梅雨の晴れ間の平成18年6月22日(木)、岩手・姫神山に登った。 姫神山は詩人・石川啄木のふるさとの渋民村(現盛岡市玉山区)の裏山といった感じの山で、標高1124mとあまり高くはないが日本200名山のひとつに数えられている。朝7時半に自宅を出発。東北高速道を北に進むと、盛岡付近からは男性的な岩手山と対称的になだらかな優美な山容の姫神山が眼中に入る。 滝沢ICを降りて一本杉登山口をめざす。天候はまずまずだが、頂上からの雄大な岩手山と360度パノラマの大展望を期待して登山口を出発した。

玉山地区前田公民館付近から見上げる姫神山

広い駐車場の一本杉登山口にはもうすでに数台の車が到着していた。3時間にも及ぶ車の運転の疲れを休め、登山の身支度をする。登山口のトイレの入り口に置いてある登山者記録簿に記帳し、いよいよ頂上めざして出発。(10時50分)

写真:(左)一本杉登山口 (右)草地を少し進むと登山道に入る

この辺りは「精英樹」といわれる展示木・姫神のスギが広がっている。展示木だけあって、どれも見事な真っ直ぐ伸びた美しい姿をしている。この林のなかに、ひときわ目立つ樹齢200年という「一本杉」がかまえている。

写真:なだらかな登山道を進むと「精英樹」といわれる展示木が広がる

まもなくナラなどの落葉樹林を過ぎると、丸太状のブロックで整備された階段のザンゲ坂にさしかかる。急な登りとなっているため心臓が高く鼓動し始める。ここはあまり無理をせず、50階段登って一休みをくり返し進む。

写真:急勾配のザンゲ坂へと進む

登り始めて30分で五合目に到着。ここで一休み。頂上まであと1360mと標識がある。その後、八合目過ぎからはゴロゴロした花崗岩が目立つようになる。低木のこの辺りからはウグイスやセミ?、カエル?の大合唱がウルサイほどだ。麓からは正午を知らせるメロディが聞こえてくる。のどかな気分になり、疲れを癒してくれる。

写真:(左)五合目の標識のある休憩所 (右)八合目付近の巨岩

12時25分、姫神山頂上に到着。約1時間半で登ってきたので予定どおり。頂上は大きな花崗岩がゴロゴロしており、東西南北遠くに岩手山をはじめ早池峰山、秋田駒ヶ岳などの山々が見渡せる。残念ながら雲が多く、見分けがつくほどの眺めではなかった。

写真:パノラマの姫神山頂上。彼方に岩手山を望む(右)

石川啄木のふるさと、渋民村(現盛岡市玉山区)の向こうに雄大な岩手山を仰ぐ。若干、雲がかかってかすんで期待したとおりとはいかなかったが、すばらしい眺めである。

写真:姫神山頂上から岩手山を望む

帰りはコワ坂コースを下山することにした。一本杉コースよりなだらかなコースで、下り坂での膝への負担が少なくてすんだ。下山途中では木漏れ日浴びた新緑のトチノキの葉っぱがとても気持ちがいい。また、登山道脇に咲くヤマオダマキの花が可愛らしく、疲れを忘れさせてくれる。

写真:木漏れ日浴びた新緑の下山道にて。ヤマオダマキ(右)

帰りに石川啄木記念館に寄ってみた。啄木は明治19年に生まれ、渋民尋常小学校に学び、そしてこの小学校で代用教員を務めた。詩人・啄木26年の生涯の人となりを紹介している。

写真:(左)石川啄木記念館 (右)当時のままに復元された渋民尋常小学校
