとつの仕事をするにも大騒ぎ、昔のようにスマートにばしっと決められない。「潮時だな」と新人のジミーにノウハウを教え稼業から足を洗おうとする。ところが二代目元締めが「掟破りだ。」とネチネチひつこく追ってくるのよ。そんな奴らはひとひねりだあとしたいフィリックスだったが足手まといがいたのだ。大金に目がくらみ引き受けてしまった子守の仕事。それはキリンのぬいぐるみ・ゲーリーと水鉄砲を手放さないババだった。ババは息子を溺愛する密輸商人の父親に大事に育てられ秘蔵コレクションのように家から一歩も出たことがなかったのだ。33才になるまで。
感想
色々なジャンルが混ざり合い、かっこよかったりかっちょ悪かったり笑ったり泣いたりほのぼのしてドンパチしてとラストまで引っぱられた。メインとなるのは「父と息子」なのかな。映画を見ながら「ロード・トゥ・パーディション」をちょっと思い出したし。
ハードボイルド・・・・コメディ? セリ・ノワール・・・・ファンタジー? という古くて新しい作品。基本の型はバディ・ムービー(相棒物語)だな。主人公フィリックスは引き際も心得た「かっこよい男として生きたい」はずだったのに、恋人からは「子供が出来たの」とどじった事を告げられ、新しい仕事は子守だし、しかも30男のでっかい赤ん坊。しかしカッコ悪い事にも真剣に取り組むのである。それが男の美学なのだ。ダンディズムなのだ。

フィリックス役のステラン・スカルスガルドって方はスゥエーデン生まれでノルウェー版「インソムニア」の刑事(アル・パチーノの役ね)だったそうです。見たい度が急上昇したゾ。寡黙で目立っていた若い殺し屋役ポール・ベタニー(ここだけの話、実にかっこいいのだ)は「ビューティフル・マインド」で共演したジェニファー・コネリーと結婚されたというミーハー情報をキャッチしました。

ババ役のクリス・ペンがよかったよ。ああいう展開にしたのは映画を甘くしなくてよかったとも思えるし、あざとくも思えるし複雑。でもってマイナス1/2。

こういう映画って好みなんだよな。古い時代や映画を下敷きにして新しい物を作るってのもいいよ。「クライム&ダイヤモンド」も好きだな。ただ煮詰まっているってのも感じる。対して「メメント」とか「CUBE」はミステリ・サスペンス映画のこれからの可能性をも感じさせるな。
おすすめ度★★★★
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AIKI

2002年 日本 119分 
原作・脚本・監督 天願大介(「無敵のハンディキャップ」)
撮影 李似須(リー・イーシュー)
出演 加藤晴彦(芦原太一)/石橋凌(師範・平石正嗣)/桑名正博(権水松太郎)/火野正平(常滑清)/ともさかりえ(サマ子)/原千晶(芦原民子)/木内晶子(チカ)/ミッキー・カーチス(宮司)/神部浩(レンタルビデオ屋店長)/田口トモロヲ
メモ 2003.1.10 日本橋・千日会館
あらすじ
ボクシング新人王決定戦の準々決勝戦に勝った太一は、バイクに恋人チカを乗せて走っていた。そこに横から乗用車が突っ込み吹っ飛ばされたふたり。チカは足の骨を折るだけですんだが太一は脊椎損傷により下半身麻痺となる。姉の民子は「命が助かっただけでもめっけもんだよ。」というが太一は絶望するばかり。直る見込みがなく一生車椅子生活なのだ。格闘技に燃えていたのに。ただ生きているってだけじゃだめなんだ。
車椅子生活の先輩・常滑に柄にもなく諭され、退院して一人暮らしを初めて一年。仕事も見つからず飲んだくれの生活を送っていた太一は路地でチンピラにぼこぼこやられる。そこをテキ屋の親分・権水に助けられ屋台の仕事を世話してもらう。神社の巫女をしている風来坊のようなサマ子とも知り合う。ちょっと良いことが続いて、ボクシングをもう一度やりたいと気を持ち直しはじめる。格闘技がいいのだ。しかし車椅子では腰がきかない。そんな折り神社の境内で古武術の奉納演武を見る。動かずに門弟を投げ飛ばす合気柔術の師範に魅せられる太一。さっそく師範に声をかけ入門させて欲しいと頼むが、師範の答えは「こちらからお電話させていただきます。」だった。
感想
ふぬけてやさぐれている時も修業している時も肩の力を抜きひょうひょうとした加藤晴彦がいい。映画を暑苦しくせず画面が爽やかだ。車椅子の操作、ボクシング、合気道を練習し、個性的な先輩俳優にもまれながらの撮影は演技ではなく苦しかったと思う。段々調子がでてきて映画も静から動に移り、出来上がっていく喜びが映画の内容と合わさって見る側に伝わってくる。

映画中盤で太一が挫折し、師に「どうしたらいいんでしょう」と問う。師の答えは「正しい質問には正しい答えが含まれています。迷うのは問いが正しくないからです。」と答える。難しい。どういう意味なんだろう?・・・・とこういうのが問いの垂れ流しなんだな。自分でよく考えて問わなきゃいけないって事なんだな。つまり自分で答えを見つけなきゃいけないという事を言っているんだ。

