Rock Listner's Guide To Jazz Music

Jeff Beck Sessions

2023年1月10日にジェフ・ベックが亡くなった。もう新しい演奏を聴くことはできない。ならば、これまでに残された他のアーティストの作品に参加した数多くのセッションを振り返って聴いてみよう。そう思って、分かる範囲で整理してみた。まだ他にもあるかもしれない。

他アーティストのアルバムや曲にゲスト参加しているもの、ジェフ名義の演奏でサントラやトリビュート・アルバムに参加しているものを対象とした。

ここに挙げた演奏の半分くらいはサブスクで、サブスクにないものでもYouTubeで聴くことができる。[Spotify]のコメントが入っているものは、全面的に参加のアルバム(ミック・ジャガー、ロジャー・ウォーターズ、ジョン・ボン・ジョヴィ)を除き、プレイリストにして公開しているので興味のある方はどうぞ。

★評価は音楽の内容や質ではなく、あくまでもジェフのギタープレイのみが対象。 ( )はリリース年。

評価目安

ジェフが弾いているとわからない、わかっても内容がお粗末。聴く価値なし。
★★
出番が少ない、或いは「らしさ」があまり感じられない。聴かなくても問題なし。
★★★
ジェフらしさが出ている。マニアなら聴いておいても良い。
★★★★
ジェフならではの演奏で演奏の質が高い。ファンなら聴いておきたい。
★★★★★
自身のアルバムのレベルかそれ以上のExcellentな演奏。



Blues Anytime Vol.3 - An Anthology Of British Blues
/ Various Artists (1968)


英国ブルースロック系ミュージシャンのコンピレーションで、このVol.3ではジミー・ペイジなどと共にジェフが2曲参加している。録音は65〜67年。
"Steelin'"
ジミー・ペイジ作のヤードバーズ「Odds, Sodds and Suprise」収録"Steeled Blues"と似たスローブルースで、ギターも同様にブルース系の泥臭いスライド奏法で弾いている。
評価:★★
"Chuckles
こちらもジミー・ペイジ作の50年代ロックンロール調インスト・ナンバー。演奏はもちろんまだ未熟だがややもつれ気味のリズム感で軽快に弾く様は後のスタイルの芽生えを感じさせる。
評価:★★★

Barajagal / Donovan (1969)  [Spotify]


プロデューサー、ミッキー・モストの人脈で集められたゲストが多数参加しているアルバムで、第1期JBG「Beck-Ola」のメンバー全員で2曲参加しているが、その観点での聴きどころはない。
"Barajagal"
JBGとは異なるファンキーなノリが小気味よく、曲はなかなかカッコいい。終盤に後ろでオブリガード的に短いソロを入れている程度。音はレスポールっぽい。
評価:★★
"Trudi"
アコギで軽快なリズムを刻むスキッフルの延長線にあるような曲でトラフィックの"You Can All Join In"にそっくり。短いソロがあるだけでジェフが弾いていると知っていないとわからない程度のもの。
評価:★

Permanent Damage / The GTO's(1969)


フランク・ザッパがプロデュースしたグルーピー集団でGirls Together Outrageously(常軌を逸した女子たち)の頭文字がグループ名。そのアルバムに第1期JBG「Beck-Ora」のメンバーで3曲参加。ハープシコードをバックにド下手な歌が乗る奇妙なサウンドを笑って許せるかユーモアのセンスが問われる。この項目一連のレビューは元アーティストの音楽性は評価対象としないことを基本スタンスにしているが、幽霊のようなビジュアル含め、ジェフのプレイ云々の前に聴く気が萎える。悪趣味。
"Captain Fat's Theresa Shoes"
カステラ1番電話は2番・・・のあのCMソングのようなおちゃらけの裏でごにょごにょギターらしき音が聴こえるだけ。
評価:★
"The Ghost Chained To The Past, Present, And Future (Shock Treatment)"
調子っぱずれな歌が進むと途中から急にロッド・スチュワートとニッキー・ホプキンスとジェフのギターが被ってきて(というか別曲のセッションをクロスフェードさせている)、そこだけ「おおっ」となる。
評価:★
"The Eureka Springs Garbage Lady"
またしても調子っぱずれのコーラスに合いの手的に短いフレーズを入れているのとエンディングで下手な歌に合わせて外した音を出している。演奏として評価できるレベルではない。
評価:★

Load Sutch & Heavy Friends (1970)[Spotify]


ジミー・ペイジ、ジョン・ボーナム、ノエル・レディング、ニッキー・ホプキンスも参加している、英国ロック黎明期重鎮、ロードサッチのアルバムに1曲参加。
"Gutty Guitar"
ジェフのルーツであるロカビリー調のバッキングとシャープなソロが聴ける。
評価:★★★

Two Heads Are Better Than One
                     / Graham Bond & Pete Brown (1972)


ジミー・ペイジ、ジョン・ボーナム、ノエル・レディング、ニッキー・ホプキンスも参加している、英国ロック黎明期重グラハム・ボンドとピート・ブラウン(ジャック・ブルースの作曲パートナーとして知られる)のアルバムに1曲参加。
"Spend My Nights In Armour"
スライドっぽいバッキングと、歌の合間に短いソロを弾いているが特に印象的なプレイではない。
評価:★★

Music From Free Creek (1973)


エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、キース・エマーソン、Dr.ジョン、ミッチ・ミッチェルなどのロック系に留まらず、リンダ・ロンシュタット、ジョー・ファレルやリチャード・デイヴィスといったジャズ畑のプレイヤーが入り乱れるスーパーセッションに4曲参加。録音は69年。オルガンとホーン入りでベースラインがウネるファンキーな曲で、タワー・オブ・パワーの1stアルバムと初期トラフィックが合体したかのようなサウンド。他の曲も趣向が多少違えど、69年という時代の混沌とした音楽が詰め込まれていてアルバム通して楽しめる内容。インスト曲が多い。
"Cissy Strut"
インスト曲。共に参加しているトッド・ラングレン(2番目のソロ)とはまったく異なるサウンドで個性が出ている。
評価:★★★
"Cherrypicker"
インスト曲。ソロとリズムギターを弾いていて、ややモタりながら荒っぽくノリ一発という感じのソロ。
評価:★★★★
"Working In A Coalmine"
インスト曲。リズムギターのカッティングに第2期JBG以降の感じがある。ソロもなかなか良い。
評価:★★★★
"Big City Woman"
スローブルースはお手の物といった感じ。
評価:★★★★

E.H. In The U.K. / Eddie Harris (1973)


ジャズ愛好家にはマイルス・デイヴィスの名演"Freedom Jazz Dance"の作者として知られるエディ・ハリスが渡英したときに制作したアルバムに2曲参加。この2曲以外ではトニー・ケイ、クリス・スクワイア、アラン・ホワイトも参加している。
"He's an Island Man"
次の曲へのイントロのような短い曲。どっしりテンポのファンキーな曲で少しノイジーなバッキングをしている程度。
評価:★
"I've Tried Everything"
アルバート・リーと共に軽やかかつ柔らかい、この時期のジェフならではのトーンのソロが聴ける。エレピはスティーヴ・ウィンウッドでドラムはイアン・ペイス。
評価:★★★

