プライヤーズ

   世界各国に先駆けてGストーンとそれに伴うオーバーテクノロジーの無償提供を受けたアメリカ合衆国がGGGからの要請に応じて開発したGBR1専用ツールロボット群、即ちDP−C1DP−R2DP−L3の総称。設計、開発はGGGスーパーバイザーである獅子王麗雄博士の実兄、獅子王雷牙博士によって行われている。
   プライヤーズは初期の計画には存在しなかった、いわば修正案の産物である。GGGが開発を進めていた空間修復用特殊ツール・ディメンジョンプライヤーはその巨大さゆえに実用テストにおいても運用の困難さが浮き彫りとなっていた。だがおりしも東京にEI−02が出現し、GGGは具体化した機界文明の脅威とGBR1およびAIロボットの問題点への対応で文字通り手一杯になっており、新ツールの開発を続ける余裕を失っていたのである。そこでGGG首脳部はかねてより日本のGストーン獲得に比較的好意的であったアメリカ合衆国に、Gストーンとそれに伴うオーバーテクノロジーを優先的に譲渡することを条件に、空間修復ツールの改良を要請した。これを受けアメリカ合衆国は獅子王雷牙博士を中心に空間修復ツールの改良に着手し、その結果ディメンジョンプライヤーは三機のツールロボット、即ち「プライヤーズ」として再設計されることとなったのである。
   プライヤーズ全体の特徴として、自律運用に必要最低限の簡易AIを搭載しており、人語を表出することはできないが、およそ20カ国語を理解することができる。移動は基本的に胴体部底面のブースターによる跳躍を連続させることで行なうが、短時間であれば飛行することも可能である。ミラーカタパルトによる射出は不可能ではないものの、DP−R2およびDO−L3の脚部が着地の衝撃に耐えられないため、スパナ形態に合体した状態で射出するか、個々に射出した後、接地以前にガオガイガーツールコネクトすることになる。
   プライヤーズが他のビークルロボットなどと異なり、簡易AIを搭載しているのは、設計段階から量産を前提としていたことが大きな要因といわれている。プライヤーズはその基本的任務からも、ビークルロボットのような一機能追究型のプロトタイプ的なものよりも、破損しても容易に「代え」が利く量産型の方が望ましいと判断されたのである。もちろんこの判断は、ディビジョンU、万能力作驚愕艦カナヤゴと物質修復部隊カーペンターズの編成計画も視野に入れたものであったが、同時に「量産」されるAIに強い自我、個性を設定すると、「量産」されているという事実、即ち自らがいくらでも代えが利く存在であることで、AIがアイデンティティ・クライシスに陥る危険性が指摘されたからでもある。もっともビークルロボットに搭載される超AI、GBRシリーズはコスト面から言ってもその複雑な構造から言っても、量産には不向きであったため、プライヤーズへのGBRシリーズの搭載は完全に見送られることとなったのだが・・・。
   対EI−17戦において、初めて実戦に投入され、見事ガオガイガーを救出してより、対EI−19、EI−25戦など、重要な局面において幾度か戦線に赴いた。コントラフォール攻略作戦においては第三層を排除する任務を帯び、これを完遂したほか、直列合体によるEI−26との交戦を行なった。しかし、つづく対EI−01戦において再起不能の損傷を受け、戦線より離脱。後に新生GGGの設立に伴う組織再編によって物質修復部隊カーペンターズに編入され、機界新種に破壊された日本首都圏再生作業をはじめとした、数々の建造物の再生、修復を行っている。特に機界31原種の襲来とそれに対するGGGの応戦によって失われた数々の世界遺産、中国の万里の長城、エジプト・ギゼーのピラミッドとスフィンクス、イースター島のモアイ像などの再生は世界的にも好評を博したが、一方で「あれは模造であって再生ではない」という否定的な見解がなかったわけではない。だが、バイオネットの破壊的活動が年々増加傾向にある中、物体の損壊をごく短時間に修復できるカーペンターズの役割は重要度を増してきていることもまた事実であろう。