→集合論目次 →総目次 |
定義 |
・集合系とは、 すべての元が集合である集合 要するに「集合の集合」 のこと。 |
[注]左欄で提示した「集合の集合」を集合族と呼ぶ場合もあるが、集合族という用語は、特に、添数づけられた集合族のみを指すこともあるので、 松坂和夫にならってここでは、添数づけられた集合族と区別して、 集合の集合を、集合系と呼ぶことにする。 ※下位概念:ベキ集合、部分集合系 |
|||||||||
例 |
・A1, A2, A3が集合であるとすると、 これらの集合の集合 𝔄 = {A1,A2,A3} は、集合系である。 ・A, B, Cが集合であるとすると、 これらの集合の集合 𝔅 = {A,B,C} は、集合系である。 |
||||||||||
記号 |
・集合系と、「集合系の元」にあたる集合とを、区別しやすいように、 集合系を表す記号には、Fraktur[ドイツ文字]大文字を使い、 「集合系の元」にあたる集合には、普通の英大文字を使うのが、 慣例。 |
→[トピック一覧:集合系] →集合論目次・総目次 |
定義 |
・集合Xのベキ集合とは、 すべての「集合Xの部分集合」を元として集めた集合系(集合族)のこと。 |
|
|||||||||
記号 |
・集合Xのベキ集合は、 𝔓(X) , 𝔓X , 2X , などの記号で表す。 ・つまり、 𝔓(X) = { Y | Y⊂X } [神谷浦井 p.31; DeLaFuente p.3] |
||||||||||
例0 |
・集合X=∅ とすると、集合Xの部分集合は、∅で、全部だから、 集合Xのベキ集合 𝔓(X) = { ∅ } ※ 𝔓(X) = ∅ ではない点に注意。 |
||||||||||
例1 |
・集合X = {a} について考える。 集合Xの部分集合は、∅, {a} で、全部。 集合Xのベキ集合 𝔓(X) = { ∅, {a} } |
||||||||||
例2 |
・集合X = {a,b} について考える。 集合Xの部分集合は、∅, {a}, {b}, {a,b}で、全部。 集合Xのベキ集合 𝔓(X) = { ∅, {a},{b},{a,b} } |
||||||||||
例3 |
・集合X = {a,b,c} とすると、 集合Xの部分集合は、∅, {a}, {b},{c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} で、全部だから、 集合Xのベキ集合 𝔓(X) = { ∅, {a}, {b}, {c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} } |
||||||||||
性質 |
・集合Xが「n個の元からなる有限集合」ならば、 集合Xのベキ集合は2n個の元を持つ。 |
[証明]松坂『集合・位相入門』p.18 |
|||||||||
例 |
[日常生活のなかでの使用例:Perfume編]・「3人あわせてPerfume」であるから、Perfume = { 大本, 西脇, 樫野 }である。 ・ゆえに、 Perfume ・Perfumeとしての活動そのもの: { 大本, 西脇, 樫野 } ・Perfumeのメンバーを組み合わせたサブユニットとして考えられるすべての活動: { 大本, 西脇 }, { 大本, 樫野 }, { 西脇, 樫野 } ・Perfumeのメンバーのソロ活動として考えられるすべて: { 大本 }, { 西脇 }, { 樫野 } ・無人テクノポップユニット: ∅ を元とする集合系のこと。 ・すなわち、 𝔓( Perfume ・「3人あわせてPerfume」より、Perfume つまり、Perfume よって、Perfume [日常生活のなかでの使用例: Flipper's Guitar 編]・ flipper's guitar = { 小沢健二, 小山田圭吾 } のベキ集合とは、・flipper's guitarとしての活動そのもの: { 小沢健二, 小山田圭吾 } ・flipper's guitarのメンバーのソロ活動として考えられるすべて: { 小沢健二 }, { 小山田圭吾 } = Cornelius ・無人操業: ∅ を元とする集合系のこと。 ・すなわち、 𝔓( flipper's guitar ・ flipper's guitar |
→[トピック一覧:集合系(族)] →集合論目次・総目次 |
定義 |
・集合Xの部分集合系とは、 いくつかの「集合Xの部分集合」を元とする集合系(集合族)のこと。 ・集合Xの部分集合系は、「集合Xのベキ集合」の部分集合となる。 |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第1章§2.E(p.18);※下位概念(位相):開集合系、閉集合系、近傍系 ※下位概念(測度論):有限加法族・σ加法族・ボレル集合族・乗法族・Dynkin族・単調族 cf. 添数づけられた部分集合族 ※活用例:被覆 |
例1 |
・集合X = {a,b} について考える。 集合X の部分集合は、∅, {a}, {b}, {a,b}で、全部。 だから、 「集合Xのベキ集合」は、𝔓(X) = { ∅, {a},{b},{a,b} } [元の数は、22=4個→ベキ集合の性質] すると、集合Xの部分集合系は、 |
