Rock Listner's Guide To Jazz Music


Yes


Yes

曲:★★★★
演奏:★★★★
入門度:★★★
評価:★★★★
Released in 1969

[1] Beyond And Before
[2] I See You
[3] Yesterday And Today
[4] Looking Around
[5] Harold Land
[6] Every Little Thing
[7] Sweetness
[8] Survival

Bonus Tracks
[9] Everydays (single version)
[10] Dear Father
     (early version #2)
[11] Something's Coming
[12] Everydays (early version)
[13] Dear Father
     (early version #1)
[14] Something's Coming
     (early version)
Jon Anderson (vo)
Peter Banks (g, vo)
Tony Kaye (org, p)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)

Produced by Paul Clay
and YES
後に代表的なプログレッシヴ・ロック・グループとなり、アメリカでも一般的な人気を得るまでに至ったイエスの初々しいデビュー・アルバム。柔らかいメロディとコーラスを前面に出した、どこかのどかなアメリカン・フォークの雰囲気をチラつかせたサウンドで曲そのものは結構シンプル。しかし演奏はやっぱりヒネッたことをやっていてなかなか面白い。特にビートルズのカヴァー[6]のアブストラクトな導入部は象徴的。一方で、映画「バッファロー66」のエンディングでも使われた美しい[7]のような曲の完成度も既に高い。ピーター・バンクスの決して上手くはないけれど荒っぽいギターとトニー・ケイのオルガンがサウンドの中心でありつつも、やはり強力なのがリズム・セクション。ブラッフォードのワザはまだラフであるけれどリズム感は既に確立しているし、クリスのベースの唸りも素晴らしい。プログレ色が薄いせいで軽視されている第一期イエスだけれどポップでヒネリの聴いたサウンドは十分ユニークだし、それでいて聴きやすいところはもっと評価されてもいいと思う。尚、ボーナス・トラックが沢山入っているけれど、アルバム未収録曲はいい(特に[11]はかなりカッコいい)として、収録時間の都合とはいえセカンド・アルバムの曲[9][12]をここに入れるのは腑に落ちない。(2006年11月26日)

Time And A Word

曲:★★★★★
演奏:★★★★★
入門度:★★★★
評価:★★★★★
Released in 1970

[1] No Opportunity Necessary,
    No Experience Needed
[2] Then
[3] Everydays
[4] Sweet Dreams
[5] The Prophet
[6] Clear Days
[7] Astral Traveller
[8] Time And Word

Bonus Tracks
[9] Dear Father
[10] No Opportunity Necessary,
    No Experience Needed
    (original mix)
[11] Sweet Dreams (original mix)
[12] The Prophet (single version)
Jon Anderson (vo)
Peter Banks (g, vo)
Tony Kaye (org, p)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)

Produced by Tony Colton
基本路線に変更はないものの、曲も演奏も確実にレベルアップしたセカンド・アルバム。ストリングスの導入など表面的にわかる試みが目に付きやすいものの、バンドの結束力が高まっていることの方が変化点としては大きい。曲はバラエティに富み、演奏部分は複雑さを増して聴き応え十分。特に、クリスのブンブン唸りまくるベースと、オーソドックスなロック・ビートなんか叩いてたまるかというブラッフォードの切れ味鋭いドラムとのコンビネーションは既に最高潮に達していて、グループの核となり、どのリズムセクションをも寄せ付けない存在感がある。2人のコンビネーションの凄さを知るにはこのアルバムが最適と言ってもいいかもしれない。また、このリズム・セクションに絡んでくるピーター・バンクスのルーズなギターとトニー・ケイのオルガンがスリリングで、他では得がたいジョンのクリスタルなヴォーカルがそこに乗って完全なイエス・サウンドとなる。一方で、ポップに仕上がった曲も完成度が高く、曲のバランスが良いところもセールス・ポイントで、間違いなく初期イエスの最高傑作。親しみやすく良い曲が目白押し、しかも演奏は適度の緊張感があり、独自のサウンドがあまり注目されていないのが非常に残念。(2006年11月26日)

Something's Coming

曲:★★★★☆
演奏:★★★★★
入門度:★
評価:★★★★
Released in 1998

Disc 1
[1] Something's Coming
[2] Everydays
[3] Sweetness
[4] Dear Father
[5] Every Little Thing
[6] Looking Around
[7] Sweet Dreams
[8] Then
[9] No Opportunity Necessary,
    No Experience Required

Disc 2
[1] Astral Traveller
[2] Then
[3] Every Little Thing
[4] Everydays
[5] For Everyone
[6] (Intro) Sweetness
[7] Something's Coming
[8] Sweet Dreams  
[9] Beyond And Before
Jon Anderson (vo)
Peter Banks (g, vo)
Tony Kaye (org, p)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)
BBCに残された音源発掘シリーズの第一期イエス版。よって録音時期は69年から70年に限定される。音はお世辞にもいいとは言えないけれどなんとか楽しめるレベル。BBCシリーズの例に漏れずオーバーダブされている曲もあるとはいえ、初期イエスのライヴが堪能できるのは貴重である。ライヴだと危なっかしいところも散見されるけれど、そんなものを乗り越える勢いが帳消しにして別の魅力を生み出す。ブラッフォードのドラムとクリスのブンブン・ベースがもっともカッコよく絡んでいたのはこの時期であることをここで改めて再認識。ここにバンクスの行儀良くないギターとトニー・ケイのオルガンが被ると、そこはもう完璧なイエス・サウンド。オフィシャル盤としてはやや厳しい音質が気にならないければ、第一期イエス好きには必聴で、改めていいロック・バンドだったと思わせてくれる演奏集。余談ながら、このアルバムはピーター・バンクス主導で企画されたものでライナーもバンクスが書いていて、自分が脱退した後に成功し、当時も仲間外れにされていたことに対する次の腹いせのコメントで締められている。「イエスという名前は僕が考えた。もっといい名前が思い浮かぶまでの一時的な名称ということだったけど誰かいい名前を思いついたかい?」(2007年2月12日)

The Yes Album

曲:★★★☆
演奏:★★★★☆
入門度:★★★
評価:★★★☆
Released in 1971

[1] Yours Is No Disgrace
[2] The Clap
[3] Starship Trooper
 a. Life Seeker
 b. Disillusion
 c. Wurn
[4] I've Seen All Good People
 a. Your Move
 b. All Good People
[5] A Venture
[6] Perpetual Change

Bonus track
[7] Your Move (Single Version)
[8] Starship Trooper: Life Seeker
   (Single Version)
[9] The Clap ( Studio Version)
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Tony kaye (org, p, moog)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)