Talking Book / Stevie Wonder (1973)[Spotify]


キャリアを振り返った本「ジェフ・ベック ―孤高のギタリスト」の中で、スティーヴィーと出会ったときのことを語っている。スタジオでセッションして終了、「あとは仕上げておくよ」と言ってその日は終わり、翌朝にはもう出来上がっていたことなどに対して「奴は〇〇の穴から音楽が湧き出てくるんだ」と下品な言葉で賞賛している。スティーヴィーがもっともクリエイティヴだった時期でもあり、かなり衝撃を受けたらしい。そんなスティーヴィーの曲に1曲参加。このアルバムに収録されている"Supertition"にまつわるゴタゴタの顛末はファンならご存知の通り。
"Lookin' For Another Pure Love"
ゆったりしたバラード調の曲で、短い時間ながらニュアンスに富んだ柔らかいソロが聴ける。
評価:★★★★★

White Lady / Badger (1974)[Spotify]


元イエスのトニー・ケイが在籍していたグループ、バジャーがR&B色をより強めた2枚目(にして最後)のアルバムに1曲参加。
"White Lady"
70年代に流行った爽やかなR&B系の曲で、第2期JBGで聴けるようなオブリガードとソロを弾いている。
評価:★★★★

Journey To Love / Stanley Clarke (1975)[Spotify]


後に連名でツアーまで行った(78年、79年には来日もした)スタンリー・クラークのアルバムに2曲参加。
"Journey To Love"
歌の合間にいかにもジェフならではの静かなトーンとフレーズが聴ける。
評価:★★★★
"Hello Jeff"
レニー・ホワイトとのトリオでのインスト曲。タイトルからしてジェフを主役に据えていることは明らかなロック調の曲でしっかり弾いているが、ハイテンションというよりはリラックスした演奏。
評価:★★★★

UPP(1975)[Spotify]


ソウルミュージックのベースがある英国フュージョン・グループに入れ込んでプロデュースまで担当したジェフは、ギタリスト不在のこのバンドの中で7曲中5曲に参加。「Blow By Blow」の元ネタにもなっていると思えるサウンド。一方でギタープレイはそれほど大きく主張していないのでその点での過大な期待は禁物。ソウルが好きな人ならアルバムを通して楽しめる。
"Bad Stuff"
派手なプレイはしていないがバンドサウンドに合ったリズムギター、オブリガードと表情豊かなソロが聴ける。
評価:★★★★
"Friendly Street"
ベースがウネるミドルテンポのファンキーな曲にトーキング・モジュレーターで色付けをしてる。
評価:★★★
"Get Down In The Dirt"
「Blow By Blow」に入っていても良さそうなソロ。ただし短い(ジェフに続くキーボード・ソロの方が長い)。
評価:★★★
"Give It To You"
中盤に自身のアルバムでは聴けないトーキングモジュレーターとギターによる1人コール&レスポンスをしていてなかなか面白い。
評価:★★★★
"Jeff's One"
アルバム中唯一作曲にも参加しているメロウなソウル・バラード。リズムギターとボリューム奏法も使用したバッキング、しっとりと繊細なトーンのソロが聴ける。
評価:★★★

This Way / UPP(1976)[Spotify]


ギタリストが加入して歌モノ中心のよりソウル&ファンキー路線になったUPPの2ndアルバムに2曲参加。プロデュースは担当しておらずゲスト的な参加に留まる。
"Dance Your Troubles Away"
「Blow By Blow」の"Conspated Duck"に似たムードの曲ながらソロはなくリズムギターのみ。
評価:★
"I Don't Want Nothing To Change"
メロウなソウル系バラードでオブリガードと繊細なトーンのソロを弾いている。
評価:★★

尚、UPP関連はオリジナル・アルバム以外に「Get In The Dirt: The Complete UPP(2004年)」「UPP featuring Jeff Beck(93年)」というCDがある。前者はDisc 1がオリジナル・アルバム2枚を収録、Disc 2はリリースされなかった3rdアルバム7曲を収録している。後者は3rdアルバム用の5曲と、出所不明の未発表曲6曲が収録されており、いずれもジェフは参加していない。また、1stと2ndでジェフが参加していなかった3曲でジェフが参加した別テイクを収録していると解説に記載されているが本テイクとまったくの同じテイクであり、つまりジェフ観点ではこのCDに価値はない。また、重複収録曲のマスタリングが古く音が悪いため高価な中古盤に手を出す必要なし。

Billy Preston (1976)[Spotify]


ビートルズやローリング・ストーンズのサポート鍵盤奏者として知られるビリー・プレストンのアルバムに1曲参加。
"Bad Case Of Ego"
ノリが良くわかりやすいファンキーな曲で、後半に高音の捩れたトーンでのソロが聴ける。
評価:★★★

Garden Of Love Light
                / Narada Micahel Walden (1976)[Spotify]


「Wired」でドラムを叩いていたナラダ・マイケル・ウォルデンのリーダー作に1曲参加。
"Saint And The Rascal"
激しい演奏ではないが、ギタープレイ、サウンド共に同時期の「Wired」と同等。、
評価:★★★★★

Sgt. Peppers Loney Hearts Club Band
                                            / Various Artists


EW&F、ビージーズ、ピーター・フランプトン、エアロスミス("Come Together")などがビートルズの曲をカバーしている同名映画のサウンドトラック、フランク・ハワードの曲に参加。プロデュースはジョージ・マーティン。
"Mean Mr. Mustard / Frank Howerd"
ヤン・ハマーっぽいキーボードが聴こえる中、トーキング・モジュレーターっぽいバッキングとソロを弾いているが他の誰かが弾いていると言われたら気づかない程度のもの。
評価:★

Modern Man / Stanley Clarke (1978)[Spotify]


「There And Back」まで長く自身のアルバム制作をしなかった時期ながら、スタンリーとの共演は続く。2人の連名でのアルバム制作はなかったが、78年、79年はツアーを敢行、来日もしている。
”Rock 'N' Roll Jelly"
カーマイン・アピスとのトリオ演奏で"Hello Jeff"同様に曲調はロック。リバーブがかった音でスタンリーとソロを分け合っている。スタンリーのアルバムでの演奏はどの曲でも一歩引いて演奏しているがこの曲も同様。
評価:★★★★

I Wanna Play For You / Stanley Clarke (1979)[Spotify]


スタンリーのアルバム三度目の客演で1曲参加。
”Jamaican Boy"
レゲエ調スカのリズムで自由度が高い曲で、太く大きい音でリズムとソロを取るスタンリーの相棒的にソロを挿入。ドラムはスティーヴ・ガッド。
評価:★★★

How Many Ways / Murray Head (1981)[Spotify]