大東流合気柔術の師範・石橋凌、テキ屋の親分・桑名正博、先輩チェアウォーカーの火野正平お三方の「大人の男」がいい。3人がひとりづつ別々の方向から太一と対峙する脚本がすぐれていると思う。ギャグっぽい所もご愛敬。楽しい映画なのだ。そして弱音を吐かない気丈な姉と風のようなサマ子が清い。

映画の事は詳しくなくいまさらでオハズカシイですが、天願大介監督は今村昌平監督の息子さんだそうです。
おすすめ度★★★★
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名探偵コナン ベーカー街の亡霊 The Phantom of Baker Street

2002年 日本 小学館/東宝 アニメ
監督 こだま兼嗣
原作 青山剛昌
脚本 野沢尚
音楽 「トスカ」 B’z「Everlasting」
メモ 2002.1.2 レンタルビデオ
あらすじ
映画版6作品目は、バーチャルリアリティゲームの中が舞台。シャーロック・ホームズが活躍していた19世紀末の霧深いロンドン・ホワイトチャペル通りに入ったコナン達が切り裂きジャックを追う。しかし人工頭脳ノアズ・アーク(ノアの方舟)が乗っ取ったゲームはお遊びではなく、勝者がいない場合は参加した政財文化界の2世、3世50人の子供たちの命を奪うという子供の命を賭けたものに変わっていた。一方現実世界ではゲームの開発者だった樫村が刺し殺される。推理作家の工藤優作(コナン=新一の父)は、「JTR」とダイイングメッセージを残した死体の友だった。コナン達を助ける事はノアズ・アークに阻止されている。父は現実世界で知恵を絞るからお前も頑張るんだと犯人探しを始める
感想
いきなり早口の英語。いきなり日本語字幕。漢字、横文字多し。「マサチューセッツ州・・マサチューセッツ工科大学・・DNA・・・人工頭脳・・・バックアップ・・・セキュリティ・・・」 変わるのも早い。いったい誰向けに作られているん? 子供向けちゃうん?。 冒頭天才少年サワダヒロキがビルの屋上から世をはかなんで飛び降り・・・・。いったい、誰向けなん? びっくりしたあ。「僕もノアズ・アークのように飛べるかな」って、ノアの方舟は飛ばないっ。方舟を作っている影像では何人もの屈強な男達が働いている。 ノアの息子は3人ちゃうん? 他の人達は置き去りかい?  阿笠(アガサ)博士のクイズ「カイコ=解雇=クビ」は大人にはあまりにシビアな現実で笑えない。子供はわけわからなくて笑えない。夢を売る映画やないん? 凹む(へこむ)。

ゲームが進む中、ベイカー街221番地Bの下宿屋の主人ハドソン夫人、 ベイカー・ストリート・イレギュラーズ、 「ボヘミア王家の色沙汰」(シァーロク・ホウムズの冒険)のアイリーン・アドラー女史、 「空家の冒険」(シャーロック=ホームズの帰還)のモラン大佐、 「最後の事件」(シァーロク・ホウムズの回想)のモリアーティー教授が蘭とコナンの解説入りで登場。レストレイド警部は名前だけ登場。なにかい、この映画はシャーロッキアンを作っているのかい?。(シャーロッキアンではないが実はだいぶ楽しい。)

発信されるメッセージは「生きる力をもて」、「人の役にたつ人間になれ」、「目上の人を敬え」、「子供をダメにするな」と色々あるんですよ。しっかし最後の諸星秀樹(警視副総監の孫)はなんやねん。コイツなんも学んでないんと違う?中途半端やん。 あかんやん。

大人向けですよ。この映画。という訳で割と気に入りました。原作は読んでいますがキャラに感情移入していないので、灰原哀(はいばらあい/コーデリア・グレイ+V..ウォーショースキー)の「あはっ♪」も気にならない。前に嘘泣きしていた事もあるし意外と演技がうまいのよ。好きなキャラクターをあげるなら阿笠(アガサ)博士と服部平次、毛利小五郎かな。というわけで灰原哀が脱落した時に一緒に暮らして情がうつっている阿笠博士が「哀君・・・」って言うのはよかった。今回はコナンと蘭の「Aの予感」たらがなくハズカシクナイのもよい。コナンの秘密兵器がでてこないこの映画はコナンの映画版としては異色作だと思う。子供がひとり消滅するたびにビッグベンの時計の針が1分づつ巻き戻るってな恐ろしさですよ。「バトル・ロワイアル」みたい。

チャリングクロス駅発最終列車が暴走するシーンでは、「消えた臨急」(ドイル傑作集Tミステリー編)を思い出す。ネタバレを書くと、ヨーロッパの大スキャンダルを闇に葬るため、カラタル氏が乗る臨時急行は途中から引き込み線を走らされ廃坑に落とされてしまう話。最後の一言がクール。また「ボヘミア王家の色沙汰(ボヘミアの醜聞)」でアイリーン・アドラーはチャリングクロス駅発早朝五時十五分の列車で大陸へと旅立ちました。
おすすめ度★★★
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