Produced by YES and
Eddie Offord
ギターをピーター・バンクスからスティーヴ・ハウに入れ替えたイエスのサード・アルバム。荒っぽいピーター・バンクスからテクニックのしっかりしたスティーヴ・ハウへのメンバーチェンジがバンドにもたらしたものは大きく、ソリッドでタイトなサウンドに変貌。曲はポップな面が残っているものの、いよいよ演奏時間も長くなってきてプログレッシブなロックへの序章を思わせるものになりつつある。前2作では歌の部分とインタープレイの部分は1曲の中でそれぞれ別に見せ場を作っているところもあったけれど、本作からはいよいよトータルとして曲を作る姿勢が表われはじめ、それが曲を長くしている要因にもなっている。ただ、長い曲を飽きさせずに聴かせる構成力はまだイマイチで、曲には締りがない部分も散見される。次作「Fragile」で押しも押されぬプログレッシブ・ロック・グループになる直前、シンセサイザーを使わず、オルガンで通していることから大げさになっていないところがこのアルバムの持ち味か。世間では結構名作扱いされているけれど僕はちょっと中途半端だと思う。(2006年11月26日)
ボーナス・トラックは[7][8]は単なる短縮バージョン。[9]は[2]のライヴバージョンとは違ってリラックスした雰囲気、後の "Mood For A Day" のフレーズが出てきたりして、なかなか良い。(2011年7月2日)

Fragile

:★★★★
演奏:★★★★★
入門度:★★★★★
評価:★★★★☆
Released in 1972

[1] Roundabout
[2] Cans And Brahms
[3] We Have Heaven
[4] South Side Of The Sky
[5] Five Percent For Nothing
[6] Long Distance Runaround
[7] The Fish
[8] Mood For A Day
[9] Heart Of The Sunrise
[10] America
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)

Produced by YES and
Eddie Offord
トニー・ケイに変わってリック・ウェイクマンが加入。いわゆる黄金のメンバーによる1作目。オルガン・プレイヤーだったトニーからクラシックの素養があって、シンセサイザーを駆使するリックに変わることによってシンフォニックな方向へ行ったのは当然のことで、よりスケールの大きなグループへと成長したことに疑いはない。それでもあまり大作に走っていないので聴きやすく、このアルバムをイエスの最高傑作とする人も多い。鍵盤楽器の重ね録りでひとりオーケストラをという今となっては古臭いリックの[2]、ヴォーカルの重ね録りで遊ぶ[3]、リズム隊とオルガンの変拍子ジャム風な[5]、ベースをメインにフィーチャーした[6]、ハウのメランコリックなギターの[8]というように、楽曲というよりは各メンバーのソロ・パフォーマンスが中心。まともな曲といえる[1][9]は言わずと知れた名曲中の名曲、そして名演。特に[9]の緊張感とブラッフォードの超絶ドラミングは凄い。この曲は後にいくつかのライヴ・バージョンが残されていくものの、残念ながらこの統制の取れた知的ムードを再現したものは耳にしたことがない(アラン・ホワイトではただの喧しいハード・ロックに成り下がってしまう)。それはともかく、実力者たちによる勢いある演奏は確かに素晴らしく名盤と称されるのは伊達ではない。ボーナス・トラックの[10]の選曲センスは初期のイエス的であり、このロング・バージョンはシングル向けショート・バージョンよりもずっとカッコいい。尚、このアルバムはDVD-Audioもリリースされている。以前ウチにあった安物ホームシアターで聴いても驚くほど音質(特に音の分離)が良く、ジョンの息遣い、弦を弾く音、スネアやシンバルを叩く音が明瞭に聴こえていた。もちろん 5.1ch 化によりミックスも異なり、聴き倒したマニアでも充分楽しめる。(2010年8月16日)
その後、スティーヴン・ウィルソンによるリミックスで、5.1chと2chステレオを収録したブルーレイ版も登場(旧版の5.1chサウンドも収録しているため、これがあればすべてカバーできる。スティーヴン・ウィルソンのミックスは、シンバルなどの音をやや抑えめににして全体の見通しを良くした仕上がりで、方向性としてはキング・クリムゾンと同じ。特に、聴き慣れた2chステレオはかなり異なっており、コントラストの強いクッキリとしたサウンドではなく、ひとつひとつの音を柔らかく、それでいて磨かれた丁寧な音作りがなされていて、僕はとても気に入っているんだけれど、オリジナル重視派には評判が悪い。「The Yes Album」「Relayer」のスティーヴン・ウィルソン・ミックスも同様の仕上がり。(2019年1月21日)

Close To The Edge

曲:★★★★★
演奏:★★★★★
入門度:★★★★★
評価:★★★★★
Released in 1972

[1] Close to the Edge
 i The Solid Time Of Change
 ii Total Mass Retain
 iii I Get Up I Get Down
 iv Seasons Of Man
[2] And You And I
 i Cord Of Life
 ii Eclipse
 iii The Preachers The Teacher
 iv Apocalypse
[3] Siberian Khatru

Bunus Track
[4] America (Single Version)
[5] Total Mass Retain
    (Single Version)
[6] And You And I
    (Alternate Version)
[7] Siberia
(Studio Run-Through of "Siberian
Khatru" )
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)

Produced by YES and
Eddie Offord
僕が高校生のとき、イエス復活が話題となり、"Owner Of A Lonely Heart"が大ヒットしていた。アルバム「90125」はヒットした曲以外も楽曲の質が高いロック・アルバムに仕上がっていて、繰り返し聴き込むお気に入りアルバムになっていた。しかし、そのヒット・アルバムだけで満たされてしまった多くの同級生と僕が違うのは、お気に入りの過去に踏み込もうとするところだった。イエスというグループは既に長いキャリアを持っていて、再結成したことだけはなんとなく知っていたとはいえ、往年のイエスのことなどまったく知らず、とりあえずレンタル・レコード屋へ行ってみてイエスのコーナーを漁っていると燦然と輝く「名盤」シールが貼ってあったこのアルバムが目に入る。早速借りて持ち帰り、ターンテーブルに乗せるときに曲間の溝がないことに気づく。テープに録音しながら聴いてみると、なんだか聴いたことのない種類の音楽が流れてくる。アナログでいうA面すべてを使った[1]は18分超、B面はそれぞれ10分、9分という長尺モノで、4分間の曲にしかなじみがなかった僕にとってアルバム1枚でたったの3曲というのは驚愕の初体験。それだけではなくハード・ロックとは明らかに表現が異なるギター、ブンブン唸るベース、独特のタイム感覚を持つドラム、幻想的なキーボード、すべてが聴いたことのない世界でヴォーカルだけが「90125」と共通しているという、とても同じ名前のグループとは思えないものだった。正直言って最初から理解できたとは言い難い。それでもこの音楽には何かがある、と感じれば無理してでも聴いて理解しようとするのも僕の性質。思えばこれがプログレとの出会い。それから20年以上経過した今、何度も繰り返し聴いたにもかかわらず未だにこのアルバムは新鮮に感じる。[1]の冒頭部、スパニッシュ・テイストも見え隠れするエレキ・ギターのソロにぶっといベース音、変幻自在のドラムにシーケンサーを思わせる(もちろんこの時代にそんなものがあるわけもなく指弾き)キーボード、これが一体となった長い長いイントロ(歌に入るまでに4分以上要する)のスリリングなことといったらない。アコースティック・ギター中心のシンプルな前半からシンフォニックな中盤を迎え、終盤の穏やかな盛り上げ方も巧みな[2]、リック・ウェイクマンらしいロシア風味漂うキーボードのリフが印象的で中盤の展開がまたスリリングな[3]、すべての完成度が高く、気高い。楽曲と演奏が最高潮に達したこれぞイエスの最高傑作。
ボーナス・トラックについて。
[4]は短く編集したものでイエスらしさがよく出たロング・バージョンに比べるとやや平凡ながら聴きやすい。[5]は[1]の一部を抜き出しただけのもの。注目は[6]と[7]。[6]は演奏は基本的にそう変わらないけれどヴォーカルがかなり違うし、コーラスがないこ故にシンプルで味わい深い。イントロのカウントダウンからしてカッコいい[7]の方が原曲との差を感じる。ここでもコーラスは省かれメロディは終始ジョン・アンダーソン1人の声だけで歌われていることからムードが随分異なる。冷静に聴くとジョンって意外とヘタなのね、ということが分かってしまうんだけれどこれがなんともいえない味があっていい。2曲とも音が加工されていない生っぽいサウンドになっているのでオリジナル・バージョンを聴き倒した人には新鮮なはず。ただし、初心者に聴かせるものではないし、ボーナス・トラックのせいでアルバムとしてのまとまりを失っている側面はある。(2006年12月11日)