「英国の俳優、歌手。ロックミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』のナンバーでシングルカットされた『スーパースター』、元ABBAのメンバーらによる作曲の『ワン・ナイト・イン・バンコック』等の楽曲で知られる。」というマレー・ヘッドのアルバムに3曲参加。音楽的にジェフとの共通点は見当たらず、繋がりはよくわからない。
"Affair Across A Crowded Room"
英国伝統の哀愁系フォーク・ロックとでも言えば良いだろうか。そんな曲調に合わせた哀愁のソロ。
評価:★★★
"Last Days Of An Empire"
こちらもアダルトな哀愁路線曲。高音域の繊細なトーンで中間とエンディングにソロを少し弾いている。
評価:★★
"Children Only Play"
前2曲よりもさらにゆったりのやはり哀愁曲。途中のソロからエンディングまで、前2曲と同様のトーンで弾いているが印象的というほどではない。
評価:★★★

The Secret Policeman's Concert (1981)


アムネスティー関連のチャリティー・コンサートで、スティング、フィル・コリンズ、ドノヴァン、ボブ・ゲルドフなどが参加しており、クラプトンと共にジェフも出演。4曲に参加している。
"Further On Up The Road"
クラプトンをサポートしている形で演奏に参加、ソロはクラプトンと交互に弾いている。かつて同じフィールドにいた2人だが古いブルーススタイルのままのクラプトンとの感覚のギャップの大きさがよくわかる。
評価:★★★★
"Cause We've Ended As Lovers"
クラプトンとの共同名義のためここで採り上げたが、ジェフのライブ演奏のひとつ。表情豊かなトーンによる演奏は文句なし。クラプトンはバックでリズムギターを弾いているのみ。
評価:★★★★★
"Crossroads"
こちらもクラプトンへの客演的参加で2人の感覚の違いがそのまま出ている。このスタンダード曲をジェフが弾いている音源はおそらくこれだけ。
評価:★★★★
"I shall be released"
スティングがメインのステージに参加、登場は少ないがところどころでジェフ節が挿入されている。
評価:★★

Tilt / Cozy Powell (1981)[Spotify]


盟友、コージーのソロアルバムに2曲参加。いずれもヤン・ハマーの曲でそれらしいキーボードも聴こえるが別の演奏者。
"Cat Moves"
サウンド的には「There And Back」に近いがコージーのドコドコなドラムということもあって当然ロック。ややリバーブが効きすぎではあるがロックスタイルのワイルドなフレーズが聴ける。
評価:★★★★
"Hot Rock"
この曲も基本路線は同じ。ジェフのプレイも「There And Back」と見劣りしない。
評価:★★★★★

All-Star Christmas / Various Artists (1984)


クリスマス・アルバムのコンピレーションに定番曲のインスト演奏を1曲提供。
"Amazing Grace"
聖夜のコーラスをバックに弾くベタな企画。それでもこういう曲をやらせたらやはり一級品。
評価:★★★★★

Time Exposure / Stanley Clarke (1984)


長いお付き合いになっているスタンリーのアルバム4度目の登場で3曲に参加。80年代なりのスペイシーなサウンド(ジャケットもそのイメージか)で今聴くと古臭い。
"Are You Ready (For The Future)"
ジェフらしいトーンが聴けるが登場シーンは短い。
評価:★★
"Time Exposure"
ブリブリ言うスタンリーのリフに乗ってテーマからソロまで、中盤ではクリアなトーンも織り交ぜて弾いているがそれほど印象的なフレーズは弾いていない。
評価:★★★
"I Know Just How You Feel"
ロック調で始まりはするものの、テクノポップかと思うような軽い曲でジェフのギターは効果音的な挿入に留まる(中間のクリアトーンのソロはスタンリーだと思う)。
評価:★★

Camouflage / Rod Stewart (1984)[Spotify]


JBG以来の共演。長らく歌なしフュージョン路線を進んでいたジェフが、ポップスターになったロッドの80年代サウンドの土俵で3曲に参加。
"Infatuation"
当時流行の軽薄サウンド(シンセドラム使用)にも違和感なく中間と最後にジェフらしさ満点のソロ。あるいはここでの成果が流行サウンドでやっていけるかもと思って「Flash」につながったのではないかと邪推したくなる。
評価:★★★★★
"Can We Stil Be Friend"
アダルトロックの落ち着いた曲調に合わせて歪を抑えたクリアで繊細なトーンのソロを弾いている。
評価:★★★
"Bad For You"
当時のロッドとしてはロック色が強い曲。ソロは短いが鋭さがある。2コーラス目からのリフもジェフか?終盤のオブリガードも「らしさ」がある。
評価:★★★

Mystery / Vanilla Fudge (1984)[Spotify]


再結成したヴァニラ・ファッジのアルバムにJ.Toadの名前で2曲参加。ティム・ボガートとカーマイン・アピスの共演となるがBBAのような熱気はなく、あくまでも客演的な参加。
"Jealousy !"
中間ソロ、そのあとに入るオブリガード、エンディングのソロ、あまり目立たない中音域のみを使っていてあまり盛り上がらない
評価:★★★
"My World Is Empty"
リズムギター、ソロを弾いている。基本的には上の曲と同じような調子で弾いているが、こちらのソロの方がトーンの表情が豊か。ただ、音の組み立てが雑で盛り上がり切らない。
評価:★★★

Box Of Flogs (1984)[Spotify]


既に鬼籍に入っているキース・レルフの代わりにジョン・フィルダーを加えてヤードバースのメンバーが再集結。友情出演的に4曲参加。
"Back Where I Started"
これと言って特徴のない英国ロックンロール。バッキング、オブリガード、最後に少しソロを弾いているがソロはブルースハープの方が耳を惹くくらいで特に印象的ではない。
評価:★★
"Another Wasted Day"
曲調に合わせているのか羽目を外さない範囲でジェフらしいソロを弾いている。
評価:★★★
"Two Steps Ahead"
オブリガードからあのトーンを挿入。ソロではノイジーなトーンも取り入れているが曲調に合わせて抑え気味。
評価:★★★
"Poor Boy"
こちらもミドルテンポのどっしりしたリズムの曲。ジェフらしいトーンとフレージングではあるものの他曲と同様に抑え気味。
評価:★★★

Swept Away / Diana Ross (1984)[Spotify]


80年代でも第一線のスターだったダイアナ・ロスのアルバムに1曲参加。
"Swept Away"
ダリル・ホール作の、ダイアナ・ロスとしてはロック色が強いアップテンポなヒット性高い曲でノイジーなトーンを織り交ぜたソロが聴ける。ただしイコライジングが過剰。
評価:★★★

Private Dancer / Tina Turner (1984)[Spotify]


ティナ・ターナーがソロ・アーティストとしてスターの座を決定的にした大ヒット・アルバムに2曲参加。
"Street Claw"
かなり飛ばしたテンポのロック調の曲でティナの「Jeff Beck !」のしゃがれた掛け声に続くソロは入りから沸点のハイテンション。
評価:★★★★★
"Private Dancer"
ティナらしいヒット性の高い曲で、こちらは歪みを抑えたクリアで繊細なトーンの、しかし型にはまらない(ある意味バランスが良くない)ソロを捻じ込んでいる。
評価:★★★★

