チャンキングで丸々覚える
日本語チャンクでシンハラ語を生み出す方法②


  日本に暮らす外国人には日本語学校へ行かないのに日本語を簡単に、しかも、すぐに流暢に操るようになってしまう人たちがいる。そこには何か秘訣があるらしい…


シンハラ語QA No-117 2018-Sep-30 Sunday

チャンキングで極めるシンハラ語会話



 日本に暮らす外国人には日本語学校へ行かないのに日本語を簡単に、しかも、すぐに流暢に操るようになってしまう人たちがいる。それはどこの国の人かって、そう、シンハラ語を操る人にはそういうタイプの人が滅法多い。ほとんどみんな、簡単に日本語を話してしまう。
 そこには何か秘訣があるらしい。  なぜか。
 なぜかって、それはチャンキングに秘訣がある。日本語を文節丸抱えで覚えてしまうという彼らの言葉に対する性分が鍵なのだ。
 シンハラ人が「文節丸抱え」で日本語を話せるようになるのなら、それを真似て、逆も真なり、シンハラ語の文節をまるめて脳の海馬に載せて、それをオオム返しするって方法を使うのはいいことだ。4歳の子供が「セブン」の歌の文句を難なく口にするように、シンハラ語、チャンキングしちゃえ。覚えやすくなる。sup>注1

 そればかりぢゃない。シンハラ語チャンキングにはシンハラ語を日本語転換するとき、絶大な効力を発揮する。日本語=シンハラ語の自動翻訳システム構築にかかわるシンハラ人や日本人の研究者からこのチャンキングをテーマにした論文がいくつか提出されるようになっただけに、これってとても興味深い。
 日本のある大学でシンハラ人留学生を中心にシンハラ語-日本語の自動翻訳システムの開発に取り組んだ。開発の真ん中にいたシンハラ人研究者は翻訳システムの問題点を残したまま、その後、米国の大学に籍を置くようになったけど、この功績は大きい。
 グーグルの自動翻訳が英語を介したチャンキング翻訳だという指摘を前にここでしたことがあるけど、こちらもソフトの開発者は実に旨いところに目をつけたものだ。

 もう20年も昔のことだったか、スリランカのシンハラ語を英語との間で自動翻訳する作業の前準備を始めたチームがニパータを文構築の要素として取り上げた。注2 これは旧来のシンハラ文法では思いもつかないことで、文法指南と会話の実態は、遠く乖離していた。言い換えれば、文語と口語の絶対的な相違があった。  それに無理があった。英語とシンハラ語の機械翻訳でニパータを取り上げて解析しても成果は出ない。前置詞と名詞や動詞の単語を組み合わせるチャンキングは、シンハラ語の名詞・動詞に後置詞(ニパータ)を結びつけるシンハラ・チャンキングとマッチングできるようで、だけど、できない。水と油以上に文法のシステムが違うから瓶に入れて振りまわせばエマルジョンはできるけど、すぐに分離する。  グーグルの自動翻訳がシンハラ語と日本語との間でも成果をもたらしていると先にご紹介したけれど、あれ、お使いになった方は不完全だ、使い物にならないと実感されていると思う。  日本語⇔シンハラ語の翻訳は、2言語の間に英語をはさんで、日本号→英語→シンハラ語、シンハラ語→英語→日本語のようにして何とか窮状をしのいでいる。  英語のチャンキングと、日本語・シンハラ語のチャンキングとは質が違う。どうにも翻訳の精度は上がらない。言い方を変えるけど、日本語とシンハラ語のチャンキングはbunsetsu chunkで同質だけど、英語のチャンキングはbunsetsuのようなまとまりがつかないフレーズとかイディオムから、ただchunksと呼ぶしかない。チャンク!

文節チャンクという離れ業

 このシンハラ語サイトKhasyaReportでは常々「文節分け」の「ネ」を使って文を切り分けて、その単位で日本語をシンハラ語転換する、あるいは、シンハラ語を日本語転換するという業ワザをご紹介して、日本語とシンハラ語をドッキングさせてきました。その文節分けをchuunking(チャンクする)と英語に言い換えればもっともらしい文法テクニックに聞こえてしまうから不思議なもんだ。
 なぜチャンキングを薦めるかと言えば、それは「文法なんか知らなくても外国語は話せてしまうのだ」と言うためだったのだから。話し言葉に文法は要らない。文法は文語のためにある。文法を学べば外国語を読めるようになるけど話せなくなってしまう。受験英語に明け暮れた日本人は誰でも、いやというほど、もう堪忍してねと反吐るほど、文法やらされた。
 思い知らされてるでしょ、あの苦労。そして、それでなお、英語が使えないという残忍な結果。シンハラ語でそんな悲惨を繰り返してはいけない。

 なぜだろう。
 なぜかって、それは文法用語に戻って恐縮だけど、こんなことに理由があるみたいだ。
文法の説明を少しだけ。
 チャンキングによる言語構築は次のように行われる。
①名詞に文法的な位置づけ(格)を行う接尾辞を付加する。この接尾辞を助詞と呼ぶ。
②動詞は行為、行動、状態をあらわし、活用部分を変化させて他語とかかわり、さらに文としての意味を作るようになる。
③名詞、動詞に形容詞・副詞が加えると言い表したい内容がイメージとして立体化する。これらの総体を文と呼ぶ。

 まあ、でも、こんなことは気にしないで。
 シンハラ語をチャンクして丸覚えしてみてください。
『増補改定・シンハラ語の話し方』に載っているシンハラ会話文はチャンクして覚えるにぴったりです。『シンハラ語の話し方・音声版』ならテキスト冒頭に並んでいるページごとの例文をチャンクしてまねするだけ。例文に好きなフレーズがあったら、その文の流れをそのまま海馬にインプット。
 海馬メモリーは言語脳にフレーズの記憶を刷り込んでくれる。刷り込みが浅くて忘れたら、もういっぺん。生成文法的に、言い換えれば4歳の子供がセブンの歌に出てくるフレーズを丸覚えして身に着けたように、楽しく、自動で言語が身につく。試してみて。

【注1】 文節チャンクでシンハラ語を話すQA113

【注2】シンハラ文をグーグル翻訳するQA112

QA116 猫が「ゴハン」と言うとき 日本語チャンクでシンハラ語を生み出す①


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