<Definitive Edition>
キング・クリムゾンのオリジナル・アルバムの新ミックスで定評あるスティーヴン・ウィルソンの手による、同様なリミックス(CD)とマルチチャンネル化(ブルーレイ盤)のセットが登場。2013年ミックスは一聴したところ微妙な印象だった。まず、シンバルの音量がかなり抑えられていることがすぐにわかる。クリスのベースもカドが取れて丸みを帯びている。また、リマスター盤によくあるような音量(音圧)上げをしていない、というかむしろ下げている。だから地味に聴こえてしまう。ただし、慣れてくると抑えた音作りの意図が見えてくる。刺激的な響きを抑えることでギターとキーボードの音、そしてヴォーカルやコーラスの見通しが抜群に良くなっている(特にキーボードが凄い)。リミックスというと音を派手にしたくなってしまうものだけれど、抑えるところは抑えて、出すところを出すことによってその曲が持っている魅力をより引き出す手法は、一連のクリムゾンのリミックスと同じ方向性の知的なアプローチであり、賞賛したい。そして "America" の2013ミックスも聴きどころ。恣意的なバランス変更ではなく自然な仕上がりながら音の配分、エコーのかかり方など、雰囲気が結構異なっていて違いを楽しむことができる。一方、初のマルチチャンネル化で注目度が高いのがブルーレイ盤。基本的にはキーボードとコーラスをサラウンドに回す方向性で、音場の広がりを感じさせる仕上がり。リード・ヴォーカルはセンターのみで定位させている。もちろんチャンネルの分離と情報量の増加により、2chステレオにはなかった音が聞こえてきて、マルチトラックのマスターにはかなりの情報量が入っていたのだろうと想像を巡らせてしまう。こちらも一連のクリムゾン作品のマルチチャンネル化と同じ傾向と言えるしっかりとした仕上がりで満足できる。ただし、個人的にはサラウンドのリア側に振った音のエコーのかかり具合がちょっと強すぎる感じがする。「Fragile」のDVD-Audioにも収録されている"America"の新マルチチャンネル・バージョンも入っているのでその仕上がりとの比較もまた一興。尚、収録曲は以前のリマスター盤に収録されていたボーナス・トラックを含むもので新規発掘はないものの24bit/96KHzにハイレゾ化されており、本編3曲と"America"に2013ミックスのヴォーカルなしバージョンが収録されている点が目新しい。(2013年11月9日)

Yessongs

曲:★★★★★
演奏:★★★★
入門度:★★
評価:★★★☆
Released in 1973

Disc 1
[1] Opening
    [Excerpt From "Firebird Suite"]
[2] Siberian Khatru
[3] Heart Of The Sunrise
[4] Perpetual Change
[5] And You And I
 a. Cord Of Life
 b. Eclipse
 c. The Preachers The Teacher
 d. Apocalypse
[6] Mood For A Day
[7] Excerpts From
    "The Six Wives of Henry ["
[8] Roundabout

Disc 2
[9] I've Seen All Good People
 a. Your Move
 b. All Good People
[10] Long Distance Runaround
 /The Fish (Schindleria  
                       Praematurus)
[11] Close To The Edge
 a. The Solid Time Of Change
 b. Total Mass Retain
 c. I Get Up I Get Down
 d. Seasons Of Man
[12] Yours Is No Disgrace
[13] Starship Trooper
 a. Life Seeker
 b. Disillusion
 c. Wurn
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b, vo)
Alan White
     (ds except [4] [10])
Bill Bruford (ds [4] [10])

Produced by YES and
Eddie Offord
イエスはその複雑な曲をステージでも完璧に再現してしまうということで当時は話題になっていたようで、それを証明したのがこのライヴ・アルバムだったと書物で読んだことがある。アナログ時代はなんと3枚組というボリューム。確かに演奏に破綻はなく、より荒々しくで大袈裟さを増したアレンジは、時にスタジオ盤を越えていると思わせる部分がある。でもこのアルバム、音が良くない。それが却って古い時代のイメージを醸し出しているという部分があるにせよ、リマスタリングなどでもう少しなんとかならないものかと思ってしまう(2011年現在はリマスター盤が出ているが未聴)。スティーヴ・ハウのギターはこのときが恐らくピークだったのではないかと思える充実振り、クリスのベースもブンブン来ていて、リックのキーボードは雄大。しかし、アラン・ホワイトの一本調子で力任せのドラムがいかにも普通のロックに格下げしている感は否めない。というわけで、代表曲がまとめて入っているからといって初心者にお勧めできる内容にはなっていないと僕は思っている。ここではスタジオ盤にあったタメ、引き、抑揚感が失われている。(2007年2月12日)

Tales From Topographic Oceans

曲:★★
演奏:★★★
入門度:★
評価:★★☆
Released in 1973

Disc 1
[1] The Reveaking Science Of God
    (Dance Of The Dawn)
[2] The Remembering
    (High The Memory)

Disc 2
[3] The Ancient
    (Giants Under The Sun)
[4] Ritual
   (Nous Sommes Du Soleil)
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Produced by YES and
Eddie Offord
スタジオ盤の前作「Close To The Edge」が高く評価されたイエスはさらに大作主義を推し進め、ついにアナログ2枚組、各面1曲ずつ(それぞれ約20分)というアルバムを制作するにまで至った。では、前作の延長線上にあるかといえばこれが結構違う。穏やかな曲にリラックスした演奏で占められていて緊張感が薄く、曲そのもののインパクトも弱い。正直なところ一度聴いただけでは印象に残らないし、果たしてこれだけの曲の長さが必要だったのかという疑問まで浮かんでしまう。もちろん、前作を踏襲する必要はなく、違ったものを狙ってのことだったんだろうけれど、その別の魅力を僕は見つけられない。演奏や音楽の質が低いということではないので、あくまでも目指した音楽の性質の違いということになるとはいえ、いずれにしても前作と同じものを期待した人はガッカリする可能性が高い。ドラムがアラン・ホワイトに代わったことも大きく、単調なリズムが緊張感のなさに拍車をかけている。別の視点で見れば、落ち着いて聴けるプログレとしての価値はあるかもしれない。あるいは、表現されている音楽が意外と難解で僕が理解できないだけなのかもしれない。(2006年11月29日)