Porkey's Revenge! / Various Artists (1984)[Spotify]


コメディ映画「ポーキーズ」にサントラにジェフ名義で1曲提供(「Beckology」にも収録)。
"Sleep Walk"
スライド奏法中心のノスタルジックな演奏。軽くやってみましたという感じか。
評価:★★★

Volume.1 / Honey Drippers (1984)[Spotify]


想定外の大ヒットとなったロバート・プラントの50年代R&R/R&Bプロジェクトに1曲参加。
"Rockin' At The Midnight"
ブラスの入った50年代のスウィンギーな曲に、50年代当時にはなかった鋭く攻撃的なフレーズを打ち込んでいて何の違和感もないのはジェフのルーツがそこにあるからに他ならない。
評価:★★★★

She's A Boss / Mick Jagger (1985)[Spotify]


ミック・ジャガー初のソロ・アルバム9曲中7曲とほぼ全面的に参加。ただし、ほぼ脇役に徹していて通して聴いているとナイル・ロジャースが弾いている曲のギターとあまり違いが出ていない。プロデュースはビル・ラズヴェルとナイル・ロジャースということもあって当時のニューヨークの最先端サウンド(=「Flash」と同じような感じ)。
"Lonely at the Top"
イントロ、歌の合間など所々に、そして中間とエンディングでジェフらしいソロが聴ける。
評価:★★★★
"Running Out of Luck"
スライド・ギターの短いソロが出てくる程度。
評価:★★
"Hard Woman"
バラード調の曲で控えめの低いトーンでのソロ、歌の後半で泣き気味のオブリガードを聴けるが控えめ。
評価:★★
"Just Another Night"
中間のギター・ソロがアコギで、そもそもジェフのアコギは聴く機会がないので本人が弾いているのかどうかよくわからない。エンディング前のソロはクリアなトーンでなかなか良いがすぐにフェードアウト。
評価:★★
"Lucky in Love"
リフを弾いている感じだが特に印象的ではない。中間では指弾きのクリアトーンで、後半には歪み系のソロとオブリガードが聴ける。
評価:★★★
"She's the Boss"
当時のモダンなサウンドで、ミックがソロでやるのならこのくらいの冒険があっていいんじゃないかと思える曲。1コーラスが終わってからヴォーカルとの掛け合いが聴けるのと、後半にもヴォーカルをサポートする形で切れ込んでいる。
評価:★★★★

Inside Out / Philip Bailey (1986)


"Back It Up"
リズムギターは聴こえるが、律儀に刻んでいる様子からジェフではないと断言できる。どこで弾いているのかわからない。
評価:★

Live! For Life / Various Artists (1986)


様々なアーティストによるライヴのコンピレーション・アルバムでスティングの演奏に参加している。
"I Been Down So Long / Sting"
単純な進行のジャムに適した曲で各プレーヤーのソロを回す中、最初と最後にソロを取っている。明らかに気分が乗っていて荒々しくも鋭いフレーズを連発。
評価:★★★★★

Ruthless People / Various Artists (1986)


映画「殺したい男」のサントラにミック・ジャガーが2曲提供。ノンクレジットながらその2曲に参加している。
"Ruthless People / Mick Jagger"
ダリル・ホールとデイヴ・スチュワートとコラボレーションしたミック・ジャガーのソロ曲。最後に少し付け足し的なソロを弾いているだけで存在感は薄いが音は間違いなくジェフ。
評価:★★
"I'm Rising"
サントラのアルバムには未収録で"Ruthless People"のシングルB面曲のこちらの方は、冒頭からすぐにジェフとわかる音でリード、オブリガードとソロも結構入っていて捩れたトーンのギターが聴ける。他のアルバムを含めてミックのソロの曲の中ではもっともジェフの持ち味が出ている。
評価:★★★★★

Primitive Cool / Mick Jagger (1987)[Spotify]


ミック・ジャガー2枚めのソロ・アルバムには全曲参加。ベースはダグ・ウィンビッシュでドラムはサイモン・フィリップスと当時のベック・バンドの編成(ギターはG.E.スミスがいる上でのジェフの参加)。このアルバムもミックの引き立て役に徹していてジェフ目的で聴くと物足りない。ジェフを呼んでおいてこの程度しか弾かせないというのはミック・ジャガーだからこそ可能なのかも。
このメンバーでワールド・ツアーを敢行し、東京ドームでも公演を行った。ツアーに同行するプランがあったが、セットリストがストーンズの曲中心と聞いてジェフは降りてしまった(代わりはジョー・サトリアーニ)。
余談ながらダグ・ウィンビッシュに2017年に会ったとき「昔、アナタを東京で観ました」というと「ミック・ジャガー?」と聞き返されたので「ジェフ・ベック」と答えて「あー、ヤン・ハマーとサイモン・フィリップスと行ったときね」と言ってくれたのでした。
"Throwaway"
リードギターに途中ところどころにジェフ節を挿入、エンディングでも「らしい」フレーズは聴けるが、短いこともあって主張は強くない。
評価:★★★
"Let's Work"
ブリッジからようやく登場。そこでは「らしい」プレイが少しだけ聴けるがソロはない。
評価:★★
"Radio Control"
評価:エンディング間際であの歪んだトーンの攻めたフレーズは出てくるが短い。
評価:★★
"Say You Will"
最後の締めくくりに合うメロディラインで弾いている。
評価:★★
"Primitive Cool"
すぐにジェフとわかるトーンとはいえ、短いオブリガードが中心。
評価:★★
"Kow Tow"
歌の合間のアルペジオのような短いソロと短いオブリガードが数か所聴ける。終盤にも補助的に目立たない程度に弾いている。
評価:★★★
"Shoot Off Your Mouth"
このアルバムの中ではもっとも長い(といっても15秒程度の)ソロ・パートが用意されており、アームを駆使した得意のプレイが聴ける。
評価:★★★
"Peace for the Wicked"
中盤から登場、あまりソロパートをもらえていないのは他の曲と同様ながらフレージングはらしさが出ている。
評価:★★
"Party Doll"
カントリー調の曲でソロもなく、バックでアルペジオを弾いているのみ。
評価:★
"War Baby"
スケール感のある作風ながら、効果音的なオブリガードのみ。
評価:★★

Twins / Various Artists (1988)