|
一つの部分集合を元とするもの:{ ∅ }, { {a} },{ {b} }, { {a,b} } 4通り。 二つの部分集合を元とするもの:{ ∅, {a} }, { ∅, {b} }, { ∅, {a,b} } , { {a},{b} }, { {a},{a,b} }, { {b},{a,b} } 全部で4C2通り=(4・3)/2=6通り。 三つの部分集合を元とするもの:{ {a},{b},{a,b} }, { ∅,{b},{a,b} }, { ∅,{a},{a,b} }, { ∅,{a},{b} } 全部で4C3通り=(4・3・2)/3! =4通り。 四つの部分集合を元とするもの:「集合Xのベキ集合」 𝔓(X) = { ∅, {a},{b},{a,b} } 1通り。 以上全部で、「2個の元からなる集合X」の部分集合系は15通り作れる。 |
||
例2 |
・集合X = {a,b,c} とすると、 集合Xの部分集合は、∅, {a}, {b},{c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} で、全部だから、 「集合Xのベキ集合」は、 𝔓(X) = { ∅, {a}, {b}, {c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} } [元の数は、23=8個→ベキ集合の性質] すると、集合Xの部分集合系は、 一つの部分集合を元とするもの:{ ∅ }, { {a} },{ {b} }, { {c} }, { {a,b} } , { {a,c} },{ {b,c} },{ {a,b,c} } 以上、8通り。 二つの部分集合を元とするもの:{ ∅, {a} }, { ∅ , {b} }, { ∅, {c} }, { ∅, {a,b} }, { ∅, {a,c} }, { ∅,{b,c} }, { ∅,{a,b,c} } { {a}, {b} }, { {a} ,{c} }, { {a}, {a,b} }, { {a} , {a,c} }, { {a}, {b,c} }, { {a},{a,b,c} } { {b}, {c} }, { {b} ,{a,b} }, { {b}, {a,c} }, { {b} , {b,c} }, { {b} ,{a,b,c} } { {c}, {a,b} }, { {c} ,{a,c} }, { {c}, {b,c} }, { {c} , {a,b,c} } { {a,b},{a,c} }, { {a,b},{b,c} }, { {a,b},{a,b,c} } { {a,c},{b,c} }, { {a,c},{a,b,c} } { {b,c},{a,b,c} } 以上、全部で8C2通り=(8・7)/2=28通り。 三つの部分集合を元とするもの:(省略) 8C3通り=(8・7・6)/3! =56通り。 四つの部分集合を元とするもの:(省略) 8C4通り=(8・7・6・5)/4! =(8・7・6・5)/(4・3・2)=70通り。 五つの部分集合を元とするもの:(省略) 8C5通り=(8・7・6・5・4)/5! =8・7 =56通り。 六つの部分集合を元とするもの:(省略) 8C6通り=(8・7・6・5・4・3)/6! =28通り。 七つの部分集合を元とするもの:{ {a}, {b}, {c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} }, { ∅, {b}, {c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} }, { ∅, {a}, {c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} }, { ∅, {a}, {b}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} }, { ∅, {a}, {b}, {c}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} }, { ∅, {a}, {b}, {c}, {a,b}, {b,c}, {a,b,c} }, { ∅, {a}, {b}, {c}, {a,b}, {a,c}, {a,b,c} }, { ∅, {a}, {b}, {c}, {a,b}, {a,c}, {b,c} } 以上、全部で8C7通り=(8・7・6・5・4・3・2)/7!=8通り。 八つの部分集合を元とするもの:「集合Xのベキ集合」𝔓(X) = { ∅, {a}, {b}, {c}, {a,b}, {a,c}, {b,c}, {a,b,c} } 1通り。 だから、「3個の元からなる集合X」の部分集合系は、全部で、8+28+56+70+56+28+8+1=255通り作れる。 |
→[トピック一覧:集合系(族)] →集合論目次・総目次 |
定義 |
・集合系𝔄の和集合 集合系𝔄に属すすべての集合の和集合 とは、 「集合系𝔄に属す集合」に属す元をすべてあつめた集合 のこと。 |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第1章§2.F(p.19); |
