実行列の定義 |
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・定義:実行列[行・列・成分・型・記号]/同じ型の行列・行列の型の一致/等号 |
※実行列関連ページ:正方行列に関する様々な定義/行列の和・スカラー倍の定義/行列の積の定義/行列の積の性質/逆行列・正則行列・特異行列の定義/転置行列の性質/行列の代数系 |
定義:実行列 | ||
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設定 |
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・松坂『解析入門4』15.1-A (pp.1-2); |
定義 |
・実行列とは、体として実数体Rを指定した「体上の行列」のことをいう。 |
・行rowとは、行列の横の並びを指す。 |
※実行列は実ベクトル空間から実ベクトル空間への線形写像を表す(→定理/定理)。 |
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・列columnとは、行列の縦の並びを指す。 |
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・実行列の(i,j)成分element,entry,componentとは、 |
・m×n行列m×n matrix・m行n列行列・(m,n)行列・(m,n)型行列matrix of (m,n)-typeとは、 |
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・行列を書くたびに、成分をすべて書き出すのは、余りにわずらわしいので、 |
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・実行列Aの(i,j)成分を、Aijと表す。 |
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→[トピック一覧:実行列の定義] |
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定義:同じ型の行列、行列の型の一致 | ||
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定義 |
「行列Aの型と行列Bの型が一致する」 「行列Aと行列Bは同じ型の行列である」とは、 行列Aも行列Bも、両方とも、(m,n)型行列であること、 すなわち、 行列Aの行数と、行列Bの行数とが、一致し、 なおかつ、 行列Aの列数と、行列Bの列数とが、一致すること をいう。 |
[文献] ・『岩波数学辞典』83行列(p.220); ・『高等学校代数幾何』(p.77) |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
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定義:行列のあいだの等号 |
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定義 |
・行列Aと行列Bについて、 「AとBが等しい」「A=B」とは、 AとBの型が一致し、かつ、Aの成分とBの成分がすべて一致することをいう。 ・つまり、A=Bとは、 Aの行数もBの行数もともにm、Aの列数もBの列数もともにnで一致して、 ![]() ![]() と、表せて、 なおかつ i=1,2,…,m、 j=1,2,…,nに対して、aij=bij であることを指す。 |
[文献] ・『岩波数学辞典』83行列(pp.219-220); ・斎藤『線形代数入門』2章§1(p.31); ・藤原『線形代数』2.1(p.22); ・グリーン『計量経済分析』2.3.1(p.12) |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
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定義: n次正方行列square matrix |
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設定
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n次正方行列square matrixは、以下の舞台設定上で定義される。 R:実数をすべて集めた集合(実数体) aij:実数 (実数体の元) |
[文献] ・『岩波数学辞典』83行列(p.220); ・永 田『理系のための線形代数の基礎』1.4(p.23); ・グ リーン『計量経済分析』2.2(p.11) ; ・戸田山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.1.1(p.49) ・斎藤『線形代数入門』2章§2(p.40); ・藤 原『線形代数』2.1(p.21); ・砂 田『行列と行列式』§2.2a(pp.54-56); ・高橋『経済学とファイナンスのための 数学』(p.14); ・松坂『解析 入門4』15.1-A (p. 3); |
定義 |
(簡潔な定義) n次正方行列square matrixとは、(n,n)型行列のこと。 (具体的な定義) 実数体R上のn次正方行列とは、 n2個の実数aij を、次のように、n行n列に並べた実行列のことをいう。 ![]() たとえば、 ![]() は、2次正方行列である。 |
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※正方行列についての諸概念:
対角成分、
対角和・トレース、
行列式、固有値・固有ベクトル、
対角化可能 ※様々な正方行列:対角行列、 対称行列、 スカラー行列、 単位行列 ※活用: Rn上 の一次変換は、 n次正方行列を用いて表現される。 [→ 標準基底に関する一次変換の表現行列 ] |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
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定義:矩形行列rectangular matrix | ||
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定義 |
正方行列 にたいして、正方行列 でない行列を、 矩形行列rectangular matrixと呼ぶこともある。 |
[文献] ・『岩波数学辞典』83行列(p.220); |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