コメディ映画「ツインズ」のサントラに自身の名義で2曲提供(「Beckology」にも収録)、更に米国南部ロック系カントリー系歌手のニコラット・ラーソンが歌手役でに劇中出演して演奏していた1曲に参加。
"The Train Kept A Rollin'"
ご存知ヤードバースの代表曲をハードロック仕立てで演奏。無機質で味気ないが勢いだけは凄い。ギターソロも勢い任せでワイルド。「Beckology」に収録。
評価:★★★★★
"The Stumble"
オールドスタイルのロックンロールのインストゥルメンタル曲でリラックスした演奏を楽しめる。キーボードはトニー・ハイマス、ドラムはテリー・ボジオと後の「Guitar Shop」トリオによるもの。「Beckology」に収録。
評価:★★★★★
"I'd Die For This Dance / Nicolette Larson"
カントリー調のイントロ、とバッキング、得意の泣きのソロを披露。こちらも「Guitar Shop」トリオでの演奏だが、まったりしたバラードなのでボジオとハイマスの聴きどころはない。
評価:★★★★

Waltz Darling / Malcolm McLaren (1989)[Spotify]


パンクの仕掛け人、(今のそれとは違う80年代の)ヒップホップ創始者として知られるマルコルム・マクラーレンのアルバム2曲に参加。サウンドは、やはり80年代のヒップホップ路線だった「Flash」に近いが、当時流行ったサンプリングを多用していて今聴くと古臭い。
"House of the Blue Danube (An Instrumental)"
ヨハン・シュトラウス"美しき蒼きドナウ"をサンプリングしたパワフルなヒップホップサウンドの中で弾いてはいるが全体のサウンドの中で飾り的な扱い。
評価:★★
"Call a Wave"
"Can't Help Falling In Love"をサンプリング。地味ながら泣きのトーンの存在感はさすが。
評価:★★★★

Blaze Of Glory / Jon Bon Jovi (1990)[Spotify]


同名タイトル映画のサントラでもあるジョン・ボン・ジョヴィのソロアルバムに11曲中7曲参加している。ゲストの立場ながら聴きどころが多く、ボン・ジョヴィが嫌いでなければアルバム通して楽しめる。余談ながら同時期のリッチー・サンボラのソロ・アルバムにはエリック・クラプトンが参加している。
"Billy Get Your Guns"
イントロから切れ込み、かなりアグレッシヴでアームを駆使した鋭いソロがたっぷり聴ける。
評価:★★★★★
"Miracle"
リラックスした曲に合わせた短いソロ。それでもジェフらしいトーン。
評価:★★★
"Blaze Of Glory"
それほど長くはないものの曲に合ったソロ。終盤のアームの使い方はジェフでしかできない芸当。
評価:★★★★
"Just In The Barrel"
中間ソロ・パートはジェフとしては平均的ながら、即興的にグイグイ切り込んでいるイントロのヴァース2分がハイライト。
評価:★★★★★
"Never Say Die"
ジェフらしいトーンではあるものの抑え気味の短いソロ。悪くはないが平均的。
評価:★★
"Bang A Drum"
ジェフのプレイの中では特筆レベルとまでは言えない抑え気味の短いソロ。
評価:★★
"Dying Ain't Much Of A Livin'"
バラード調の曲に合わせ、アームを駆使した歪んだトーンでオブリガードを入れている。ソロはなし。
評価:★

Damn Right, I've Got the Blues
                                   / Buddy Guy (1991)[Spotify]


ロック色が強いシカゴ・ブルース第一人者バディ・ガイのアルバムに2曲参加。音楽的にも当然ハマっている。
"Mustang Sally"
あくまでもゲスト的参加ながら、途中からバックでノイジーなジェフのギターが入りはじめ、ソロからエンディングまでいかにもジェフらしいブルースギターが聴ける。フェードアウトをもう少し待ってくれと言いたくなるくらい好調。
評価:★★★★★
"Early In The Morning"
ワルツ仕立てのブルースでも歌の合間にジェフ節をガンガン挿入。ソロも軽快。
評価:★★★★★

Break Like the Wind / Spinal Tap(1992)


架空のメタルバンドという設定で活動するスパイナル・タップの2ndアルバムに1曲参加。ジョークとして広く愛されているバンドだからなのか豪華ゲストが数多く参加している。
"Break Like the Wind"
スラッシュ、スティーヴ・ルカサー、ジョー・サトリアーニの順のあと、最後にジェフが少し登場。メタル系派手なフレーズが続いた後でももちろん存在感はあるが目立っているとうほどではない。
評価:★★★

Amuse To Death / Roger Walters (1992)[Spotify]


14曲7曲(2015年リイシュー版では+1曲)に参加。ピンク・フロイド同様、1枚通してのコンセプト・アルバムで、彩りという簡単な言葉では片付けられない音色とフレージングを披露しており、曲の半分程度の参加でも全体への音楽的な貢献は大きい。深刻ぶったロジャー・ウォーターズの世界に馴染めるなら通して聴いて満足できる。バックバンドは豪華メンバーで、ギタリストではスティーヴ・ルカサー、ジェフ・ホワイトホーンなども参加している。
"The Ballad Of Bill Hubbard"
静かに始まるアルバムのオープニングを繊細なトーンで表情豊かに。圧巻の表現力とはこのこと。
評価:★★★★★
"What God Wants, Part 1"
2曲目では一転して攻めのフレーズをヴォーカルに応えるように挿入。ジェフでないとあり得ないフレージングを連発。
評価:★★★★★
"What God Wants, Part 3"
しばらく休んでの10曲目は2曲目のReprise。後半のドラマチックに泣くソロのトーンが絶品。この曲以降、最後までジェフが登場する。
評価:★★★★★
"Watching TV"
11曲目。ピンク・フロイドっぽいシンプルなアコギの曲で後ろでオブリガードのみ。
評価:★
"Three Wishes"
12曲目。抑え気味なソロながら音の表情が豊か。
評価:★★★★★
"I'm A Miracle"
13曲目。後半に少しソロが入るのみ。しかし曲のムードを一変させる効果的なトーンの威力が凄まじい。
評価:★★★★
"Ammuse To Death"
最後の14曲目。聴いた瞬間にそれとわかるオブリガードで曲のムードを支えている。エンディング前のアームを駆使したトーンと音程のコントロールが白眉。
評価:★★★★
(補足)
"The Bravery of Being Out of Range"
現在販売されている2015年リイシュー版の5曲目では、ジェフのギター入りのバージョンに差し替えられている。歌が始まる前にジェフがメロディを少し乗せているのと、中間部の硬質な(他の奏者の)ギターリフのパートだったところがジェフのメロディに差し替えられるなどジェフのギターで色付けがしてあって曲のムードが少し柔らかくなっている。ただし、他の曲のようにソロを弾いているわけではない。
評価:★★

Love Scenes / Beverley Craven(1993)[Spotify]


アダルトポップス路線の英国シンガーソングライター、ビヴァリー・クレイヴェンのアルバムに2曲参加。この前のアルバムをポール・サミュエル=スミスがプロデュースしたことからの縁?
"Love Is The Light"
常識的なギターソロでもバラードに合わせたトーンとフレージングはジェフならでは。よく泣いている。
評価:★★★★
"Winner Takes It All"
のんびりムードの穏やかな曲の中間に短いギターソロ。アームを使いながらの音の歪ませ方などいかにもジェフといった演奏。アルバムは最後のこの曲でジェフのソロがフェードアウトしながら幕を閉じる。
評価:★★★★