|||||||||
記号 |
・集合系𝔄の和集合は、 ∪𝔄 ∪{A|A∈𝔄}
|
[例]集合系𝔄= {A, B, C, D, E, F} で、集合A, B, C, D, E, Fが下図のようになっているならば、 ∪𝔄は、下図青色部分となる。 ![]() |
|||||||||
定義 |
・論理記号を使って定義すると、 集合系𝔄の和集合∪𝔄= { x|(∃A∈𝔄)(x∈A) } [松坂『集合・位相入門』第1章§2.F(p.19)] 「xが属す『集合系𝔄に元として属す集合』が、 ゼロ個にならず、 1個ないし複数個存在する」 という基準で元xをあつめた集合。 ・僕なりに咀嚼すると… (∃A∈𝔄)(x∈A)とは、(∃A)(A∈𝔄かつx∈A)の意味で、 (A∈𝔄かつx∈A)とは、要するに、x∈A∈𝔄。 だから、上記の松坂の定義は、 ∪𝔄= {x|(∃A)(x∈A∈𝔄) } としても、同じこと。 |
||||||||||
・これは、 「『x∈A∈𝔄』という関係を成立させる『集合系𝔄に元として属す集合』Aが少なくとも一つ以上は存在する」ように、 xをあつめた集合 と理解できる。 |
→[トピック一覧:集合系(族)] →集合論目次・総目次 |
定義 |
・「集合Aの部分集合系𝔄が直和分割である」とは、 集合Aが、 部分集合系𝔄に属す集合の直和となっていること。 ・論理記号を使うと、 「集合Aの部分集合系𝔄が直和分割である」とは、 (∪𝔄=A) かつ (∀C,C'∈𝔄) (C≠C'⇒C∩C'=∅) |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第1章§6.B例4 (p.55);・『岩波数学辞典(第三版)』項目162D(p.430); ・西田『線形代数学』付録A.1類別・類(p.200 |
→[トピック一覧:集合系(族)] →集合論目次・総目次 |
定義 |
・集合系𝔄の積集合・共通部分 集合系𝔄に属すすべての集合の積集合・共通部分 とは、 すべての「集合系𝔄に属す集合」に共通な元をすべてあつめた集合 のこと。 |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第1章§2.F(pp.19-20); |
|||||||||
記号 |
・集合系𝔄の積集合は、 ∩𝔄 ∩{A|A∈𝔄}
|
[例]集合系𝔄= {A, B, C, D, E} で、集合A, B, C, D, Eが右図のようになっているならば、 ∩𝔄は、右図青色部分となる。 ![]() |
|||||||||
定義 |
・論理記号を使って定義すると、 集合系𝔄の積集合∩𝔄= {x|(∀A∈𝔄)(x∈A) } [松坂『集合・位相入門』第1章§2.F(p.19)] そのまま書き下すと、 「すべての『集合系𝔄に属す集合』に属す元」をあつめた集合 となる。 ・僕なりに咀嚼すると… (∀A∈𝔄)とは、(∀A)(A∈𝔄かつx∈A)の意味で、 (A∈𝔄かつx∈A)とは、要するに、x∈A∈𝔄。 だから、上記の松坂の定義は、 ∩𝔄= {x|(∀A)(x∈A∈𝔄) } としても、同じこと。 |
→[トピック一覧:集合系(族)] →集合論目次・総目次 |
1. |
すべての「集合系𝔄に属す集合」を含む様々な集合のなかで、∪𝔄が最小。 ・∪𝔄は、すべての「集合系𝔄に属す集合」を含む。 論理記号で表すと、(∀S∈𝔄)((∪𝔄)⊃S) |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第1章§2.F(式2.17-8) (p.20); |
|
・集合Zが、すべての「集合系𝔄に属す集合」を含むならば、 集合Zは、∪𝔄を含む。 論理記号で表すと、((∀S∈𝔄)(Z⊃S))⇒(Z⊃(∪𝔄)) | ![]() |
|
(例) 集合系𝔄= {A, B, C, D, E, F} で、 集合A, B, C, D, E, F が右図のようになっているならば、 ∪𝔄は、右図青色部分となる。 集合A, B, C, D, E, Fすべてを含む様々な集合(たとえば、右図Z)のうちで 最小のものは、 確かに、∪𝔄であるようだ。 →A∪Bは、AとBの両方を含む様々な集合のなかで、「最小」。 |
|
2. |
すべての「集合系𝔄に属す集合」に含まれる様々な集合のなかで、 ∩𝔄が最大。 |
[文献]・松坂『集合・位相入門』第1章§2.F(式2.17-8) (p.20); |
・∩𝔄は、すべての「集合系𝔄に属す集合」に含まれる。 論理記号で表すと、(∀S∈𝔄)((∩𝔄)⊂S) ・集合Zが、すべての「集合系𝔄に属す集合」に含まれるならば、 集合Zは、∩𝔄に含まれる。 論理記号で表すと、((∀S∈𝔄)(Z⊂S))⇒ (Z⊂(∩𝔄)) (例) 集合系𝔄= {A, B, C, D, E} で、 集合A, B, C, D, Eが右図のようになっているならば、 ∩𝔄は、右図青色部分となる。 集合A, B, C, D, Eのすべてに含まれる様々な集合 (たとえば、下図のピンク部分)のうちで最大のものは、 確かに、∩𝔄であるようだ。 →A∩Bは、AとBの両方に含まれている様々な集合のなかで、「最大」。 |
![]() |
|
→[トピック一覧:集合系(族)] →集合論目次・総目次 |
→[トピック一覧:集合系(族)] →集合論目次・総目次 |