矩形上の2重積分 double integral

V-3. 面積ゼロ,negligible,零集合
 
前ページ:矩形上の2重積分の定義 
     矩形上の可積分条件(その0)(その1)(その2) 
     矩形上の重積分の性質パラメーターを含む積分の性質
     累次積分 
     面積(定義性質) 

次ページ:矩形上の可積分条件(その3) 

総目次 
 

V-3. 面積ゼロ,negligible,零集合

定義:negligible set

  [Lang, Undergraduate Analysis, pp.473-474.;杉浦『解析入門I』IV章§9 命題9.1.b(pp.262-263.)]

・ R2上の点集合A negligble であるとは、

 集合Aを被覆する有限個の閉矩形列R1, R2,…, Rm のなかに、
 面積の合計を、どこまでも小さくできるものが存在することをいう。

・ すなわち、

 R2上の点集合A negligble であるとは、

 任意の正数εにたいして、
   A R1 R2Rm 
   R1面積R2面積+…+Rm面積<ε  
 の両方を満たす閉矩形列R1, R2,…,Rmが存在すること。


定理:面積ゼロの集合とnegligible setは同値 [杉浦『解析入門I』IV章§9 命題9.1(pp.262-263.)]

 R2上の点集合Aが面積ゼロであること
   すなわち、点集合Aを含む閉矩形Kにおいて、 KχAdxdy=0 
 と
 R2上の点集合Anegligible であることは

 同値
 
(証明) 杉浦『解析入門I』IV章§9 命題9.1(pp.262-263.)


→[トピック一覧:矩形上の二重積分]
総目次

 
定義:零集合 (ルベーグ外測度ゼロの集合)

 [杉浦『解析入門I』IV章§9定義1 (p.263.); 志賀『ルベーグ積分30講p.18(R1上のみ)。]

 ・R2上の点集合A零集合であるとは、
  集合Aを被覆する可算無限個の閉矩形列 R1, R2, R3 ,  … に、
  それらの面積の合計を、どこまでも小さくできるものが存在することをいう。

 ・すなわち、
  R2上の点集合A零集合であるとは、
  任意の正数εにたいして、
    A R1R2R3… 
    R1面積R2面積R3面積+…<ε  
  の両方を満たす閉矩形列 R1, R2, R3 ,  … が存在すること。
 
定理:零集合の和集合も零集合 

 [杉浦『解析入門I』IV章§9 命題9.2.3(pp.262-263.)]


定理:零集合の部分集合も零集合

   [杉浦『解析入門I』IV章§9 命題9.2.6(pp.262-263.)]


定理:negligibleならば、零集合

      [杉浦『解析入門I』IV章§9 命題9.2.3(pp.262-263.)]

 R2上の点集合Anegligble [  点集合A面積がゼロ() ]
 ならば
 点集合A零集合。 
  

定理:有界閉かつ零集合ならば、negligible   

       [杉浦『解析入門I』IV章§9 命題9.2.4(pp.262-263.)]

 R2 上の点集合Aが有界閉集合(コンパクト)、かつ零集合
 ならば

 点集合Anegligble [  点集合A面積がゼロ() ] 


→[トピック一覧:矩形上の二重積分]
総目次


( reference )

・杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版会、1980年、IV章§9(pp.261-264; 268-269.)
・志賀浩二『ルベーグ積分30講』朝倉書店、1990年、第3講直線上の完全加法性の様相(p.18)。
・Lang,Serge.Undergraduate Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1983,Chapter 19. Multiple Integrals. (pp.468-482.)。