Relayer

曲:★★★★
演奏:★★★★☆
入門度:★★★
評価:★★★☆
Released in 1974

[1] The Gates Of Delirium
[2] Sound Chaser
[3] To Be Over

bunos track
[4] Soon(Single Edit)
[5] Sound Chaser (Single Edit)
[6] The Gates Of Delirium
    (Studio Run-Through)
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Patrik Moraz (key)
Chiris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Produced by YES and
Eddie Offord
キーボードがリック・ウェイクマンからパトリック・モーラツに代わっていることが最大のポイントで、クラシックの素養を活かしたリックと、どちらかと言えばフュージョン系のモラーツでは全体の印象がかなり違う。[1]は20分超の大作。「Tales From Topographic Oceans」が穏やかな曲ばかりだったことを考えると、なかなかアグレッシヴな演奏でテンションが高く、聴きようによってはハイパー・フュージョン的な各プレイヤーの絡みを聴かせる。前作までのシンフォニックな大仰さと比べるとやや平板な印象を受けるのは鍵盤奏者の資質の違いによるもので、仕方のないところだけれどイエス流クロスオーヴァー・ミュージックと捉えれば納得できるんじゃないだろうか。それでも歌の部分になると従来のイエスそのもので、終盤の"Soon"は多くの人が認めるイエス・ミュージックであり、ジョン・アンダーソンのもっとも素晴らしい瞬間を聴くことができる。[2]も冒頭からハードなフュージョン的展開で、リック・ウェイクマンが使わなかったエレピの音がそれを印象づける。イン・テンポに入ってからのハードなサウンドと歌メロが混在したイエス・ワールドが全開、なんだけどアラン・ホワイトのドラムはドタバタしているだけで本当につまらない。前任者と比較しているわけでも同じものを求めているわけではなく、ドラミングに個性を感じないことが問題である。[3]は前作に入っていても良い感じの穏やかな曲。全体的に荒っぽいギターが結構フィーチャーされているところがハウ好きには嬉しい一方で、クリスは「Close To The Edge」のころまでの凄みを感じなくなってきているのがちょっと残念(それでも十分ブンブンやっているけど)。リックのわかりやすさと比べるとモーラツのサウンド・カラーはちょっと地味なところもあって、それが抑揚に欠ける曲の展開にも表れている印象で、その代わりに演奏がスリリングという以前との違いをどう感じるかで評価が違ってくるか。モーラツ在籍時唯一の作品とあって貴重なアルバムではある。(2006年11月29日)
今更ながらリマスター盤を購入した。確実な音質向上とレアなボーナストラックでマニアを唸らせるRHINOレーベルの仕事はここでも信用を裏切らない。初見は[6]のみながらこれが大変な聴きどころ。Run-Through としているだけに演奏も仕上げもかなり粗い状態ではあるものの、エフェクト類はが極力排除されており、録音の良さも相まって実に生々しくも迫力ある演奏を体験できる。このアルバム愛好者なら必聴。(2013年8月24日)

Going For The One

曲:★★★★
演奏:★★★★
入門度:★★★★
評価:★★★☆
Released in 1977

[1] Going for the One
[2] Turn of the Century
[3] Parallels
[4] Wonderous Stories
[5] Awaken

bonus track
[6] Montreux's Theme
[7] Vevey (revisted)
[8] Amazing Grace
[9] Going For The One(Rehearsal)
[10] Parallels (Rehearsal)
[11] Turn Of The Century
      (Rehearsal)
[12] Eastern Number
     (Early Version of "Awaken")
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key,
           church organ)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Produced by YES
リック・ウェイクマンが復帰して「Tales From Topographic Oceans」と同じランナップに戻っての本作は、いきなりアメリカンなスティール・ギターで始まり意表を突かれる。ストレートなロックのリズム、力強く鮮明なメロディにクリスタルなヴォーカルとコーラスが乗るといういかにもイエスなサウンドで、今日に至るまで(=再結成の96年以降)の基本的な部分はここをベースにしていると言ってもいいだろう。このアルバムではスティーヴ・ハウのアコースティック/エレキ・ギター両方での活躍が目覚しく[5]では鬼気迫るギター・ソロも聴ける。もうひとつ、リック・ウィクマンが弾く本物のチャーチ・オルガン([3][5])がフィーチャーされているところもサウンドの特徴。アコースティック・ギターとアンダーソンの声がマッチした穏やかな[4]、人気の大作[5]が最大の聴きどころ。緊張感はそこそこでも聴きやすく明快なこともあって意外と支持者が多いアルバム。でも僕にとってはもうひとヒネリが足りない。(2006年12月1日)
こちらも今更ながらリマスター盤を入手。音質は期待通りにワンランク向上。[6]-[8]はボックスセット「Yes Years」で既出曲(ただし[7]は2分割されていたものを統合している)。[9]以降は注釈の通りリハーサル音源であり、本番とは違うフレーズが聴けるなど舞台裏を覗けるという意味では興味深いものの、緊張感はなく一度聴けば十分。それでも、キーボード抜きの[12]は曲の雰囲気そのものが変わっていてなかなか面白い。 (2013年8月24日)

Tormato

曲:★★★☆
演奏:★★★☆
入門度:★★
評価:★★★☆
Released in 1978

[1] A. Future Times
    B. Rejoice
[2] Don't Kill The Whale
[3] Madrigal
[4] Release, Release
[5] Arriving UFO
[6] Circus Of Heaven
[7] Onward
[8] On The Silent Wings Of Freedom

Bonus track
[9] Abilene
[10] Money
[11] Picasso
[12] Soem Are Born
[13] You Can Be Saved
[14] High
[15] Days (Demo)
[16] Country Side
[17] Everybody's Song
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Produced by YES
僕が20代(90年代)のころ、熱心に聴いていたイエス。でもこのアルバムはずっと聴いていなかった。やはりアラン・ホワイト加入後のイエスは面白みが減退、「Going For The One」で最後の輝きを放ったというのが世評ということもあり、あまり聴こうという気にもならず、長らく気にも留めていなかった。しかし、久々の新譜「Fly From Here」が出るというニュースを聞き、まあ、ここまでYesを聴いてきたんだからもう全部聴いてしまえ、という思いもしてきてようやく向き合ってみることになった。結論から言うと、思ったほど悪くない。78年という大作がウケなくなった時代に合わせて、コンパクトな曲で構成されていながらイエス流のロックとして成立しており、結果的に他のアルバムにない個性的なものになった。今聴くと、リックのキーボードの音が中途半端に古臭く、UFOという70年代にはトレンディだったものを題材にしているところなどに時代を感じるものの、その他は普遍的な音楽としての魅力もしっかりあると思う。尚、ボーナストラックは本来は大いに面白いものではずなんだけれど、思い入れがないアルバムだと何の新鮮味もなく、ただ完成度が低いだけの楽曲に聴こえてしまう。オリジナル・フォーマットを聴く倒さないうちにボーナス・トラックを聴くものではないことを再認識。(2011年7月3日)

Drama

曲:★★★
演奏:★★★☆
入門度:★★★★
評価:★★★
Released in 1980

[1] Machine Messiah
[2] White Car
[3] Does It Really Happen
[4] Into The Lens
[5] Run Through The Night
[6] Tempus Fugit