Stone Free: A Tribute to Jimi Hendrix
                                        / Various Artists(1993)


ジミ・ヘンドリクスのトリビュートにシールと共演で1曲提供。
"Manic Depression / Seal and Jeff Beck"
その他セッションとは異なり、当然ジェフのギターが主役。この曲がハマらないはずがなく、バックの演奏も含めて文句なし。ソロも鋭いフレーズを連発している。
評価:★★★★★

Muddy Water Blues / Paul Rodges(1993)


マディー・ウォーターズの曲をカバーしたトリビュート・アルバム(オリジナルのタイトル曲、サニー・ボーイ・ウィリアムソン、ウィリー・ディクソンの曲も含む)。各曲でゲスト・ギタリストがソロを取る趣向で、ブライアン・セッツァー、バディ・ガイ、トレヴァー・ラビン、デヴィッド・ギルモア、ニール・ショーン、スラッシュ、ゲイリー・ムーア、ブライアン・メイ、リッチー・サンボラなど錚々たるメンバーが揃う中、ジェフは唯一人3曲(他の人は1曲あるいは2曲)でソロを取っている。ベースはピノ・パラディーノ、ドラムはジェイソン・ボーナムでバックの演奏も申し分なく、この種のブルースロックが好きな方であればジェフ参加以外の曲も楽しめる好盤。
"Rollin' Stones"
得意分野のブルースということもあり伸び伸びとジェフらしいフレーズを連発。歌と遜色ない存在感。
評価:★★★★★
"Good Morning Little SchoolGirl ( Part 2)"
アルバムでは上記曲に続いてサニー・ボーイ・ウィリアムソンのこの曲の流れ。渋めながらツボを押さえた演奏で全曲ジェフで聴いてみたいという気にもなる。
評価:★★★★
"I Just Want To Make Love To You"
重く引きずるようなブルース。登場はソロとエンディングのみだが歪んだ音色の独特の演奏が聴ける。
評価:★★★★

Believe In Me / Duff McKagan (1993)


ガンズ・アンド・ローゼズのベーシスト、ダフ・マッケイガンのアルバムに2曲参加。典型的なアメリカン・ハードロックの中でジェフが弾いているのは、ありそうで意外とない。
"[F@*ked Up] Beyond Belief"
ガンズ譲りのハードな曲で、かなりハイテンションに激しいフレーズを弾きまくっている。
評価:★★★★★
"Swamp Song"
この曲も同様、リフの部分や歌の合間でもギュワンギュワン言わせている。こういうある古いタイプのハードロックはハマる。
評価:★★★★★

The Red Shoes / Kate Bush (1993)[Spotify]


独自のアクと世界観を持つケイト・ブッシュにあって、ビート感ある普通のポップ曲が揃うアルバムに1曲参加。エリック・クラプトンも別の1曲に参加している。
"You're The One"
最後に収められているこの曲は昔のケイト・ブッシュの静かなイメージ。プロコル・ハルムのようなオルガンをバックに、穏やかなソロ。エンディングに向けて少しずつ盛り上げるがあくまでも抑えた演奏に留めている。
評価:★★★

Seal  / Seal (1994)  [Spotify]


"Manic Depression"で共演した英国の人気黒人歌手、シールのもっともヒットした2ndアルバムに1曲参加。
"Bring It On"
アーバンテイストのクールなポップスで後半に歌のバックで曲に合わせて抑揚が効いたソロを弾いている。登場時間は短く脇役的な参加。
評価:★★★

Drive / Jan Hammer (1994)[Spotify]


「Wired」「There And Back」はじめ、事あるごとに共演してきたヤン・ハマーのリーダー・アルバムに参加したのはこれが初めて(そして最後)。音楽的にはスリルに欠ける軽めのフュージョン。2曲に参加。
"Underground"
軽めのワールドミュージック風サウンドで、場をわきまえた、やりすぎないくらいのソロ。それでもジェフならではのトーン。ヤン・ハマーとのバトルはない。
評価:★★★
"Drive"
中庸なフュージョンサウンドに合わせて歪のないクリアなトーンでリラックスした指弾きならではのフレーズを連ねている。
評価:★★★

The Promise / John McLaughlin (1996)[Spotify]


70年代にジェフが傾倒し、ライヴでの共演歴もあるマクラフリンのアルバムに1曲参加。
"Django"
ジョン・ルイス作曲のMJQで有名なあの曲でマクラフリンと交互にソロを取っている。フュージョン土俵で、ジェフはそれほど強く主張していないが、フレージングは「らしさ」が溢れている。
評価:★★★★

Another World / Brian May (1997)[Spotify]


デビュー当時に影響を受けたギタリストとしてジェフの名前を挙げていたブライアン・メイの2枚目(厳密には3枚目)のソロアルバムに1曲参加。
"The Guv'nor"
どうぞ自由に弾いてくださいとオーダーしたのではないかと思えるくらい至るところでジェフのギターが侵入、ブライアンとギターの掛け合いもある。ただ、オーバーダビングで入れた不自然さが見えてしまうところは残念。
評価:★★★★

All The King's Men / Various Artists (1997)


エルヴィス・プレスリーのバンドのギタリストであるスコッティ・ムーアとドラマーのD.J.フォンタナのトリビュート盤でロン・ウッドとの名義で1曲参加。YouTubeに動画あり。
"Unsung Heroes / Ron Wood & Jeff Beck"
渋いセッション。すぐにそれとわかるオブリガード、そしてロカビリー・スタイルのソロが聴ける。ヴォーカルはロン・ウッド。
評価:★★★★

In My Life / George Martin (1998)


ビートルズの曲を中心に据えて様々なアーティストが演奏する趣向のアルバムで、プロデュース、アレンジをジョージ・マーティンが担っている。
"A Day In The Life"
後にライヴで重要なレパートリーになったのはここでの演奏がきっかけか。基本的に同じスタイルで演奏していて、そこにジョージ・マーティンのアレンジが加わる。
評価:★★★★

Viva El Amor / Pretenders (1999)[Spotify]


プリテンダーズ、デビュー20周年のアルバムに1曲参加。
"Legalise Me"
ロカビリーの残り香がするノリのいいプリテンダーズのスピーディなロックにジェフのギターが合わないはずがなく、生き生きしたプレイが聴ける。
評価:★★★★

XXX / ZZ TopViva El Amor / Pretenders (1999)[Spotify]


男臭い骨太ロックに仕上がっている結成30周年記念アルバム、2曲収録されているライヴ曲の1曲に参加。
"Hey Mr. Millionaire"
アップテンポの土臭いロックに合わせて低音域を中心にした歪んだ音でのフレージングはジェフらしさという点ではそれほどでもない(CD所有していたのにジェフだと気づいていなかった)がドライブ感溢れる演奏。
評価:★★★

Good Rockin' Tonight - The Legacy of Sun Records
                                         / Various Artists (2001)


