野山の鳥(山林)

那須の山林に足を踏み入れ、五感を研ぎ澄ますと、様々な生き物の息吹を確実に感じ取ることができます。

緑の中の・・緑(2023.07)

神秘的な魅力のある美しいハト、アオバトを撮りたくて、小雨の中、奥深い山中のサクラの木を目指しました。先日、ここで5・6羽の群れを観察できたからです。サクラには、彼らの好きなサクランボがたくさん残っていたので、また食べに来てくれるかもしれないと思いました。待つこと20分、緑陰に紛れるように鳥の影が木々の前を横切りました。影はそのサクラの木にとまりました。アオバトです。鮮やかな緑の中から生まれ出たようです。久しぶりに予想が当たり、期待がかないました。

シマエナガ並みの・・(2023.05)

 那須高原で見つけたエナガ。この春、巣立った幼鳥です。ちょっとガングロですが、最近の人気者、北海道の亜種シマエナガに負けない可愛さがあります(と思います)。幼鳥は世間知らずなので、人をあまり恐れません。この時も、じっと静かにカメラを構えていると、離れることなく少しずつ近寄ってきました。可愛さ倍増です。

ずぶ濡れササゴイ(2022.09)

9月下旬、朝から台風の影響で警報級の大雨が降っていました。その土砂降りのさなかに林中の小道でササゴイの幼鳥に出会いました。少し見にくくて申し訳ありませんが、ずぶ濡れになりながら、途方に暮れたようにたたずみ、しばらくしてゆっくりと歩き出しました。こんな天気では、さすがに若鳥君も元気がないように見えましたが、そもそも餌もなさそうな開けた場所に出てきたことが「?」ですね。かく言う自分(車に乗車してのお出かけでしたが)も途方に暮れていたのです。でも、ササゴイ君に出会えたことで気分は上々になりました。

ゴッちゃんの欽ちゃん走り(2022.09)〜ゴジュウカラ〜

9月中旬、通勤途中で見つけたゴジュウカラの一群にカメラを向けてみました。フイフイフイと騒がしく鳴きながら、あちこちの木々を渡り歩き、餌を探しているようでした。幼稚園生のように、少しも落ち着くことなく、やんちゃで可愛い連中との一時は、実に楽しいものです。彼ら自身は真剣一途に餌探しをしているのでしょうが、レンズ越しには、欽ちゃん走りをするようにおどけたり(左上)、一瞬すましたり(右上)、凄むように悪ぶったり(左下)、かっこよくポーズをきめたり(右下)と変幻自在に見えました。

「6月15日:栃木県民の日」(2022.06)

6月15日:栃木県民の日。深緑に覆われた渓谷では、梅雨空のもと、オオルリのオスが美声を響かせていました。雨にも負けず、頑張っています。オオルリは栃木県の鳥。テリトリーの宣言でしょうが、県民へのエールにも聞こえました。

「なぜ、アオバト?・・色?声?」(2022.06)

那須の奥深い山中で、サクランボを食べに来たアオバトに出会うことができました。この緑色で美しく、不思議な声で鳴くハトに、バードウオッチャーならずとも魅力を感じる人は多いようです。巣作りや子育ての様子がよく分からないことや特別な地域では海水や鉱水を好んで飲むことなども、アオバトの神秘性を高めています。名前の「アオ」は、緑がかったオリーブ色(古来「アオ」は緑も含むとのことです)から付けられたとも、「ア〜オ〜」と人の叫び声のような鳴き声が由来だとも言われています。

ヒリリヒリリと・・(2022.05)

「ヒリリヒリリ・・」と初夏の山野に響き渡る独特な声が、この夏鳥の名前「サンショウクイ」の由来です。「ピリリと辛い」山椒を食べた後を連想させたのでしょう。もちろん、彼らが食べるのは、サンショウの実や葉ではなく、昆虫やクモだそうです(それが本当に辛いのかもしれませんね)。写真は那須の山中で撮りました。顔周辺の白黒がはっきりしている左がオス、体全体が少しグレイがかっている右がメスです。

「ちいかわ」な「2カラ」(2021.07)

 標高1000m前後の森林には、平地ではなかなか見られない深山好きの小鳥が生息しています。梅雨時の那須塩原市山中、元気に動き回る「ちいかわ」(小さくて可愛い)な「2カラ」(2種類のカラ類)に出会えました。ゴジュウカラ(左)とコガラ(右)です。ゴジュウカラの動きは独特で、木の幹に縦にとまったり、逆さになったり、横枝の下側を移動したりすることができます。コガラも枝から枝へチョコマカと動き続けていました。一瞬たりともじっとしていない「2カラ」の慌ただしい様子を見ているだけでも楽しいものです。