Bonus track
[7] Into The Lens (I Am A Camera)
    (Single Version)
[8] Run Through The Light
    (Single Version)
[9] Have We Really Got
    To Go Through This
[10] Song No.4 (Satellite)
[11] Tempus Fugit
      (Tracking Session)
[12] White Car (Tracking Session)
[13] Dancing Through The Light
[14] Golden Age
[15] In The Tower
[16] Friend Of Friend
Trevor Horn (vo, b)
Steve Howe (g, vo)
Geoff Downes (key)
Chris Squire (b, vo, p)
Alan White (ds)

Produced by YES
後追いで聴く立場で言うと、ロジャー・ディーンのジャケット、ジェフ・ダウンズのキーボードにスティーヴ・ハウのギターと来れば、エイジアをイメージしてしまう。確かにここにはその雛形的なサウンドが見て取れる。エイジアと違うのは、やや重厚なこと、そしてジョン・ウェットンとは異質なバグルス的ポップ・センスで構成されていることでしょう。そして、トレヴァー・ホーンのヴォーカルはジョン・アンダーソンの声に良く似ているとはいえ、やはり違っていて、改めてアンダーソンの声力を再認識してしまうところがこのアルバムの悲劇と言えば悲劇と言える。クリス・スクワイアとアラン・ホワイトのリズム・セクションらしさは健在で、それなりの魅力があるけれど、結果的にエイジアとイエスの中間的なサウンドは中途半端であり、評価が高くないのもそのせいに思える。ただし、歌メロなどは従来のイエスとは違う、不思議なポップ性を備えた魅力を持っており、[3][4]あたりは妙に耳に残る。この点がこのアルバムの存在意義と思われ、ハマる人はハマりそうな癖がある。(2011年7月11日)

90125

曲:★★★★★
演奏:★★★★★
入門度:★★★★★
評価:★★★★★
Released in 1983

[1] Owner Of A Lonely Heart
[2] Hold On
[3] It Can Happen
[4] Changes
[5] Chinema
[6] Leave It
[7] Our Song
[8] City Of Love
[9] Hearts
Jon Anderson (vo)
Trevor Rabin (g, key, vo)
Tony Kaye (ley)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds, vo)

Produced by Trevor Horn
クリス・スクワイアとアラン・ホワイトはイエス解散後、若く才能溢れるトレヴァー・ラビンと共に新しいバンドで本格的な活動を開始、そのバンドは当初シネマと名乗っていた。そこにキーボード・プレイヤーとしてトニー・ケイが加わり、果てはジョン・アンダーソンまで後から加入するに至り、ついにイエスと名乗るようになる。そんな生い立ちということもあって、それまでのイエスとはまったく別の音楽性を持ったグループであることは当然のことで、そんなアルバムのプロデューサーを元イエスのトレヴァー・ホーンが務めているから更にややこしい。それまでアルバム至上主義を貫いてきたイエスという名のグループが、シャープでソリッドなロック・グループとしてデビューすると[1]がなんと全米No.1の大ヒット。今やロック・クラシックの1曲となっているこの曲は、印象的なプロモーション・ビデオがヒットに加勢したところを含めて時代の流れに乗ったものだった。音楽面での主導権はトレヴァー・ラビンにあり、曲、アレンジ、演奏すべてにおいて完成度が高く彼が彗星のごとく現れた豊かな才能の持ち主だったことを印象付ける。迫力あるコーラスが印象的で、それでもやはりジョン・アンダーソンのクリスタル・ヴォイスの存在感は大きい。曲がコンパクトでこれ以前のイエスとは異質ながら、変拍子やヒネリの利いたアレンジはプログレッシヴ・ロック入門としての役割まで果たした。イエス流ハードロックの[2]、コーラスが印象的な[3]、変拍子とトレヴァーのヴォーカルが印象的な[4]、アラン・ホワイトのタイトな変拍子リズムが冴えるカッコいいインストの[5] 、プログレッシヴ・アカペラ(?)の[6]、ヘヴィな[8]、ドラマチックな[9]と捨て曲なしのハイ・クオリティ・アルバム。(2006年11月30日)

Big Generator



曲:★★★★☆
演奏:★★★★★
入門度:★★★
評価:★★★★☆
Released in 1987

[1] Rhytthm Of Love
[2] Big Generator
[3] Shoot High Aim Low
[4] Almost Like Love
[5] Love Will Find A Way
[6] Final Eyes
[7] I'm Running
[8] Holy Lamb

bonus track
[9] Love Will Find A Way
   (Edited Version)
[10] Love Will Find A Way
     (Extended Version)
[11] Rhytthm Of Love
     (Dance to The Rhytm Mix)
[12] Rhytthm Of Love
     (Move to The Rhythm Mix)
[13] Rhytthm Of Love
     (The Rhythm Of Dub)
Jon Anderson (vo)
Trevor Rabin (g, key, vo)
Tony Kaye (ley)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds, vo)

Produced by YES,
Trevor Rabin,
Paul De Villiers,
Trevor Horn
空前の大ヒットになった前作から一転、セールス的には大失敗に終わった90125イエスの第2弾。音楽的には前作の延長線上にあり、トレヴァー・ラビンが主導している、というか前作以上にラビンのカラーが濃くなっている。前作のハードロック然としたタイトなサウンドと比較すると柔軟になり、これを幅が広がったと解釈するか焦点がぼやけたと判断するかで評価が分かれるかも。[1]でクリス・スクワイアがライン・ベースを弾いていて腰を抜かしそうになるけれど、以降はそんなことがなく、安堵する。キーボードはオルガン以外は恐らくほとんどラビンが弾いていると思われ、トニー・ケイの存在感は薄い。それでもオルガン好きな僕はたまに出てくるそのオルガンが結構ツボにはまる。ゲート・リバーブ処理を含め、いかにも80年代的音処理が施されたアラン・ホワイトの硬質なスネア・ドラムは印象的で、このグループには本当に良く合っている。アンダーソンの出番は前作同様控えめながら、この声なくしてイエスはあり得ないと思わせるさすがの存在感。曲もアレンジの質も十分に高く、売れなかったからと言って軽視するのは勿体ない、良くできたアルバム。ジャケットはデザイナーの意図でレコード用の緑版とCD用の黄色に分けて用意されていて、そんなところも80年代的である(日本版はレコードのデザインをCDにも採用しているけれど、これはデザイナーの意図を無視した誤った措置に思える)。尚、リマスター盤は音の抜けが僅かに良くなった程度、ただし重低音域のパワーアップぶりが凄い(恐らく小型オーディオ機器ではあまり効果がわかりにく)。ボーナストラックは80年代的リミックス・バージョンで今となってはそれほど面白いものではない。(2011年6月19日)

Anderson, Bruford, Wakeman, Howe

曲:★★★★
演奏:★★★★
入門度:★
評価:★★★☆
Released In 1989

[1] Themes
 i Sound
 ii Second Attention
 iii Soul Warrior
[2] Fist Of Fire
[3] Brother Of Mine
 i The Big Dream
 ii Nothing Can Come Between Us
 iii Long Lost Brother Of Mine
[4] Birthright
[5] The Meeting
[6] Quartet
 i I Wanna Learn
 ii She Gives Me Love
 iii Who Was The First
 iv I'm Alive
[7] Teakbois
[8] Order Of The Universe
 i Order Theme
 ii Rock Gives Courage
 iii It's So Hard To Glow
 iv The Universe
[9] Let's Pretend


Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Tony Levin (b, stick, vo)
Bill Bruford (ds)

Matt Clifford (key, vo)
Milton McDonald (g)

Produced by Chris Kimsey
and Jon Anderson
90125イエスは大成功を収めたものの、旧来のイエス・ファンの中には「あんなのはイエスじゃない」と言う者も少なくなかった。そんなときにイエス愛好家を混乱に陥れたのがこのアルバム。90125イエスを脱退したジョン・アンダーソンがソロ・アルバムを企画しているうちに黄金時代のメンバーを従えて製作することになったとされている。組曲まで含まれた曲の尺は長く、ジャケットはロジャー・ディーンが手がけるとあって、時代錯誤的なこのアルバムは往年のイエス・ファンを色めき立たた。しかしその内容は黄金時代の焼き直しになっておらず、あくまでもこの時点での彼らなりの最新サウンドになっていて、そのあたりが「Fragile」「Close To The Edge」を期待した人には肩透かしだった可能性が高く、一方で過去の資産を元にしながらも新しい音楽に取り組む4人の姿を僕は好意的に捉えていた。音楽的主導権はジョン・アンダーソンが握っていると思われ、全体的に明るい響きのリック・ウェイクマンのキーボードがサウンドの中心となっていて、スティーヴ・ハウはかなり控えめに終始。ブラッフォードはシンセ・ドラム中心で抑えているものの、ありきたりなロック・ビートとは異なるリズムを提供して90125イエスとは別物であることを強く印象付ける。改めて聴いてみると華やかなサウンドのわりにはもうひとつ抑揚がなく平板な気がしないでもない。それから、やはりクリス・スクワイアとトニー・レヴィンの違いはかなり大きく「イエス」ではない最大の要因になっている。(2006年12月2日)

An Evening Of Yes Music Plus / ABWH

曲:★★★★
演奏:★★★★
入門度:★★
評価:★★★★
Released In 1993
Recorded on Sep 9th, 1989

Disc 1
[1] Benjamin Britten's Young
   Persons Guide to
   the Orchestra  
[2] Time And A Word
   /Owner Of A Lonely Heart
   /Teakbois  
[3] Clap/Mood For A Day  
[4] Gone But Not Forgotten
   /Catherine Parr
   /Merlin The Magician  
[5] Long Distance Runaround
   /Drum Solo  
[6] Birthright  
[7] And You and I  
[8] Starship Trooper: Life Seeker
   /Disillusion/Wurm  

Disc 2
[9] Close To The Edge
 i The Solid Time Of Change
 ii Total Mass Retain
 iii I Get Up I Get Down
 iv Seasons Of Man
[10] Themes
 i Sound
 ii Second Attention
 iii Soul Warrior
[11] Brother Of Mine
 i The Big Dream
 ii Nothing Can Come Between Us
 iii Long Lost Brother Of Mine
[12] Heart Of The Sunrise
[13] Order Of The Universe
[14] Roundabout
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo))
Rick Wakeman (key)
Jeff Berlin (b)
Bill Bruford (ds)

Milton McDonald(g, vo)
Jurian Colbeck(Key)
来日公演を観にいった僕にとっては思い入れ深いABWHのライヴ。以下、当日のライヴの記憶だけれど、ほぼこのアルバムを表現しているので思い出話にお付き合いいただきたい。開演前にはクラシックが厳かに流れるというおよそロック・コンサートとは思えない雰囲気の中、サポート・ギタリストが"Time And Word"のイントロを弾き始める。そこにひとりジョン・アンダーソンだけが登場しクリスタルなヴォイスで静かに歌いはじめる。次にスティーヴ・ハウが登場、アコースティック・ギターで十八番を続けて演奏。今、冷静に聴くと指の動きには明確な衰えを感じるとはいえ、生で見るハウのアコースティック・ギターはカッコよかった。そしてリックの雄大なキーボード・ソロへ。巨体を揺すりながら高速運指を披露。そのまま[5]のイントロをピアノで始めるとブラッフォードがステージの袖からタンバリンを揺らしながら登場。その余裕タップリの姿からは打楽器奏者として只者ではないオーラを発散。いざドラムを叩き始めるとそれまでに見たどのロック・ドラマーとも違うリズム感で、シンセ・ドラムを駆使したこれまた見たことのないテクニカルなドラム・ソロへ突入。ここまで順番にメンバーのソロで回すという変わった展開で当然観客はじっと座って聴き入ることに。以降、ABWHの曲と往年のイエス・クラシックをそのまま再現。サポート・メンバーの助けによりハウがアコースティック・ギターに専念できるということもあって、その完璧な再現力に当時の僕はただただ圧倒された。あとチャップマン・スティックなる楽器を見たのもこのときが初めてで、なんと不思議なベースなんだろうと思ったことも懐かしい。尚、このアルバムではベースがトニー・レヴィンではなくピンチヒッターのジェフ・バーリン。したがって来日公演で披露されたレヴィンとブラッフォードのデュオ・パフォーマンスがここには収録されていない。本気度はほどほどながらブラッフォードはシモンズで実に多彩な音を駆使していてこれはこれで面白いし、彼のプレイでイエス黄金時代の曲を聴けるこのアルバムは今となっては貴重かも。映像を観るとブラッフォードの活躍がより解りやすいので興味のある方はどうぞ。ちなみにその日本公演、観客が立ち始めたのは[13]の後半からだった。(2007年2月6日)

Union

曲:★★★☆
演奏:★★★☆
入門度:★★
評価:★★★☆
Released in 1991

[1] I Would Have Waited Forever
[2] Shock To The Sysytem
[3] Masquerade
[4] Lift Me Up
[5] Without Hope You Cannot Start
   The Day
[6] Saving My Heart
[7] Miracle Of Life
[8] Silent Talking
[9] The More We Live-Let Go
[10] Angkor Wat
[11] Dangerous (Looking In The Light
     Of What You're Searching For)
[12] Holding On
[13] Evensong
[14] Take The Over To The Mountain
[1] [2] [5] [8] [10]-[12]-[14]
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b)
Bill Bruford (ds)
Chris Squire (vo [1] [3])
Additional Musicians:
 Jim Critchton (key, syn)
 Jonathan Elias (key, syn)
 Alex Lasarenko (key, syn)
 Richard Baker (syn)
 Gary Barrough (syn)
 Sherman Forte (syn)
 Brian Foraker (syn)
 Chris Fosdick (syn)
 Rory Kaplan (syn)
 Steve Pocaro (syn)
 Jimmy Haun (g)
 Jerry Benett (per)
 Allan Schwartzberg (per)

[4] [6] [7] [9]
Jon Anderson (vo)
Trevor Rabin (g, key, programing, vo)
Tony Kaye (org)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

[3]
Steve Howe (g)