リトル・ジュニア・パーカーの曲、そしてエルヴィス・プレスリーの演奏で知られる曲をジェフをバックにクリッシー・ハインドが歌う。
"Mystery Train / Chrissie Hynde"
ジェフのルーツであるロカビリーとあって楽しそうに弾いている姿が思い浮かぶ。
評価:★★★

From Clarksdale to Heaven-Remembering
               John Lee Hooker / Various Artists (2002)


2001年に亡くなったジョン・リー・フッカーのトリビュートアルバム。ゲイリー・ムーア、ミック・テイラー、クレム・クレムソン、ピーター・グリーン、ジャック・ブルースなどが参加
"Hobo Blues"
ミドルテンポのウネリあるブルース。ソロがどうだというよりはイントロから歌のバッキングで常時、動物のうめき声や嘶きのようなノイジーなトーンで弾き続けている。もちろんこのようなトーンはファンなら想定できる範囲とはいえ、微妙にニュアンスを変え続けて様々な表情を見せながら曲を通して弾き続けている様子は他のどの音源でも聴ことができない珍しいもの。
評価:★★★★★
"Will the Circle Be Unbroken"
曲はミドルテンポのゴスペル調。こちらも似たようなトーンで曲中で常にジェフのギターがウネウネ鳴り続けていて存在感がありすぎる。
評価:★★★★★

What The World Needs Now Is Love / Wynonna (2003)[Spotify]


ジェフが好みそうなパンチのある声を聴かせるアメリカのカントリー歌手、ワイノナ・ジャッドがカバーしたフォーリナーの大ヒット曲に参加。
"I Wanna Know What Love Is"
2コーラス目のサビのバックでオブリガード、そこからソロ、そしてエンディングでアームを駆使して表情豊かに泣くソロが聴ける。
評価:★★★★

Birdland / Yardbirds (2003)[Spotify]


スティーヴ・ヴァイがバックアップして制作されたというジム・マッカーティとクリス・ドレヤによるヤードバーズ再結成アルバムに1曲参加。ヴァイ本人、ジョー・サトリアーニ、スラッシュ、ブライアン・メイ、スティーヴ・ルカサーなども他の曲に参加している。
"My Blind Life"
ブルージーなロックの中で、スライドも混ぜながら独特のノイジーなオブリガードと歌の合間の随所に短いソロを挿入。曲にかなり介入した弾きっぷり。
評価:★★★★

Heart & Soul / Joe Cocker (2004)[Spotify]


他人の曲を料理するジョー・コッカーの伝統芸アルバムで、古い曲だけではなくREMやU2の曲も取り上げている。他の曲ではエリック・クラプトン、スティーヴ・ルカサー、マハヴィシュヌ・オーケストラのメンバー、ヴィニー・カリウタなどが参加。
"I (Who Have Nothing)"
ベン・E・キングで知られる曲を渋い声でコッカーがゆったりと歌っており、こちらもジェフらしさ溢れる泣きが聴ける。
評価:★★★★

Like The Sun / Zucchero (2004)[Spotify]


"Like The Sun"
イタリアの人気歌手、ズッケロのシングルに参加(ベスト盤に収録されている)。
メイシー・グレイとのデュエットによるマッタリ系のポップなブルース調の曲。ソロは短いがいかにもジェフの泣きのフレージング。
評価:★★★★

The Body Acoustic / Cyndi Lauper (2005)[Spotify]


曲ごとにゲストを迎えて制作したアコースティック・バージョンのセルフカバー集に1曲参加。
"Above The Clouds"
すぐにそれとわかるイントロ、中間のソロもらしさたっぷり。アダルトなポップス曲で泣きのギターを披露するのがこの時期の定番活動になってきていて、いずれも短めのソロがある程度だが演奏は高いレベルで安定している。
評価:★★★★

Slap My Hand / Jimmy Copley (2008)[Spotify]


UPPのドラマー、ジミー・コープリーが、小細工なしに真正面からブルース・ロックに取り組んだアルバム。ミッキー・ムーディ、バーニー・マースデン(この2人の共演はなし)、チャー(コープリーはチャーのバンドのドラマーを長く務めた)、そしてジェフがギタリストとして参加している。この種の音楽が好きな人ならジェフ参加曲以外も楽しめる。
"Everyday I Had The Blues"
ヴォーカルはピータ・コックス、ベールはピノ・パラディーノ。ジェフにとってお手の物のオーソドックスなミドルテンポのブルース。短い曲ながら伸び伸びといつもの不揃いなジェフらしい演奏が聴ける。
評価:★★★★★
"J Blues"
コープリー、ピノ・パラディーノとのトリオでのスローテンポのコッテリしたブルース。かなりラフな演奏で思う存分好き勝手に弾きまくっていていて、振幅が大きい豊かな表現力に圧倒される。これを聴いて何も感じない人はロックギターなんて聴かなくていいんじゃないかと思う。
評価:★★★★★

Years Of Refusal / Morrissey (2009)[Spotify]


人脈的に繋がりをあまりイメージできない元スミスのモリッシーのアルバムに1曲参加。
"Black Cloud"
タイトでハードなカッコいい曲ではあるものの、歌の後ろでウネウネ鳴っているのとエンディング間際に短いソロがあるだけでジェフの聴きどころは少ない。
評価:★★

The Imagine Project / Herbie Hancock (2010)[Spotify]


高齢のハンコックにクリエイティビティを求めるのは酷とわかっているとはいえ、豪華ゲストを集めてパフォーマンスのな質だけ担保、しかし中身が薄く、元の曲への敬意が感じられない安易な企画。タイトル曲に参加。
"Imagine"
軽快で心地よいポップスに安易に編曲。ピンク、シールなどと共に参加。ゲストを豪華にしたお祭り的な企画なので軽めのソロを少し弾いているだけ。名前だけうまく利用されたような気にさえなってしまう。
評価:★

For True / Trombone Shorty (2011)[Spotify]


ジェフの「Rock 'n' Roll Party: Honouring Les Paul」にゲスト参加していたトロンボーン・ショーティのアルバムにお返しの1曲参加。
"Do To Me"
ルーツであるニューオーリンズのファンクテイストを備えたポップな曲。ショーティのソロに続いて味のあるソロ、その後もオブリガード、エンディングへのソロまでたっぷり弾いている。R&B、ファンク系とジェフのギターは相性がいい。
評価:★★★★★

I'm Back! Family & Friends / Sly Stone (2011)[Spotify]


スライ30年ぶり復活作は、ゲストを多数迎えてのセルフカバー集。ジョニー・ウィンター、レイ・マンザレク、アン・ウィルソン、ドナルド・バードなどが参加している中でジェフも1曲参加。
"(I Want To Take You) Higher"
ほとんど昔の曲の再演でアルバムじたいの評価は低いが、リメイク故にスライのファンクにそのままジェフのギターがハマっている。
評価:★★★★

Bang Bang Boom Boom / Beth Hart (2012)[Spotify]


