９〜１２月、那須山中や那珂川上流（一部域外）を散策中に出会った、とっておきの生きものたちを紹介します。

　９月、禁漁間際に出会った、那珂川水系Ｋ沢の２５�pのイワナ。体側にあるオレンジ色の丸い紋様が実にきれいでした。昨今天然の混じりっけないニッコウイワナに出会うのは難しいと言われています。この一尾がそれとは断定できませんが、美しい姿形としなやかな動きに見とれると、そうであってほしいと思うのです。

　１０月、那須山中での散策途中、頭上でプンプンと小さな羽音がしました。音のする方を仰ぎ見ると、いくつもの小さな黒い影がひっきりなしに大木のうろを出入りしていました。ニホンミツバチです。天然木での巣は初めて見つけました。感激です。しばらく観察していると、キイロスズメバチが飛んできました。近づいて襲う気配もありましたが、その都度巣の入口近くの働きバチが体全体をふるわせて警戒したため、あきらめたようで遠のいていきました。このままここを放棄せず、営巣を続けてほしいと願うばかりです。

　１１月、福島県只見町に遠征した折、沢沿いに車をゆっくり走らせると、路傍の水たまりから鳥が飛び立ちました。通り過ぎた後、ミラー越しに鳥影を追うと、同じ場所に降り立ったようです。引き返して乗車したまま少しずつ距離をつめていきました。何と、レアなアオシギです。お気に入りの場所のようで、この態勢でしばらく固まってた後、弾むように動き出して採餌し始めました。このなかなか出会えないジシギのファンは少なくありません。自分も好きです。那須でも見つけて観察したいとあらためて思いました。  

　１２月、箒川の支流沿いに広がる暗い杉林の車道に、ハギマシコの群れが降り立って餌をついばんでいました。ハギマシコとの出会いはいつも突然で、たいていは極寒の時です。  なので、いつもホッコリします。このシャイで地味でかわいい冬鳥に癒される人は自分だけではないと思います。