Produced by Jonathan Elias
Associate Producer:
Jon Anderson

[3]
Produced by Steve Howe

[4] [6]
Produced by Trevor Rabin

[7]
Produced by Trevor Rabin
with  Mark Mancina and
Eddy Offord

[9]
Produced by Eddy Offord
Co-produced by
Billy Sharwood
2枚目のアルバムをレコーディング中だったアンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウ(以下、ABWH)、偶然同じ時期にアルバムを制作していた90125イエス。ジョン・アンダーソンが90125イエスのレコーディングにも参加して、だったら1枚のアルバムとしてイエス名義にしてしまえ、というのがこのアルバムの成り立ち。よって8人の競演ではなく、あくまでも2つの別のグループのアルバムをまとめたものということになる。当時先端を行く産業ロックの90125イエス、前作で往年のイエスのような大作主義を打ち出していたABWH 。この相容れない音楽性を持つ2つのグループの曲が1枚のアルバムにまとまるはずがないという予想とは裏腹にあまり違和感なく聴けてしまう。理由はAWBHがコンパクトな曲ばかりを揃えたこと、そして2つのグループをジョン・アンダーソンの声が結びつけていることにある。アンダーソンが歌えばイエスになってしまうという、わかっていたつもりの事実をここに見せけられてしまうことになる。入ったり抜けたり対抗したりと、まるでポリシーのないアンダーソンの行動に疑問を感じつつ、そのいい加減さがこの企画を成立させてしまったとも言える。肝心の内容は、どの曲もそこそこいいんだけれど特に強く印象に残る曲がないという、やや中途半端なものになってしまっている。(2006年12月1日)

Talk

曲:★★★★☆
演奏:★★★★★
入門度:★★☆
評価:★★★★☆
Released in 1994

[1] The Calling
[2] I Am Waiting
[3] Real Love
[4] Stete Of Play
[5] Walls
[6] Where Will You Be
[7] Endless Dream
[8] The Calling (Special Version)
Jon Anderson (vo)
Trevor Rabin
  (g, key, programing, vo)
Tony Kaye (org)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Produced by Trevor Rabin
8人イエスでの活動は予想通り長続きせず、1人抜け、2人抜け、気がついたら 90125イエスのラインナップに逆戻り。もともとお祭り騒ぎとしてしか話題にならなかった8人イエスの成れの果てという悪い先入観で捉えられていると思われるこのアルバム、実はただ単にABWHが解体しただけのことで、90125イエスの正常な作品。サウンドの主導権は完全にトレヴァー・ラビンにあり、これこそが本来トレヴァーが目指していたロックだったことがわかる。曲のクレジットにはジョン・アンダーソンの名前が全部入っているものの、恐らくは歌詞を書いただけではないかと思われる。アンダーソンの存在感が殆どない[5]のデキが素晴らしいことが何とも皮肉。それはさておきメリハリのあるメロディ、力強いコーラス、タイトなリズム、ちょっと捻ったアレンジ、などいずれも素晴らしい。奇抜なことをやっているわけではないのに、このメンバーでなければ成せないサウンドの個性がある。これ以前の90125イエスよりもやや長めの曲が多く、ゆったりとしているのはヒットを狙ったというより自由に音楽を表現した結果のように思える。これ以降のイエスが過去の遺産で演歌的な活動をしているのを考えると遥かにクリエイティヴだし、今聴いてもまったく古くなく、埋もれてしまうには惜しい隠れた名盤。しかし、トレヴァーとクリスが中心になって結成されたこのグループはこれで幕を閉じてしまう。(2006年11月30日)

Keys To Ascension

曲:★★★★☆
演奏:★★★☆
入門度:★★
評価:★★★
Released in 1996

Disc 1
[1] Siberian Khatru
[2] The Revealing Science Of God
[3] America
[4] Onward

Disc 2
[5] Roundabout
[6] Starship Trooper
[7] Be The One
[8] That, That Is
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Produced by YES
8人イエス→「Talk」と来て、ああ、昔のメンバーがイエスに戻るというのはやっぱりお祭りだったんだなあと思っていたら今度は昔のイエスのメンバーそのものでアルバムが出てしまった。ロジャー・ディーンのジャケットもかつてのイメージそのもの。そんな復活を祝う(?)ライヴ・アルバムで、取り上げる曲もかつてこのメンバーで製作したものが中心。逆に言うとブラッフォードが在籍していた黄金時代を微妙に外しているレパートリーというところがポイント。特に[2]-[4]のライヴ・バージョンは珍しかったのと同時に本作の聴きどころになっている。演奏は、改めて聴いてみると悪くないものの、往年のテンションは望むべくもなくスリルとは無縁。いや、アラン・ホワイト加入後のイエスにスリルなんか求めてないよ、という方には問題はなく、その分安定した演奏が聴ける。ただしこのライヴ、明らかに後で手を加えてあるのがわかる音の感触。特にコーラスは間違いなく後からオーバーダビングしている。[7][8]は新曲でそれぞれ約10分、20分の長尺もの。悪くはないけれど特に印象に残らないところが彼等の創造性の頭打ち感を示している。(2006年8月5日)

The Ladder

曲:★★★★☆
演奏:★★★★☆
入門度:★★★★
評価:★★★★☆
Released in 1999

[1] Homeworld (The Ladder)
[2] It Will Be A Good Day (The River)
[3] Loghtning Strikes
[4] Can I ?
[5] Face To Face
[6] If Only You Knew
[7] To Be Alive(Hep Yadda)
[8] Finally
[9] The Messengers
[10] New Language
[11] New Voice (Longwalker)

Bonus Disc
[1] I've Seen All Good People
[2] And You And I
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Billy Sherwood (g, vo)
Igor Khoroshev (key, vo)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Produced by Bruce Fairbairn
8人によるお祭りイエスの後、進化を目指さない過去の遺産にしがみつく演歌系プログレッシヴ・ロック・グループへの道を歩み始めたイエス。トレヴァー・ラビンの90125イエスはともかく、スティーヴ・ハウとリック・ウェイクマンを擁した本家(?)の方は「Open Your Eyes」という駄作を作っていよいよ演歌の域に入ったことを印象付けられた。このアルバムは演歌の領域に入ったイエスが作った唯一の傑作。90125イエスで手に入れた現代的なサウンドに、本来のイエス(というかジョン)のポップ・センスが見事に融合。スティーヴ・ハウのギターがここぞというタイミングで入り、クリスのブンブン・ベースが随所で唸る。巧みな構成、クリアなサウンド、若手サポート・メンバーの活躍が光り微妙に過去のオマージュを取り混ぜながらもそれをまとめあげたプロデューサー、ブルース・フェアバーンの実力を思い知らされる。残念ながらこれが遺作となってしまったけれど、ボン・ジョヴィをブレイクさせ、エアロスミスを再生させた敏腕プロデューサーの最高の仕事はこのアルバムであると断言できる。以降上昇カーブを描くことがなくなったイエスの最後の輝き。(2007年2月11日)

Fly From Here

曲:★★
演奏:★★★☆
入門度:★
評価:★★☆
Released in 2011

[1] Fly From Here
   -Overture
[2] Fly From Here-Pt I
   -We Can Fly
[3] Fly From Here-PtU
   -Sad Night The Airfield
[4] Fly From Here-Pt V
   -Madman At The Screens
[5] Fly From Here-Pt W
   -Bumpy Ride
[6] Fly From Here-Pt X
   -We Can Fly Reprise
[7] The Man You Always
    Wanted Me To Be
[8] Life On A Film Set
[9] Hour Of Need
[10] Solitaire
[11] Into The Storm
[12] Hour Of Need
    (Full Length Version)
Benoit David (vo)
Steve Howe (g, vo)
Geoff Downes (key)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Oliver Wakeman (key [2] [6])
Trevor Horn (backing vo, key)
Gerard Johnson (p [7])