「よだかの星」の着想(2021.06)

 久しぶりにヤツに会いたいと思い立って、夕方那須塩原市の山中まで車を走らせました。夕闇が迫る午後7時頃から「キョキョキョキョ・・」と例の何かを叩くような音が彼方から聞こえてきました。ヨタカです。とっぷりと暮れると、闇に紛れて羽音も立てずに黒い影がヒラヒラと飛んできました。このヒラヒラ感が何とも魅力的なのです。ヘッドライトを当てると目だけが反射するので、光るビー玉が空中を舞うようです。近くに降り立つと、置物のようにじっと動きません。ストロボを使用すると目が光ります(左)。感度を上げてストロボを使わないと、右のように撮れました。しばらくすると、ヨタカは静かに舞い上がり、目を光らせながら、星が瞬く夜空に消えていきました。光る目は流れ星のようにも見えたので、宮沢賢治の童話「よだかの星」の着想はこういう光景だったのかもと思ってしまいました。

小さなスイートホーム〜キビタキの隠れ家〜
(2021.06)

 那須塩原市の山中、太さ15p弱の枯木から飛び出すキビタキを見つけました。ご覧のとおり、小さな樹洞(入り口は直径約5p)に営巣したようです。親の様子から、多分ヒナは孵りたてくらいの頃でしょう。入り口から顔をのぞかせているオリーブ色の可愛げな小鳥がメスです(左)。オスは時々やって来て、給餌(餌を与えること)していました。いつもは、テリトリーを守ろうと元気良く囀っているオスですが、子育ての時だけは全く無音でこっそりと行き来しているようです。それでも、メスと比べると派手な色合いなので、どうしても目立ちますね。

 ホントのウソ

 林中の路上で何かをついばむ2羽の鳥を見つけました。飼い鳥の文鳥のようです。「ウソ」です。実は、ホントに「ウソ」という名の野生の鳥です。2羽とも頬が赤いオスでした。メスは赤いところがありません。ウソという名には「嘘」ではなく「鷽」という漢字を当てます。「フイフイフイ・・」という口笛のような鳴き声(ウソ「嘯」とは口笛の古語)に由来します。「鷽」という漢字の「感じ」m(._.)mが「學」に似ていることから、太宰府天満宮などでは天神様の使いとされているそうです。そう言えば、数年前に訪れた太宰府では確かに木彫りのウソが土産物として売られていました。ホントです。

「一筆啓上仕候!」ホオジロ(2020.8)

 那須高原、標高約1000m辺りで元気良く囀っていたホオジロです。鳥や虫の声を人語に置き換えることを「聞きなし」と言います(ちなみに、ウグイスの囀りの聞きなしは、誰もが知っている「法〜法華経!」ですね)。ホオジロは「一筆啓上仕候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」と聞きなされています。確かに「イッピツ」くらいまでは、そう聞こえますが、その後は、早口で「◎△$♪×¥●・・・!」とごまかしているようでもあります。「ホオジロの勝手」でしょうが・・・

マダムオオルリ(2020.7)

 7月下旬、那須塩原市の山中で、車道の傍らの横枝に静かにとまっている小鳥をみつけました。地味な色合いですが、クリクリした大きな目とか品の良さそうな立ち姿とか、上品で可憐な様子でした。多分子育てを終えて、少し自由を取り戻した、マダムオオルリです。

ハチクマ?(2017.5)

 5月下旬、那須の山中で、飛翔しているタカを見つけて、しばらく観察しました。「ノスリ」にしては、翼の内側が黒過ぎます(ノスリの翼はかなり白く見えます)。しかし、「トビ」でもありません。尾の形が違っています(トビの尾羽は三味線のバチのように角がとがっています)。もしかして、と思い、家に帰って撮った写真をよく見ながら調べてみました。果たして、思いついたとおり、「ハチクマ」のメスのようです。大きさは、ノスリより一回り大きく、トビより一回り小さいくらいです。ハチクマは夏鳥で、春に南から渡って来るタカの仲間で、名前は、ハチを食べるクマタカの意味だそうです。渡りの時期が遅いうえに、主食となるハチの巣が大きくなる時期に合わせるためなのか、6月頃から繁殖を始めるようです。那須で子育てしていることを期待して、観察を続けたいと思います。

ヤマガラ(2017.5)

 那須の山中で、子育て中のヤマガラを見つけました。道端のサクラに、多分アオゲラが空けた穴を利用していました。餌を持った親が近くに来ると、気配を察して、穴の中にいるヒナたちが一斉にチリチリチリと鳴き出します。上のシジュウカラも同じですが、食いしん坊のヒナたちを満足させるのは容易ではなく、親は次から次へと餌を運んでいました。


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