ジェフの「Live At The Hollywood Bowl」で歌っていたパンチ効き過ぎの女性シンガー、ベス・ハートが歌っていた曲のオリジナルはコレ。
"I'd Rather Go Blind"
ソウルフルでゴスペルテイストのバラードを歌い上げる背後で優しくサポート、時にベスの歌に合わせて時に咆哮、ソロはなくともジェフのギターにずっと浸れる。ライヴということもあり自由に弾いている。
評価:★★★★★

Chimes Of Freedom - The Songs Of Bob Dylan
                                      / Various Artists (2012)


CD 4枚組で計72曲収録のボブ・ディランのトリビュート・アルバムでシールと共にこの曲で参加。YouTubeではビデオも公開されている。
"Like A Rolling Stone / Seal and Jeff Beck"
シールと三度目の共演。表情も表現も豊かに歌の背後で弾いていて終始ジェフならではのフレーズが耳に飛び込んでくる。トリビュート物で自由に弾かせた曲はデキが良いものが多いがこの曲もその例に漏れない。
評価:★★★★★

Spitfire / LeAnn Rimes (2013)[Spotify]


13歳でデビューするやすぐに大ヒットを記録したというカントリー歌手のスター、リアン・ライムスのアルバムに、ロブ・トーマス(ライムスのデュエットの相方)と共に1曲参加。
"Gasoline And Matches"
ノリがいいロック調のカントリーで、歌がなかなかカッコいい。入りからギュイーンとテンション高いソロ。エンディングのソロも他の誰も真似できないあのジェフのフレージング。
評価:★★★★★

Fun On Earth / Roger Taylor (2013)[Spotify]


クイーンのロジャー・テイラー、5枚目のソロ・アルバムに1曲参加。この曲はQUEEN+Paul Rodgersのアルバムに収録されていたのが初出で、ロジャーが自分のアルバムでも採り上げた。
"Say It's Not True"
QUEEN+PRでのカッチリしたアレンジとは異なり、伴奏を付けずにジェフのギターだけで始まる。歌に入ってからもジェフのギター1本のみの伴奏。ドラムとベースは必要最低限のサポートをしているだけで、ロジャーとジェフのデュエットと言っても良い。もちろんソロも申し分ない。
評価:★★★★★

Live! Greatest Hits From Around The World
                                         / ZZ Top (2016)[Spotify]


ZZ topのワールドツアー・ライヴ集でロンドン公演の2曲に参加。
"Sixteen Tons"
引きずるようヘヴィなブギー調ロックンロールで、「XXX」の "Hey Mr. Millionaire"とは違って2番目のソロ(1番目はビリー・ギボンズ)ですぐにそれとわかるあの捩れたトーンが聴ける。
評価:★★★★
"Rough Boy"
こちらは爽やか系まったり曲バラードで、その泣きっぷりとワイルドな音使いのバランスが絶妙。
評価:★★★★

Fire On The Floor / Beth Hart (2016)[Spotify]


再びベス・ハートのアルバムに1曲参加。
"Tell Her You Belong To Me"
ギターのアルペジオをバックに途中からストリングスも加わって切々と歌い上げるゴスペルタッチの感動的なバラード。歌だけで十分完成されているためか、期待される泣きのギター・ソロはあえて控えめにしたか。
評価:★★★

Life For Fresh Blood / Imelda May (2017)[Spotify]


ジェフの「Rock 'n' Roll Party: Honouring Les Paul」「Emotion And Commotion」でヴォーカルを務めたイメルダ・メイがロカビリーからポップ路線に変更して制作したアルバムに1曲参加。
"Black Tears"
ゴスペル味のバラード、歌の背後でスライドでのオブリガードとしんみりとしたトーンの繊細なソロを弾いている。
評価:★★★★

Loveaholic / Ruth Lorenzo (2018)[Spotify]


英国オーディション番組に入賞して有名になったというスペイン人女性歌手、ルート・ロレンソのアルバムに1曲参加。
"Another Day"
ありきたりのバラード曲ではあるが、期待通りのジェフ節の泣きのギターが聴ける。
評価:★★

The Blues Is Alive And Well / Buddy Guy (2018)[Spotify]


再びバディ・ガイのアルバムに1曲参加。
"Cognac"
キース・リチャーズと共に参加。予想通りとはいえ申し分のないジェフ・スタイルのブルース・ギターが堪能できる。
評価:★★★★★

Rise / Hollywood Vampires (2019)


アリス・クーパー、ジョニー・デップ、ジョー・ペリーが集結したグループのアルバムに1曲参加。後の「18」でのデップとの共演につながるきっかけになったと思われる。
"Welcome To Bushwackers"
背後でグワッ、グワッとノイジーなオブリガード、そしてソロでもジェフらしさ全開。
評価:★★★★

Blues With The Friends / Dion (2020)[Spotify]


東海岸で活動するイタリア系アメリカ人のベテラン、ディオン・ディムーチ(当時80歳)のアルバムに1曲参加。その他の曲には、ブライアン・セッツァー、ジョン・ハモンド、ヴァン・モリソン、ビリー・ギボンズ、ポール・サイモン、リトル・スティーヴンなどが参加している。
"Can't Start Over Again"
まったりとライトなカントリー系ブルースで哀愁のバッキングとソロ。脇に徹しているが持ち味は出ている。
評価:★★★

Patient Number 9 / Ozzy Osbourne (2022)[Spotify]


豪華ゲストを迎えたオジー通算12枚目のアルバムに2曲参加。エリック・クラプトン参加曲もあり。
"Patient Number 9"
ポップでヒット性が高そうなメタル曲は少々安っぽいが、ジェフのギターソロは定型的なメタル系ギタリストとは異なるスタイルで吠えており、とても75歳前後の演奏とは思えない。メタルはジェフのフィールドでないし、この曲に合ったギターを弾けるメタル系ギタリストはいくらでもいるが、全く不足のないプレイができるあたりはさすが。
評価:★★★★★
"A Thousand Shade"
こちらもたっぷりソロをフィーチャー、哀愁系メタル・バラード曲とあって気持ちよく泣いている。されている。
評価:★★★★

Moonage Daydream A Brett Morgen Film
                                / David Bowie (2022)[Spotify]


デヴィッド・ボウイのドキュメンタリー映画のサントラに、1973年7月3日ボウイのハマースミス・オデオンのステージにジェフが飛び入り参加している1曲が収録されている。もう一人のギタリストはもちろんミック・ロンソン。ブートレグでは有名な音源。
"The Jean Genie"
ボウイとジェフのレアな共演音源で、時期的には第2期JFGとBBAの間にあたるが、遠慮なく鋭いフレーズを発している。
評価:★★★★


こうして通して聴いてみると、黒人アーティストと女性歌手との共演は総じて質が高い。どんなジャンルで弾いても自分らしさを出して、しかも違和感がないところにジェフの偉大さを改めて感じてしまう。ブルース、ソウル、R&B、ファンク系がハマるのはやはり黒人音楽がルーツにあるからということも良くわかる。