Produced by Trevor Horn
90年代後半ころのイエスは、スタジオでの創作活動をそれなりに活発にしていた。ただし、「Open Your Eyes」は「もうクリエイティヴな音楽を新たに作るのは無理なのかも」と落胆させ、「Magnification」も、キーボードの代わりにオーケストラを使うという飛び道具だけで終わってしまい、突発的にすべてがうまく行った「The Ladder」以外の新曲、新しいアルバムは実に魅力がなかった。それを自覚したのか、活動は主にライヴに限られるようになって行き、過去の名曲を演奏するだけの懐メロ・バンドに成り下がってしまっていた。そんな状態になって早10年、ここに来てまさかのニュー・アルバムがリリースされた。プロデューサーにトレヴァー・ホーン、キーボードにジェフ・ダウンズという「Drama」組を起用、そしてジャケットはロジャー・ディーンと話題に事欠かない。更に、2008年のツアーから、喘息気味のジョン・アンダーソンの代役を務めているソックリ声のベノワ・デイヴィッドを正式メンバーとしているところがもっとも大きなトピック。イエスのコピー・バンド、Close To The Edgeで歌っているのをYouTubeでクリス・スクワイアが見てスカウトしたというこのヴォーカリスト、そのグループや2008年のツアーでの映像を見る限り、山田康夫ルパンの代わりを勤める栗田貫一のようにジョン・アンダーソンをうまく演じているように見える。ところが、新曲という、お手本がない状態で歌わせると、実に淡白で味気ない。つまりこの人は自分流の歌の表現を持っていないということを意味する。僕は(特に低音域で)音程の不安定なジョン・アンダーソンが上手いとは思わないし、崇拝しているわけではないけれど、こうして比較してしまうと改めてアンダーソンの歌の力の凄さを思い知らされる。しかし、実はこのアルバムの最大の問題はそこではないところが更に痛い。それは主にホーン&ダウンズが手がけている曲が非常につまらないこと。耳あたりが良いのに歌メロが浮かび上がってくることがなく、何度聴いても口ずさめるようにならないのは重症である。衰えたとはいえ、スティーヴ・ハウやスクワイアがそれなりの演奏をしているのが唯一の救いか。数年後には「なかったことにしよう」的なアルバムになっているような気がする。(2011年7月3日)

The Word Is Live

曲:★★★☆
演奏:★★★
入門度:★
評価:★★★
Released in 2005

Disc 1
[1] Then (BBC 1970)
[2] For Everyone (BBC 1970)
[3] Astral Traveller
(Gothenburg 1971)
[4] Everydays (Gothenburg 1971)
[5] Yours Is No Disgrace
(London 1971)
[6] I've Seen All Good People (London
1971)
[7] America (London 1971)
[8] It's Love (London 1971)

Disc 2
[1] Apocalyspse (Detroit 1976)
[2] Siberian Khatru (Detroit 1976)
[3] Sound Chaser (Detroit 1976)
[4] Sweet Dreams (London 1975)
[5] Future Times/Rejoice
   (Oakland 1978)
[6] Circus Of Heaven
   (Oakland 1978)
[7] Big Medley (Inglewood 1978)
 a) Time And Word
 b) Long Distance Runaround
 c) Survival
 d) The Fish
 e) Perpetual Change
 f) Soon
[8] Hello Chicago (Chicago 1979)
[9] Roundabout (Chicago 1979)

Disc 3
[1] Heart of the Sunrise
   (Oakland 1978)
[2] Awaken (Chicago 1979)
[3] Go Through This
   (New York 1980)
[4] We Can Fly rom Here
   (New York 1980)
[5] Tempus Fugit (New York 1980)
[6] Rhythm of Love
   (Houston 1988)
[7] Hold On (Houston 1988)
[8] Shoot High, Aim Low
   (Houston 1988)
[9] Make It Easy
    /Owner of A Lonely Heart
 (Houston 1988)
Disc 1 [1] [2]
Jon Anderson (vo)
Peter Banks (g, vo)
Tony Kaye (org, p)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)

Disc 1 [3]-[8]
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Tony Kaye (org, p)
Chris Squire (b, vo)
Bill Bruford (ds)

Disc 2 [1]-[4]
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Patrik Moraz (key)
Chiris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Disc 2 [5]-[9], Disc 3 [1] [2]
Jon Anderson (vo)
Steve Howe (g, vo)
Rick Wakeman (key)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Disc 3 [3]-[5]
Trevor Horn (vo)
Steve Howe (g, vo)
Geoff Downs(key)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)

Disc 3 [6]-[9]
Jon Anderson (vo)
Trevor Rabin (g, key, vo)
Tony Kaye (org)
Chris Squire (b, vo)
Alan White (ds)
各時期の演奏を集めたライヴ音源集。全盛期のオフィシャル・ライヴ「Yessongs」の時期を周到に避けた実にマニア向けな内容。Disc 1 [1][2]が「Something's Coming」の Disc 2 [2][5] と同じ音源であること以外はすべて未発表音源。

Disc 1。
第一期のレパートリーをスティーヴ・ハウ入りで演奏している[3][4]はレアだけど、音がぼやけ気味の録音状態のせいかスリルがなく、ハウとの相性が良いとは感じない。それにしても、Disc 1 全曲、ブラッフォードのドラムで聴けるというのがファンにはうれしい。[7]はスタジオ・バージョをより崩した感じ、[8]は未発表曲でベースとヴォーカルの掛け合いやクリスのスキャット(?)が聴ける珍しい曲。

Disc 2。
いきなりパトリック・モーラツ在籍時のものにスキップ。[2]は従来のレパートリーであまり変わり映えしないけれどキーボード・ソロは全然違う。これがまた全然カッコ良くない。[3]はスタジオ盤を見事に再現、[4]は初期の曲をアリーナ・ロック的にダラっと再現していてこれが意外と悪くない。以降、低迷期のポップチューンが続き、名曲メドレーに。これを聴くと、このときからイエスの安楽ロック(緊張感やスリルを求めない)路線が始まっていることがわかるし、演奏もなんだかこじんまりしていてスケールがない。[8]なんてそんな安楽度が最大級。おかげで[9]も締りがないように感じてしまう。

Disc 3。
[1]は定番曲。しかし、アラン・ホワイトだとブラッフォードのようなムード、緊張感が出ないためどうしても冗長に感じてしまう。ギター・サウンドが薄い録音状態も迫力を欠く一因か。[3]-[5]は、トレヴァー・ホーン在籍中のもので型落ちの産業ロックっぽい感じがして古臭く感じる。ただし、後のエイジアにつながる部分も微かに見えるのは興味深い。[6]-[9]は 90125イエスの演奏。内容はいいけれど、この時期のイエス、ボックスセットやミニ・アルバムなどに分散している音源(どうせならまとめて欲しい)を聴く限り、スタジオ盤以上の特別な何かはないというのが僕の意見。

全体を通して貴重な録音もそこそこある音源集ながら、必ずしもベストなものばかりではないので、繰り返して聴いている人はあまりいないんじゃないだろうか。(2007年2月12日)