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定義:零行列 zero matrix | ||
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定義 |
・実数体R上の
零行列
とは、
実数
「0」
をのみを並べた
行列
のことをいう。 ・実数体R上の (m,n) 型零行列とは、 実数「0」 をm行n列 に並べた行列のことをいう。 ・(m,n)型零行列を、 Om,nあるいは単にOなどと表す。 |
[文献] ・『岩波数学辞典』83行列(p.220); ・永田『理系のための線形代数の基礎』1.4(p.24); ・松坂『解析入門4』15.1-B (p. 3) ; ・戸田山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.1.1(p.49) ・斎藤『線形代数入門』2章§1(p.32); ・藤原『線形代数』2.1(p.23); ・グリーン『計量経済分析』2.3.3(p.13) |
※ | 零行列との和の演算則、零行列との積の演算則 |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
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定義:行列単位 | ||
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定義 |
・行列単位Eijとは、 ( i, j )成分が実数1 、 ( i, j )成分以外の成分は、 すべて「実数0」 となる 行列のことをいう。 |
[文献] ・永田『理系のための線形代数 の基礎』1.4(p.24); |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
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定義:転置行列transposed matrix | ||
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定義 |
(定義) (m,n)型行列Aの転置行列transposed matrixとは、 Aの行を列とし、 Aの列を行とした (n,m)型行列。 Aの(i,j)成分を (j,i)成分と してもつ (n,m)型行列 と言ってもよい。 (記号) Aの転置行列を、tA 、A'などと表す。 (具体的には) ![]() ならば、 ![]() |
[文献] ・『岩波数学辞典』83行列B(p.220); ・永 田『理系のための線形代数の基礎』1.8(p.42); ・斎藤『線形代数入門』2章§1(p.37); ・藤 原『線形代数』2.1(p.28); ・グ リーン『計量経済分析』2.3.2(p.12) ; ・戸田山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.1.1(p.49) ・高橋『経済学とファイナンスのための 数学』(p.14); |
※ | 転置行列の性質 |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
定義:実対称行列symmetric matrix | ||
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設定
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※実行列は |
定義 |
対称行列とは、自らの転置行列と等しい行列のことをいう。 |
→[トピック一覧:実行列の定義] |
定義:交代行列alternating matrix,歪対称行列skew-symmetric matrix, 反対称行列antisymmetric matrix
[『岩波数学辞典』83行列B(p.220);永田『理系のための線形代数の基礎』1.8(p.43);
斎藤『線形代数入門』2章§1(p.37);藤原『線形代数』2.1(p.28)]
→[トピック一覧:実行列の定義] |
(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目83行列(pp.219-)
線形代数のテキスト
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.4行列と一次写像(pp.23-6)。
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年、I.ベクトルと行列の演算§2行列の演算(pp.4-7)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§2.2一般の行列(pp.54-60).
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年、2.1行列の定義と演算(pp.21-29)。
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第2章行列§1行列の定義と演算(pp.31-40)。
ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年、一次方程式(pp.1-27)。
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年、17講線形写像と行列(pp.107-112)。
数理経済学のテキスト
西村和雄『経済数学早わかり』日本評論社、1982年、2章線形代数§2行列と行列式(pp.46-72)。
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、5章行列(pp.161-199):一次写像の行列表現を中心にしている。
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、1.2ベクトルと行列(pp.6-25).
計量経済学のテキスト
William H. Greene(斯波・中妻・浅井訳) 『経済学体系シリーズ:グリーン計量経済分析I:改訂4版』エコノミスト社、2000年、第2章行列代数2.2行列の用語(pp.10-12);2.3行列の算法(pp.12-21)。
岩田暁一『経済分析のための統計的方法(第2版)』東洋経済新報社、1983年、12.1行列の演算(pp.269-277);12.4.2逆行列(pp.294-5)。
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